正義の罪科   作:アグナ

5 / 7
沖田オルタ当たらねえし(三十連爆死)……。

まあ代わりに書文先生が来たから完全に爆死とは言い難いけど。
何故、コラボイベントのキャラは一体も当たらんのだ。
カーマは出たのに……。




……ん? それのせいか?


そして戦場へ

 瓦礫の海。

 カルデア内に響き渡った警報を聞いた立香とロマニが管制室で見た光景の感想だった。

 最新鋭の技術と魔術で構築されたレイシフト様の空間は、天上は崩落し、床は抉れ被害の物々しさを語っている。また中央管制室……レイシフトをサポートするためにレフ教授含む、サポートメンバーが詰めていた部屋などは辛うじて幾らかの機材は生きているものの、こちらも負けずに被害を受けている。

 

「これは……」

 

「酷い……」

 

 その光景に愕然とする二人。

 特に先日までただの一般人であった立香の方はショックがロマニと比べてショックが大きかったらしく身を固めて呆然としている。

 

「―――アーキマンに立香()か丁度良い」

 

 その声に二人は弾かれたように再起動をする。

 瓦礫の奥から一人の男が……イサク・ラフマーンが傷だらけの少女、マシュ・キリエライトを横抱きにして現れた。

 

「イサク! 無事だったんだね!」

 

「まあな、こちらは何とか。ただマシュの方は血を流しすぎている。この通り、見てくれは応急手当で無傷に見えるだろうが……できれば彼女を医務室に運んでくれないか」

 

「わかった! 私に任せて」

 

 立香は強く頷いて意識の無いマシュをイサクから横抱きに受け継ぐ。

 続いてイサクはロマニの方に目を向ける。

 

「それからアーキマン。発電所施設に行って非常電源を発動させておいてくれ。たまたま近くにいたマシュはこの通り何とか救助したが、他のメンバーは間に合わなかった。辛うじて生きていた管制室の機能で凍結処理を施したからこちらも無事とは言わないが……」

 

「発電所の方も出火……というより管制室の様子を見る限り爆破されたようだからね。分かったそっちは僕が請け負おう君は……」

 

 どうするんだい、と視線で問うたロマニに間髪入れずにイサクが答える。

 

「レイシフトでこのまま特異点Fに飛ぶ」

 

「なっ!」

 

 驚愕を顔に浮かべるロマニ。

 素人である立香はその無茶振りにピンと来ていないのか二人の顔をキョロキョロと行ったり来たりに眺めている。

 

「む、無茶だッ! コフィンも管制室の支援も無しに特異点へのレイシフトなんて! それがどういう事態を招くか分からない君じゃないだろう!」

 

「だが、事態は刻一刻を争う。アレを見ると良い」

 

 そう言って鋭い視線を背後に、部屋の奥に鎮座するカルデアが誇る地球環境モデル『カルデアス』へと送る。

 釣られてロマニと立香は『カルデアス』を見て……愕然とした反応を示す。

 

「カルデアスの灯りが……」

 

「馬鹿な……」

 

 『カルデアス』の光が消える。それが示すところは、つまり……。

 

 ―――観測スタッフに警告

 

 瞬間、無機質な館内放送が無情な現実を語る。

 

 ―――近未来百年までの地球において 人類の痕跡は 発見できません

 

 それは、

 

 ―――人類の生存は 確認 出来ません。

 

 あまりにも明確な、

 

 ―――人類の未来は 保障 出来ません。

 

 滅びの宣告だった。

 

「理解したな? そういうわけだ。無茶無謀は承知、それでも時は一刻を争う。それにアーキマン、お前ならば分かるだろう? 今のオレ(・・)ならばまだ余地がある」

 

「ッ……?」

 

「えっと……」

 

 泰然とするイサクと葛藤するように拳を握りこみ唇を噛み締めるロマン。

 事情の分からぬ立香は完全に蚊帳の外だが、どうにも二人には共通して知る事情があるらしい。

 

「わかった……()に任せよう。但し、彼と一緒に必ず無事に帰ってくること。それが容認できないなら、僕は承認できないよ」

 

「善処しよう。オレからしたらこの程度でくたばる未熟者(・・・)ならばくたばって良いと思うのだが……」

 

「君は……!」

 

「分かっている。今はそちらの事情を優先しよう。そら、時間が無いのはお互い様だぞ」

 

 言うとイサクは皮肉気に笑い、ロマニと立香の横をすり抜け管制室の入り口……厳密にはその扉に手を掛ける。

 

 ―――中央隔壁 封鎖します。

 

 ―――館内洗浄開始まで あと180秒です。

 

 放送するや否や閉まり出そうとする中央管制室の扉だがイサクが手を掛けているため食い止められる。

 分厚い特殊合金で出来ている隔壁のため働く力は相当なはずなのに片手一本、傍から見れば力も対して込められてないだろうにギギッと擦り切れるような金属音が閉鎖がイサクによって喰い止められている事を証明している。

 

「どうする……?」

 

 肩を竦めながらロマニを見るイサク。

 ―――先ほどから感じていたことだが、その雰囲気は立香が知る彼のものと大きく異なっている。

 

「……立香ちゃん、君はマシュを連れて医務室に向ってくれ。僕は発電所の非常電源の切り替えをしてくる」

 

「ドクター!? 良いんですか!?」

 

 ロマニの言葉に傍観者だった立香が声を上げる。

 だがロマニは首を振って苦渋の決断だという風に最終判断を告げる。

 

「この場ではそれが最善だと僕は判断した。イサク君……極力無茶な行動、無謀な賭けはしないでくれ。それから何度も言うけど必ず……」

 

「皆まで言うな。分かっているさ」

 

 ククッと笑うイサク。……態度のせいでイマイチ信用なら無いが、少なくとも進んで約束を破るつもりはないだろう。

 

「というわけだ。マシュは頼んだぞ立香()

 

「……イサク」

 

 心配げな表情を浮かべる立香。

 しかしその表情もすぐに消し、真剣な表情で、

 

「必ず、必ず無事に返ってきて」

 

「善処しよう」

 

「じゃあ駄目」

 

「ふむ……」

 

 おどけた答えをイサクが言えば即座に返ってくる否の声。

 声を荒げたわけでもないのにその真剣な威の籠もった声にイサクは少々驚いたという風に目を見開いた後、

 

「了解した。可能な限りの最善を尽くそう、それで構わないな?」

 

「うん……気をつけて!」

 

 イサクの答えに強く頷いて背を向け走り出す立香。

 思うところは色々あるだろうに振り返ることはしなかった。

 その後をロマニも追うようにいく。

 

 二人を見送ったイサクは扉から手を離す。

 すると、まるで押さえつけられていた鬱憤を晴らすようにガシャン! という音を立てながらあっという間に内と外を遮断する隔壁。

 

「………」

 

 扉が閉まったにも関わらずイサクは一人、閉じた扉を眺めながら、不意にクッと笑い出した。

 

「どこにでも居るものだな強い人間は」

 

 ―――ああ、()も尊敬を覚える。

 

「そうだな、とてもオレたち(・・)には真似できない。良き人、というのはああいう人間のことを言うのだろうよ」

 

 ―――だからこそ、ああいった人間を食い物にする悪を、邪悪を、許してはならない。

 

「然り、では第一の試練を始めよう。とはいえ、このようなものは本来試練とさえ呼べないのだがね。邪悪を排するは正義の味方の大前提。ただの作業だ。この程度でくたばるのなら……そもそもその資格はない」

 

 ―――分かっているさ。

 

「ならば良し。何―――たかが世界を救うだけだ。何の問題もあるまい」

 

 その声を最後にイサクは目を瞑る。

 そして……。

 

「ああ、何の問題も無い」

 

 視線に鋭い意思を乗せながら光無き『カルデアス』を睨み付ける。

 

「こんなところでオレは止まれないんだ」

 

 

 ―――レイシフト 定員に達していません。

―――該当マスターを検索中……。

 

 ―――発見しました。

 ―――適応番号13番 イサク・ラフマーン をマスターとして再設定します。

 

システムボイスが告げる。

 肉体を霊子化して適合者を過去に送り込む……科学と魔術によって誕生した『魔法』へ踏み込む奇跡が実現する。

 

 ―――霊子変換を 開始します。

 ―――アンサモンプログラム スタート

 

 目標、特異点F。

 場所は西暦2004年の日本のとある地方都市。

 本来の歴史には存在しない異物。

 

 ―――全工程 完了(クリア)

 ―――ファーストオーダー 実証を 開始します。

 

 意識が遠くへと飛ぶ。肉体が現実を乖離する。

 人類初の試み、レイシフト。

 人類史を救うための時間旅行が敢行された―――。

 

 

 

 

 ―――気付けば、一面の火の海にイサクはいた。

 

「……つくづく、オレはこの光景に縁があるな」

 

 所詮、地獄の住民と言うべきか。

 降り立ったその場所、特異点Fこと『冬木』の地は炎上都市とでも評すべき様相となっていた。

 

 乱立するビル郡はなるほど、此処が都市部であった名残だ。

 より便利に、より快適にと整備された街は確かに地方都市らしい。

 

 だが……燃えているのだ、悉くが。

 

 消えぬ炎とばかりに煌々と輝く火によってビルは黒ずみ、空には黒煙がギッシリとつまっている。道路にはバスや自動車が無造作に転がり、こちらもまた漏れなく炎上している。

 既に街には人の気配は無く、その光景はさながら死の都(ネクロポリス)とでも言うべきか。最も死の街というには静けさから程遠い雰囲気だが。

 

「さて……」

 

 見渡す限りの炎、炎、炎……。

 特異点消滅の使命を得て訪れたイサクだが、今のところ特異点と化したであろう原因でありそうなものは見つからない。

 この地獄のような光景だけで、この街が尋常ならざる事態であるのは理解できるが、そもそもこの原因が分からない。

 少なくともこの時代の日本では街一つが燃え尽きるような大事件は起こっていないはずだ。

 

「つまり、この事態を引き起こしたモノが、此処が特異点となった原因と言うわけか」

 

 ふむ、と顎に手を当てて思案するイサク。

 このまま足で原因を探し回っても良いが、そう時間があるわけではない。

 既に現実、彼の生きた2015年のカルデアでは人類史の終わりが確約されてしまっている。早急な事態の解決が要求される以上、余り時間的余裕は無いだろう。

 

「まずは霊脈から調べてみるか? これだけの光景だ。何処かの国のミサイルが着弾したとかならともかく、現代兵器の助けも借りずにこの光景を作り出したなら十中八九魔術がらみ。大魔術か、どこぞの聖遺物かは知らないけれど、これだけの影響を出すモノなら霊脈にも影響が出ているはずだし……」

 

 惑星の血液とも評すべき巨大な魔力の流れである『霊脈』……この異常事態を解決するに当たって調べるべきはまずそれだろう。

 解析は門外漢だが、簡単な場の解析と言う基本的な技はイサクにも使える。

 

 

 

 決めたのならば即行動。

 イサクはよしと自らを鼓舞して、霊脈を調べるに丁度よさ気な場所を探すため走り出した。

 ―――そうして走り出してすぐに遭遇する。この地獄の住民に、生存者ならざるものたちに。

 

「?」

 

 ふと、違和を覚えて足を止める。ガシャ、ガシャと規則的な断続する音。

 可笑しな話だ。この街に人の気配はしないと言うのに。

 

「………」

 

 敵か、とイサクは両手に黒塗りのナイフを構え、即座に魔力回路に魔力を注ぎ込む。いつでも戦闘開始可能な臨戦態勢。

 交差点の真ん中、四方に絶やさず気を向けながら油断なく構える。

 

 しかし、そんなイサクの緊張とは裏腹にやがて、規則的な音は気のせいだったかのように消える。

 

 ―――杞憂だったか?

 

 或いは緊張のし過ぎで幻聴をと、思いかけていたその時だった。

 風を切る音……まるで何かが落下してくるようなとそこまで考えた時、イサクは反射的に後方へ避ける様跳び退った。

 

「上……!」

 

 ドン、と直前までイサクが居た場所に何かが降り立つ。

 こと此処にいたって状況を把握するイサク。

 音の主はビルの屋上に。そして音が消えたのは屋上から飛び降りたから。

 

 そしてその正体は―――。

 

「骸骨の……兵?」

 

 それは人型だった。

 但し肉は無い。白骨化したそれは臓器も無く、脳も無く、しかして骨格だけで駆動していた。さらに手に持つ剣、槍、弓。

 その有り様はなるほどイサクの言う通り骸骨の兵とでも言うべき姿形だ。

 

 カカッとイサクの言葉に応答するように声無き声で笑うように答える骸骨。

 瞬間、問答無用とばかりにイサクへと襲い掛かった。

 

「使い魔か、亡霊か……どちらにせよ」

 

 敵だ―――。

 イサクもまた即座に応えた。

 

 数は十一、二。武装は剣、槍、弓。

 動きはそこまで俊敏とはいえないが数の不利がある以上、油断して掛かれば背後を取られ死に兼ねない。

 単純な事実として突かれて斬られて打たれるだけで人は死ぬのだ。

 人殺しをするのに魔術と言った超常も、銃火器といった武装も不要。

 原始的な手法で十分人は殺せる。

 

「フッ―――!」

 

 真っ先に飛び掛ってきた骸骨兵の剣をイサクは両手のナイフで受け止める。

 力はさほど強くない。せいぜいが鍛えた成人男性程度。

 魔力で既に肉体を強化しているイサクの身体能力を上回るほどではない。

 

「邪魔だ……!」

 

 飛びついてきた骸骨兵を蹴り飛ばして退ける。

 肋骨辺りを射抜いたそれは鉄の棒で殴打したように呆気なく白骨を粉砕し、骸骨兵は崩れ落ちていった。

 

 カカカと骨が鳴る音。

 一体が破壊されたことで意思無き骸の兵は怒ったように次々と襲い掛かってくる。剣で切りかかる。槍で突く。弓で穿つ。しかし……。

 

「弱い、遅い、温い……殺意が足りないぞ、骸共……!」

 

 動きは単純、能力は標準。であれば、鉄火事場を渡り歩き、日々のトレーニングを欠かさないイサクを捉えられるはずがなかった。

 俊敏な動きで剣や槍を凌ぎ、抜けた先で時にナイフで切りつけ、時に両手足で殴りつけ蹴り抜き、次々と骸骨の兵を破壊していく。

 さらにやや離れた位置取りをする弓の骸骨兵には……。

 

術式完了(セット)……!」

 

『………!』

 

 パチンと指鳴らし。すると、イサクが合図に反応するように超常が現実を侵食する。

 弓の骸骨兵。その心臓部あたりにポツンと黒い小さな球体が現れる。

 同時に黒い球体はまるでブラックホールのように周囲の空間ごと縮小して、空間ごとまるで切り取られたように消滅した。

 

 残されたのは胴体部をまるまる失った弓の骸骨兵。

 骨格の七割を失った兵は、手足と頭蓋という僅かばかりの骨を地面に落す。

 

 魔術詠唱とは極端に言えばただの自己暗示だ。

 故に単純な魔術、使いなれた合図等があるならばその手順は省かれる。

 

 イサクが持つ虚数と言う極めて稀有な魔術特性を用いただけの小規模な空間消滅現象は他の者にとって真似できない所業であってもイサクにとっては銃を構えて引き金を引く程度の単純な業だ。

 故に……視界に捉え、指を鳴らす。それだけで魔術は発動する。

 

 戦端が開かれ僅か二分。

 それだけで骸骨兵は全滅を記した。

 

「……なんだったんだこいつ等は」

 

 正真正銘、物言わぬ骸と化した骸骨兵の残骸を見下ろして呟く。

 イサクにとっては脅威となりえない敵であったものの、こんなものが街をうろついているだなんていう状況事態が異常事態だ。

 誰かの使い魔というには意思が感じられないし、感覚としては亡霊……意思無き力によって動く単純衝動しか有さないそれに近い。

 

「炎上する街、自立駆動の骸骨兵……そして特異点か。生存者か誰かが居れば手っ取り早く話を聞いて済むんだが……」

 

 とはいえ、この生気に欠ける街の惨状を見る限りそれは無理な相談だろう。やはり当初の行動目的であった霊脈調査を自前で行なう方が速そうだ。

 

オレ(・・)はどう考える?」

 

 ―――前提条件に訂正を求める。生者ではないが、生存者ならば存在する。

 

「何―――?」

 

 問うた声に返ってくる予想外の返答。

 その答えにイサクが面を喰らった表情で問い返そうとした次の瞬間。

 

「キャアアア―――――ッ!?」

 

 炎上都市に響き渡る甲高い女性の悲鳴。

 紛れも無く、声の言うとおり生存者の存在証明。

 そしてそれが悲鳴であるということは……!

 

「ッ……!」

 

 ―――迷う暇など無い。

 一目散にイサクはその場所へと駆け出した。




初手から立香とマシュがカルデア居残りというオリジナル展開。
まあ、オリ主が居る時点で正史もクソも無いからいっか!

問題はオリジナル展開をやると途中で続かなくなる場合があるということか。
主に私のせいで。すまない、エタ作者ですまない……!

冬木はきちんと終わらせると約束するから……!(以降続くとは言わない)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。