華はそのまま扉から外に誰かの手を握って出て行った。誰だ…?
その後ろ姿から分かった。隅田仁。彼だった。
渡り廊下を走り去り、別の校舎へ。仁は不思議な音のする光る棒を扉に向けた。すると扉はガチャリと閉まった。
華はまだ涙が乾いていなかった。あまりに一瞬の出来事だった。
扉の外の頭ババアはこちらを向いたまま中に入ってこない。
「これで時間稼ぎぐらいはできるだろう。僕が来なかったら君は死んでた」
そういうと仁は歩き始めた。
「ちょっと…待ってよ!」華は彼を追いかけた。
「どうした?頭だけのお婆ちゃんがそんなに怖かったか?」
「あ、当たり前でしょ…頭だけで!しかも怖い顔!私お化け屋敷嫌いだから…」
「そうか?お化け屋敷なんて作りものだから怖くないと思うけど」
仁は階段を上がっていく。華も一緒に上がっていく。
「ねぇ、あんたドアに鍵かけたでしょ!?おかげで私出られなかったんだからね!」華が仁に詰め寄った。
「あれは僕じゃない」仁は否定した。
「じゃあ誰がやったの?」
「頭ババア、だろうな」
華はいまだに信じられなかった。あんなお化けが存在するとは…
「じゃあ、霊的エネルギーか何かで扉が封印された…ってこと?」華が聞いた。
「いや、学校全体に強力なフォースフィールドが張られた。扉が開かなくなったのはそれによる弊害…みたいなものかな。」
「ふぉーすふぃーるど?」華は突然聞いたその言葉に口をぽかんと開けた。
「このソニック・スクリュードライバーが無いと開かない。効くか効かないか賭けだった。効いてよかった」仁は楽しそうに話をしていた。
「ねじ回し?ソニックって?」
「音が出るって意味だ。機械をいじったり鍵を開けるのに役立つ」
「へぇー…で、フォースフィールドって何?トライフォースとか、スターウォーズのフォースの力的な?」
「似てるけど違う。簡単に言うとバリアみたいなものだ」仁は廊下を早く歩く。華もそれに追いつけと歩く。
「しかもかなり強力なフォースフィールドだ。光すらシャットアウトするぐらいに」
仁はパソコン室の中へと入る。華もその中に。
「外を見てみろ、学校の外は真っ暗だ。まだ夜の7時半なのに」仁がカーテンを開けた。
「ほんとだ…建物がまったく見えない」
「しかもフォースフィールドが円形状になってるせいで学校に電気が回ってない。完全に外界と切り離されてる」
仁がパソコンの電源ボタンを連打する。しかしパソコンはつかない。
「ブレーカーは上がってる?」華が言った。
「もちろん、ほかのパソコンも調べてごらん」
華がほかのパソコンの電源ボタンを押すが、どれも反応はない。先生用のパソコンすらも。教室の電気をつけようとするが、それもつかない。
本当に電気が回っていないんだ。
「この学校、電気代はしっかり払ってるからな」仁が華の言おうとしたことを先に言う。
「そりゃそうだよね……ところで、扉が最初開いてたってことは…事務員さんがまだ居たはずだよね?」華が聞いた。
「事務員さんは既に死んだ。事務員室に入ったときから」
華はそれに口をあけて驚いた。
「ここは危険だ。早く脱出しないと」仁が扉を開ける。
「だけどフォースフィールド…?がかかってるんでしょ、出られない」
「普通の人間はね」
華の仁への疑いはさらに強くなっていく。この少年は何者なんだ…さっきのねじ回しと言い、やたら多い知識…
「ねぇ仁」彼に声をかけた。
「僕は仁じゃない」
「…え?」
華は驚いた。自分の名前を否定するとは。
「隅田仁はここに入り込むための偽名だ。別の偽名もあるんだけど、ここは日本だからね」
「じゃあ、あなたの…名前は?」
「僕はドクターだ」
ドクター…いきなり名前でもないそんなことを言われても、わけがわからない。
「ドクター…仁?そんなドラマ昔あったけどさ…」
「ドクター、それが僕の名前だ。それ以上でもそれ以下でもない」
「ドクターなんて、そんな名前あるわけないでしょ?キラキラネームでもそんな名前…」
「華って言われて、フラワーのほうを思い浮かべる。同じようなものだろ?」
彼はそういうと扉の外へ。
「一応そう呼ぶけど、あんたのことだから信じられない…」
ドクターと名乗った少年は扉を出て何かを見つめた。
「何?」華が彼の肩からそれを覗くと、そこには頭ババアが居た。華はキャッと声をあげた。
「やぁ、頭ババア、元気?」彼は怯えずに頭ババアに手を振った。
「何言ってるの!?早く逃げないと!」華は小声でうながした。
「それよりもまずは交渉だ。何が目的なのか」彼は落ち着いた様子だった。
「君は何者で、どこの星から来た?君みたいなエイリアンはまだ見たことがない。頭だけの種族なんて」
「エイリアン?」華が聞いた。
「静かに」
頭ババアはゆっくりと口を開いた。
「我々は着々とこの時を待っていた。10年もの間」
「10年間何をしてたんだ?人を誘拐したりして。実験か?」
「我々には人間の持つ“情報”が必要なのだ。彼らを使い我々は姿を得た」
「“姿を得た”?」
「あとはこの学校の人間すべてを利用し、我々は完全な存在となる」
頭ババアはその老けた口からゆっくりと言葉を発し続けた。
「完全な存在になってどうする?この星を滅ぼすか?」
「滅ぼすのではない、頂く」
ドクターは笑顔で華のほうを向いた。
「これは最悪のパターンだな」
「教えろ頭ババア。お前は“我々”と言った。仲間がいるのか?」
「その通りだ」
頭ババアがそう言うと、頭ババアの後ろから多数の頭ババアが現れた。
「おっと…」ドクターの顔から笑顔が消えた。
「華、また逃げるぞ」
そういうとドクターは華の手を握り、頭ババアとは反対の方向へ逃げる。
しかし、廊下のカーブから何体もの頭ババアが現れた。反対からも頭ババアが。挟み撃ちにされた。
「このままじゃ私たち、頭を取られて死ぬ…!」華は再び目に涙が浮かんだ。
「ああそうだ。2000年以上も生きてきたのに頭を取られて死ぬだなんて!」ドクターはソニックドライバーを頭ババアに向けていた。
「それでなんとかできないの!?」
「奴らが機械でできた頭ロボットならこれで壊せるが…何も反応がない。奴らはロボットじゃないみたいだ」こんな状況でも彼は笑っている。
「なんで笑ってるの?死ぬって時に!?」
「大丈夫さ。いつもこんな状況で運が味方してくれるんだ」
「そんなものに頼っていいの!?」
「ああもちろんだ。僕を信じて」
頭ババアは二人にだんだんと近づく。
「よし、頭ババア達、君たちはちょうどよく僕たちを囲んでくれた。僕は策もなしに囲まれたりしないからね」
頭ババアはうめきながらドクターを見る。
「ここから僕たちがどうやって助かるか。それはあと…」腕に着けていた腕時計を見た。
「1秒で分かる」
そう言うと、不思議なエンジンの音とともに、何かが華とドクターの周りに現れた。消えかけたり現れたりしながらそれは実体化した。
「なにこれ…?」
華は廊下ではなく、不思議な部屋にいた。薄暗く、壁中にはオレンジ色の光る丸い模様が。部屋の中心には青く光る円筒と操作盤。
「既に入り口には鍵をかけてある。核爆発にも耐えられるドアだから奴らは入れないよ」
ドクターは部屋の中心にある機械をなにやらいじっている。華はあまりの驚きに声が出ない。
「まずは学校の外に出よう。話はそれからだ。どこか掴まってて」
ドクターがそう言って機械のレバーを下げると、部屋が大きく揺れた。さっきこの部屋が出現したのと同じ音を発しながら。
華は揺れに耐えきれず倒れてしまった。すぐに近くの手すりに掴まる。
「仁!地震が!揺れてる!」
「心配ない!それに僕はもう仁じゃない」
揺れは数秒で収まり、音も消えた。
「さて、ようやく学校の外に出られたな」
「学校の外…?」
華は掴まりながら、青いドアへと向かうドクターを目で追う。姿勢を安定させ、彼女も外へ。
「ほら、星がしっかり見える」
ドクターのその発言を気にも留めず、華は今出たところを再び見た。
「このボックス…今日登校する時に見た…」
しかしそれよりも驚くことが。ボックスは中に比べて外が小さい。華はボックスの周りをまわりながらボックスをだんだんと叩く。
「どういうこと…?中のが外より広い…!」
「そのセリフが聞きたかった。これはターディス。TARDIS、Time And Relative Dimension In Space。要するに宇宙船かつタイムマシンなんだ。」
「タイムマシン!?」華は今日一番驚いた。
「今日の朝も遅刻しそうだったからこれで5分前に戻った」
「だから遅刻しなかったんだ…ズルい!」
「使えるものは使わないと。転校早々遅刻だなんて」
華はプクーッとほっぺを膨らませた。
「他に何か質問は?」
「どうしてこの…ターディスはそこに来たの?私たちを助けに?」
「既に指定した時間に、指定した座標軸に現れるよう設定しておいたんだ。挟まれること前提で。読み通りだ」
「あなたは…エイリアンがどうたらとか言ってたけど…エイリアンなの?2000歳?」
「その通りだ。僕はエイリアン。見た目は中学生だが2000歳よりちょっと上だ。」
「エイリアン…!?」華は驚いて後ろに転んだ。
「大丈夫だ。とって食ったりなんてしないから」
「それともう一つ、僕から質問がある」
華は驚いた。転校生がまさかエイリアンでしかも2000歳だなんて…しかしそれならあの知識に変人ぶりも納得できる。
「え?いいけど…」
ドクターは一呼吸してから言った。
「僕って日本人顔?」
「は?」変な質問についそんな声が出た。
「前はイギリス系の…女性だったから。客観的に見て日本人に見えるかどうか、そう思って」
「もちろん…日本人に見えるよ?中学生ぐらいで…男。わりといい顔してる」華はちょっと褒め言葉も付け加えた。
「中国人には?」
「見えない」
「韓国人?」
「どっからどう見ても日本人。顔のパーツとか」
「良かった。これで日本に居ても違和感はないな。アジア人って顔が薄くて違いがよく分からない」ドクターは自分の顔を指でさした。
「じゃあ、頭ババアだらけの学校から脱け出したことだし…私帰っても大丈夫かな?」華が宿題を手に不安そうな顔だった。
「悪いけど、君をこのまま帰させるわけにはいかない」
「どうして!?」
「アイツらは君の顔を覚えた。事務員さんが殺されたのは奴らを見たからだ。じきに奴らはフォースフィールドを解除するはずだ。そうすれば君と僕を殺しに来る。もし君が家に帰ったら頭ババアは君の家族を皆殺しにする」
ゾーッと背中が冷えた。
「そ、それでどうすればいいの!?」華は不安そうにドクターを見た。
「僕と一緒に事を解決するまで一緒にいることだ。たぶん死なない」
「たぶんて…」華はいまだ不安そうだ。
「まずはあいつらの根城を探そう。学校はただの拠点の一つだ」
ドクターはポケットから点滅する不思議なものを出した。確か教室で見たものだ。
「それ、教室で見た」
「これはインフォメーション・コネクタだ。各教室に一つずつ置いてあった。昼はステルス化して見えないが夜は見れる」
「何のために頭ババアはこれを?」
「人の頭脳に入り込み情報を引きずり出す。だけどこれは小型。一人から少しずつしか引きずり出せない」
「私の脳にも入ってた?」
「そうだ。でも別に頭がかゆくなったりはしない。」
「なんか気持ち悪い…」
「ターディスはあの学校が強い信号を発しているのを感じ取った。とてもこの時代の人類には発せない信号だ。僕はそれを追ってきた」
「学校に入学して潜入捜査?」
「その通り。昼間にやろうと思ったけど思ったより僕の人気が高くて。人気者は大変なんだ」
華はそれを聞いて少しムカッとした。
「だけどその強い信号はこのインフォメーション・コネクタからじゃなかった。これは中継器でどこかに信号の発信元があるはず」
ドクターはソニックドライバーを出してインフォメーションコネクタに向けた。
「どうやらそれは学校の外にあるみたいだな…」
ドクターがドライバーを向けた先は、華が朝遅刻した原因でもある工事現場だった。
「あそこだ。行くぞ」
ドクターは走って工事現場に向かった。華も合わせて走った。
「この前の金曜までは工事してなかったの」華がドクターに言った。
「日本の工事は気づけばやってるからな。信号が強くなったのは工事が始まってからだ」
ドクターは悪びれる様子もなく工事現場の中へと入っていく。もちろん工事現場の人に捕まってしまった。
「ごめん、子供は入らないでね」
ドクターはポケットから今度は不思議な手帳のようなものを取り出す。
「違法な工事じゃないかどうか調査しに来たんだ。見せてくれないか?」
「中学生が?そんな話…」工事現場の人は信じていないようだった。
「じゃ、これでどうかな?」ドクターはソニックスクリュードライバーを彼に向けた。すると突然作業員の頭から火花を出して倒れた。
「ちょっと!?殺したの!?」
ドクターは他の作業員にもドライバーを向けた。同じように頭から火花を出して倒れた。
「さすがにこれはやりすぎでしょ!?ねぇ!」華はドクターを叩いた。
「ただの人間は火花なんて出さない」ドクターは作業員の頭を引っこ抜いた。肉ではなく、それは機械だった。
「ロボットだよ。頭ババアたちが仕込んでたんだ」ドクターは取った頭を華に渡した。
「うわぁっ!気持ち悪ッ!」すぐにそれを放り投げた。
ドクターは工事していたところの下へと降りた。そしてドライバーを下に向ける。
「この下だ。ここに…ハッチがある」ドクターは土の中からハンドルのようなものを見つけ、それを回して開いた。
「何それ?」
「宇宙船、10年前に墜落した」そのままドクターはその中へと入っていく。華もそれについていく。
はしごから降り、宇宙船の中へ。中は真っ暗だったが、ドクターがドライバーを使って明かりをつけた。
「それってねじ回しじゃないの?」
「機械も操れるって言っただろ?」
中には巨大な機械があった。キーボードが搭載されており、ドクターはそれに向かった。華はもはやこの程度のことにすら驚かなくなっていた。
どうみても普通の光景ではないのに…自分が少し恐ろしくなってきた。
「情報を見せてくれ。頭ババア達は何者だ?」
ドクターはまたドライバーをその機械に向ける。華はそれを少し見た後、機械の隣にあった白い扉を開き、その中に入った。
その中は薄明かりに照らされていて、ベッドのようなものに誰かが横たわっていた。華はちょっとした好奇心からそれに近づいた。まさか行方不明だった人…
すると突然明かりがつき、ベッドの人物もはっきりと分かった。
「キャアアッ!」
その人物は既にミイラ化していた。体は茶色に変色し、白い骨がところどころから見られた。しかも周りには何十人も同じような死体が。
「情報をすべて抜き取られたんだ。細胞一つ一つの遺伝子から水分まで。人間が持つあらゆる情報を」
ドクターが扉の前に立っていた。
「電気点けるなら言ってよ…」華は深いため息をついた。
「奴らの正体が分かった。ちょっとこっちに来てくれ」
ドクターの言うままに華はついていった。場所はさっきの機械。そこにあったディスプレイには赤い光を発する球体が映っていた。
「頭ババアの正体はグレイヴってエイリアンだ。惑星カギラギダから来た」
「頭だけのエイリアンなの?」
「厳密には違う。この赤い光る球がやつらの正体だ。奴らには肉体がない。精神体だ」
「精神体…?」
「奴らの星は既に滅びた。宇宙規模の大きな戦争で。彼らにはかつて肉体はあったが戦争で生き残るために精神体へと姿を変えた。だけど生き残りはわずか数十万だったみたいだ。」
「それでも結構な数…でもどうして頭ババアの姿に?地球をどうやって侵略しようと…」
ドクターは画面から目を離し、華のほうを見つめて歩き出した。
「奴らは生命体の脳内にあるイメージから自らの肉体を作り出す。10年前の頭がない死体の事件。あれはやつらが奪ったんだ。そして脳内の情報を分析した。それから10年にわたり人間を誘拐しながら情報を更新していった。そして数もだんだんと増やしていった」
ドクターは深くためいきをつく。
「あの事件から頭ババアの怪談話が広まった。奴らにとって多くの人間が共通の生物を思い浮かべるのは都合が良い。一人の人間から一人の人間に化けるよりもはるかに楽だからな。あの姿は活動用だ。頭ババアに設定が肉付けされるのと同時に奴らもそれに合わせた形になる。より凶暴になっていく。」
頭ババアは怪談話をもとにグレイヴが化けた存在。お化けではなくて少し安心したが、脅威なのに変わりはないのにがっくしした。
「どうしてグレイヴは…いきなり動き出したの?どうして工事を始めたの?」
「10年間にも及ぶ情報の収集がようやく数日前に終わったんだ。おそらく本格的な侵攻を始めようとしている。宇宙船に残る数多くの仲間を解放してあの学校に集まらせる。」
「どうして学校に?」
「明日の朝には何がある?」ドクターが聞いた。
「朝?全校朝会かな…」
「全校朝会は学校中の生徒が集まる。そこで何百人分もの情報を搾取して完全な存在になり、実体化した奴らは人類に攻撃を始めるだろうな」
「なら、なんとかして止めないと!」
突然の人類滅亡の危機。いまいち実感は湧かなかったが、ここまでで見たありえない体験からそれを信じるほかはなかった。
華がドクターを見つめていると、突然ドクターの顔が青ざめた。
「どうしたの?」
ドクターは深い呼吸を一つ置いてから口を開いた。
「あー…ここは奴らの宇宙船なんだ。つまり住処。そこにいきなり突撃しちゃったな…」
何を言ってるかよく分からなかった。ドクターが華の後ろに指をさしたので、後ろを振り向いた。
白交じりの黒髪に白目。その姿は頭ババアだった。
ドクターは華の前に防ぐように立った。頭ババアは学校で見たよりも数が多かった。
「華、君はいったん外に出てて」
「どうして?一緒に逃げないと!」華はドクターの腕を握る。
「奴らと話してからすぐに向かう。君はターディスに戻ってて」
ドクターは華の背中を押し、はしごから上るようにアイコンタクトをした。華は言われて通りはしごを上り、ターディスへと向かった。
「さて、お前らはグレイヴだな?この10年間ずっと人々の脳内から情報を奪い続けてきた。」
「その通りだ」頭ババアはかすれた声で返事した。
「そして本格的な侵攻を明日から始める。そうだろ?」
「その通りだ」
ドクターは再び小さなため息を吐いた。
「お前らは知ってるんだろう?僕のことを。でなきゃフォースフィールドなんて張らない」
「貴様は危険な存在だ。我々を嗅ぎつけた。だから閉じ込めようとした」
「なるほど、やっぱり思った通りだ。僕の情報を調べろ」
頭ババアの集団が装置を起動し、ドクターに不思議な光を当てる。ドクターは頭ババアを見つめて声をあげた。
「僕はドクターだ。僕の脳内からあらゆる情報を調べるんだ」
ディスプレイにドクターの脳内情報が表示される。鋼鉄の兵士、人々を殺戮していく金色の機械のような生命体。顔を覆う天使像。オレンジ色に光るどろどろとした生命体。
「そいつらはどうなった?誰によって倒された?」
ディスプレイにはあらゆるエイリアンが表示され、それらが倒れていく映像が流れていく。頭ババアはそれをただ眺め続けた。
「惑星ガリフレイ出身のタイムロード。迫りくる嵐。それが僕だ」
ドクターは彼らのもとへ歩み寄り、こう言った。
「早くこの星から出ていけ。出ていけば見逃してやるさ」
ドクターは自信があるという顔をして頭ババアに言い寄った。
「もし断れば?」頭ババアはにやりと笑った。ドクターの顔から余裕がなくなった。
「覚悟するんだな」
ドクターはそう言うとはしごに向かって駆け、宇宙船の外へと出た。
隅田仁はドクターのよく使う偽名、ジョン・スミスの日本版です。
ジョン・スミス→すみす・じょん→すみだ・じん→隅田仁 というわけなのです。
大体二文字違うでしょうか。