興味を持った方はぜひとも原作である海外ドラマ、ドクターフーを見てほしいです。
もちろんゼノブレイド2.5も更新していきますよ…
Wで連載はそうとう大変ですね…
普通の毎日、人間であるという証明。人々はせわしく動くこの日常になんの疑問も持っていない。
人類が生まれて数万年。車、携帯電話、ネット、テレビ、パソコン、電気、あらゆる発明の上にあまたの戦乱や災害を乗り越え今日が存在する。しかしこの地球の歴史のすべてが人類の手によって紡がれてきたわけではない。その裏には“ドクター”と呼ばれる男の姿があった。
そんなこともつゆ知らず、5月20日、一人の少女が目を覚ました。時刻は8時00分。
「華ァッ!」
少女のお母さんが勢いよく布団をひっぺがした。その勢いで少女は床に落ちた。
「あと5分…あと5分だけ…」
「5分?いいけどその代わり先生にこっぴどく叱られても文句言わないでね!」
母は目覚まし時計を彼女の目の前に突き出した。
「8時…!?」
少女は時計を見て一瞬で覚醒した。飛び起きて母に詰め寄った。
「どうしてもっと早く起こしてくれなかったの!?」
「10分間起こそうと努力してようやく起きたの。朝ごはんは?」
「もちろん食べる!」
三崎
華と呼ばれた少女は制服に着替え、階段を駆け下りた。
「ねぇ、純一は?」
「もう出かけたわよ」
「んもう!荷物持ってくれるって約束したのに!」
「あんたが起きないからよ」
そう言って母は焼きあがったトーストを華に差し出した。
「悪いけど時間ないから食べながら学校行く!」
華は水を一杯飲みほし、トーストを口にくわえたまま玄関へと走り、靴を履きはじめた。。
「あと10分で学校まで行ける?」母が横で華を見ながら言った。
「走れば間に合う!」華はようやく靴を履き終えた。現在8時10分。
「んじゃ、行ってきまーす!」
扉を開け、風を切る音が聞こえるほどの速度で走り出した。
「事故らないでよー?」
母が走っていく華を見ながら小さな警鐘を鳴らした。しかし、この朝少しだけミスをしてしまったのだ。
華はものすごい勢いで家へと戻ってきた。
「カバン忘れた!」
「焦るからよ」
母が学校指定のカバンを手渡した。すでに今日の教材は全て入っているようだ。
「それじゃ今度こそ行ってきます!」
再び華は風を突っ切り走り出した。現在時刻は8時12分。
《まずい、このままだと遅刻する…!今日で今月10回目…怒られる!》
頭の中で最悪のパターンを予測しながら、彼女にとっていつもの通学路を駆け抜けていく。しかし通学路の様子はどうやらいつもと違っていた。
「なぁんで工事してんのよ!!」
最短ルートで水道の工事が行われていた。工事は気づいたら始まっているもの。早ければ今日中に終わると案内板に書かれていたが、あと2,3分で終わりそうには見えない。
「こうなったら遠回りかぁ…」
さらにスピードを上げて走っていく。現在8時16分。ついに学校が目の前に見えてきた。このペースなら出欠点検の8時20分には間に合いそうだ。
そう思って油断していた途端、曲がり角で少年とぶつかった。
「キャッ!」
早すぎた分、彼女も少年も1m近く吹き飛んだ。
「んもう…どうして今日はこんなに不運なことが…!」
そう言い終わる前に少年が手を差し出していた。
「怪我はないか?いいか、日本の道は狭い。あんな速度で走ったら車に轢かれるぞ?」
少年はそんなことを言いながら華を立ち上がらせる。
「あ、ありがと…」華は少々照れていた。
「って、ごめん挨拶してる暇はないの!じゃ!」
手を一瞬だけ振って華は少年に別れを告げた。心なしかタイプな顔だったので、学校に着くまでの間ちらちらと脳内に浮かんでいた。
しかし、少年よりもさらに大きな謎が頭の中に駆け回っていた。
少年とぶつかって学校に行くまでの途中、謎の青いボックスが道端に置いてあったからだ。つい先週まではなかったはず…
週末を趣味の時間に費やしていた間に工事が始まっていたし、何かの撮影があるのだろう…と思いながらも青いボックスのことが気になって仕方がなかった。
そんな華を後目に、少年は腕時計を見つめていた。
「なるほど、急いでいたのはホームルームがあるからか…」
「となると、僕も急がないとな。まずは5分前に戻るか…」
少年はつぶやきながら青いボックスに近づき、その扉を開けて中へと入っていった。
キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン
現在時刻は8時20分。先生がすでにクラスの中に入っていた。それに対して華は現在上履きを履いていた。
「まずい、あの子のせいで遅刻!」
自分のクラスである2年B組に忍び足を使いながら近づく。遠目から見る限り、担任は学級日誌を読み上げていて生徒のことは気づいていない。
「チャンス…!」
音をたてないようにゆっくりと教室の扉を開け中に入り、静かに自分の席に座る。
「あっ、華」
華のクラスメイトが小声でささやいた。
「また遅刻?先生に叱られるよ」
「大丈夫だってアキ、先生は私に気づいてないから…」
「三崎華、今日で今月遅刻10回目だな」
先生がつぶやいた。
「あっちゃー…」
「昼休みに先生のところまで来なさい」
担任が華のほうを向いて言った。
「華、先生の言うことなんて気にしない!」
アキと呼ばれた少女が華を励ます。
「悪いけど、あの先生はこの学校で一番怖いからさ…嫌でも気にするよ」
華は朝からテンションが下がってしまった。
「三崎の遅刻より、今日は重大な発表がある」
先生の一言に教室はどよめいた。
「おっ?ついに結婚か?」「妊娠?」「男だからしねーだろ」「もしかして転校生?」
野次馬のようにそんな声が至る所から聞こえてきた。
「何だろ…?」アキがつぶやいた。華は先生をほうを振り向いた。
「今の中に正解がある」先生の一言に、男子生徒が言った。
「えっ!?妊娠!?」
その一言に教室中が笑いに包まれた。担任の先生もつられて笑っていた。
「もしそうなら少子化社会にとって貢献してるな。でも違う。転校生ってのが正解だ。ほら入ってこい」
担任の先生の合図で、転校生がゆっくりと扉を開けた。
どこかもの悲しげな雰囲気を醸しながらもさらりと流した黒い前髪に制服をきちんと着こなしている。華はその顔にどうやら見覚えがあった。
アキはそのことを華の表情から感じ取った。目が丸くなって口をぽかりと開けている。
「今日から天ノ川中学校の2年B組になることになった、隅田仁です」
少年が黒板に名前を書きながら自分の名前を言った。
「よろしく」
「と、いうわけでみんな拍手!」
先生の合図で一斉にみんなは手を叩いた。アキも手を叩いていたが、華はいまだに口をぽかーんと開けたまま。
「どうしたの華?」
華は拍手の中、突然立ち上がった。
「あんた…さっき道でぶつかった!?」
「君、ここのクラスだったんだ、よろしく」
少年、隅田仁は満面の笑みで華を見つめた。