DOCTOR WHO 青い箱の中の少年   作:ナマリ

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ヴァシュタ・ナラーダって怖いですね。夜寝るとき電気消して寝れなくなってしまう。
いずれこのシリーズでも出そうかな…なんて検討している最中です。


第二話 SPACE TRASH 〈宇宙のゴミ〉 PART2

 

「それじゃあ次は市場だ。居住するには何が必要か?それは植物と食物だ」

華の手を握りながら部屋を出ていく。華はわくわくしている。

「どうして植物が必要なの?」

「酸素を作り出すのは植物だ。酸素がなけりゃ人間は死ぬ。巨大な植物園もここには存在するんだ。野菜だって栽培してるし、牛もいる!」

「じゃあステーキとかも売ってる?」

「もちろん。マクドナルドだってあるし、ケンタッキーもある」ドクターはそう言って廊下を進んでいく。そこは天井高く、広い空間にいくつもの屋台が並んでいる。

「これはお小遣いだ」ドクターがポケットから財布を手渡す。

「200年後も日本円なんだ」ドクターから渡された財布の中身をあさりながら言う。

「この時代の日本円は少し違う。10円玉は平等院鳳凰堂から国会議事堂になってる。」

「どうして国会議事堂?」華は少し疑問に感じた。

「2100年に国会は新国会議事堂に移った。それからは10円玉が国会議事堂なんだ」ドクターは巧みに説明をする。

「私だったら東京タワーにするのに」

「東京タワーは2080年に取り壊された」

「本当!?」それを聞いてとても驚く。

「跡地にアニメやゲームのテーマパークが作られた」

「それなら…別にいいや」それを聞いて安心した。

「いいか?東京タワーのフォルムは好きだったから悲しいな」ドクターがつぶやく。

華はドクターから未来の話などを聞いて楽しんでいた。今まで友達と話していた話題とは全く違う、新鮮な感じだった。時折自分でもついていけない話題になることもあるが、

ドクターのその喋り方やジェスチャーはとてもその若い見た目からは考えられない。本当に喋りが上手いねと言ってみると、「2000年も生きてれば嫌でも上手くなる」と言っていた。

二人の歩く市場は多くの人々が商品を吟味していた。華とドクターも200年前からあるものから、この時代に生まれた新たな製品を見たり、いじったりしていた。

「この時代にも花屋はあるんだ」

華が一つの店に目を留める。幣原生花店と書かれているそのお店にはたくさんの綺麗な花が飾られていた。華はそのお店の中へと入っていく。

「花が好きなのか?名前通りなんだな」

「好きなのは悪い?」

「まさか。とても素敵なことだと思うさ」ドクターが一本の花を見つめながら言う。その花は美しい赤色の花びらをつけている。

「私が一番好きな花だ」華もそれを見つめる。

「……ああ、僕も一番好きな花だ」一本それをつまむ。

「私のお父さんがね、お母さんにプロポーズした時にその花をプレゼントしたんだ。今は押し花でしおりになってる」

「バラの花か…」ドクターは哀愁の目つきをしている。

「英語だとローズ。私と好きな花が一緒なんだね」

「昔、ローズって名前の友達が居たんだ」ドクターはその花をずっと見つめている。無意識に、その花に吸い込まれていくように。

「その人は今どこに?」華が聞く。

「会えないほど遠いところに。」

ドクターはバラの花を戻した。

「お買いになられないんですか?」奥から店員が現れた。

「いや、そういうわけじゃ…華、どうする?」

「部屋に飾ろうよ。薔薇の花5本ください」華は財布から500円玉を取り出す。

「どうして5本なんだ?」ドクターが華の持つ花束を見つめて言う。

「知らないの?バラは本数によって花言葉が変わるの。花言葉は「出会えたことの喜び」…なんだって」華が笑顔を向ける。

「似合わずロマンチストなんだな」

「あなたも少しはロマンチストになってみたら?」華は花束を持って店を出る。

 

 

エンジン第7セクターブロックに、一人の男が懐中電灯とタブレットを持ってやってきた。

「燃料は既にすべて送ったはずだ。なのにどうして残量が残り28%なんだ?」

男がタブレットのようなものをいじりながら言う。エンジン室はまったく電気が点いておらず、真っ暗だ。

「ここが真っ暗になるぐらい電気の消費が激しいのか?困ったお客たちだ」

男が歩き続けると、さきほど別の男が小惑星のかけらを持ち出した小さな扉の前に。

「まったく、送った燃料を使ってないじゃねぇか」

小惑星のかけらは何度もその部屋に送られていた。その数は10ほど。そのうち9つは小部屋に置かれたままだった。

「既に30分は経ったぞ?何やってんだここの担当は…」

しばらく男が歩く。すると何かにつまづいてしまった。何につまずいたんだ?と思いそれに電灯を当てた。

「うおおっ!?」

それは白骨化した男の遺体だった。肉はほとんど見当たらない。

「何が起きたんだ…?」懐中電灯で遺体を照らし続ける。すると突然その白い骨が音を立てて崩れ始めた。

それはただの崩れ方ではなかった。“食われ”ている。骨が食われている。遺体の衣服も現在進行形で食われている。

「おいおい、なんだよこれ…?」

それを食っていたのは白い、3センチほどの小さな虫だった。

「なんで虫が…?ここの外は宇宙だぞ…?」男が電灯で今度は天井を照らす。するとそこには何千、何万匹もの虫が居た。しかも船を喰らっている。

「ひぃっ…!?」男が逃げようと右足を動かそうとする。しかし右足には何百匹もの白い虫が這っていた。

「うわぁっ!?離れろ!離れろ!」手で振り落とそうとしても無駄だった。喰らうたびに数が増えていく。一匹が二匹に、三匹が六匹に。

「誰かぁぁ!誰かぁぁ!」男の体は次第に白い虫に覆われた。タブレットと懐中電灯は手から滑り落ち、地面にたたきつけられた。そのタブレットと懐中電灯に白い虫が這い、それをも喰らった。

 

 

ドクターと華は既に部屋に戻っていた。華はさっき買った薔薇の花を飾る場所を探していた。ドクターはというと部屋のベッドで寝転がって変な機械をいじっていた。

「えーと、ここがいいかな?でもやっぱりこっちのほうが…」

部屋を歩き回りながら飾る場所を探す。数分間考えた後、置く場所をついに決めた。

「ここでいいかな」

その場所は窓のそば。宇宙を背景に薔薇の入った花瓶を置く。

「ねぇ、ここにはどのぐらいいるの?」

「君が帰りたいならいつでも。さっきの市場とこの船を見せたかったんだ」ドクターが機械をいじりながら答える。

「もし帰ったら、花の世話は誰が?」この花が枯れてしまわないか心配だった。

「あー、それなら問題はない」いじっていた機械を置いて華のそばまで歩いてきた。

「200年後の薔薇は品種改良が進んでる。1年は水をやらなくても枯れないんだ」

「それじゃあ1年後に水をあげにこないと」華が言った。

「そうだな。次来るときは1年後に調整して来よう」ドクターはベッドに戻り、座りながら再び機械をいじりだす。

華は赤と青に光る、ドクターのいじっている機械を見た。ピコピコと音を鳴らしながら、羽のようなものが回転している。

「それって何の機械?」

「信号を追う機械だ」

「信号?」

「僕が君の学校に来たのは、学校から強い信号が発されてるからだと言ったよな?」

「うん」華はうなずいた。彼が学校に転校してきたのは、グレイヴが宇宙船から発していた謎の信号を追ってきたから。その信号の正体は人の脳内から情報を引き出すものだと分かったはず。

「だけどその信号の裏にまた別の信号があったんだ」

「別の…信号?」

「とても微弱なんだ。でも範囲が広い。グレイヴの発していた信号は確かに強いものだったが宇宙の果てまで届かないものだ」

「だけど裏にあった信号は宇宙の隅々まで届いてる」機械はいまだピコピコとなり続ける。

「時空をも超えて。ここからでも信号が観測できる。その証拠にこいつが反応してる」

「その信号はどこから?」華は前かがみになってドクターの横へ。

「微弱すぎて追跡できない。もっと時間をかけて解析しないと」ドクターが立ち上がる。それと同時に、部屋の電気がすこし消えかけた。

「なんだろう?」華が消えかけた電灯を見て言った。

「さぁ?電気が切れかけるなんてどこにでもある。せっかく宇宙船まで来たんだ。宇宙船らしいところを見に行こう」

「宇宙船らしいところって?」

「エンジンだ」

そう言ってドクターは機械をベッドに置いて部屋の扉を開けた。再び白い廊下を歩いていく。今度は市場とは逆の方向だ。

「宇宙船にエンジンが?」

「この宇宙船は地球と近い。それに数万人は乗ってるから重い。エンジンで発電して明かりをつけるし、地球との間を維持してる。エンジンが動かないと停電して地球に落っこちる。電気が切れかけるなんておかしいな」

「どうして?」

「この時代の船は精密にできてる。このようなトラブルはあり得ないんだ」

「怖い…この船のエンジンは日本製かな?」

「エンジンと言えば日本製だ。安心安全の。トラブルが絶対起きないとは限らないけど」

 

 

二人はそのまま船の奥へ。しかし進む途中で異変が起きた。船の中のライトが点滅を始めたのだ。

「さっきエンジンで発電して明かりを点けるって?」

「絶対トラブルが起きないとは限らない」

そう言って二人は進んでいく。途中で見た人々も点滅する明かりを不審に思った。

「エンジン室で何かが起きたんだろう。間違って燃料を入れるところに人を入れたとか、上手く発電できてないとか」

明かりもだんだん暗くなっていく。

「ねぇ、戻ったら?」

「エンジンの様子が気になる」そう言ってドクターはさらに奥へ。

数十メートル進むと、そこには扉が一つ。そこには「エンジン第7セクターブロック」と。

「この中がエンジンか」ドクターが扉にソニックドライバーを当てる。

「さっき開いた痕跡があるな…」そういうと、突然後ろから少女の声が。

 

「入らないほうがいい」

「入らないほうがいいって?」ドクターがドライバーのスイッチを押すのをやめ、彼女に聞いた。

「さっきこの第三頭の管理者の人が入っていったの。でもそのまま出てこなかった」

「何か調査しに来たんだろう。異変が起きてたから」

「最後に叫び声が聞こえたの。」女性がうつろに話す。

「船の管理者に連絡は?」

「私みたいな一般人は連絡できない」

「どうして?」ドクターが不思議そうに聞く。

「アパートの大家に住民の責任があるみたいに、ここの管理者は責任を持ってないの?」華も不思議そうに聞く。

「昔の話よ」

「大丈夫だ。僕たちが調査しに行く」

「あなたたちは?子供が勝手に入っちゃ…」

「中学生のメカニックだ。狭いところに大人は入れないからね」ドクターは手帳のようなものを見せる。少女は納得したようだ。

「でも気を付けて。何かがいるのかも」

「もちろん。いつも気を付けてる」

ドクターはそのまま奥へと進んでいく。華も一緒に。

「前に工事現場の人に見せてたけど、その紙何?」華がドクターの持つものを奪い取って言った。

「サイキック・ペーパーだ。相手に見せたいものを見せることができる。僕の学生証でもある」

華が見つめていると、だんだん「隅田仁」の学生証に変わっていく。

「本当だ…どういう技術なの?」

「ずいぶんと昔から持ってるから…忘れた」

 

 




次回も明日。男を襲った白い虫の正体とは?
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