果たして戦争用ターディスを撃破することはできるのか!?
秋晴れ。
空にはポツポツと雲が漂っているが、それらは太陽の光を遮らない。
2学期の終わり、終業式が近づく季節にしては、明るいほどの明るさだ。
「光輝ー! おはよー!」
「あ、ああ。おはよう……」
まるで太陽の如く、今日は特に明るいアキが、彼の背中を強く叩く。
「どうしたの? 朝から元気無いね」
対照的に、光輝の方は全く暗い顔だ。
「元気無いっていうか、なんというか不思議で」
「不思議? 不思議なことって言えば、仁が最近不登校ってことぐらいかな」
「それはもちろんそうなんだけどさ……、最近おかしいんだよ」
「おかしいって?」
「何もかもだ」
光輝の顔は、ただ暗い表情をしているわけではない。今日は誰誰と会えないだとか、授業が憂鬱だとか、そんな悩みを持っているが故の暗さではない。そんなことより上の、不自然さへの嫌悪感。それを感じた。
「どうして誰も気づかないんだ? あれから2週間も経ってるのに! 俺以外全く気にしない!」
「今日こそ、今日こそ俺は!」
光輝はそう叫んだ後に校舎の中へと入っていく。
「あっちょっと光輝! 何するっていうの!?」
下駄箱で内履きに履き替え、校舎の中を駆け回る。
「なんでどこにもいないんだ! 一体全体どうなってる!?」
隣のクラスも、そのまた隣のクラスにも、彼女の名前が記された机も椅子も無い。
職員室の扉を開け、彼女の担任のデスクの中を荒らすように探し回る。
「ちょっと小鳥遊くん! 急に先生のところにきて何を…」
「無いんです!無いんですよ先生!アイツが居たって事が!」
光輝はクラス表を見せつける。
そこに書かれていたのは、皆城アキ、隅田仁など……
「これがどうしたの? 何の変哲もない名簿表でしょ?」
「よく見てください!アキの前にもう一人いるはずなんです!“三崎華”が!」
確かに書かれている名簿表には、三崎華の名前は無かった。まるで最初から無かったかのように。
「小鳥遊くん、そんな子はうちのクラスに居ないわ、転校したわけでもない。最初から居ないわ」
光輝には、その言葉が信じられなかった。みんなグルで嘘をついているに違いない。話を聞く度に視界がぐわんぐわんと歪むような感覚に陥る。めまいというのだろうか。信じられないことを目にするとこうなのだろうか?
「なぁ、なぁアキ! お前なら分かるだろ!? 一緒に江ノ島でテラワームに襲われてさ、その時華も一緒に!」
「光輝疲れてるんじゃない? 今日はもう家帰って休んだら?」
「なぁ、覚えてるだろ? アイツと一番の友達だったじゃないか!」
「知らない人とどう一番の友達になるのよ。確かにテラワームに襲われたのは、本当だけど」
「華が居なかったら終わってた! 最後テラワームを全滅させられなかった! そうだろ?」
「さっきから、その華って子、誰?」
うっ、と胸に冷たいものが込みあがる感じがした。確かにあのアキなのに、華の事を知らない。それも全くだ。
テラワームの事は覚えている。あれほどの衝撃的な事件を忘れるわけがない。
「あの変な虫はドクターと、私たちが頑張って倒したはずでしょ? 何かおかしい?」
「そこがおかしいわけじゃないんだ、しっかり倒した。華が連れてきた、ドクターが……そうか、ドクター!」
彼の存在を思い出し、光輝はアキに詰め寄る。
「ドクターのことは!? ドクターのことなら覚えてるだろ!?」
「も、もちろん……でも、仁くん最近学校に来ないし、私には他は何も……」
光輝は彼女の肩から手を離した。まだみんなドクターのことは覚えている。なのに、どうして華のことだけ誰もかれもが忘れている?
家にだって行った、知ってる華の家族だった。だが、そこに華の姿だけが無かった。
想い出のアルバムにも、スマホに残った彼女の写真も、全てが消えている。
手がかりはただ一つ。
「ドクターだ、ドクター……どこだドクタァーッ!!」
叫ぶ彼の前に、クラスの担任が塞がる。
「落ち着いて小鳥遊くん! 隅田くんもあれから2週間来てないんだよ!」
「一緒に消えたならアイツの名前だって消えるはず! なのに消えてない!アイツが何かやったんだ華に!」
「もし仁くんを探すとして、当てはあるの?」
「そんなもの、無いけど……とにかく探すしかないだろ!」
そう言って、光輝は再び校舎を駆け回る。
「朝のホームルームもうすぐ始まるっていうのに」
ドクターと華の間に何かあったなら、すぐにここを出て行ってもいいのに、何故在籍してる?
なら、この学校のどこかに……
あった!
裏校庭の端っこに、ひっそりとあの青い箱が立っている。一切の音も立てず、そこに鎮座しているように。
なぜ2週間も誰も気づかなかったのだろうか。確かに先生も生徒もこの裏校庭を使うことはあまり無いものの、見回りか何かで分かるはずだ。
「不思議だと思ってるね、どうしてこれが気付かれないのか」
その箱の扉が開き、中から彼が現れた。
「ターディスは確かに珍しいし、時代錯誤、というか国錯誤な見た目だ。だが人間はそんなものを見ても気にはしない。ただの置物だろうと、そう思うだけだ」
「ドクター…!」
しかしドクターが見せてくるのは、悲しそうな目だけ。
「2週間も何してた!」
「やることが、無くなっちゃってさ。今の僕は物凄い喪失感に悩まされてるんだ。そんな状況で学校なんて行ったって何も面白くないから」
「喪失感……?」
2週間も逃げていたはずのドクターが、ここまで物悲しい姿になっているとは。
髪もぼさぼさ、服からは異臭がする。
「あれから、あちこちの時代に行って気分転換を図ろうとしたんだけど、無理だった。メデューサの滝を見ても、ミッドナイトの美しい星空も、ただ綺麗なだけ」
彼からいつも滲み出ている、明るい元気さは完全に鳴りを潜めている。
「だから僕は引退しようと思うんだ。君は覚えてないかもしれないが、彼女を助けられなかったんだ。そんな僕にドクターなんて、崇高な名前を名乗る資格はない……!」
そう言って、ターディスを強く叩く。その痛みを感じられるほど、彼に余裕はないようだ。
ターディスもまた、彼の怒りをただ受け流しているだけのようだ。怒る素振りは見せない。
「一体何があったんだよ、ドクターと華に」
「僕があんな判断しなければ。そうすれば彼女はまだここに居たのに」
その場に座り込み、俯くようにして小さく泣いている。
「教えてほしいんだ、どうして華はどこにもいない?」
「少し前のことだ、戦争用のターディスが現れ、そして―――」
ターディスから出たドクターと華は、敵船、戦争用ターディスに今乗り込もうとしていた。
「それで、今回の作戦って?」
「単純だ、操作室にこのソニックドライバーを挿すだけ! だがその前にアバターたちが邪魔をしてくるはずだ、君は僕を護衛してくれ!」
「了解!」
華はさきほどから使っている燃やした孫の手を持ち、敵船の扉を開く。
「さぁ! どっからでもかかって……えぇ」
驚くほど何も待ち受けていなかった。アバターも武器も何も作動していない。
「まさか諦めたとか? だったら早くやっちゃおうよ!」
楽観的な華とは逆に、ドクターはこの様子に冷や汗をかいている。
「これはどう見ても罠だろう。こちらから攻撃してくるのを分かってるはずだ」
「今はいないだけかも、早く! 今のうちに!」
「とりあえず、そうだな……」
目の前にある操作盤に、ドクターはソニックドライバーを挿す。
「これであとはインストールが完了するまで待つだけ……」
だが、罠という見立ては当たっていた。
地面が操作盤と共に二つに割れ、反対側で警戒していた華と分断されてしまった。
「ドクター! これ、どうなってるの!?」
「ターディスは自在に中身を操作できるんだ! 心配するな、すぐそっちに行く!」
ドクターはソニックドライバーを抜き、あちら側の方の床へソニックを向ける。
「中ならこれで操作できるはずだ……ッ!」
分断された足場は一つに戻り、なんとか二人は合流できた。
「大丈夫か!?」
「ええ、なんとか」
「武器システムならソニックで無効化できるが、アバターまでは消せない」
安心したのもつかの間、次々と操作室へウディークの姿をしたアバター達が迫って来る。
「ヤツらの相手は君に任せた、僕はこっちを!」
そう言うとドクターは操作盤に再びソニックを挿し、インストールを再開する。
「分かった、にしても数が多い!」
華は必死に燃えている孫の手を彼らに向けて振り回す。当たれば消えるが、それに怯えて逃げるということはない。
所詮彼らは単なるアバター。個々に意思があるのではない。その大本は今乗り込んでいるこのターディスなのだ。
数も減ることはなく、無表情でこちらに迫って来る。その勢いはだんだんと増していく。
「ドクター! このままじゃ耐えられなくなる!」
「もう少し待ってくれ、あと少しなんだ!」
モニターに映し出された進行状況は、現在78%となっている。
「お前は破滅しかもたらさない」
「私を破壊して何になる?」
アバター達は、一体ずつドクターにそう語り続ける。
「宇宙を、人々を守るためだ」
「守る? この宇宙で最も命を奪っている存在がよくそんなことを言える。タイムウォーも、ダーレクとタイムロードを滅ぼしたのはお前だというのに」
「僕はタイムロードを殺してない。逃がしただけだ」
「結果的に殺したようなものだ。それだけじゃない、お前は地球にいくつもの厄災を持ち込んだ」
アバター達は口を開く度に増えていき、ついには華を殴り飛ばした。
「お前さえいなければ、俺はこうして目覚めることも無かった。お前さえいなければこの星は狙われることも無かった。お前はその尊大さ故に多くの命を危険に晒したのだ」
「お前が僕をここに呼んだんだろう!? 感謝はされど責められる理由は無い!」
「だからこそ俺はお前に感謝している」
アバターの一体が、華の首に手を伸ばす。
「この手で俺は、宇宙一の戦争を起こすことができる!」
「華!」
華の首を掴んだアバターに、ドクターは体当たりをかます。その手から離れた華は勢いで操作盤に頭をぶつける。
「華、華しっかりしろ!」
「お前には止められない。俺はタイムロードの技術の粋を集めたこの世で最も偉大なターディスだ」
「認めよう、僕は尊大だ。だがそれ以上にお前は尊大で愚かだ。お前を直接滅ぼすのは僕だが、その原因はお前自身だ」
ターディス全体に大きな警報音が響き渡る。モニターには、進行状況100%と映されている。
「だが、俺はお前以上に賢い」
「果たしてその通りかな? この警報音はなんだ? おーっと、このターディスが爆破されるから逃げろって合図だ」
そう言って、ドクターは華を抱えて歩き出す。
「お前も早く逃げたほうがいい。おっと、お前は爆発するこれ自身だったな。逃げられようがない」
「果たして、そうかな?」
ターディスのアバターは、余裕そうな表情を崩さない。
「最期まで偉そうだったことは記憶しておいてやろう」
にらみ合う二人を前に、抱えられた華は意識を取り戻し、ドクターの胸を小さく叩く。
「大丈夫、私歩けるから」
「もうすぐここは終わる、一緒に逃げるぞ」
ドクターは華を立たし、その手を握って走り出す。
「すべてはお前のせいだドクター。私を求めて多くの者が破滅したのも、お前自身の大切な人が死ぬのも」
そう遺し、アバターは二人の前から消え去った。
「ねぇ、あれってどういう意味?」
「ただの捨てセリフさ、気にしなくていい。さぁ行くぞ!」
二人はその言葉と共に走り出す。
ターディス中から鳴り響く警報音。しかし二人は気にしない。いつものように敵を倒し、そして逃げる。
ヴォルテックスエネルギーが暴走している影響か、あちらこちらから煙が噴き出し燃え盛っている。二人はそれらをかわし、前へと進み続ける。
「もうすぐ出口だ!」
手を繋ぐ二人はそのままここから抜け出し、いつものターディスへと帰る。
はずだった。
「ドクター!」
ドクターが出口の扉から出た瞬間―――華の手が彼の手から離れた。
華の足を何者かが掴んでいる。
それは間違いなくターディスのアバター。それもあの少女の姿をしている。
気付くなり、すぐにドクターは引きずり込まれそうになった彼女の手を握り、必死にこちらへ引っ張ろうとする。だが相手側の力は想像以上に強い。
早くしなければ、あちらのターディスが爆破してしまう。
「痛い……っ! 痛いよ……」
両方から強く引っ張られる華は、苦悶の表情を浮かべる。
アバターはそれを見て微かに笑っている。
「我慢するんだ! 今すぐこっちへ!!」
ドクターは負けじと必死に華を引っ張るが、力は拮抗している。こんなところで見捨てるわけにはいかない。華もそれを分かっている。痛さをこらえて必死にドクターの手を自分から握る。
「うああああーっ!」
叫びながら、必死に力を込める。
しかし、それは突然に終わった。
ターディスがドクターのことを引っ張り、中へと引きずり込んだのだ。そのために、ドクターの手から華は消える。
「何をするんだ!? 僕を守るつもりか!?」
中心にあるターディスの円柱に向かい、ドクターは怒鳴るように叫ぶ。
「すぐにあのターディスに乗りこむんだ! だから……」
しかし、ターディスはドクターの言うことを聞かない。
円柱の中から、あのターディスのエンジンの音が聞こえる。
「ダメだ! 華を見捨てて逃げるわけにはいかない! 彼女が死ぬなら僕も死ぬ! やめろ!」
だがターディスはそこから立ち去るのをやめようとはしない。ドクターは必死に操作盤を操作し抵抗するが、 ターディス自身の意志を曲げることができない。
「なら僕だけでも行く!」
ドクターは扉を開き、そこから戦争用ターディスに乗り込もうとするが、既に遠ざかっている。
「華ーーーっ!」
遠くに見える古い電話ボックスの姿をしたターディスは、眩い光を放ちながら、ターディスのフォースフィールドを超えてドクターを操作盤まで吹き飛ばすほどの爆風、そしてタイムロードの鏡という空間と共に消え去った。
青い箱は、その場からゆっくりと消え去っていく。
その話を聞いた光輝は、口を開いて唖然としていた。
「彼女はターディスの爆破に巻き込まれた。ターディスの持つヴォルテックスエネルギーは時間や空間すら消し去るほどに強力なものだ。その炸裂と共に、華は存在ごとこの世界から消えたんだ」
「どういう……どういう事なんだよ! 華が死んだって! お前がついていながらどうして……!」
光輝は彼の胸倉をつかんで大声で怒鳴る。その声に、校舎の生徒たち、先生たちは驚いていた。
「ターディスが僕を守ろうとしたんだ! 敵のターディスは爆破間近、華はもう助からない、それに気づいて僕だけでも助けようとしたんだ」
「そんな言い訳で俺が納得すると思ってんのかよ!」
「思ってないさ! 僕は彼女が死ぬんだったら一緒に死ぬつもりだった! だけどターディスはそれを認めてくれなかった。抗議だってしたさ! でも……それしかできなかったんだ」
光輝は落ち着きを取り戻し、その場にへたれこむ。
「華を助ける方法は……無いのか?」
「―――あるならやってるさ」
「ソータとか、テラワームを倒した時みたいにさ! ありえない方法で助ける理由があるんだろ!? 思いついてくれよ!」
「だからそれが無いんだ! いつだって常に救えるわけじゃない! ソータの時だってテラワームだって、全員救えたわけじゃない!」
「じゃあ……一体お前はその後何してたんだよ、学校にも行かないで」
ドクターは、涙目でその場に座り込む。
「何をすればいいか、分からなかったんだ」
ゆっくりながらも、ドクターは話を続ける。
「華を失った。ならばもう僕はわざわざここに残る理由はない。だからといって、彼女がいたここから離れようとも思えなかった。そうしてる間に2週間も時間が経ってた」
「どうしてすぐに話してくれなかったんだよ」
「こんなことを話してどうなる? 君たちはもう誰も華のことなんて覚えてない。言ったってわからない顔をするだけで終わりさ。もう覚えてるのは僕だけ」
「……」
ドクターは、光輝に手を載せながら立ち上がり、ターディスの扉に手をかける。
「いいんだ、もう僕の事は忘れてくれ。決心がついたよ。ここから消える。旅だってもうしない。アイツの言った通りだ、僕は破滅しかもたらさない」
「おい、まだ話が……」
「覚えていないだけ君たちはラッキーだ。辛いことも覚えていない」
そう最後に残して、ターディスの中へと彼は消えていく―――
「待て、なんで君は華のことを覚えてる?」
ドクターはターディスから顔を出し、光輝の体中を舐め回すように見つめる。
「だから、そのことが不思議でドクターのことを探してたんだよ。誰も華を覚えてない理由は、今の説明で分かったけど」
「そうだ、華はヴォルテックスエネルギーの暴走で存在ごと消えたんだ。だというのに何故君は覚えてる? 君だって例外じゃないはずだ」
ソニックドライバーを取り出し、光輝の体中を調べる。
「ついているのは微量のヴォイド粒子とヴォルテックスエネルギーだけ……これだけじゃあ彼女の事を忘れない理由にはならないはずだ。となると……」
「一体何なんだよ? 俺の何が特別で」
「そうか! そうだ! 君は華の事が好きなんだ!」
突然の言葉に、光輝はドクターの口を押えて周りに誰もいないかを確認する。
「ま、待てよ! いきなり大声で言うなよ! みんなに聞かれたらどうすんだよ!!」
「誰も華の事は覚えてないからノーダメージだろ。それよりも大事なことがある! 君は華のことが好きなんだ、 それは何よりも想いが強いということだ、他の人たち以上に!」
「そのことが、俺が華のことを覚えてる理由になるのか?」
「なるさ、愛は何よりも強い力だ! この宇宙でたくさん見てきた、どんなものよりも愛が強いってことを!」
ドクターは先ほどまでとは人が変わったかのようにはしゃぎまわっている。
「愛って、そんな非科学的なものをお前が信じてるだなんて」
「いいや、れっきとした理由があるさ。人間は心というか精神の奥の奥の深いところで繋がってる。宇宙じゃ常識さ」
「ともかく、俺が華を覚えてるだけでどうしてそんな喜んでるんだよ、華はもう帰ってこないっていうのに」
はしゃぐドクターとは対照的に、光輝はいまだに落ち込んでいる。
「覚えてるってことは彼女はまだ完全にこの宇宙から消えてないってことさ! 彼女を救えるってことだ!」
「救えるって……華を!?」
「ファンタスティック! 彼女を救う鍵は君だ、さぁ、華を取り戻しに行くぞ!」
そう言ってドクターは半ば強引に光輝の手を掴み、そのままターディスへと乗り込んだのだった。
「僕はいままで、みなさんと一緒にいられて幸せでした」
「時にはぶつかったり、時には協力したり。ありふれた日常でありながらも、尊く大切な時を過ごすことができました」
「転校生である僕のことを受け入れてくれて、そして何よりも愛してくれたことを心から感謝しています」
「僕はこれから遠い所へ行ってしまいますが、寂しくなった時はみなさんの事を思い出そうと思います。一緒に運動会で頑張ったことを、一緒に小旅行で出かけたことを」
「決してみなさんと一緒にいた時間を忘れはしません」
「みなさん、さようなら。そしてありがとうございました」
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