更新遅くてごめんなさい。
この話は既に全て書き終わっているのでこれが終わるまでは失踪しないハズ……
華は一日経ってもいまだ光輝との約束を破ったことに意気消沈していた。
授業が終わり、みな運動会の練習をしているというのに、自分は体操服に着替えたらすぐに教室に戻り、自分の席に座って校庭を眺めている。
そんな華をみかねてアキがやってきた。
「どうしたの華?みんな校庭で練習してるよ?」
「選抜リレーの練習は4時から。大丈夫、ちゃんと練習には出るよ」
「でも朝からずっと落ち込んでるみたいだし……何かあった?」
アキが華をせなかをさする。
「いや、実は光輝との約束破っちゃってさ。それでちょっと嫌な奴に思われてたら……なぁって思って」
「なーんだ、そんなこと? 約束のひとつやふたつぐらい誰しも破るもんよ。」
「そうかなぁ……」
机にうずくまる華。アキは「まったく……」とこぼしていた。
すると突然扉が開く音が。ドクターだった。
「なぁ華、今暇かな?」
「ほら、彼氏さんも来たことだし元気だしなって!」
アキが華の背中をおもいっきし強く叩いた。
「だから彼氏じゃないって!私はまぁ4時までは暇だけど……」
「なら良かった。少し来てもらいたいところがあるんだ。あっそうそう」
ドクターはアキに指をさした。
「君も暇ならちょっと付き合ってくれないか?」
「えっ? 華にデートのお誘いじゃなかったの?」
「デートは趣味じゃない。行くぞ」
ドクターに連れられ、華とアキは廊下に出た。
ドクター曰く、どうやら信号の原因がある場所にあるという。
「アキ、だったっけ?君はたしか怪談話が好きだとか」
「え? まぁ好きっちゃあ好きだけど」
「じゃあこの家庭科準備室に関する怪談話か何か知らないか?」
ドクターは家庭科準備室を指さした。準備室の扉は木製でところどころが欠けている。
「うーん、そうねぇ……ソータって名前の運動会が近づくと出てくる幽霊の話なら」
「一体どんな話だ?」
「なんでも体が弱くて出たかった運動会に出られないまま病気が悪化して亡くなったの。それからは運動会に出ようとする人を襲う悪霊になったとか……なんでもこの家庭科準備室で行方不明になった子がソータって子に襲われたって噂が」
アキは淡々と怪談話を話し続けた。
「なるほど。それでそのソータはなぜこの家庭科準備室に?」
「そこまでは知らないけどさ」
「なるほど。まぁそれで十分だ」
ドクターは扉をカギをポケットから取り出して鍵穴に差し込み、扉を開いた。扉は古いためかギシギシと音を立てた。
「いつものドライバー使わないの?」
「木には効かないって前言わなかったか?」
ドクターが薄暗い家庭科準備室に入りながら言った。
アキと華も追うように入っていく。
「ねぇ仁くん、私たちをここに呼んでなにがしたいの?」
アキが聞いた。
「一人でこれほどのダンボールの中を探すのは苦労するんだ。人手が欲しくて」
ドクターはポケットからソニックドライバーを取り出し、様々なダンボールに向けて光を放つ。
「すまないがダンボールをどかしてくれないか?二人とも」
「はいはい」
華がぶっきらぼうに返事をし、ダンボールをどかしはじめる。
「ねぇ、仁ってこんな変なヤツなの?」
アキが華にひそひそと聞いた。
「エイリアンなの。だからこんな奇行をするの」
「エイリアン?まっさかー」
アキは華の言ったことを信じていないようだった。華もそのつもりで言った。もちろんいきなり彼がエイリアンだと言ったところで信用しないだろう。現に自分も信用しなかった。
「よし、その鏡だ。こっちによこしてくれ」
ダンボールの中から姿見の鏡が出てきた。縁は金色で、ところどころがはげている。
「信号はどうやらこの鏡の中から出てきてるみたいだ。じゃあ僕はターディスでこの鏡を解析してるから、二人は運動会に練習に行ってるといい。あ、それとこれは手伝ってくれたお駄賃」
ドクターは鏡を片手で持ちながら、ポケットの中から小銭を取り出し、華とアキの掌に載せる。
「じゃあ華、これから短距離走の練習があって僕をみんなは探すだろうけど、先生に呼び出されて反省文書かされてるって言っておいて」
ドクターはそう言うと鏡を持って準備室からそそくさと出て行った。
「ターディスって何?」
アキが華に聞く。
「アイツが持ってる車のこと。よくああいうことするの。気にしなくても平気、害はないから」
華がアキに言った。ふと華は準備室にかけられていた時計を見つめる。
「あっ、もう4時じゃん!練習行かないと!」
華とアキは練習に遅れないよう走って校庭へと向かった。
「華、なんだかさっきに比べて元気になってきたじゃん」
「なんだかバカバカしくなってきて」
校庭ではすでにほかのクラスメイト達が集まっていた。
ドクターはというと、鏡をようやくターディスまで運び終わったところだった。
「鏡はいつだって別の世界の入り口だ。さて、どうして信号を発しているんだ?」
操作盤から吸盤付きのコードを取り出し、鏡に貼りつける。するとディスプレイに不思議な波線が浮かび上がる。
「……不思議だ。この鏡はあくまで信号を出しているだけだ」
ドクターは鏡をペタペタと触っている。
「何もない。信号を出している以外はただの鏡だ。まるで空っぽのペットボトルと同じだ……」
ドクターが鏡をトントンと叩く。
「これはただの中継器か? だとしたら学校の中に本体が!」
ドクターは鏡をターディスの中に置いたまま、走って出て行った。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「もうバテたの華? まぁそれもしょうがないか。リレー5連続で練習はきついもんねー。アキラも怪我しちゃったし」
アキは華にスポーツドリンクを手渡しながら言う。
同じリレーの一つ前の相手であるアキラとのバトンパスの練習で、早さのあまり彼を押してしまい、そのために転ばせてしまったのだ。
「ごめんね、アキラって二人三脚の相手だったでしょ? そっちの練習止めててごめん」
「いいんだって、別に骨折れたわけじゃないんだし。ま、とにかく保健室から帰ってくるまで待機かなぁ」
アキも華と同じようにスポドリを飲みながら言う。
「私の足が速すぎるせいかな。もうちょっと遅めに走ったほうがいいのかも」
「それじゃダメだよ、華のウリは足の速さなんだから。だから推薦したんだって」
「でも、そのせいで相手に怪我させるんじゃ」
「うーん、もう少し力みすぎるのを抑えて見たら? 渡す時に」
「抑える、か。えーと…」
アキを相手にバトンパスの練習をしようとした途端、リーダーの笛の音が聞こえてくる。
「おい華、次の練習始めるぞ」
華はリレーのリーダーに名前を呼ばれた。華は足をだるそうに歩ませる。
「力み過ぎないように、だよ」
アキにそう言われながら、リレーの次の練習が始まる。
「アキラが帰ってくるまで、バトンパスの練習。次は華とその前のショウジの番だ。どうしてもそこのバトンタッチでミスが多いらしくてな」
「まぁショウジと私じゃ身長の差もあるし……」
「お前が速すぎるんだって」
ショウジにそう言われ、華は申し訳なさそうに頭をかく。
「じゃあやはり順番を入れ替えてみるべきか……」
リーダーの考えで華はリレーの順番を入れ替えられることになった。
早速リレーの練習が再び始まる。
「おい光輝、何ずっとあっち見てんだよ」
「え? ああごめん」
光輝はサッカー部。試合のために練習をしている最中だ。しかしどうも華が気になってしまう。
「そんなふわふわしてんじゃ、試合に勝てないぞ」
「でもただの練習試合だろ?」
光輝は頭をかきながら言う。
「練習試合でも勝てないチームが大会で勝てるかっての。ほら行くぞ」
光輝は仲間に頭をたたかれ、少し反省した。
しかしすぐに練習に参加はできない。叩かれた反動か尿意をもよおしてきた。
「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」
光輝は仲間の肩を叩くと、そそくさと校舎に入っていく。
「ふぅ、運動会の練習とかもどうしよっかな。試合あるし、華には約束すっぽかされるし……」
光輝はトイレの小便器を前に独り言をつぶやいていると、突然後ろの個室から誰かが出てきた。
「今華に約束すっぽかされたって?」
「うおっ!?なんだあんた……ってあんたもしかして最近転校してきた?」
「ああそうだ。隅田仁。ドクターって呼んでくれても構わない。ところで華が約束をすっぽかしたって?」
「なんでドクターって呼ぶんだよ。華となんか関係あるのか?」
「いや、もしかしたら僕のせいかもって思って。華をあっちこっち連れまわしたから」
光輝は驚いた。華からはお墓参りに言っていたと聞いてたのだが……
「いや、でも華は……」
「おそらく君に嘘をついたんだろう。傷つけないために。まぁ宇宙旅行してたなんて言っても君は信じないだろうけどね。ああ。僕は忙しいから後にするよ。それと僕の方からも謝っておく。ごめんね」
そう言うと仁はトイレから出ていった。手も洗わずに。
「宇宙旅行?はぁ、華はあんな頭おかしい奴と付き合ってるのか?なんで……」
光輝は仁と違ってしっかり手を洗ってからトイレを出ていく。そこからは廊下を歩く仁の姿が見えた。
「トイレにもない。となると一体どこに本体が……」
仁、つまりドクターは手に変な機械を持ちながら廊下を歩いていく。光輝は奇行をする彼が気になり、後をつけた。
サッカー部の練習もあるが、数分ぐらい大丈夫だろうと思った。
仁は廊下を進んでいき、つきあたりにある部屋の中に入っていく。今はあまり使われていない物置部屋だ。
光輝も彼の後について物置部屋へと入っていく。光も差し込まないぐらい物であふれているその部屋に鎮座していたのは「POLICE PUBLIC CALL BOX」と書かれた青い電話ボックスだった。
「なんだこれ……こんなのあったのか?ここに……」
その電話ボックスは開いていたようで、扉に手をかける。
するとそこは外見から思えないほど広い空間だった。薄暗く、オレンジ色の丸い模様は光を出している。
「なんだこれ……」
「おい君!」
その中に入っていたのは仁だった。部屋の中心にある円形の操作盤で何やら作業をしながらこちらを見ている。
「なんでいきなり扉を開けたんだ? 人の部屋に入るときはノックをするって学ばなかったか?」
「え? いやまさかこんな広い部屋があるだなんて思わなくて……何これ!?お前何者だよ!?」
「僕か? ただの転校生だよ。僕は忙しいんだ。この青い箱の事は忘れて。君にはやるべきことがあるんじゃないのか?運動会の練習だとか部活とか」
仁は光輝の背中を押して青い箱、ターディスの外へと出す。
「いやでもこれって……先生に怒られるぞ!?」
「こういう部活なんだ。君は君のやるべきことをやれ。それとこのことは誰にも言うなよ、退学にされたら色々なプランが崩れる」
そう言うと仁は箱の扉を閉めた。
「……部活行かないと」
光輝はしぶしぶ物置部屋を出て部活に戻ることにした。
「も、もう無理!走れない!」
華はぜぇぜぇと息を切らしながら地面に倒れこむ。
「さすがにずっと練習するのも厳しいか。もうこれで今日の練習は終わりだ。各自解散していいぞ」
リレーのリーダーの合図で、一同は解散することとなった。
「ほら華、そろそろ立ち上がって」
アキは華に手を差し伸べる。
「私は大丈夫。アキは先行ってていいよ」
「そう?あんまり転がってると服汚れるからね」
アキは華を後にして校舎へと戻る。
メンバーが全員帰ったのを確認すると、華も立ち上がろうとする。
「私もそろそろ……」
たまには校庭に大の字になってみたいものだった。
「ターディス、かぁ……」
華はドクター、そしてターディスのことを考えていた。
今日が最初の練習とはいえ、正直出来は散々だった。一人は自分のせいで怪我させてしまうし、考え事があるためにまともに手が付かず、行ってしまえば自分のせいで足を引っ張ったようなものだ。
現実とはいうのは思い通りに行かないもの。現代に戻ってきてからというものをそれを痛感していた。ターディスの中でならそんなことを考えることはない。どこかあの生活に戻りたいという気持ちが芽生え始めていた。
「んー…… なんか嫌な気持ち……」
「そんなところで何してるの?」
「うわっ!?」
突然、男の子の顔が覗き込んできた。驚いて起き上がると同時にその子の顔に頭をぶつけてしまう。
「いっつ~……ごめん、大丈夫?」
「僕は大丈夫だよ。それでここで何してたの?」
「え? いや、運動会の練習が終わったからさ、その……ちょっと校庭で大の字になってただけ。つまり休んでたってこと」
華は少し不思議に思った。彼の顔をこの学校で見たことが無いからだ。
「あなたは何してたの?」
「僕も運動会の練習だよ。普段は学校休んでるんだけど、運動会だけは出たくて」
普段休みがちだから顔を見たこと無かったのか、と華は納得した。それなら知らなくてもおかしくはない。
「そうなんだ…… ところで名前は?」
「ソータ。君のことは知ってるよ。三崎華でしょ」
「うん。ソータ…くんか。よろしくね」
華は挨拶代わりに手を出した。彼も同じように手を出して握手をする。彼の手は土で少し汚れていて、そして冷たかった。
「僕はリレーが好きなんだ。だからずっと君たちのリレーを見てた」
「へぇー。でも私たちはあんまりリレー得意じゃないよ。私なんて特にさ……。自分のペースでばかり走っちゃって」
「それなら僕が教えてあげるよ。リレーのことは色々詳しいんだ」
「本当?」
「本当だよ」
そう言うと、彼は手に持っていたバトンを渡し、少し遠くの方へ走って行き、50mほどの場所で止まってこちらを向いた。
「それじゃあ、走って僕にバトンを渡してみて!」
華はゆっくりと走り出す姿勢を作り出す。それが終わると、地面を強く蹴って走り出す。足の速さには自信がある。もし本番だとしたら常に全速力で行かなければ。他の組に負けないために。
その速さのままソータの元まで走って行き、近づいて来たら手にしたバトンを渡そうとした。
しかしそれは失敗してしまう。あまりの速さにバトンが上手く渡しきれず、そのままバトンが宙に浮いて落ちてしまった。
「ああごめん! さっきもこれやっちゃったんだよね……」
「今ので分かったよ。君のダメなところ」
「ダメなところ?」
そう言うとソータはバトンを拾って華の回りで歩き始める。
「君は走るのがすごく早い。クラスにとってはとても強い武器になる。けど同時にそれはクラスとしての弱点でもあるんだ」
「クラスとしての、弱点……?」
「ああ。君はその速さを制御しきれていない。あまりにも早すぎてバトンを渡すタイミングが掴めないんだ。君も実際にやっててバトンが渡しづらいって思ったはずだよ」
「うん、そこが一番難しいって思ってた」
「それじゃあ、僕が試しに走りながら渡すからお願い」
ソータはそう言って再び遠くへ走り出す。そして今度は華がバトンを受ける体勢になる。ソータも同じように走り出す姿勢の後にこちら側へと走って来る。彼は華ほどではないがそこそこの速さだ。だが華に近づく時に少しだけスピードを落とす。そのままバトンを渡す手の形にし、確かに華の手にバトンを渡すことに成功した。
「渡す前に少しだけ走るスピードを落とすんだ。それと同時にバトンも既に渡せるように前に突き出す形にするんだ。それでバトンが渡しやすくなる」
「確かに、これでやってみればやりやすいかも……」
「ちょっとだけスピードは落ちるかもしれないけど、君の速さなら大した問題にならないだろ?」
「えへへ、そうかも。教えてくれてありがとう!」
「どういたしまして。君の走り方が良いなって思って」
ソータは少し恥ずかしそうに指で顔を搔きながら言った。
「さっきから時折見てたけど、あんなに足が速い女の子は見たことが無い。少し鍛えれば次の運動会で一番良い成績を残すことができると思ったんだ。でもさっきみたいに完璧には走れてなかったから、どうしても口を出したくなっちゃって。余計なお世話だったかもしれないけど」
「まさか! 余計なお世話なんかじゃないよ。むしろありがたいって感じ。でもいいの? だってソータくんはうちのクラスの子じゃないでしょ?」
「クラスのことなんかより良いリレーが見れる方が大事だよ。それに君の走りっぷりが一番良い」
「あ、ありがと……走りっぷり褒められたのなんて初めて」
「僕はちょっと変人みたいだからさ」
ソータはそう言って華に微笑んでいた。
「あっそうだ! せっかくだしお礼に何かジュース買うよ。さっきお駄賃貰って……」
ちょうどドクターから手伝ったお礼として小銭を貰っていたのだ。こういう時に使わなくてどうする。カバンの中から財布を取り出し、さきほど貰った硬貨を取り出すが……
「……なんて書いてあんだこれ。どう見ても日本のお金じゃないじゃんこれ……。あいつ間違えたな?」
ドクターから貰った小銭は明らかに使えるようなものではない。何やら記号のような文字のようなものが彫られていて、100円と書いてあるように思えるが明らかに違う。もしかして地球以外の小銭だろうか。
「あーごめんね、お金貰ったと思ったらなんか違うやつだったみたいで……あれ?」
顔を上げると、目の前からソータは消えていた。いきなりどこに行ったのだろう。彼の名前を呼んで少し周りを探して見るが見当たらない。さよならも言わずに帰ってしまったのだろうか。
「ま、変人さんらしいし勝手にいなくもなるか……前例あるし、仁っていう」
華はカバンを肩にかけ、着替えるために校舎の中へと入って行く。
DWのシーズン13が配信され始めましたが、間の話がまだ無いので見れてないです。とはいえちょっと見ないとダメですね。