Sword art Online ~Doctor game~   作:アルクトス

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え、また失踪すると思った?
残念しませ〜ん(以後も頑張ります)


……はい、ということで多少真面目に話しましょうか。
リメイクにあたって、ライダーシステム周りをどこぞの神も居ないことですしナーフしました。
──思えば、SAO世界で普通に仮面ライダーに変身できちゃうのって強すぎるよなって思いもあるわけで、ある程度弱体化させました。詳しくは本編をお読みください。



絶望のstart

 ──ソードアート・オンライン。

 家庭用初のフルダイブ型VRマシンである《ナーヴギア》開発者である茅場昌彦が開発した史上初のVRMMORPG。フルダイブにより今までに経験のない仮想体験が生みだされるという謳い文句に、人々は魅了され、多くの人々がそのゲームに手を伸ばした。

 その正体が、茅場晶彦の作り出した『真の異世界』であることを知らずに──

 

 

 

 

 

 ──ソードアート・オンラインのサービス開始から、一か月。

 恐ろしいことに、この一ヶ月で二千人もの人たちが命を落としていた。

 

 

 

 

 

 茅場晶彦の宣言以降、最悪のデスゲームと化した『ソードアート・オンライン』から人々を解放しようと、外部の研究機関も頑張ってはいるのだろうが……未だに問題解決には至っていないところを見ると、やはりゲームクリア以外での方法でのログアウトはやはり不可能なんだと思う。

 だけど、ゲームクリアを達成するというのが本当に厳しい。《攻略組》と呼ばれるようになった前線プレイヤーたちが必死になって、次に進むためのダンジョン──《迷宮区》──に潜っているが、一か月が経過した今でもその最奥であるボス部屋にすらたどり着けていない。

 理由としては、デスゲームとなった現在のSAOでは普段以上に自身の安全に気を配るようになったことが大きい。βテスト時代では、それこそ死に戻りと言われる程の無茶な攻略の甲斐あって、約二か月のβテストの期間で八層攻略というハイペースでの攻略が成立していたらしいのだが、今のSAOでそう無茶な攻略ができるはずもなく、攻略が難航しているのが現状だ。

 加えて、正式版となったことでゲーム自体の難易度が上がっているらしいというのが、専らの噂だ。βテスターによって作成・配布されたガイドブックの内容よりも、迷宮区内部に出現するモンスターのレベルが上がっているように感じる。

 

 

 

 このままだと、じり貧になりかねない。

 そう感じた前線プレイヤーたちは危機感を募らせた。

 

 ──自分たちが全滅してしまえばゲーム攻略は夢のものとなる、と。

 

 そんな状況を打破するために、とある誰かの一声で、今日この日《第一層フロアボス攻略会議》が招集された。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 ──デスゲーム開幕の惨劇から一か月。

 僕はクラインさんの誘いで彼とその友人達で構成されるパーティーに所属することになった。

 うまく馴染めるのかという不安もあったけど、ありがたいことに全員がクラインさんのように気のいい人たちばかりで、それは全くの杞憂に終わった。今では共に戦う戦友としていい関係性を築けている。

 そんな僕たちは現在、今日夕方に行われる攻略会議に参加する為の箔をつけるため、全員がレベル10を超えるまでと第一層の迷宮区に潜っていた。

 

 

「グルルルルァ!!」

 

 

 亜人型モンスターである《ルインコボルト・トルーパー》が手にした手斧を、僕を叩き殺さんと振るってくる。

 それを、単発斜め斬りスキルである《スラント》で弾く。そして技後硬直が来る前に飛び退いて、間髪入れずの背後で槍を構えるジャンウーさんに指示を飛ばす。

 

 

「ジャンウーさん、スイッチ!」

 

 

「おう!」

 

 

 飛び入ったジャンウーさんが怯んだトルーパーに対して、槍のソードスキルである単発一閃突きの《ソニック・チャージ》を放つ。

 急所である喉元を貫かれたトルーパーは、HPを全損させポリゴンの欠片となって砕け散る。

 戦闘が終わると、視界にリザルト画面が表示され、同時に辺りにレベルアップを祝うファンファーレが響き渡った。

 

 

「おっしゃ! これで俺もレベル10だぜ!」

 

 

 どうやらレベルが上がったのは先ほど《LA》――ラストアタックを決めたジャンウーさんのようだ。

 現在のSAOでのレベル的安全マージンは階層の数字に10を上乗せしたものになる。これが最低限満たされていないと、ボスと戦うことがとても厳しいものになってしまう。

 攻略会議直前となってしまったが、今のレベルアップでパーティーメンバー全員がそれを満たせてたことで、僕は内心ホッと息を吐く。

 それはパーティーリーダーであるクラインさんも同じなようで、ちょっと大げさに息を吐いている。

 

 

「……これで、一応メンバー全員がレベル10を超えましたね」

 

 

「ああ、一応これでマージンはクリアだな」

 

 

「ですね」

 

 

 と、そんなところで時間を確認すると午後三時。

 攻略会議が行われるのが迷宮区に最も近い町である《トールバーナー》とは言え、そろそろ移動し始めなければ間に合わないだろう。

 

 

「そろそろいい時間ですし、町に戻りましょう。攻略会議には遅れられないので」

 

 

「だな。よぉし、オメーら帰るぞ!」

 

 

「「「「「おーう」」」」」

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「おぉ~、結構いるもんだな」

 

 そう、クラインさんが声を漏らす。

 釣られて辺りをざっと見渡すと、ざっと四十人強だろうかの人たちがトールバーナの町の噴水広場に集まっていた。

 よく、集まってくれた方だと思う――正直を言うと、もっと少ない人数になると思っていた。一ヵ月と攻略が長引いたせいで、前線でも攻略を諦めようという空気が濃くなってきていたことを考えると、レイドを組む最大人数である四十八人に近しい人数が集まってくれただけでも行幸だ。 

 死んでしまう可能性がある、そんな中で勇気を振り絞ってくれた人たちがいる。それはとっても素晴らしいことだと思う。だから――

 

 

「……絶対に死なせない」

 

 

 ――僕が守る。

 それが仮面ライダーとして、このゲームにログインした僕の使命だから。

 心新たに、そう決意する。

 と、感慨深げに辺りを見回していたクラインさんが、唐突に広場の片隅のベンチの方に視線を向けた。

 そこには、黒髪の片手剣使いの少年が腰かけていた。

 先日、リトルペネントの一件で僕ととある少女の窮地を救った《キリト》だ。

 キリトくんを見つけたのは僕だけではないようだ。隣に立つクラインさんも彼の姿を目にして、どう話しかけようかと迷っているようだ。

 ──《はじまりの日》に何があったかは聞いている。結果的に彼がクラインさんを見捨てる形になってしまったこと、それを彼が悔やんでいるだろうということも、先日の様子を見れば察せられる。

 

「普通に声を掛けてあげればいいと思いますよ?」

 

 そう言ってやると、クラインさんは内心を見抜かれたことに口を尖らせるつつも、決心をつけたようにガリガリと頭を掻きながら、彼の座るベンチの方に向けて歩き出す。

 

 

「……元気そうで、何よりだぜ」

 

 

 第一声は、そんな無難な挨拶だった。

 キリト君は、その声でクラインさんの存在に気が付いたようで、何とも申し訳なさげな表情を見せた。

 

 

「クライン……」

 

 

「あん時のことは気にすんな。オリャあ死んでねえし、仲間も全員生き延びた」

 

 

「そうか……」

 

 

 クラインさんの言葉もあり、僅かに安堵の表情を見せるキリト君。

 

 

「ま、オレだけじゃ無理だったろうよ。お前ェが最初に色々教えてくれたのと、エムのおかげだ」

 

 

「エム?」

 

 

「オレの新しい仲間さ、紹介するぜ」

 

 

 手招かれ、少し離れた位置にいた僕は二人の元まで向かう。

 

 

「あの時以来だね、キリトくん」

 

 

 軽い挨拶とともに手を差し出すと、キリト君もその手を取って挨拶をしてくれた。

 

 

「……あれから、《アニールブレード》は手に入れたのか?」

 

 

 着恥ずかしさからか、多少皮肉交じりにそう問うてくるキリト君。少し肩を揺らすようにして背中に吊り下げた《アニールブレード》の柄を見せてやると、「……そうか」と眉尻を下げた。

 そうしてクラインさんとキリト君のわだかまりのようなものも少し解れたところで、僕たちは会議が始まるまでと攻略について意見を交わしはじめた。

 思った以上に熱が入ってしまって、会議が始まるころにはソードスキルのモーション制御なんていうディープな話題に足を突っ込んでしまっていた。

 周囲も似たようなもので、前線プレイヤーらしく攻略情報について盛んに意見が交わされていた。

 騒然とする場を諫めるように、パン、パンと手を叩く音とともによく通る声が広場に流れた。

 

 

「はーい! それじゃ、五分遅れたけどそろそろ始めさせてもらいます!」

 

 

 声の主は、青髪に長身の全身金属防具の片手剣使いだった。

 彼は広場中央の噴水の縁にひらりと飛び乗ると、会議の場全体に対してもう少し近づくように笑顔を見せる。

 

 

「今日は、オレの呼びかけに応じてくれてありがとう! 知ってる人もいると思うけど、改めて自己紹介しとくな! オレは《ディアベル》、職業は気持ち的にナイトやってます!」

 

 

 すると、広場がどっと沸き、笑い声に包まれた。

 SAOには職業設定自体は存在しない。例外として、生産系スキルをメインにしている人物に限り《鍛冶屋》や《料理人》等、職業名で呼ばれることもある。けど、《騎士》や《勇者》などの戦闘職等で呼ばれたりすることは基本ない。

 それでも、冗談として彼が《ナイト》を名乗った理由は、その装備が他のゲームで言うところのナイト系装備だからだろう。

 と、相応に場が盛り上がったところで、ディアベルが手を挙げ、盛り上がる場を鎮めた。

 

 

「……今日、オレたちのパーティーが、あの塔の最上階でボスの部屋を発見した」

 

 

 どよどよ、とプレイヤーたちがざわめく。

 それもそのはずだ。第一層は二十階建てで、その攻略状況もようやく最上階までの階段が発見されたといったところのはずだからだ。

 

 

「オレたちは、ボスを倒し、第二層に到達して、このデスゲームもいつかクリアできるんだってことを、はじまりの街で待ってるみんなに伝えなくちゃならない。それが、今この場所にいる俺たちの義務なんだ! そうだろ、みんな!」

 

 

 彼の熱弁と呼びかけに、場は拍手や口笛も混じえた喝采となる。

 

 

「ちょお待ってんか、ナイトはん」

 

 

 そんな声がしたのは、その時だった。

 歓声がぴたりと止み、飛び出してきたのは、小柄ながら結構がっしりした体系の男だった。

 

 

「わいはキバオウってもんや」

 

 

 まず目についたのはその頭だ。茶色の髪をデフォルメされたドリアンのように尖らせている。

 そんなトゲトゲ頭の彼は広場にいるプレイヤーを一瞥すると、こう続けた。

 

 

「ボスと戦う前に、言わせてもらいたいことがある……こん中に、今まで死んでいった二千人にワビぃ入れなあかんやつらがおるはずや」

 

 

「キバオウさん、君の言う奴らとはつまり……元βテスターの人たちのこと、かな?」

 

 

 腕組みしたディアベルさんが、今までで最も厳しい表情を浮かべて確認した。

 

 

「決まってるやろ」

 

 

 キバオウさんは、そんなディアベルさんを一瞥すると続けた。

 

 

「β上がりどもは、こんクソゲームが始まったその日にビギナーを見捨てて消えよった。奴らはウマい狩場やボロいクエスト独り占めして、ジブンらだけぽんぽん強うなって、その後もずーっと知らんぷりや……こん中にもおるはずやで、β上がりの奴らが。そいつらに土下座さして、貯め込んだ金やアイテムを吐き出してもらわな、パーティーメンバーとして命は預けれんし預かれん!」

 

 

 ――勝手な言い分だはと思う。

 それでも、彼の言葉は確かに僕の心に深く突き刺さる。

 僕は──仮面ライダーだ。つい先日の事だが、アイテムストレージに《ゲーマドライバー》と《マイティアクションX》が実装された。これで名実ともにこの世界でも《仮面ライダー》に変身することができるようになった。

 だけど、そのことを僕は攻略組の誰にも、ましてやパーティーメンバーであるクラインさんたちにも伝えていない。

 なぜか、と言われれば答えるのは難しい。

 ──皆を助ける、と誓いながらも力及ばないことが怖いのかもしれない。

 ──仮面ライダーとしての力を嫉まれ、排斥されるかもしれないと恐れているのかもしれない。

 ──今壇上に立つ彼らのように、皆を導き、希望の担い手となる自信が無いのかもしれない。

 少なくとも言えるのは、僕は今壇上に上がるキバオウさんが断罪しようとするβテスターたちとは比べるまでもないほど、罪深い存在であるということだ。

 確かに、βテスターたちは多くの情報を持っているかもしれない。でも、それだけの差だ。

 寧ろ、先々についての情報を握っているが故に「自分たちがゲームをクリアしなければ」と焦り、前線で果てた人の方が多いと聞く。

 それに、キバオウさんが言うような「βテスターからの情報の発信が無かった」という話は──

 

 

「発言、いいか」

 

 

 渋めのバリトンボイスが、夕暮れの広場に響き渡った。声の方向を見てみると、広場の左側の方から立ち上がるシルエットがあった。

 ──外国人が帰化でもしたのだろうか? 

 大柄の体系に肌はチョコレート色でスキンヘッド、身長も190はありそうだ。

 彼は広場の中央にまで躍り出ると、会議の場にいる全員に向かって軽く頭を下げると、改めてキバオウさんの方へ向き直った。

 

 

「オレの名前はエギルだ。キバオウさん、あんたの言いたいことはつまり、元βテスターが面倒を見なかったからビギナーが大勢死んだ。その責任を取って謝罪・賠償しろ、ということだな?」

 

 

 威圧的な風貌のエギルさんに気圧されて、半歩ほど下がりかけるもすぐに持ち直したキバオウさんは、エギルさんを睨みつけ、叫んだ。

 

 

「そ……そうや!」

 

 

 そんなキバオウさんの叫びにも、エギルさんは臆することもなく、腰に付けたポーチからある本を取り出す。

 

 

「このガイドブック、あんただって貰っただろう。道具屋で無料配布してるからな」

 

 

 取り出された本は、現在の前線プレイヤーの攻略を支える必須級の指南書のようなものだ。

 βテスト時点での各種マップやモンスターの行動、有力なクエストの攻略情報、果ては街の美味しい料理屋の情報と、とても無料配布されているクオリティのものではない。

 制作しているのは、早くも《鼠のアルゴ》という二つ名を頂戴している情報屋の少女だ。

 たった一か月の間にβテスターでもないプレイヤーがそこまでの情報を入手することなど不可能だ。

 つまり、ガイドブックを製作し、プレイヤーに無料配布を行っているのは──

 

 

「────貰たで。それが何や!」

 

 

「配布していたのは、元βテスターだ」

 

 

 その事実に、広場は再度揺れる。

 ぽつぽつと「マジかよ」という反応も聞こえてくることから、大分キバオウさんの空気に飲まれてしまっていたようだが。

 エギルさんはそんな反応を見ると、広場にいる皆の方はと振り返り、よく通るバリトンボイスを響かせた。

 

 

「いいか、情報は誰にでも手に入れられたんだ。なのに、たくさんののプレイヤーが死んだ。その失敗を踏まえて、俺たちはどうボスに挑むべきなのか、それがこの場で論議されると、オレは思っていたんだけどな」

 

 

 エギルさんの真っ当な意見に、キバオウさんも噛みつく隙を見つけられなかったのか、憎々しげにエギルさんを睨みつけた後は広場の前列に腰かけた。エギルさんもまた、これ以上言うことはないのか、元いた位置まで下がった。

 緊迫した場の空気がいくらか落ち着き、僕は思わず安堵の息を吐いた。

 それは会議を招集したディアベルさんも同じだったようで、広場を見回すと、少し浮ついた空気を引き締めるように先程より少し低い声で全体へ問いかける。

 

 

「──再開していいかな?」

 

 

 問いかけには誰からも応答はなかったが、場の沈黙を了承と見て、ディアベルさんは空気を入れ替えるように手を何度か叩いてから、広場に向けて告げる。

 

 

「──それじゃ、早速だけど、これから攻略会議を始めたいと思う。まずは、六人のパーティーを組んでくれ!」

 

 

「な、なに? 六人だと!」

 

 

 クラインさんが場に合わない素っ頓狂な声を上げる。

 理由は、現在クラインさんがリーダーで編成されているこのパーティーの人数が七人であること。これでは一人余ってしまう。

 

 

 

「じゃあ、僕が抜けて、キリト君と組みましょうか?」

 

 

 ここで下手に人数を分けて他のプレイヤーを組み込めば、連携に不和が生じかねない。

 攻略のスタートが遅れ、トッププレイヤーからはレベル的に一歩引く立場であるクラインさんたちは、慣れたメンバーで連携し、不足を補う方が戦力としてより強くなれる。

 ならば新参者である僕が別れ、一から新たにパーティーを組み、連携訓練をした方がいい。

 そこまでを考慮に入れた僕からの提案に、クラインさんも先ほどからキョロキョロと辺りを気にしていたキリト君も好感触だった。

 

 

「おう、わりぃなエム」

 

 

「じゃあ、パーティー申請送ったから受けてくれ」

 

 

 ということで、早速キリト君からパーティーを組む旨のウインドウが出てきたので迷わずOKを押す。

 

 

「よし、OK! でも、ニ人だとまだ少ないからせめてもう一人くらい見つけないと……」

 

 

「でも……もう他の人は……」

 

 

 周りを見てみても、既に大体の人がパーティーを組み終わっているようだ。

 元々僕たちのようにパーティー単位が、ある程度纏まった人数で攻略を進めていたらしい。

 余りの人数などもなく、綺麗に七つのパーティーが構成されている。

 そこでふと、端の方に一人でいるケープを被った細剣使いのプレイヤーが目に入ったので、声を掛けに行く。

 

 

「ねえ、僕たちとパーティー組まない?」

 

 

 細剣使いのプレイヤーは伏し目がちに、こちらに目を向け答える。

 

 

「あなたたちと?」

 

 

 ぼそぼそとしたものだったけど、その声音は女性――それも年若い女の子のものだった。

 驚いた。線が細いなとは思ってたけど、女の子だったとは。そんな驚きを余所に意外にもキリト君が続ける。

 

 

「レイドは八パーティまでだから、そうしないと入れなくなる」

 

 

 どうやらキリト君は少女とは面識があったらしい。

 あれやこれやと説得のための言葉を並べ、最終的にあまり乗り気では無かったものの細剣使いの女の子も一応納得したようで、ふんと鼻を鳴らす。

 

 

「そっちから申請するなら受けてあげないことはないでもないわ」

 

 

 ――気の強い女の子だな……。

 声に出さず、そんなことを思う。どうやらキリト君も同じことを思ったのか、若干苦笑気味に頷く。

 ウィンドウを操作し、パーティー申請を送ると、彼女も素っ気無いながらもそれに応じ、視界左側に三つ目のHPゲージが追加された。

 追加されたHPゲージを横目でちらっと見る。『Asuna』、それが細剣使いの女の子の名前だった。

 

 

 

 

 

 それから、レイドリーダーのディアベルの元、でき上がったパーティの役割分担をした。

 ボス攻撃専門の攻撃部隊が三つ、ボスのタゲを交互に行う壁部隊がニつ、取り巻きの排除やボスの攻撃を阻害する支援部隊がニつ。というシンプルながらバランスのいいレイド構成になった。

 ちなみに、三人パーティーである僕たちはというと――

 

 

「君たちは、取り巻きのコボルトの潰し残しが出ないように、支援部隊のサポートをお願いしていいかな?」

 

 

 と、サポートのサポートだ。直接ボス戦に関与することはなさそうだったが、三人パーティーなので仕方あるまい。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 翌日、とうとうボス攻略の日がやってきた。

 

 

 

 第一層迷宮区の最上階の一番奥。そこには、ボス部屋へと通じる巨大な二枚扉があった。 

 ボス部屋への突入を前に、と指揮を執るディアベルが改めて各パーティーに準備をする時間を設けた。

 そこで、キリト君が作戦の再確認をしてきた。

 

 

「確認しておくぞ。今日の戦闘で俺たちが相手にするのは、『ルインコボルト・センチネル』っていうボスの取り巻きだ」

 

 

「わかってる」

 

 

 アスナさんが短くそう答え、僕も同じように短く答える。

 

 

「俺かエムが奴らの長柄斧をソードスキルで跳ね上げさせるから、すかさずスイッチで飛び込んでくれ」

 

 

 こくり、と僕とアスナさんが頷くと、キリト君も満足げに笑みを浮かべ、頷く。

 

 

 

 ──そうして各パーティーの準備が終わる頃合いを見計らって、ディアベルさんが皆を集める。

 全員が整列し、これから始まるボス戦への緊張を高めた様子を見せるとディアベルはレイドメンバー全員を一瞥する。

 やがて満足したように頷くと、ディアベルさんは腰元の剣を抜き放ち、それを地面に突き立てた。

 

 

「皆、聞いてくれ!」

 

 

 そう叫ぶディアベルさんの表情は硬い。皆もそれを感じ取り、次なる言葉を逃さないよう押し黙る。

 

 

「ここで俺たちが負ければ、百層攻略は夢のまた夢になる。そうなれば、全てが終わりだ」

 

 

 ──そうだ。これから始まるのは、単なるボス攻略戦などではない。

 これから長きにわたるであろうソードアート・オンラインをクリアするための第一歩を踏み出す『その瞬間』なのだ。

 負けることは許されない。ここで敗北すれば、一か月を耐えてきたプレイヤーたちの心が持たない。

 

 

「だから、これから言うことはたった一つだ! 勝とうぜ!!」

 

 

 ディアベルの叫びに、四十二人のレイドメンバーたちはそれぞれの武器を振るい上げることで答える。

 満足げに笑んだディアベルは青いロングヘアーを翻すと、左手を大扉の中央に当てて──

 

 

「────行くぞ!」

 

 

 短く一言だけ叫び、ボス部屋へと通じる大扉を思い切り押し開けた。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 暗闇に沈むボス部屋の奥で、何かが動いた。それと同時、ぼっ、ぼっ、と音を立てて松明が次々と燃え上がっていく。

 松明がついていくにつれて、明るくなっていく室内。その最深部には巨大な玉座が設けられ、そこに坐するのは、第一層のボス『イルファング・ザ・コボルトロード』だ。

 

 ディアベルが、剣を高く掲げ、さっと前に振り下ろした。

 それを合図に、総勢45名の攻略部隊も、掛け声とともに一気になだれ込む。────攻略開始だ。

 

 

 

 

 

 第一層のボス戦は、これまでにかかった時間を考えると、驚くべき程順調に進んでいた。

 ディアベルさん率いるC隊が1本目のHPゲージを、クラインさん率いるD隊が2本目を削り、今はF隊とG隊がメインになって三本目を半減させたところだ。ここまで、壁役のA隊やB隊のメンバーの何人かがHPゲージを黄色(半分以下)へ変じさせた程度で、(二割以下)の危険域になったものは1人もいない。また、取り巻きに関しても、E隊とおまけの3人で問題なく処理はできている。

 ことに目覚ましかったのは、キリト君とアスナさんだ。キリト君の動きを見るのは初めてではないが、改めてどちらも動きにはすさまじいものがあった。キリト君は、身体の運び方然り、剣の振り方、ソードスキルの一挙一動に至るまでの動きの無駄が少なく、余力を残すことで戦況をよく見て、取り巻きのコボルトをボスの援護へ向かわせないよう上手く立ち回らせている。アスナさんはまだゲームに慣れていないのか、動きに多少のぎこちなさが見られるが、剣の速さ、鋭さ、正確さは僕やキリト君を凌駕している。おかげで僕の仕事は、取り巻きのHPが削り切れなかった際に一撃を加えることくらいだ。

 そんなことを思っていると、前線の方で、「おおっしゃ!」というような歓声がしたので、そちらに目を向ける。ちょうど前線では、ボスのHPが遂に最後の1本に突入したのだ。

 

 

「よし、C隊はボスを取り囲め! ターゲットは俺が取る!」

 

 

 そう指示を飛ばし、3本目を削り切ったF・G隊が下がると、代わりに全回復を終えたディアベル率いるC隊がボスに向かって突撃していく。

 その様子に僕は戦闘中にも関わらず、違和感を覚えた。

 

 

(FとG隊のHPはほぼ満タン、そのまま同時に殴りきった方がボスの討伐は早まるのに……なんで、ディアベルさんは単独での突撃を──?)

 

 

 しかし、そんな思考もボスの次なる行動の前にかき消される。

 

 

「グルゥオオオオオオオオ――――!!」

 

 

 ボスが、ひときわ猛々しい雄たけびを放ったのだ。同時、ボスの周囲から取り巻きの3体が飛び出してくる。

 それを抑えるべく、僕たちは取り巻きの1体に向かって突撃する。

 

 

「ハァァア!」

 

 

 僕が取り巻きのソードスキルに片手剣ソードスキルの1つ、単発斜め斬り『スラント』を合わせ、ソードスキル同士がぶつかったときの反発で取り巻きの剣を弾くと、叫ぶ。

 

 

「スイッチ!」

 

 

 それに答えたのは、アスナさんだった。恐るべきスピードで接近すると、取り巻きの弱点である喉元に、細剣ソードスキルの単発「リニア―」を放つ。それを喰らった取り巻きは1撃でHPを全損し、消滅する。

 

 

「グッジョブ!」

 

 

 そう声をかけると、「そっちも」と返された。

 もう一匹もと思い、見回すと既に残りの2体もキバオウさん率いるE隊の人たちが抑えている。仕方ないので、前線に目を向けると……

 

 

「だ……だめだ、下がれ!! 全力で後ろに飛べ―――――ッ!!」

 

 

 キリト君の絶叫が聞こえてきた。見ると、HPバーが最後の1本となったことで持ち替えられたコボルト王の武器が、攻略本の情報では曲刀だったのに対し、今持っているのは野太刀と呼ばれるカタナ系統の武器になっていたのだ。

 

 

(……情報と違う!)

 

 

 コボルト王の巨体が宙を舞う。空中で体を捻り、武器に力を溜める。落下と同時、蓄積されたパワーを一気に解き放つ。

 直撃を受けたのは、一番近くにいたディアベルさん率いるC隊だった。6人全員のHPが一気に半分以下まで低下する。

 

 

「嘘、一撃で!」

 

 

 アスナさんのそんな声が聞こえてきた。しかし、驚くべきはそれだけではない。床に倒れ伏した6人の身体には微弱ながらもライトエフェクトがかかっている。

 

 

(あれは、麻痺!)

 

 

 最悪だ。数ある状態異常の中でも麻痺と盲目は最も警戒するべきものだ。10秒ほどだが完全に行動が制限される上、回復手段も上級階層で売られている解毒結晶のみだ。

 

 

「A隊、B隊、すぐにバックアップに入れ!」

 

 

 キリト君の咄嗟の命令に動けるものはいなかった。

 ──当然だ。事前の作戦会議ではこの展開は想定されていない上に、命令をしたのも、ディアベルさんでは無くキリト君だ。咄嗟に動き出せる訳もなく、逆に全員の動きを縛ってしまう。そのうち、コボルト王のソードスキル発動後の硬直は終わる。

 

 

「硬直が……」

 

 

 そこでようやく、エギルさんやクラインさん含む数名が援護に向けて動き出す。だが、もう遅い。

 

 

「グルオッ!!」

 

 

 コボルト王が吠え、振り上げた野太刀がライトエフェクトに包まれる。その標的となったのは、コボルト王の正面にいたディアベルさんだ。

 目にもとまらぬ上下からの2撃。そこから一瞬の溜めの後の強烈な突き。

 ディアベルさんの身体は宙を舞い、後方の僕たちの方にまで飛んでくる。すぐに駆け寄りHPゲージを確認するが、既にレッドゾーンにまで突入し、今でも急速に減っている。

 

 

「………!!」

 

 

 キリト君ほ声にならない叫びとともに、ディアベルさんの元へ駆け寄る。すぐに回復ポーションを飲ませようとするが、ディアベルさんは弱々しくもそれを制する。

 ──彼には分かっているのだ。自分のHPゲージがゼロになると。

 

 

「……頼む。ボスを、ボスを倒してくれ……皆のた」

 

 

 最期の言葉を言い終えることなく、ディアベルさんの身体はガラス片のように砕け散る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レイドリーダーである、ディアベルさんの死。その衝撃は計り知れなかった。

 うわああああああ、という叫び声──あるいは悲鳴がボス部屋を満たしたのだ。レイドメンバー全員が自分の武器を握りしめ、目を見開き、動けずにいる。

 

 

「危ないッ!」

 

 

 その隙を狙って、取り巻きの一体が動けずにいる1人を狙う。

 咄嗟にソードスキルを起動して斧を弾き、技後硬直に陥る前に剣を盾にするように構える。追撃はすぐにやってきて、背後にいるプレイヤーごと僕は弾き飛ばされる。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 幸い、HPの減少は3割程度で済んだ。しかし、これだけの衝撃を受けたにも関わらず、背後のプレイヤーは未だ茫然自失としたまま動き出す様子は無い。

 それは周囲も同様で、それだけディアベルさんが優れたリーダーでもあった証左だ。

 

 

「だけど、このままだと……!!」

 

 

 ──前線は崩壊し、攻略組は総崩れだ。

 そうなってしまっては全てが終わる。ゲームクリアは現実から遠のき、残る8,000人の人々の命が失われる。それだけは──

 

 

「……絶対に駄目だっ」

 

 

 最早、僕に──俺に迷いはなかった。急ぎアイテムストレージを開き、ゲーマドライバーとガシャットを手元に出現させる。ゲーマドライバーを腰に巻くと、ガシャットのスイッチを押した。

 

 

『マイティアクションX』

 

 

 音声とともに周囲へゲームエリアが展開され、チョコのようなブロックが辺りに生成される。それが取り巻きの攻撃を防ぎ、逆に吹き飛ばす。

 

 

「変身!」

 

 

 掛け声とともにガシャットをベルトの挿入口にセットする。

 

 

『ガシャット』

 

 

 俺の周囲にセレクトパネルが現れる。クルクルと周囲を漂うパネルの中からエグゼイドの画面を右手で選択する。

 

 

『Let's game! メッチャゲーム! ムッチャゲーム! ワッチャネーム⁉︎』

 

 

 エフェクトに包まれながら、俺の体は変化していく。

 

 

『I'm a 仮面ライダー!』

 

 

 音声が終わると同時、俺の身体はまるでマスコットキャラクターのような体型の《仮面ライダーエグゼイド レベル1》へと変身を遂げる。

 

 

「な……エム?」

 

 

 キリトの驚くような声が聞こえてくる。チラリと周りの様子を見てみると、他のプレイヤーたちもこちらをじっと見つめている。

 

 

「キリト、ボスを頼むぞ!」

 

 

 頷き、駆け出したキリトとそれに続くアスナを見送って、俺は右手を伸ばす。すると、『ガシャコンブレイカー』という音声とともに、ハンマー型の武器が手元に現れる。

 

 

「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

 

 

 決め台詞とともに、俺は先ほど吹き飛んだ取り巻き1体に目掛けてジャンプし、目の前のチョコブロックを破壊する。すると、中から目的のエナジーアイテムが出てきたので、ガラにもなく仮面の下で、にやりと微笑む。

 

 

『マッスル化』

 

 

 ゲットしたアイテムの効果で、俺の身体は赤い光に包まれる。

 

 

「オリャア!」

 

 

 落下速度とエナジーアイテムの効果により、俺が取り巻きに放った一撃は想像以上の力を発揮し、奴のHPを弱点に当てたわけでもないのに一撃で吹き飛ばす。

 

 

「……す、すげえ……」

 

 

 先ほど攻撃されそうになっていた奴が驚愕の声を上げる。周りの連中も突然の出来事に、俺の方にばかり目を取られている。キリトやアスナがボスを抑えているというのに、だ。

 俺は怒り交じりにそんな奴らに激を飛ばす。

 

 

「あいつらがボスを倒すために必死に戦ってるんだ。お前らも取り巻きを押さえろ!」

 

 

 俺の言葉に、ようやく動きだす連中達。だが、ボスが武器を持ち替えてからは時間ごとに取り巻きが湧いてきている。早急に決めなければまずい。

 

 

「しまっ……!!」

 

 

 俺も取り巻きを抑えるのに参戦しよう。そう思った時だった──キリトがコボルト王のソードスキルで吹き飛ばされ、HPを大きく減らす。

 

「マズ……ッ!」

 

 

 追撃が来れば、その一撃を軽装であるキリトは耐えられない。

 俺は急いで、ガシャコンブレイカーのAボタンを押し、ボスの方まで飛び込んでいく。

 

 

『ジャッキーン!』

 

 

 飛び込む最中、俺は吹き飛ばされたキリトを庇おうと前に飛び出ようとするアスナを何とか抑え、コボルト王のソードスキルを真正面から受ける。

 

 

「ぐ……ッ!!」

 

 

 かなりの衝撃が、変身しているにもかかわらず伝わってくる。今はなんとか、エナジーアイテムのおかげで持ちこたえているが、効果が切れればすぐに押し切られてしまう。しかも、ソードスキルに通常攻撃で割り込んだのが良くなかった。徐々にライダーゲージが削られていっている。

 

 

「ぬ……おおおッ!」

 

 

 太い雄たけびとともに、コボルト王の剣がパリィされる。慌てて横を見ると、B隊リーダーエギルだった。

 

 

「アンタらの回復が終わるまで、俺たちが支える!」

 

 

「………悪い、頼む」

 

 

 短く答えると、エギルは前線へと上がる。そこへアスナと鎌を携えたプレイヤーが合わせるようにボスへの攻撃を開始した。

 ──これで前線の崩壊は何とか避けられるか。

 一息つけた俺は、キリトの方へ振り返る。変身した俺の姿に少し唖然としながらも、回復ポーションを咥えつつ、彼は僅かに目を伏せる。

 

 

「……すまん」

 

 

「気にすんな、それよりこれから先の指示を頼む。俺は刀系のソードスキルについてはよく知らないんだ」

 

 

 薄々感ずいてはいたが、たった今で確信した。

 現在の階層では未確認のはずの刀系ソードスキルの始動モーションを知っているキリトは間違いなくβテスターだ。そして、恐らくディアベルも──

 あの不自然にも思えた単独での突撃は、ボス戦における《ラストアタック》ボーナスの取得のためだったのだろう。恐らく何某かの強力な装備か何かが手に入るのだ。その為に単独での突撃を狙い、変更されたボスの攻撃に対応しきれなかった。狙いは恐らく、部隊の指導者である自分の立場をより磐石にするため。βテスターであることを隠しつつ、ゲーム攻略のために必要なのは強力な指導者だと考えた。最期の言葉も、キリトが同じβテスターであることを見抜いてのものだったのだろう。

 

 

「わかってる」

 

 

 今度は力強く頷いたキリトを伴って、前線へと駆け抜ける。

 その最中、キリトが指示を飛ばす。壁役のA、B隊を前に配置し、ボスを抑えつつ、取り巻きのコボルトをアスナたちやいつの間に加わったのかクラインらも混じりつつ蹴散らしている。

 

 

「下がれぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

 キリトが声を張り上げる。コボルト王が先ほどC隊を半壊させたあのソードスキルを発動させようとしているのだ。HPゲージを見てみると、もうA、B隊のHPゲージがイエローに突入しようとしているところだった。

 

 

「……クッソ!」

 

 

『ガッシューン』

 

 

 急いで、ガシャットをベルトから抜いて、ガシャコンブレイカーに装填する。

 

 

『ガシャット! キメワザ!』

 

 

 音声とともに、刀身にエネルギーが充填される。それが臨界に達したとき、俺はガシャコンブレイカーのトリガーを引いた。

 

 

『MIGTHY! CRITICAL FINISH!』

 

 

 必殺技を発動すると、ガシャコンブレイカーを頭上に持っていき、構える。そのままジャンプすると、連続で回転し、コボルト王に向かって突撃する。

 

 

「届……けェ――――ッ!」

 

 

 その思いが届いたのか、俺の必殺技はソードスキル発動直前のコボルト王の左腰を捉える。

 ざしゅうっ! という斬撃音とともに、コボルト王の巨体は空中で揺らぎ、床にたたきつけられた。

 

 

「ぐるうっ!」

 

 

 しかし、攻撃は浅くしか入っておらず、すぐさまコボルト王は体勢を建て直し、技後の硬直により動けない俺に一撃を加えんと野太刀を振り上げる。

 

 

「せやぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 そこに裂帛の叫びとともにアスナがトップスピードの《リニアー》を合わせ、コボルト王の野太刀を弾く。

 

 

「まだだ!」

 

 

 キリトが声を上げる。弾き上げたと思ったコボルト王の野太刀だったが、細剣の一撃では軽すぎたのだ。上段に構え直した野太刀がアスナに振るわれる。

 だが、キリトの警告が功を奏し、コボルト王の攻撃は間一髪アスナが身に纏うローブに掠めるのみで済んだ。砕け散るローブのポリゴン片を纏うように、一部を編まれた茶髪が広がる。

 

 

「「っ、君は!?」」

 

 

 ──あの時の、と言いかけて、押し黙ることになる。

 アスナが細剣を掲げ、凛とした声音と表情でレイド全体に対して指示を飛ばしたのだ。

 

 

「皆聞いて! ボスを囲まなければ、範囲攻撃は来ない!」

 

 

 全体を統括する指揮者としてはあまりに拙い、曖昧な指示だったが、よく通る鈴のような声に皆の意識は引き込まれ、ボスを抑えるべく取り囲もうとしていたA・B隊の面々はつんのめるように足を止めた。

 

 

「ひとまず全員後退、回復した人から復帰して!」

 

 

 アスナの指示を聞いて、レイドメンバーは最低限の前線メンバーを残し、一度体制を立て直すべく回復しはじめる。

 薄くなった最前線。動けるのはキリトとアスナ、そして俺──

 

 

「私たちで倒しましょう!」

 

 

「「ああ!」」

 

 

 それが合図だった。キリトとアスナの二人は迷わずボスへ突貫し、まるでつい先日パーティーを組み始めたとは到底思えないような連携をもって、ボスへのアタックを開始した。俺はというと──

 

 

「──今しかない!」

 

 

 SAOに実装されたライダーシステム。基本システムは現実世界と大きく変わることなく、爆発的なステータス付与とエナジーアイテムによるバフ効果も得られるなど、その利点は大きい。

 しかし、元々ゲームシステムに存在し得なかったデータをSAOへ実装した弊害として、いくつかのデメリットが起こるようになった。

 まず一つが、SAOのシステムとの不和だ。変身すると、システムによるアシストが受けられなくなる。ソードスキルやアイテムが使えない他、細かいもので言うと《決闘》における半減決着モード等の制限すらも、変身中には受けられなくなる。変身、そのものについてはステータス付与という形でシステムに沿う形にできた為に何とか実装まで漕ぎ着けたらしいが、細かいことについてはVR世界のこちらでは分かっていない。

 二つ目が、変身時間の制限だ。こちらはSAOのシステム全般を預かる《カーディナル》との弊害で起きているようで、元々存在し得ないシステムであるが故に使用をすると《カーディナル》が排除のために動いてしまうらしい。低レベルでデータ量が少なければ、あちら側も徹底排除とはならないようで、現在はレベル1で5分、レベル2で3分とある程度の時間使えるが、マキシマムやムテキともなると1秒が限界時間との事だ。もう少し使えるよう調整する、との事だが近い話では無いようだ。

 三つ目は、1日に変身出来る回数が限られること。二つ目と同じ理由で、カーディナルに存在を検知させないため、今のところは最低20時間を置かなければ再変身ができない。こちらもゆくゆくは……と言ってくれてはいるが、なかなか難しいようだ。

 

 ──そんなわけで、既にレベル1へと変身して2分弱。今からレベル2に大変身したとて、戦えるのは同じく2分弱。この限られた秒数で勝負を決めるしかない!

 

 

『大変身!』

 

 

 掛け声とともにゲーマドライバーのレバーを展開させる。

 エフェクトが俺を包み込み、少しうるさいとも思える音声とともに俺の身体はマスコット体型のレベル1から通常の頭身のレベル2へとレベルアップを遂げる。

 

 

『マイティジャンプ! マイティキック! マイティマイティアクションX!!』

 

 

 レベルアップを終えると、俺はすぐにガシャコンブレイカーを構え、増強されたステータスを存分に用いた加速力を持って、未だ打ち合いを続けるキリトとアスナ、そしてコボルト王の懐まで飛び込んだ。

 

 

「おらっ!」

 

 

 右脇を狙った一閃は直前に攻撃を悟ったコボルト王が回避行動を取った為に浅く表面を切り裂くだけに終わったが、大きな隙を作ることに成功した。

 それを見逃すはずは、キリトとアスナにはもちろんなく、容赦のない剣戟がコボルト王を襲う。二人の連携の締めに放たれたアスナの《リニアー》がコボルト王のHPを残り半分近くまで削る。

 

 

「畳み掛けるぞ!」

 

 

 攻防の中で、キリトとアスナのHPは3割ほど削られたが、この勢いを減退させる訳にはいかない。一歩間違えれば死が近づく、極限の攻防をいよいよ制そうというのだ、止まることはできない。

 キリトはそう叫び、迎え撃とうとソードスキルを構えるコボルト王に対して、《バーチカル》を構える。一瞬早く、コボルト王のソードスキルが起動されたが、ここまでの攻防で極限まで冴えたキリトはコンマも遅れることなく、迎撃の《バーチカル》を合わせる──が、

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

 斬られたのはキリトだった。コボルト王の放ったソードスキルは、後に聞いた話では《幻月》という同じ始動モーションから繰り出される上下ランダムの剣戟なのだが、それを見誤ったのだ。

 

 

「キリト!」

 

 

 吹き飛ばされたキリトのHPは大きく減って、赤く染まる。

 咄嗟に援護を期待して後方へ視線を投げるが、ポーションによる回復は遅く、とてもでは無いが取り巻きのコボルトを抑えるのに精一杯という様子だ。

 

 

「くそっ!」

 

 

 ダメージに呻く今のキリトではコボルト王の放つソードスキルの始動モーションを見極め、指示をするという役割を満足にはこなせない。

 ──無理やりにでも耐えなければならない。

 そう覚悟を決めた瞬間だった。俺のすぐ傍を走り抜ける紫紺のライトエフェクトが見えた。

 

 

「はああああ!!」

 

 

 大鎌の低軌道横薙ぎのソードスキル、《フェラー》だ。ハスキーな声音に乗せられたその一撃は、アスナに振りかぶられたコボルト王のライトエフェクトと見事に相殺してみせた。

 

 

「ミト!」

 

 

 アスナは今の一撃の正体へ《ミト》と呼びかける。思えば彼女はこれまでも体勢が崩れた際もアスナと共に場を支えてくれていたプレイヤーの一人だ。

 ──あの迷うことの無い一撃……彼女も、

 そんな思考をしている間にもコボルト王はミトと呼ばれる少女を襲うが、彼女は多少の手傷を負いながらもコボルト王の攻撃を撃ち落としていき、連撃の締めとして放たれたソードスキルを大鎌の基本技である《モーアー》で弾いた。

 

 

「「「っ──!!」」」

 

 

 彼女が作った最後のチャンスだ。絶対に逃すわけにはいかない。

 俺とアスナ、そしてダメージの回復にも構わずキリトが即座に飛び込んだ。

 

「アスナ、エム! 最後の攻撃、一緒に頼む!」

 

 

「「了解!」」

 

 

 まず飛び出したのはアスナだ。踏み込みと同時にモーションを起動させ、最速で《リニアー》を放つ。その一撃はコボルト王の左脇腹を貫き、苦悶に満ちたような唸り声を上げさせる。

 コボルト王も反撃の下段からの《幻月》が放つが、今度は見誤ることなく、キリトが《バーチカル》で相殺。

 弾かれた野太刀をコボルト王はその筋力でもってキリトへ向けて無理矢理に振るうが、それを俺が弾き飛ばす。

 剣戟を相殺した反動で俺とキリトは一度後退させられるが、そこにミトが割り込んだ。技後硬直で動けないアスナを狙うコボルト王の足を《フェラー》で絡め取り、その身を空中に投げ出させた。

 さしものボスといえど、空中に身を投げ出されば、直後の一瞬は何も出来ない。技後硬直を終えたアスナはすかさず《リニアー》を空中に浮くコボルト王へ放つ。

 

 

「ぐえあっ!」

 

 

 アスナの渾身の一撃は姿勢を崩させ、コボルト王はついに完全な無防備状態へと化す。

 

 

「「スイッチ!」」

 

 

 技後硬直により動けないミトとアスナは、後方で技の準備をしていた俺とキリトへ向けて声を合わせる。

 

 

「さあ、フィニッシュは必殺技で決まりだ!」

 

 

 決め台詞とともに、俺はキメワザスロットホルダーにガシャットを装填し、スイッチを押す。

 

 

『ガシャット! キメワザ!』

 

 

 足先に力が集中するのを確認し、俺はもう一度スイッチを押す。

 

 

『MIGTHY! CRITICAL STRIKE!』

 

 

 音声とともに、俺は空中に向けて踊り出す。

 キックの構えを取り、超強化された跳躍力を持って 一瞬のうちにコボルト王の間近まで迫る。

 

 

「ハァァァァ!」

 

 

 俺の必殺キックがコボルト王の顔面を捉え、残る体力は数ドットだ。

 

 

「行っ……けえッ!!」

 

 

 なりふり構わず一撃を放った反動で空中で体勢を崩しながら、キリトに向けて合図を飛ばす。声が帰ってくることはなかったが──代わりとしてキリトは凶暴な笑みを湛えると、ソードスキルの始動モーションと自身の動きを完璧にシンクロさせることによる爆発的な加速力をもって一気に飛び上がる。

 いつか見た鮮緑の閃光が輝き、神速の一撃がコボルトの肩口へ到達する。

 

 

「お……おおおおおおッ!」

 

 

 

 全身全霊の叫びとともに、キリトが剣を左肩口から腹までを一気に斬り裂く。片手剣上段突進技《ソニックリープ》だ。

 

 ──これを受けたコボルト王のHPゲージが0になり、直後その身体を半透明に輝かせたかと思うと無数のひびが入り、盛大に四散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボスが四散して間もなく、後方で抑えられていたコボルトの群れも同じく四散したようだった。

 俺はそれを確認すると、レバーを操作し、ガシャットをベルトから取り出す。

 

 

『ガッチョーン ガッシューン』

 

 

 そうして、変身を解除した俺──僕は、未だ剣を切り上げたのまま動けないでいるキリト君の手を下ろさせると、ゆっくり声をかけた。

 

 

「……お疲れ様。キリト君」

 

 

 僕の声にようやく張り詰めた緊張を解いたのか、キリト君はふっと脱力してしまう。そんなキリト君に肩を貸してやると、ボソッと「ありがとう」と声をかけられた。

 すると、視界に新たなメッセージが流れた。獲得経験値に、獲得コル。それが終わると、今度はレベルアップを祝う音声が聞こえてきた。確認すると、確かにレベルが1上がり12になっていた。

 同じものを見たであろう他のメンバーたちも、ようやく顔に表情を浮かべる。一瞬の溜めの後、わっ! と歓声がはじける。

 そんな嵐の中のような喧騒の中、ゆっくりと近づく大きな人影があった。先ほども援護してくれたエギルさんだ。

 

 

「……見事な剣技だった。Congratulation、この勝利はあんたのもんだ」

 

 

 それが今肩を貸しているキリトへの称賛と見ると、僕は未だボーっとしているキリト君に対し声をかける。すると、ようやくそれに気がついたキリトが「いや……」とだけ呟いた。

 

 

「謙遜すんなよ、キリト。おめぇがいなけりゃ、オレたち全員お陀仏だったんだからなぁ」

 

 

 さしものキリト君も、二人に称賛を受けては──と、その時だった。

 

 

「────なんでや!」

 

 

 声をあげたのは、キバオウさんだった。

 

 

「────なんで、ディアベルはんを見殺しにしたんや!」

 

 

 彼は顔をクシャクシャに歪め、そう叫んだ。

 ただ、僕には彼の言っていることがわからず、もう一度繰り返し呟いた。

 

 

「見殺し……?」

 

 

「そうやろが! ジブンはボスが使う技知っとったやないか! 最初からあの情報を伝えとったら、ディアベルはんは死なずに済んだんや!」

 

 

 そんな血反吐を吐くような叫びに、残りのレイドメンバーたちもざわめく。「そういえばそうだよな……」「なんで……? 攻略本にも載ってなかったのに……」という声が広がっていく。

 

 

「それにアンタも! そんなけったいな装備があるなら、何で最初から使わなかったんや!」

 

 

 僕を責め立てるキバオウさんの声が決定打となったのか、キバオウさんの指揮するE隊のメンバーの一人が僕たちを指差し、叫ぶ。

 

 

「きっと、あいつらβテスターだ! だからボスの攻撃パターンとか、旨いクエとか、全部知ってるんだ! 知ってて隠してるんだ!」

 

 

 それを聞いたディアベルが率いていたC隊の1人のシミター使いが、何かを叫ぼうとした。

 それを遮ったのは、クラインのパーティーにいた曲刀使いだ。彼は粗暴なクラインさんのパーティーメンバーにしては比較的利己的で、よく僕とも話していた人だ。

 

 

「でも、昨日配布された攻略本に、ボスの攻撃パターンはβ時代の情報だ、って書いてあったろ? 彼らが元テスターだったら、知識もあの攻略本と同じなんじゃないのか?」

 

 

「そ、それは……」

 

 

 その冷静な指摘に、押し黙るシミター使い。すると、代わりにさっきのE隊メンバーが憎悪に溢れる一言を口にした。

 

 

「あの攻略本が、ウソだったんだ! アルゴって情報屋がウソを売りつけたんだ! あいつだって元βテスターなんだから、タタで本当のことを教えるわけなんてなかったんだ」

 

 

 ────まずい。今の言葉はまずい。

 何とか、僕が政府側の人間であることを明かして場を収めようにも、これじゃあ、追及を逃れられるのは僕だけで、キリト君や他のテスターたちへも敵意が向いてしまう。

 悩む僕の背で、ずっと我慢をしていたエギルさん、クラインさん、アスナさんの3人だったけど、ついに我慢の限界だったのか、同時に口を開いた。

 

 

「おい、お前……」「いい加減にしろよ、おめぇら……」「あなたね……」

 

 

 しかし、そんな3人を制止する影があった。それは……キリト君だった。

 キリト君は、僕から離れると、一歩前に出て、こう言った。

 

 

「元βテスター、だって? ……俺を、あんな素人連中と一緒にしないでもらいたいな」

 

「な……なんだと……?」

 

 

 無感情な声にふてぶてしい態度と、今までのキリト君からは考えられないものだった。

 誰もがその変化に戸惑い、困惑した。

 その中でも、僕含めた数名はキリト君の意図に気付いた様子で、痛ましげな視線を彼に向けている。キリト君もそれに気づいたのか、チラリとこちらを見ると、正面にいる彼らに見えないように微笑んだ。

 

 

「SAOのβテストに当選した1,000人のうちのほとんどは、レベリングのやり方も知らない初心者だった。今のあんたらのほうがマシさ」

 

 

 キリト君の思惑は、恐らくこうだろう──

 自身が彼らの敵になることで、βテスターたちが排除されるという最悪の事態を防ぐつもりなのだ。

 

 

「──でも、俺はあんな奴らとは違う」

 

 

 冷徹な微笑を浮かべ、彼はその先を口にする。

 

 

「俺はβテスト中に、他の誰も到達できなかった層まで登った。ボスのカタナスキルを知ってたのは、ずっと上の層でカタナを使うMobと散々戦ったからだ。他にもいろいろ知ってるぜ、アルゴなんか問題にならないくらいにな」

 

 

 嘘だ。もちろんカタナスキルを使う敵と戦ったことは本当だろうが、このゲームで誰かに知られることなく1人で上の層に行くことは不可能だ。層がクリアされた時点で、その層の中央の街に置かれている転移門が起動される。

 

「な、なんや、それ……」

 

 

 遂にキバオウさんが、掠れ声で言った。

 

 

「そんなの……βテスターどころやない……もうチートや、チーターや!」

 

 

 周囲から、そうだ、チーターだ、βのチーターだ、という声がいくつも上がる。やがてそれらは混ざり合い、《ビーター》という奇妙な単語に変わる。

 

 

「……《ビーター》、いい呼び方だなそれ」

 

 

 キリト君はにやりと笑うと、やれビーターだのなんだのと言う奴らを見回すと、はっきりした声で告げた。

 

 

「そうだ、俺は《ビーター》だ。これからは、元テスター如きと一緒にしないでくれ」

 

 

 そういうと、キリト君はウインドウを操作し、何かを装備した。コボルト王のLAボーナスだろうか? 真っ黒のコートを翻すと、背後にある次の層への扉に向かって歩き出す。

 

 

 ──僕はそんなキリト君の背中を追い、何とか扉手前で呼び止める。

 

 

「……キリト君」

 

 

「……エム」

 

 

 その声は憔悴しきっていて、かなりのストレスを彼1人に押し付けてしまっていたことを示していた。

 

 

「良かったのかい? あんなことして……」

 

 

「あれしか道はなかったからな、仕方ないよ」

 

 

「そっか……」

 

 

 そして、キリト君はウインドウを操作する。少しして、パーティーを解散した旨の通知が表示された。

 

 

「……じゃあ、な」

 

 

 そして、再度彼は扉に向かって歩みを再開する。

 

 

「キリト君!」

 

 

 もう一度呼びかけると、今度は振り返ることなく、顔をこちらに向けるだけだった。

 

 

「僕は向こうの世界で医者だったんだ。だから、何かあったら連絡して欲しい……」

 

 

 そう言うと、僕はウインドウを操作し、キリト君は向けて一つ申請を飛ばした。

 ──きっとこれから先、僕は彼と共には歩めない。

 僕は覚悟を決めた。《仮面ライダー》として、攻略の先頭に立ち、皆を率いていく立場を負わなければならないだろう。《ビーター》として、攻略組の中に沸き起こった悪意を一身に受けるキリト君とは歩幅を同じくすることは叶わない。

 これから先、彼は人々の悪意に苦しめられてしまう。だというのに、僕からは何もしてあげることができない。

 思い悩む僕の隣に、アスナさんが追いついてきた。

 

 

「大丈夫、彼のことは任せて」

 

 

 気負う様子もなく、そのままアスナさんはキリト君を追って次層の階段を駆けていった。

 

 

 

 

 

 ──しばらくした頃だった。キリト君が僕のフレンド申請を受けてくれたのは。

 

 

 






昔のほぼ修正版とはいえ、劇場アニメとかに合わせて追記してたらいつの間にか二万文字を超えてしまった……

結局悩んでたミトですけど、出しました。
思えば彼女はアスナ視点だと相応に目立つキャラですけど、方や他の人間だとそこまで明確な描写がいらないから「出せるな……?」と思って、何とかしました。
ただ、以後の出番については……あまり明確に保証はできそうにないので名言はしないでおきます()
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