遊戯王ARC-V Rーe:birth   作:深海の破壊大帝

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うぅ・・・先週中に投稿できなかった・・・すいません

今回は零羅3本勝負、第二弾素材にすることができない相手をお送りいたします


巨影を写す瞳

「大会も今日で4日目、キサマのメガネにかなう奴はいたのか?

 ユースとか言うコースの奴らは児戯にも等しい奴ばかりだが」

 

「あぁ、だがジュニア、ジュニアユースのデュエリストは申し分ない

 まさか、これほどに実力に差が出るとはな・・・」

 

「・・・・・・」

 

 暗がりに浮かぶ無数のモニター

 この大会、いやこの街の全てを監視する管制室

 目の前に映る映像にはデュエリストの戦いを、まだかまだかと待っている観客たちが映し出されている

 

「どうした、ユート?」

 

「いや、良い笑顔だと思っていただけだ・・・」

 

 俺たちの世界から無くなってしまったモノ、奪われたモノ・・・

 またいつか俺たちの世界にも来るのだろうか・・・デュエルを楽しみ、熱くなり、笑顔になる日が

 

「ユート・・・」

 

 そして俺は思ってしまう、この笑顔を壊したくないと・・・

 あのデュエリスト達を戦いに巻き込みたくないと

 

「零児、彼らを戦いに巻き込むのはやめないか?

 これは俺たちの問題だ、エクシーズ次元はまだ落ちてはいない

 この世界に奴らが侵攻してくるのもまだ先のはずだ

 だったらその前に、奴らの本拠地に乗り込み、決着を着ければ・・・」

 

「だめだ!

 気持ちはわかるが、これは私個人や、君たちエクシーズ次元の人間だけの問題ではない

 それに私達だけでは明らかに力不足・・・

 私がランサーズ候補にと用意していた人員でも、君たちに拮抗できるものは極わずか

 このままアカデミアに乗り込んでも返り討ちに遭うだけだ」

 

 正論だ

 俺たちが対峙していたのはあくまで侵攻部隊であり、アカデミアの全貌は見えていない

 

「それに柊 柚子の事もある。」

 

 以前俺が出会ったこの次元の瑠璃と似た顔をした少女

 瑠璃と同じように、彼女を狙いアカデミアが来る可能性は高い、だが

 

「しかし、あんな幼い、君の弟まで戦場に送りだそうなど、正気か?」

 

 そう、赤馬零児の組織するランサーズには候補ではなく、正式な人員として彼の弟、赤馬零羅が記載されていた

 アカデミアに対抗するための実戦部隊と銘を打っておきながら、あんな幼い子供を人員に加える必要はない筈だ

 

「たしかにな

 あんな子供が戦いの役に立つとは思えん、むしろ邪魔だ!」

 

「いや零羅の力は必ず、アカデミアとの戦いにおいて必要になる。」

 

「何故そう言い切れる?」

 

「零羅は・・・私の本当の弟ではない」

 

「「!?」」

 

「ある紛争地帯にいた孤児だった・・・

 そしてその過酷な環境で、生き残るために特異な能力を身につけていた。」

 

「能力?」

 

「自分というものを捨て、他者に成り切る、あるいは他人の指示を完璧に遂行する

 自分は器となり、そこに他者の意志を満たして生きる

 そんな操り人形としての力」

 

 それほど壮絶な過去があの少年に・・・だが

 

「だったら尚更、反対だ!

 俺たちはあの子のデュエルを見ていたが、操り人形などではなかった!」

 

 くじけそうになっても、立ち上がったあの姿は間違いなく決闘者(デュエリスト)だった!!

 物、ましてや兵器などではなかった!

 

「あぁ、そうだな、その通りだ・・・」

(操り人形である零羅は、我々の力となりうる・・・そう母様は言っていたが・・・

 自我の芽生え・・・あの遊勝塾の少女とデュエルしてから零羅は変わってきた

 そのことを母様に話せば舌打ちをするかもしれない。だが私は)


『盛り上がってますかなー!!舞網市ー!!そして全デュエリストの皆様ー!!

 舞網チャンピオンシップも本日で佳境の4日目!!

 ここメインスタジアムの最初のプログラムはジュニアコースの準決勝をお送りします!』

 

――わあああぁぁぁぁぁぁ!!

 

 うひゃ~すごい歓声だぜ

 これがみんな、俺たちのデュエルを身に来た人達だなんて痺れるぅ~

 

『では選手入場です!

 遊勝塾所属、超大型モンスター「壊獣」の使い手

 その痺れるぅ~強さを今日も見せてもらいましょう!原田フトシ選手です!!』

 

「おっしゃ、行くぜ!」

 

「フトシ~!!」

 

「フトシ、頑張れよー!!」

 

「おう!父ちゃん、母ちゃん行って来るぜー!!」

 

『続きましては2回戦では巧みなディフェンスタクティクスと融合召喚で激戦を制した

 レオ・デュエル・スクール所属、赤馬零羅選手です!!』

 

「零羅君もがんばってねー!!」

 

「!?」

 

 ん?なんだ、アユからの応援に驚いたのか?

 まぁ、あいつ声でけぇからな、いきなり聞こえたら驚くのも無理ないぜ

 

『では両者スタート位置に付いたところで、フィールド魔法の選択です

 今回の戦いの舞台は・・・これ!フィールド魔法、ダークタウンの幽閉塔』

 

 照り付ける太陽の日差しが夜闇に消え、明るく活気付く摩天楼と暗いアウトロー街が現れ、2人はその2つの街を繋ぐ橋に鎖の巻きつく高い塔を挟んで対峙する

 

(あっ!?これって沢渡と遊矢兄ぃちゃんがよくデュエルで使っている奴だ!?

 って、ことはあんまりアクションカードを取りにいけないな・・・)

 

『ほの暗いビターな雰囲気漂う、このフィールドの罠を掻い潜り、決勝へと駒を進めるのはどちらか!

 さぁ、参りましょう!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!』

 

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よこれぞ・・・デュエルの最強進化系・・・」

 

『アクショーン!!』

 

『『決闘(デュエル)』』

 

「・・・先攻は僕から・・・僕は手札から速攻魔法、手札断殺を発動

 互いのプレイヤーは自分の手札を2枚捨てて2枚ドローする・・・」

 

『おぉ~!零羅選手、最初のターンから遊勝塾のお株を奪う、手札断殺を発動だー!』

 

「俺も2枚捨てて2枚ドローだ!」

 

「そして僕は銀塩の魔術師(フィルム・マジシャン)を召喚・・・」

 

銀塩の魔術師(フィルム・マジシャン)「フッ!」

      ATK0

 

「普通のモンスター?」

 

 零羅のフィールドに現れるレンズの付いた帽子にフィルムの意匠がある胴着を着た小さな魔術師

 零羅が普通のモンスターを出したことにフトシは僅かながら驚く

 

銀塩の魔術師(フィルム・マジシャン)は戦闘では破壊されない

 そして、相手モンスターと戦闘するとき相手モンスターと同じ攻撃力となる。

 カードを1枚伏せて、エンドフェイズ

 

 墓地に送られた彼岸の悪鬼 スカラマリオンの効果を発動

 デッキから闇属性でレベル3の悪魔族モンスターを手札に加える。

 僕はCC隻眼のパスト・アイを手札に加える、これでターンエンド」


「戦闘では無敵のモンスター、伏せ1枚、そして手札には起点モンスターらしきカードが入った、っと」

 

「へぇ~普通に強いカード持っているんだねぇ~」

 

 攻撃力をコピーするモンスターではあるけどな、あのモンスター

 にしても『彼岸』も交じっているのか・・・

 まぁ、複数のサーチカードに対応しているパスト・アイがメインのデッキなのだから当然と言ったら当然だけど・・・

 

「遊矢、ここからどうなると思うのだ?」

 

「ん、あ~フトシが負ける要素は少ない、かな?」

 

「遊矢先生、それはどういう事でしょうか?」

 

「前のアユとのデュエルを見る限り、あの子のデッキは属性メタデッキ

 フトシのデッキは単純に属性がバラバラだし、それにレベルが高すぎる。」

 

「あ~そういえばあのCCCって融合モンスター、レベル5、6の水属性モンスターが融合素材だったような・・・」

 

「だろ?アユが言ったようにあの子の主力を出すにはフトシのデッキは基本レベルが高すぎて素材にすることは難しい」

 

 方法がないわけじゃないけど

 

「そうね、戦闘では無敵と言ってもフトシ君のデッキって、そういうの関係ないもの」

 

 そう、フトシのデッキはあのコピーデッキで勝つことは難しい

 高レベル体の融合はあの亡霊が憑りついていないから、ない筈だしな

 自我が希薄またはほぼないというのが原作でのあの子の出だしだった

 それが、神竜アクアバザル、彼岸の悪鬼スカラマリオンと、明らかに戦術として機能するカードがデッキに織り込まれている

 言葉を借りるなら、戦略を考え、戦術を駆使する基礎が育っているということ

 それが誰かのまねである可能性も否定はできないが・・・未来は着実に変わっている

 さてさて、どう転ぶことやら・・・


「よっっしゃー!痺れさせてやるぜー!!

 俺のターン、ドロー!

 俺はまず永続魔法、壊獣の出現記録を発動

 壊獣モンスターが手札、墓地から特殊召喚される度にこのカードに壊獣カウンターを乗せるぜ」

 

 んで俺はお前の銀塩の魔術師をリリースして、こいつをお前のフィールドに攻撃表示で特殊召喚するぜ

 現れろ、電撃壊獣サンダー・ザ・キング!」

 

――ゴロゴロ、ビッシャッ!!

 

「うわっ!?」

 

 ダークタウン上空に暗雲が発生し、雷が銀塩の魔術師(フィルム・マジシャン)を貫く

 それを皮切りに無数の雷が降り注ぎ、それは零羅の頭上で一つとなり、その中から三つ首の竜が出現した

 

サンダー・ザ・キング「ギャアアァァァァ!」「クルルルル!」「キュオオオォォォ!」

          ATK3300

 

 壊獣の出現記録 壊獣C0→1

 

「へへっ!戦闘には無敵だって、リリースできない訳じゃないもんね!

 壊獣が手札から特殊召喚されたから壊獣の出現記録に壊獣カウンターが乗ったぜ

 さらに壊獣の出現記録の効果発動、自分、相手フィールド上の壊獣モンスターを1体破壊して、デッキからその破壊したモンスターのコントローラーのフィールドに破壊したモンスターと名称の異なる壊獣モンスターを1体特殊召喚するぜ

 俺はサンダー・ザ・キングを破壊して対壊獣用決戦兵器メカサンダー・キングをお前のフィールドに特殊召喚するぜ!」

 

 サンダー・ザ・キングの周りの空間が歪み、その姿が改造を施された未来の姿に変わる

 中心の首は巨大なレーザー砲へ、各部に補強パーツやアーマーが装着されたサイボーグ壊獣へと

 

メカサンダー・キング「「キュオオオォォォン」」

          ATK2200

 

「まだまだ行くぜ!相手フィールド上に壊獣モンスターが存在するとき、こいつを攻撃表示で特殊召喚出来る!

 出現!多次元壊獣ラディアン!」

 

ラディアン「フォフォフォフォフォフォフォ!」

     ATK2800

 

 不気味な笑い声のような声を響き渡らせ、黒塗の蟲の様な異星人が摩天楼に出現する

 

 壊獣の出現記録 壊獣C1→2

 

「そして、ラディアンの効果発動

 フィールドの壊獣カウンターを2つ取り除いて、ラディアントークンを1体呼び出すぜ

 俺は壊獣の出現記録の壊獣カウンターを2つ取り除いて、分身だラディアン!」

 

 壊獣の出現記録 壊獣C2→0

 

ラディアン「フォフォフォフォフォフォフォ」

 

ラディアントークン「フォフォフォフォフォフォフォ!」

         ATK2800

 

 虫の鳴き声のような音と共にラディアンの像がぶれ、ラディアンとまったく同じ姿をしたトークンが現れ、ラディアンと共に笑い出す

 

「よし、バトル!

 まずはラディアントークンでメカサンダー・キングに攻撃だー!」

 

ラディアントークン「フォフォフォ!!」

 

 ラディアントークンは摩天楼の大通りを疾走

 それを迎撃するためにメカサンダー・キングは2つの頭から電撃光線を放射

 しかしラディアントークンはビルを足場に軽快に跳び上がるとメカサンダー・キングの背後を取り、そのまま鋭利な爪でコアを貫き破壊した

 

メカサンダー・キング「ギャアァァァァ・・・」――バンッ!

 

「うぅ・・・」

 LP4000→3400

 

「メカサンダー・キングは壊獣との戦闘では破壊されないけど、ラディアントークンは壊獣じゃないから破壊可能だぜ

 んで、がら空きのお前にラディアンでダイレクトアタックだ!」

 

 分身の活躍をビルに腰掛けながら見物していたラディアンはフトシの命を受けて、手に赤い光球を作り出し、零羅に向かって放り投げる

 だが、適当に放り投げられた光球は零羅に直接あたることはなく零羅の背後の街に落ち、爆発する

 

「うわああぁぁ!?」

 LP3600→800

 

『おぉーっと、ここで零羅選手、早くも大ダメージ!』

 

「うぅ・・・はっ!?」

 

 零羅の目に映る焼けた街、それは零羅の過去に刻まれた記憶を刺激する

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ!!」

 

 様子の変わった零羅をフトシは訝しんで声をかける

 

「お、おい、大丈夫かよ?」

 

「はぁ、はぁ・・・」

 

≪私はこんな形でデュエルを終わらせたくない≫

 

「!!」

 

≪だって、あなたとのデュエル、すっごく楽しいんだもん!≫

 

 掘り起こされる記憶、だがそれを上書きするように少女の言葉が零羅の頭に浮かぶ

 そして思う、この戦い(ゲーム)をここで終わらせたくは無いと

 

「だ、大丈夫・・・」

 

「そ、そうか?だったら俺のメイン2いくぜ

 俺はチューナーモンスター、守護竜ユスティアを召喚!」

 

 ユスティア ATK0

 

 フトシの背後に半透明なオーラの様な竜が現れる

 

「チューナー・・・」

 

「おう!俺はレベル7の多次元壊獣ラディアンにレベル2の守護竜ユスティアをチューニング

 シンクロ召喚!浮鵺城!!」

 

 ユスティアが2つの光のリングとなると、ラディアンはその中に飛び込み、光が天へと延びる

 そして、その光に導かれるように夜天の空に巨大な浮かぶ城が出現する

 

 浮鵺城 DEF3000

 

「浮鵺城の効果発動、このモンスターがシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地のレベル9モンスター1体を特殊召喚するぜ

 戻ってこい!電撃壊獣サンダー・ザ・キング!」

 

サンダー・ザ・キング「「「ギャオオオォォォォォォォ!!」」」

          ATK3300

 

 壊獣の出現記録 壊獣C0→1

 

 浮鵺城から跳び立つ3つ首の竜、サンダー・ザ・キングが再びダークタウンへと舞い戻る

 

『何と凄まじいフィールドでしょうか!

 超大型モンスターが3体並んでおります

 それだけではなく、浮鵺城の効果によりレベル8以下のモンスターは召喚、特殊召喚したターン中に攻撃できなくする徹底ぶりであります!』

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだぜ!」

 

「僕の・・・ターン!ドロー

 僕はCC隻眼のパスト・アイを召喚」

 

 パスト・アイ ATK1400

 

(来た、痺れるくらい不気味なモンスター!

 でも、俺のモンスターは融合素材にできないし、属性もバラバラだぜ!

 おまけにレベル8以下のモンスターは攻撃できないしな!)

 

「僕は君の浮鵺城をリリースしてサタンクロースを、君のフィールドに守備表示で特殊召喚」

 

 夜空に浮かぶ浮鵺城、それが突如爆散し、赤と白の体色の悪魔が幽閉塔へと着地する

 

サタンクロース「ハッハッハッハッ!」

       DEF2500

 

「うえっ!?浮鵺城が!?」

 

『なんと零羅選手、原田選手の十八番戦法をやり返した!!』

 

「さらに永続トラップ、DNA移植手術を発動

 フィールドのモンスターすべてを僕の宣言した属性にする

 僕は地属性を選択」

 

 パスト・アイ     属性闇→地

 

 サタンクロース    属性光→地

 サンダー・ザ・キング 属性光→地

 ラディアントークン  属性闇→地

 

「げっ!?属性が統一された!?」

(おまけにこのサタンクロースってモンスター、レベル6じゃねぇか!?)

 

「そして、永続魔法、写真融合(モンタージュ・フュージョン)を発動」

 

「うっ!?やっぱり来やがったか!!」

 

「このカードは1ターンに1度、融合モンスターによって決められた融合素材モンスターが自分及び相手フィールド上にそれぞれ1体以上ずつ存在する場合に、自分フィールド上からのみ融合素材モンスターを墓地に送り、その融合素材モンスターを素材にした融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 僕は地属性となったレベル6のサタンクロースを撮影し、CC隻眼のパスト・アイと融合する!

 聖夜の悪魔よ、我が目に宿りて、その力を捧げよ!融合召喚!

 現れろ!全てを切り裂く鋼の剣!CCC武融化身ロック・ソード!!」

 

 パスト・アイが光に包まれ、その光の中から現れる一振りの剣

 カットラスに似た形状の岩で構成され、柄の近くには目が存在し生物的な印象を醸し出している

 

「地属性!?水属性だけじゃなかったのか!?」

 

「ロック・ソードは攻撃するとき、フィールド上のこのモンスター以外の地属性モンスターの攻撃力の合計分、自分の攻撃力をアップできる。」

 

「ってことは3300と1200と2800と2400で・・・えぇ~と、9700!?

 そんなもん、受けてたまるか!

 

 俺は永続トラップ、壊獣捕獲大作戦を発動

 1ターンに1度、フィールド上の壊獣モンスターを裏側守備表示にして、このカードに壊獣カウンターを置く

 俺はサンダー・ザ・キングを裏側守備表示にする。」

 

 主の命を聞き、サンダー・ザ・キングが川の中に飛び込み隠れる

 

(これで倒しきれなくなった・・・でも!)

「ダメージは避けきれない!行って、ロック・ソード!ラディアントークンへ攻撃!」

 

 ラディアントークンとサタンクロースからオーラがロック・ソードに吸い取られ、背後の倒壊した建物から瓦礫が集まってきて、ロック・ソードがラディアントークンを超すほどに巨大化する

 しかし、フトシもそれを黙ってはいない

 落ちていたアクションカードを即座に拾い発動させる

 

「アクショントラップ、ジャンクショット発動!

 自分フィールド上のモンスター、サタンクロースの攻撃力を400ポイント下げるぜ!」

 

 塔の上で笑い続けていたサタンクロースに何故か巨大なビリヤードの玉が飛来し、サタンクロースを地上に叩き落す

 

 サタンクロース ATK1200→800

 

 ロック・ソード ATK2400→6000

 

「うわぁぁぁぁぁ!!くうぅ、危なかったぜ・・・」

 LP4000→800

 

『何と原田選手、本来ならデメリット効果であるアクショントラップ、ジャンクショットの効果を使いダメージを軽減!

 デメリットすらもメリットに変えるとは、驚きです!』

 

「僕は墓地のネクロ・ディフェンダーの効果発動

 このカードをメインフェイズに除外することで、自分フィールド上のモンスター1体は次の相手のエンドフェイズにまで戦闘で破壊されず、そのモンスターの戦闘による自分への戦闘ダメージも0になる。

 僕はこの効果をロック・ソードに発動」

 

 効果が終了し元に戻ったロック・ソードの背後に頭蓋骨から直接腕が生えている様な見た目の紫のモンスターが現れ、ロック・ソードに自身を吸収させた

 

「僕はカードを1枚伏せて、ターンエンド

 サタンクロースの効果、自身の効果で特殊召喚された時、君は1枚ドローできる」

 

「おっ、いいのか?だったら遠慮なくドローさせてもらうぜ

 さらに俺のターンで、ドロー!

 俺はサンダー・ザ・キングを反転召喚!」

 

――ザバアァァァァン!

 

サンダー・ザ・キング「「「ギュオオォォォォンン」」」

          ATK3300 属性光→地

 

「んで、壊獣の出現記録を発動して、さらに壊獣捕獲大作戦をチェーン発動

 まずは壊獣捕獲大作戦の効果でサンダー・ザ・キングをまた裏側表示へ」

 

 壊獣捕獲大作戦 壊獣C1→2

 

 浮上したサンダー・ザ・キングが再び川の中に潜る

 

「今度は壊獣の出現記録の効果でサンダー・ザ・キングを破壊してデッキから粘糸壊獣クモグスを特殊召喚するぜ!」

 

クモグス「キュオオォォォォォ!!」

    ATK2400

 

 そして、川の中から飛び出す巨大な蜘蛛、奇声を発しながら体を振り、水を弾き飛ばす

 

「さらにマジックカード、おろかな埋葬を発動

 デッキのモンスター、守護竜ユスティアを墓地に送るぜ

 

 もう一発、マジックカード、トライワイト・ゾーンを発動

 墓地からレベル2以下の通常モンスターを3体選択し特殊召喚するぜ

 戻ってこい!3体のチューナーモンスター、守護竜ユスティア!」

 

 ユスティア DEF2100 属性光→地

 ユスティア DEF2100 属性光→地

 ユスティア DEF2100 属性光→地

 

(またチューナー!?

 でも、フィールドは埋まっているし、ロック・ソードは戦闘で破壊されずダメージもない)

 

「俺はレベル7の粘糸壊獣クモグスにレベル2の守護竜ユスティアをチューニング、シンクロ召喚!

 出撃だ!灼銀の機竜(ドラッグ・オン・ヴァーミリオン)!!」

 

――ドルルルルッ!

 

 無数の砲を備えた竜戦車が主の前に立ちはだかるものを撃退するために出撃する

 

灼銀の機竜(ドラッグ・オン・ヴァーミリオン)「ギュオオォォォン!」

     ATK2900 属性炎→地

 

灼銀の機竜(ドラッグ・オン・ヴァーミリオン)の効果発動だぜ

 1ターンに1度、自分の墓地、手札及び自分のフィールドの表側表示モンスターの中からチューナー1体を除外して、フィールドのカードを1枚破壊する。

 俺は墓地の守護竜ユスティアを除外して、お前のロック・ソードを破壊だ!

 ヴァーミリオンメーサー、照射!!」

 

 灼銀の機竜(ドラッグ・オン・ヴァーミリオン)の竜の頭部から青白い雷撃が放たれ、ロック・ソードは派手に火花を上げて爆散する

 

「!?」

 

「いよッしゃー!!

 このままドンドン行くぜ!装備魔法、戦線復活の代償

 自分フィールド上の通常モンスター1体を墓地に送って、互いの墓地の中からモンスター1体を特殊召喚

 再登場だ!多次元壊獣ラディアン!」

 

 ユスティアの1体が消えると、空が割れてそこからラディアンがフィールドに舞い戻ってくる

 

ラディアン「フォフォフォフォフォ!」

     ATK2800 属性闇→地

 

「墓地から壊獣が特殊召喚されたことで壊獣の出現記録に壊獣カウンターが乗る。」

 

 壊獣の出現記録 壊獣C1→2

 

「ラディアンの効果発動

 壊獣捕獲大作戦の壊獣カウンターを2つ取り除いて、ラディアントークンを特殊召喚」

 

 壊獣捕獲大作戦   壊獣C2→0

 

 ラディアントークン ATK2800 属性闇→地

 

「そしてこいつが俺の隠し玉!墓地のギャラクシー・サイクロンを除外して効果発動

 自分のメインフェイズに墓地のこのカードを除外することで、フィールドの表側表示のマジック、トラップカードを1枚破壊する

 俺が破壊するのはDNA移植手術だ!」

 

 空間が捻じ曲がり、発生したワームホールの中に零羅のDNA移植手術が呑み込まれる

 

 ラディアン     属性地→闇

 ラディアントークン 属性地→闇

 灼銀の機竜(ドラッグ・オン・ヴァーミリオン)   属性地→炎

 

『うおぉ!これは零羅選手が最初のターンで使った、手札断殺によって墓地に送られたカード!

 ここに来て、零羅選手、自身のキーカードを潰す結果を作ってしまっていたー!』

 

「これでロック・ソードを復活させても無駄だぜ!

 バトル!灼銀の機竜(ドラッグ・オン・ヴァーミリオン)でダイレクトアタック!」

 

「させない!僕は、負けない・・・まだ!

 トラップ発動、ピンポイント・ガード!

 自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を守備表示で特殊召喚

 この効果で特殊召喚したモンスターは、このターン戦闘、効果で破壊されない

 来て!CC隻眼のパスト・アイを特殊召喚!」

 

 パスト・アイ DEF1000

 

 灼銀の機竜(ドラッグ・オン・ヴァーミリオン)の一斉射を零羅の前に現れたパスト・アイが防ぐ、絶対砕けぬとその眼に意思を込めて

 

「ひやぁ~こいつも駄目か~

 痺れるくらい、硬い奴だぜ・・・だったら、メインフェイズ2

 俺はレベル7の多次元壊獣ラディアンにレベル2の守護竜ユスティアをチューニング、シンクロ召喚!

 出撃だ!2体目の灼銀の機竜(ドラッグ・オン・ヴァーミリオン)!」

 

灼銀の機竜(ドラッグ・オン・ヴァーミリオン)「ギャオオオォォォォォ!」

     ATK2900

 

 え~と、パスト・アイは効果も効かないし、とりあえず邪魔だからこいつにするか

 

灼銀の機竜(ドラッグ・オン・ヴァーミリオン)の効果発動

 墓地の守護竜ユスティアを除外して、サタンクロースを破壊するぜ!」

 

(相手のモンスターはすべて高レベル、僕のデッキにはレベル7以上をどうにかするカードはない

 サタンクロースを破壊されるわけにはいかない!)

 

 落下の衝撃でいまだ蹲るサタンクロースに向かって灼銀の機竜の口の砲門が向けられる

 零羅はエネルギーが放たれる前に、橋を支えているワイヤーにくっ付いているアクションカードをパスト・アイを足場にして、掴み発動させる

 

「アクションマジック、ミラー・バリアをサタンクロースを対象に発動

 このカードはフィールド上のモンスター1体をターン終了時まで効果破壊から守る!」

 

(!?すげぇ~あいつ、このフィールド、トラップが大半なのにマジックを引き当てやがったぜ!!)

「痺れるうぅぅぅぅ!すげぇーな、お前!やられたぜ!

 でも、俺だって負けねぇからな!エンドフェイズ、墓地の対壊獣用決戦兵器メカサンダー・キングの効果発動

 デュエル中に1度だけ、自分のエンドフェイズにこのカードを墓地から特殊召喚する

 メカサンダー・キング再発進だ!」

 

メカサンダー・キング「ギャオオオォォォ!」「キュルルル!」

          DEF2100

 

「壊獣が墓地から特殊召喚されたから壊獣の出現記録に壊獣カウンターが乗るぜ」

 

 壊獣の出現記録 壊獣C2→3

 

(よし、これで次のターンの準備はばっちりだ)

「俺はこれでターンエンド!さぁ、次はどうやって痺れさせてくれるんだ!」

 

 挑発などではなく、純粋に零羅の次のターンが楽しみなフトシ

 だが、着実に彼に追い詰められた零羅は、次のドローをする手が止まってしまう

 

「僕のターン・・・

(さっきはなんとか守れた・・・でも、もう手札も、墓地にも発動できるカードがない・・・どうしよう・・・)

 

 思わず動いた体、だが、もう現状を変えるようなカードは手元にはない

 

(次のドローが最後・・・負けたら・・・)

 

 零羅の心に靄がかかりはじめる

 負けたらどうなる?母は自分を罵るだろう、だが兄はどうするだろうか?そんな考えが頭の中でぐるぐると廻る

 そこで零羅はふと、前のターン自分を守ってくれたモンスター、パスト・アイをみる

 

(兄様のくれたモンスター、兄様のくれたヒカリ・・・)

 

≪君とのデュエルすっごく面白かったから、またやりたいなって、ダメ・・・かな?≫

 

(僕とのデュエルを面白いと言ってくれる・・・)

 

≪痺れるうぅぅぅぅ!すげぇーな、お前!やられたぜ!≫

 

(僕の事を凄いと言ってくれる・・・)

 

 空っぽだった心に言葉が注がれていく、そして、零羅はこう思った

 

(ここで負けたくない!)

「ドロー!!

 僕はマジックカード、アームズ・ホールを発動

 デッキの上から1枚を墓地に送り、このターン通常召喚が出来なくなる代わりにデッキ、墓地から装備魔法を1枚手札に加える。

 僕が手札に加えるカードは幻惑の巻物!」

 

(幻惑の巻物?すっげー古いカードだったような、効果はえ~っと・・・なんだっけ?)

 

「さらに墓地に送られたシャッフル・リボーンの効果発動

 1ターンに1度、このカードを除外し、自分フィールド上のカードを1枚デッキに戻してシャッフルし、その後1枚ドローする。

 僕は写真融合をデッキに戻す!」

 

(融合カードをデッキに戻すのかよ!?)

 

「シャッフル・リボーンの効果でデッキから1枚ドロー

 よし、僕は幻惑の巻物をサタンクロースに装備

 このカードは装備モンスターの属性を僕の宣言した属性に変える

 僕はサタンクロースを地属性に変更」

 

 サタンクロース 属性光→地

 

「そして速攻魔法、パスト・チューニングを発動!」

 

 チューニング!?

 

「このカードは自分フィールド上にCC隻眼のパスト・アイが居る時、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動

 選択したモンスターのレベルが5か6の時、そのモンスターのレベルをエンドフェイズまで3にする。」

 

 サタンクロース LV6→3

 

「モンスターのレベルを調整?チューニング・・・

 まさか、俺のフィールドのモンスターを利用してシンクロ召喚を!?」

 

「そう、そして、パスト・アイはこのカードの効果でチューナーとして扱う

 焼き付けられし聖夜の悪夢、我が目と調和し、その力捧げよ!」

 

 パスト・チューニングにサタンクロースの姿が映し出され、パスト・アイと共に一筋の光となる

 

「現れろ!全てを打ち抜く精巧なる銃!レベル6、CCC撃調化身ロック・シューター!!」

 

 ロック・シューター ATK2200

 

 現れたのは岩でできたボウガンの様なモンスター、だが本体部分には牙や目の様な意匠があり、ロック・ソードよりもさらに生物的な見た目となっている

 

「ロック・シューターは攻撃の際、攻撃力をフィールドのこのモンスター以外の地属性モンスターのレベル×200ポイントアップする。」

 

 今度はレベル合計かよ!?

 あっぶねぇ~さっき、DNA移植手術を破壊してなかったらやられてたぜ

 

「それでもまだ俺のライフは残るぜ!まだまだ痺れ足りないぜ!!」

 

「いや、これで終わり

 ロック・シューターは1ターンに1度、相手フィールド上のモンスターの攻撃力を1000下げる。

 僕はラディアントークンの攻撃力を下げる。」

 

「なんだってー!?」

 

 ロック・シューターの銃口が口の様に展開し、緑色の光線がターゲットマーカーの様にラディアントークンを捉えた

 

 ラディアントークン ATK2800→1800

 

「行って、ロック・シューター!ラディアントークンに攻撃!!

 この瞬間、ロック・シューターの攻撃力は地属性モンスター、サタンクロースのレベル分、レベル3×200で600アップする!」

 

 ロック・シューター ATK2200→2800

 あの状況から、逆転してくるのかよ!!すげぇぜ!!

 

 フトシは零羅の諦めない勇気に感動を受ける

 ロック・シューターから放たれたマグマの様な光線がラディアントークンを貫き、彼は吹っ飛びながら叫ぶ

 

「痺れたぜえぇぇぇぇぇ!!」

 LP800→0


 薄く雲のかかった空の下、無数の薔薇が咲く庭園で少年と少女が、お茶を飲みながらカードで遊んでいる

 

「むむむ・・」

 

 しかめっ面で唸る少女をみて、にやにやとした笑みを浮かべた少年が口を開く

 

「そういえばさぁ~そろそろ、僕、スタンダードに行けって言われそうなんだよね。」

 

「何?それは本当か?」

 

「うん、例の娘が見つかったみたい

 嬉しいなぁ~また、遊び相手が増える。」

 

「むぅ~なぜいつもいつも、お前ばかりが先陣を切れるのだ!

 私なぞ、ここから出たことがないのだぞ!!」

 

「ちょっとちょっと、僕に当たんないでよ

 文句ならプロフェッサーに言えば?」

 

 少年の皮肉に少女の眉間のしわが濃くなる

 

「そのプロフェッサーの所為で出られないんじゃないか!

 私だって先陣を切りたいぞー!戦いたいぞー!!」

 

 曇り空に少女の叫びが空しく響く、その様子を見て少年はある提案をする

 

「だったらさ、切っちゃえば?先陣を」

 

「なんだと!?」

 

「あの勲章おじさんに頼んでさ、転移装置を動かして貰えばいいじゃない

 そうしたら君を探すために僕も向こうに行けるだろうし、向こうの世界の子を連れてこいとも言われるだろうから、僕はその分長く楽しめるだろうしね。」

 

 少年の提案に少女は驚きと歓喜を浮かべて、少年を見る

 

「おぉ!それは名案だな!!

 ならば私はスタンダードで1番強いデュエリストをキサマよりも先に倒しておこう!」

 

「えぇ~一番強いのは僕に残しておいてよぉ~」

 

「いや、私が一番強いのだ!クイーンのフォーカードだ!!」

 

 テーブルに叩きつけられるカード、それを見て少年は笑みを浮かべる

 

「ざんね~ん、キングでファイブカードだよ」

 

「なっ!?ジョーカー入りとは聞いてないぞ!ユーリ!!」

 

「あっはっはっはっ!だって言ってないもん

 それに君、表情に出過ぎて丸わかりだから、ポーカーは向いてないよ?セレナ」

 

 決められた運命がある、だが、既に狂った運命もある

 あずかり知らぬところで外れた歯車は、何時から外れていたのだろうか?

 それは、きっと――




すっげー痺れたぜ!お前とのデュエル!!

痺れる?どこか具合が悪いの?

そうじゃなくてさー!こう、体が興奮してびりびりするって言うか・・・
あっ!次、遊矢兄ちゃんと沢渡のデュエルだ!
これはまた痺れそうだぜ!

・・・次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『未来都市の罠』
あとで辞書で調べよう・・・

「CC」カード群の効果について

  • 制作したものをそのまま使用
  • 後付け効果を削除
  • メインに入るカードの後付け効果のみを削除
  • EXのカードのみをアニメ寄りにして使用
  • 完全にアニメカードそのまま

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