遊戯王ARC-V Rーe:birth   作:深海の破壊大帝

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初投稿です。


スタンダード次元編
序章 異物の動かす振り子


 一人の少年が母親と一緒に窓越しに行われる戦いを見ている

 桜が舞う小川の上に架かる橋の上、鋼鉄で出来た赤と青の鎧武者

 そしてその主人である白い制服を着た大柄な少年

 少年は自らの腹心を呼ぶために二体の鋼鉄の武者に指示を出す

 

「俺は超重武者ワカONIとソード999をリリースし、超重武者ビックベン―Kをアドバンス召喚!!」

 

ビックベン―K「ウオオオォォォ!!」

       DEF3500

 

 現れたのは先ほどいた二体よりも巨大で白と橙を基調としたカラーリングの鋼鉄の武者

 

「さぁ、遊矢!!

 この男、権現坂の一撃を受けて見よ!!

 ビックベン―Kで遊矢にダイレクトアタック!!」

 

 鋼鉄武者、ビックベン―Kは主の命を聞き届け

 背中のバーニアを吹かしながら薙刀を振るい突撃するが

 

「リバースカード、超カバーカーニバル発動!!」

 

 突如響く第三者の声、ビックベン―Kの前に現れるのは

 

EM(エンタメイト)ディスカバー・ヒッポ「カバー!」

            DEF800

 

 この場に似つかわしくないシルクハットをかぶったピンク色のカバと

 

カバートークン(橙)「カーバ」

        DEF0

カバートークン(黄)「カバ」

        DEF0

カバートークン(青)「カァバァ」

        DEF0

カバートークン(緑)「カバアァァ!!」

        DEF0

 

 サンバ衣装を纏った4匹の色とりどりのカバたち

 カバたちは主を守るためにビックベン―Kの注意をそらす為に激しく踊る

 

「くっ!それを伏せていたか・・・

 相変わらず抜け目のない、だったら緑色のカバートークンを攻撃だ!!」

 

ビックベン―K「ハァァァ!!フンッ!!」

 

カバートークン(緑)「カバアアババァァァ!!」

 

 ビックベン―Kが薙刀を振り下ろすと緑のカバートークンは絶叫を上げて消滅した

 

「あったり前だろ、権現坂?伏せカードがブラフだけなんてそうそうないって

 さぁ、次の手はどうする?」

 

 飄々とした態度で橋の先にある門の上に月をバックに立つ少年

 昇と同じ白い学生服をマントのように羽織りうっすら笑う、緑と赤の混じった髪をもつその少年

 榊 遊矢は対峙する親友、権現坂 昇に挑発するように急かす

 

「俺はこれでターンエンド、さぁどこからでもかかってこい!!」

 

 飄々とする遊矢と熱く拳を握る権現坂

 そんな2人を観戦している少年は母親とその隣にいる中年代の男

 彼らが居る決闘(デュエル)塾、遊勝塾の臨時塾長、柊修三に質問する

 

「ねぇ?なんで、モンスターじゃなくてトークンを攻撃したの?

 それに相手のお兄ちゃんのモンスター守備表示みたいだけど、召喚したモンスターは攻撃表示かセットしかできないんじゃないの?

 そもそも、守備表示なのになんで攻撃しているの?」

 

「ははっ、質問攻めだな。

 じゃあ1つずつ答えていくぞ~

 超重武者ビックベン―Kは召喚時に守備表示になる効果を持っていて、さらに守備表示のまま攻撃できるんだ。

 おまけに守備表示のまま攻撃するとき守備力を攻撃力として計算してバトル出来るんだ」

 

「えぇ!?それって実質攻撃力3500のモンスターってこと!?」

 

「その通りだ!

 それに表示形式そのものは守備表示だから、ミラーフォースみたいな、攻撃表示に効果を及ぼすカードにも強いんだ!

 

 それと遊矢の使った超カバーカーニバルなんだが、デッキ、墓地、手札からEMディスカバー・ヒッポを特殊召喚し、さらにカバートークンを自分フィールドに可能な限り特殊召喚出来るカードなんだ。

 さらに相手はこのターン、カバートークン以外攻撃対象にできなくなっている。

 

 まぁ、代わりにカバートークンが存在する限り、遊矢はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚出来なくなっているがな。

 さぁ、ここから遊矢がどう返すか・・・見ものだな。」

 

「俺のターン、ドロー

 さぁ、このターンで幕引きと行こうか!

 俺はマジックカード、ミニマム・ガッツを発動

 俺のモンスターを1体、ディスカバー・ヒッポをリリースして、ビックベン―Kの攻撃力を0にする」

 

ディスカバー・ヒッポ「ヒポッ!」

 

 ディスカバー・ヒッポは主人の勝利の為に爆走し、自分の体の3倍はあろうかというビックベン―Kに突撃する、残った仲間が勝利を掴むと信じて

 そして、ディスカバー・ヒッポの決死の特攻を受けたビックベン―Kは自身の動力部に違和感は覚えたが平然とした様子だった

 

ビックベン―K ATK1000→0

 

「何と無駄なことを・・・ビックベン―Kは守備表示、攻撃力を下げたところで無意味だ!」

 

 決死の特攻で散った仲間の献身を無駄にするようなまねをする遊矢に権現坂は憤る

 だが、月の光を背に腕を組む遊矢は不敵に笑っていた

 

「それはどうかな?

 リバースカードオープン!トラップカード、反転世界(リバーサル・ワールド)!」

 

「何!?それは最初のターンから伏せられていたカード!!」

 

「言っただろ?伏せカードがブラフなんてそうないってさ

 このカードの効果でフィールド上の効果モンスターの攻守は逆になる!」

 

 ビックベン―Kが感じていた違和は遊矢のその言葉を受け、動力部の暴走と言う事態となって発現する

 自身の体に膨大なパワーが宿るのを感じるが、その有り余るエネルギーはビックベン―Kの堅牢なボディを内側から破壊していく

 

ビックベン―K DEF3500→0

        ATK0→3500

 

「なっ!?ビックベン―Kの守備力が0に」

 

「これでフィナーレだ!

 行け、カバートークン!ビックベン―Kに攻撃だ!」

 

 カバートークン達は遊矢の命令を受け、暴走するビックベン―Kに向かっていく

 ビックベン―Kは迎撃しようとするが制御の利かない体では見かけによらない軽やかさで舞うように動く、カバートークン達を捉えることは出来なかった

 

「カバートークンの攻撃力は0、攻守0同士ならば戦闘ダメージはないぞ、遊矢!!」

 

「いや、そうでもないんだな~これが」

 

 憤る権現坂に対して飄々と答える遊矢は自身の足元に伏せられているカード

 アクションカードに手を掛ける

 

「よし、アクションマジック、エクストリーム・ソード

 フィールドのモンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップ!」

 

「なんだと!?」

 

 ビックベン―Kの攻撃をかわし続けていたカバートークン達の内の一体が背後に回り込み、いつの間にか持っていたナイフをビックベン―Kの中心、動力部に突き刺す

 

ビックベン―K「グオッ!!」

 

「くっ!だがビックベン―Kは守備表示、ダメージはな」

 

「ミニマム・ガッツのもう1つの効果

 効果対象モンスターが戦闘で破壊され相手の墓地に送られた時

 そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える」

 

「なっ!?」

 LP1000

 

「ジャストキル達成だ。」

 

――パチンッ!

 

 そう言って遊矢が指を鳴らすと、カバートークン達は遊矢の下に下がり

 暴走状態に追い打ちを掛けられたビックベン―Kは爆散し、権現坂を吹き飛ばす

 

「うおおぉぉぉ!!」

 LP1000→0

 

 体を打ちつけて転がる権現坂、そのライフポイントが0になると、月夜の橋舞台は光と共に崩れていき、無機質なドーム状の空間にかわる

 

「おいおい、大丈夫か、権現坂?」

 

 手を伸ばす遊矢だがそれに権現坂は待ったをかける

 

「勝者の情けなどいらぬ。これも俺が未熟だっただけのこと、心配は無用だ」

 

 何ともないとばかりに起き上がる権現坂、それに苦笑いする遊矢

 これがこの塾の何時もの光景である

 そのいつもの光景を見ていた少年、山城タツヤは興奮した様子で修三と自分の母親に言う

 

「すごい!!あんなに強力なモンスターをトークンで倒すだなんて!!」

 

「あらあら、この子ったら

 ふふ、息子もこの調子ですし、塾長さんよろしくお願いできますかしら?」

 

「はい、任せてください!

 我らが遊勝塾の熱血指導で立派なデュエリストにしてあげますともハッハッハッ!!」

 

 目標が出来たことで瞳を輝かせる少年タツヤと

 息子の未来が広がったことに喜ぶ母と新たな生徒を迎えることが出来たことに笑う修三

 喜びがあふれるその空間、それを横目で見つめる視線の先

 榊遊矢の胸中は焦りに近いものが渦巻いていた

 

『山城タツヤの塾見学、つまり第1話冒頭か・・・

 はぁ~あの様子だとだいぶ展開が変わりそうだけど、どうなることやら』

 

 内心でため息を吐く遊矢、いや榊遊矢になってしまった者

 そう、これは紡がれた物語に入り込んでしまった異物の物語

 そして、その異物によって運命を変えられた者たちが紡ぐ物語

 止まってしまった振り子が再び動き出す物語、その物語の序章なのである




思えば、これが最初の中断デュエルだった

「CC」カード群の効果について

  • 制作したものをそのまま使用
  • 後付け効果を削除
  • メインに入るカードの後付け効果のみを削除
  • EXのカードのみをアニメ寄りにして使用
  • 完全にアニメカードそのまま

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