遊戯王ARC-V Rーe:birth   作:深海の破壊大帝

3 / 81
本作のアクションデュエルのルール
・基本マスタールール3と同じ
・アクションマジックは共通効果として
(1) このカードが手札にあるとき相手ターン中でも発動できる。
(2) アクションカードは手札に1枚しか加えられない。
・アクショントラップは共通効果として
(1) このカードが手札にあるとき発動しなければならない。
(2) アクションカードは手札に1枚しか加えられない。
上記の効果を持っています。
・アクションカードの位置は基本ランダムでスポーンします。(オリジナル)
・フィールド魔法ゾーンはアクションフィールドが置かれている状態の為、互いに使用不可。



開演告げる鐘 ペンデュラム召喚

「「『決闘(デュエル)』!!」」

 

「先攻後攻はチャレンジャー、お前が決めな。」

 

「では、遠慮なく先攻で行かせてもらおう、っか!!」

 

 開始と共に遊矢は走り出す

 石島の背後にあったアクションカードを回収し、すぐさま備え付けられていた下降用のロープで逃走する

 

「くっ!?てぇめぇ!逃げる気か!!」

 

「そんな狭いところで戦ってられないだけさ

 俺は速攻魔法、手札断殺を発動

 互いのプレイヤーは手札を2枚選んで捨て、その後2枚ドローする。」

 

「おおっと、遊矢君

 ここでお得意のアクションカードを奪取してからの手札交換だ!

 先攻のドローできないデメリットもこれで帳消しだ!」

 

「さらに俺は、EM(エンタメイト)セカンドンキーを召喚」

 

セカンドンキー「ブルルッ!」

       ATK1000

 

 滑車で移動する遊矢の下に並走するように現れる、ハットと蝶ネクタイを付けた茶色いロバ

 遊矢はそれを確認するとロープから飛び下りてセカンドンキーの背中へ着地する

 

EM(エンタメイト)セカンドンキーの効果発動

 このモンスターが召喚、特殊召喚に成功した時、デッキからセカンドンキー以外のEM(エンタメイト)モンスターを墓地に送ることが出来る。

 俺はデッキからEM(エンタメイト)ジンライノを墓地へ送り、カードを1枚伏せ、ターンエンド

 さぁ!チャンピオン様のお手並み拝見と行きましょうか!!」

 

「ほざけ!すぐにとっ捕まえてやる!!

 俺のターン、ドロー!

 俺は魔法カード、蛮族の狂宴LV(レベル)5を発動!

 墓地か手札からレベル5の戦士族モンスターを効果を無効にして2体まで特殊召喚する。

 来い、バーバリアン1号!2号!」

 

 バーバリアン1号 DEF1800

 バーバリアン2号 DEF1500

 

 現れる赤と緑の鬼の様なモンスター

 足場がない場所に出現したため飛ぶ術のない彼らは、重力に従い落下するが彼らに恐怖はない

 彼らは自身の主が王を呼ぶための贄として呼ばれたのだから

 主の勝利を信じてこの身を投げだす

 

「このターン、こいつらは攻撃できねぇが、俺はこいつらをリリースしてアドバンス召喚」

 

 2人の蛮族の魂が光となり森に降り注ぐと、

 バキバキと木を折り砕く音と地響きを立てながら巨大な影が歩いてくる

 

「密林の奥地から、巨木をなぎ倒し現れるがいい。

 未開の王国に君臨する蛮族の王!バーバリアン・キング!!」

 

バーバリアン・キング「ウガアァァァ!!」

          ATK3000

 

 巨大な鉄製の棍棒を振るい鎧を身に纏った巨大な鬼、

 バーバリアン・キングの登場に観客が沸き立つ

 

「でたー!!いきなりチャンピオン石島のエースモンスターの登場だ!!」

 

―うおおおぉぉぉぉ!!

 

「親父には逃げられたが、お前は逃がさねぇ!

 さらに自分フィールド上に攻撃力2000以上のモンスターが居ることにより、

 手札のオーバーレイ・ブースターを守備表示で特殊召喚」

 

オーバーレイ・ブースター「ハッ!」

            DEF0

 

「さらにバーバリアン・キングの効果発動

 1ターンに1度、自身以外の自分フィールド上の戦士族モンスターを任意の数、リリースすることによりバーバリアン・キングの攻撃回数をリリースしたモンスター分増やす。

 俺はオーバーレイ・ブースターをリリース、そしてバトルだ!

 行け、バーバリアン・キング!セカンドンキーに攻撃!!」

 

バーバリアン・キング「ウオオォォォ!!」

 

 近未来的な鎧を身に纏った赤い戦士が現れるが、すぐに蛮族の王の糧となり消える

 そして主の命に応え蛮族の王が小さなロバをその棍棒で叩き潰そうとするが

 

「だから逃げているつもりはないって

 トラップ発動、キャトルミューティレーション

 自分フィールド上に存在する獣族モンスター1体を手札に戻し、同レベルの獣族モンスターを手札から特殊召喚する。

 来い、EM(エンタメイト)ロングフォーン・ブル!」

 

ロングフォーン・ブル「ブモッ!!」

          DEF1200

 

 セカンドンキーから降り、

 手札へと戻した遊矢は代わりに角が電話の様になっている2本足の青い水牛を呼び出し、

 その水牛ロングフォーン・ブルは迫る棍棒を華麗な技で捌いた

 

「ロングフォーン・ブルの特殊召喚成功により、

 デッキからEM(エンタメイト)モンスター、ヘルプリンセスを手札に加える。」

 

「ちっ!だったらその仔牛に攻撃だ!やれ、バーバリアン・キング!!」

 

「そうはいかない。

 墓地のジンライノの効果発動

 自分フィールド上のEM(エンタメイト)カードが戦闘および効果で破壊される場合、代わりにこのカードを除外できる。」

 

ロングフォーン・ブル「モオオオォォ!!」

 

 再び振り下ろされる蛮族の棍棒

 だが小さな水牛は仲間からもらった雷の力で筋肉を隆起させ棍棒を弾き飛ばす

 

「くっ!?だがバーバリアン・キングはこのターン、もう1度攻撃できる」

 

 たたらを踏み、倒れそうになるバーバリアン・キングだが踏みとどまり、その勢いのまま棍棒をロングフォーン・ブルに振り下ろす

 雷の力も消えたロングフォーン・ブルは2度目の攻撃には耐えきれず破壊された

 

ロングフォーン・ブル「ブモオオォォォ!」

 

「決まった!攻撃力3000のバーバリアン・キングがロングフォーン・ブルを粉砕!!

 ですが守備表示だったため、遊矢君へのダメージはゼロ!!この窮地を脱しましたー!!」

 

―すっげー!さすが狂った道化師(マッドピエロ)

―あのチャンピオンの攻撃を防ぎやがったぜ?

―俺だったら何もできずワンキルだよ

 

 始まる前は侮蔑し罵っていた観客たちも、2人の攻防にいつしか見入っていた

 そのことを遊矢を良く知る者たちはうれしく思うと同時に遊矢の知らない一面に驚かされる

 

「流石だな遊矢!

 それでこそ、この男、権現坂が倒すべき相手!」

 

「すっごい、トラップ1枚で凌いじゃった。」

 

「あぁ、それに攻撃を防いだだけじゃなくて手札補充まで・・・」

 

 困惑でどよめいていた会場が驚きと戦いの熱で静まり返るが

 負け越している男は驚く暇もなかった。

 

「くっ、仕留められなかったか!俺はカードを1枚伏せターンエンド。」

 

「俺のターン、ドロー

 さぁ~て、前座はこれくらいにして役者を揃えてショーの本番と行きますか。

 俺はEM(エンタメイト)フレンドンキーを召喚、

 さらにEM(エンタメイト)モンスターの召喚に成功したことにより、手札のEM(エンタメイト)ヘルプリンセスを特殊召喚、

 さらにさらにフレンドンキーの効果で墓地のレベル4以下のEM(エンタメイト)モンスター、ロングフォーン・ブルを特殊召喚」

 

 森の奥から登場する灰色のロバに乗った青い水牛と紫の服の少女、

 紫の少女ヘルプリンセスはロングフォーン・ブルの角にある電話でどこかと話し中の様だ

 

フレンドンキー「フンッ!」

       ATK1600

 

ヘルプリンセス「ハァ~イ♡」

       DEF1200

 

ロングフォーン・ブル「ブモ」

          DEF1200

 

「ロングフォーン・ブルの効果でデッキから2枚目のフレンドンキーを加え

 さらにもう一つ、速攻魔法、超カバーカーニバルを発動し

 デッキからEM(エンタメイト)ディスカバー・ヒッポを特殊召喚!」

 

 同じように現れる灰色のロバ、

 その背にはピンク色のカバが乗っておりヘルプリンセスたちの居るあたりに着くと

 ピンクのカバ、ディスカバー・ヒッポは雑に落とされ

 2体目のフレンドンキーは遊矢の下へ走っていった

 

ディスカバー・ヒッポ「ヒポッ!?」

          DEF800

 

「おおっと!これはすごい!!遊矢君、一気に4体ものモンスターを召喚だ!!」

 

「ふん、だが雑魚どもをいくら呼んだところで俺のバーバリアン・キングには勝てん!」

 

「おやおや、LDSのイメージキャラクターとは思えない発言だ。

 問題!俺のモンスターのレベルは幾つと幾つ?」

 

「レベル?・・・まさか!?」

 

「来ますよ~これは!!」

 

「ふっ、俺はレベル3のディスカバー・ヒッポとフレンドンキーの2体とレベル4のロングフォーン・ブルとヘルプリンセスの2体でオーバーレイ!」

 

 4体のモンスターはそれぞれ光の球となり、

 地面に空いた宇宙空間のような穴の中に2つずつ吸い込まれていく

 

「2体のモンスターずつでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!

 現れろ、虚空の海を泳ぎし海竜、虚空海竜リヴァイエール!

 魔の世界の指揮者、交響魔人マエストローク!」

 

 現れるのは、宙を泳ぐライトグリーンの体色の海竜と小さな魔人の指揮者

 

リヴァイエール「グオオォォォ!!」

       ATK1800 ORU2

 

マエストローク「ふん!」

       ATK1800 ORU2

 

「エクシーズ召喚だと!?」

 

「なんとー!遊矢君が繰り出したのはエクシーズモンスターだ!

 それも2体、連続召喚ー!!LDSでも出来る人間は少ない高等技術を易々やってのけたー!!」

 

(これで高等技術ねぇ?)

「俺はリヴァイエールの効果発動

 オーバーレイユニットを1つ使い、除外されているレベル4以下のモンスターを特殊召喚する、俺はジンライノを特殊召喚」

 

 リヴァイエールが自身の周りを回っていた光を飲み込むと、時空の穴を開きその中から雷太鼓を背負った犀、EM(エンタメイト)ジンライノを連れて戻ってくる

 

リヴァイエール ORU2→1

 

ジンライノ「フゥー!!」

     DEF1800

 

「さらにマエストロークの効果発動、

 オーバーレイユニットを1つ使って相手の表側攻撃表示モンスターを裏側守備表示にする。」

 

マエストローク「はっ!」

       ORU2→1

 

 マエストロークの指揮棒に光が灯ると、マエストロークはそれを振るい軽快な音楽と共に音符がバーバリアン・キングを取り囲み、魔法陣を描き出す

 魔法陣に捕らわれた蛮族の王はカードに封じ込められてしまう

 

「なんだと!?」

 

「バーバリアン・キングの守備力は1100ポイントしかない。

 バトル、行け!マエストローク、セットモンスターに攻撃!」

 

 マエストロークは指揮棒をレイピアの様に構え突撃する

 カードから解き放たれるバーバリアン・キングだが防御姿勢が取れずにいた

 

「おぉっと!!このままではチャンピオン!

 エースを撃破された上にダイレクトアタックを受けてしまうぞ!」

 

「ちっ!?くそっ!!」

 

 石島は何かないかと自分の周囲を探す

 

(くそっ!あの野郎、最初のターンでこの辺のアクションカードを取って行きやがったな!!)

「うおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 目当てのものが見つからない石島は一か八か牙城の天守から飛び降りる

 そしてマエストロークの剣がバーバリアン・キングの無防備な首を刈り取ろうとする、だが

 

「へぇ~さすがチャンピオン、存外しぶとい」

 

 マエストロークの剣はバーバリアン・キングがとっさに動かした棍棒によって受け止められていた

 そして、その後ろには石島が飛び降りた先にあった塔の上から、回収したアクションカードを発動させ、着地した姿があった

 

「へへ、俺はアクションマジック、奇跡を発動させてもらったぜ!

 これでバーバリアン・キングの戦闘破壊を無効にし、タメージを半減する。

 もっともバーバリアン・キングは守備表示だがな!」

 

「だったら、間髪入れずにリヴァイエールで攻撃だ!」

 

バーバリアン・キング「グワアアアァァァ!!」――バンッ!!

 

 無慈悲に放たれる風のブレスにより、

 2度目の奇跡が起こる暇もなく王者の象徴である蛮族の王は砕け散ってしまった

 

「バーバリアン・キング!!」

 

「俺はこれでターンエンドだ。」

 

「お、俺のターン・・・」

(くっ!震えている!この俺が!?次のカードがドローできねぇ

 何故だ、このデュエルは榊遊勝の倅を使って本人を引っ張り出し、あの日の屈辱を晴らし、この俺が名実ともに最強のチャンピオンだと証明するためのものだったはずなのに・・・

 あのガキが狂った道化師(マッドピエロ)で、なんで俺が追いつめられてんだ。

 セットカードを使えば、あいつのモンスターを減らすことは出来るが、次のターン防ぎ切れる気がしねぇ・・・)

 

 石島の心はバーバリアン・キングが倒されたことにより折れかけていた。

 遊矢の奇天烈な戦法に5年前の狂った道化師(マッドピエロ)から受けたトラウマともいえるものが重なってしまい、勝利へのヴィジョンが見えなくなってしまった。

 

「やっと、チャンピオンを動かしたと思ったら、即行で戦意喪失?がっかりだねぇ~」

 

「なんだと!!」

 

 リヴァイエールの背に乗った遊矢は地で蹲る石島を見下す

 

「手札もある、ライフもある、負けが確定したわけじゃない。

 それなのに未来を恐れてドローが出来なくなるなんて、チャンピオンどころかデュエリスト失格だねぇ~

 やっぱり、ただのチンピラにチャンピオンは荷が重かったのかな?」

 

「・・・・・・」

 

 石島は遊矢の煽りを受けても何も返せない、

 大敗の記憶は錘となって彼に圧し掛かっていた

 

――ガンバレー!!チャンピオンー!!

 

「!?」

 

 彼の耳に届く少年の声

 

――そうだ、負けるなー!ストロング石島―!!

――立ってー!チャンピオンー!!

――イーシジマ!!イーシジマ!!イーシジマ!!イーシジマ!!イーシジマ!!

 

 それを旗に次々に上がる石島への声援

 

「おっと!会場の皆さんからチャンピオンへの盛大な石島コール!!

 そうだ、立ってくれストロング石島!デュエルはまだ終わっちゃいないぞ!!」

 

「やれやれ、これじゃ俺、完全に悪役だな。

 まぁ、仕方がないか。

 さぁ、どうするチャンピオン?

 観客の皆さんの声援に応えて『俺』と戦うか、過去に蹲ってうちの『親父みたい』に応えないか?」

 

――!!

 

「このままじゃ、貴方は『卑怯者』以下の負け犬だ」

 

 石島の中で何かがこみ上げて来る、それは罵倒による怒りではなく

 

――ウゥ・・・ウオオオオオォォォォォォォォォォォ!!

 会場を揺らすかのような雄叫び

 石島は叫ぶ、過去を振り払うために、過去(榊遊勝)など忘れて目の前の(榊遊矢)と戦うために

 自身の中に芽生えた闘争心を叫び出す

 

「ドロオオォォッォ!!」

 

 力強い石島のドロー、そして石島は走り出す。勝利へのピースを揃えるために

 

「リヴァイエール!」

 

 その行動を見て遊矢もリヴァイエールで駆ける、次の石島の行動が予測できた為に

 

「嘗めるなよ!小僧!!俺は勝負の前に逃げ出すような卑怯モンじゃねぇ!!

 スタンバイフェイズに俺も使わせてもらうぜ!

 速攻魔法、手札断殺をな!!

 互いのプレイヤーは手札を2枚選んで捨て、デッキから2枚ドローする!オラアァ!!」

 

(やっぱりか、っと)

 

「これは!両名とも同時にアクションカードをゲット!!

 そして、そのまま手札断殺の効果で捨て、ドローした!!」

 

「さらにメインフェイズ1開始時に魔法カード、強欲で金満な壺を発動!

 エクストラデッキから裏側表示のカードを3枚または6枚、裏側表示で除外することで3枚につき1枚ドローする。

 ただし、このカードの発動後、このターンの終了時まで俺はカード効果でドローできねぇ。

 俺は6枚除外し2枚ドロー!!」

 

 主人の復活に応え、彼と共に戦うカードたちの全てが彼の勝利のために力を貸す

 

「さらに俺は魔法カード、増援発動

 デッキからレベル4以下の戦士族モンスター、切れぎみ隊長を手札に加え召喚」

 

 背に矢を受け満身創痍ながらも、鋭い眼光を携えた壮年の戦士が現れ遊矢を睨む

 

 切れぎみ隊長 ATK400

 

「切れぎみ隊長の効果、このモンスターが召喚された時、

 墓地のレベル4以下のモンスターを1体、効果を無効にして守備表示で特殊召喚出来る。

 俺はマグネッツ1号を特殊召喚」

 

マグネッツ1号「ふん」

       DEF500

 

 隊長の隣に立ち並ぶ青い躰に緑の槍を携えた戦士

 その力は貧弱だが彼は新たな仲間を呼ぶため自らのマグネットパワーを使う

 

「魔法カード、ダウン・ビート!

 マグネッツ1号をリリースし、デッキからマグネッツ1号と同じ種族・属性を持ち、レベルが1つ低いモンスターを1体特殊召喚

 俺はヒーロー・キッズを特殊召喚し、さらにヒーロー・キッズが特殊召喚されたことにより、自身の効果でデッキからヒーロー・キッズを2体特殊召喚だ!」

 

 マグネットパワーが宇宙服のようなスーツを身に纏ったヒーローの卵たちを呼び寄せる

 

 ヒーロー・キッズ DEF600

 ヒーロー・キッズ DEF600

 ヒーロー・キッズ DEF600

 

「まだだ!魔法カード、死者蘇生!

 蘇れ、蛮族の王!バーバリアン・キング!!」

 

バーバリアン・キング「グオオオオォォォォォォ!!」

          ATK3000

 

 大地を割り、雄叫びを上げる蛮族の王

 王者のエースの復活に会場の人々も雄叫びを上げ復活を祝う

 

「戻ってきたー!!

 我らがチャンピオン石島のエース、バーバリアン・キング!!

 王者、ストロング石島!此処に完全復活だー!!」

 

――うおおおぉぉぉぉぉぉ!!

 

「いくぞ!

 俺はバーバリアン・キングの効果を発動し、キング以外のモンスターすべてをリリース

 バトルだ!バーバリアン・キングで虚空海竜リヴァイエールに攻撃!

 これで終わりだ!狂った道化師(マッドピエロ)!いや、榊遊矢ー!!」

 

 仲間の意志を背負い蛮族の王は動き出す、主人の勝利の為に

 

(これがショーならチャンピオンの大逆転でカーテンコールだけど)

「生憎とヒーローショーは終わりだよ!ここからは俺の大脱出ショーだ!」

 

「ほざけ!戦士族モンスター、バーバリアン・キングを対象に永続トラップ、バーバリアン・レイジ発動!

 対象モンスターの攻撃力は1000ポイント上がり、対象モンスターが戦闘で破壊したモンスターは墓地に送られず手札に戻る。」

 

バーバリアン・キング ATK3000→4000

 

「攻撃力4000の5回連続攻撃!榊遊矢ー大ピンチー!!

 2体のエクシーズモンスターを攻撃されれば敗北してしまうぞー!!」

 

「そうはならないんだな~これが・・・すまないな、リヴァイエール・・・

 俺は墓地のEM(エンタメイト)ユニの効果発動、

 このカードとユニ以外のEM(エンタメイト)、ヘルプリンセスを除外してこのターンの戦闘ダメージを1度だけ0にする。」

 

 巨大な棍棒がリヴァイエールに叩きつけられようとするが、遊矢は仲間に詫びを入れて飛び降りる。

 リヴァイエールは最後の務めと自ら棍棒に向かって突進し、遊矢はリヴァイエールが自身の楯になるのを見届ける

 

 すると、森の中から蔦を使って1本角が生えたポニーテールの少女

 EM(エンタメイト)ユニがターザンジャンプで現れ、落下する遊矢をキャッチし、EM(エンタメイト)ユニは遊矢を抱えたままヘルプリンセスが用意していたトランポリンの上に落下

 衝撃を消すと見事に着地し、2人は仕事を終えると遊矢に向かってウインクをして退場した

 

「だったら、今度は交響魔人マエストロークを攻撃」

 

「マエストロークはオーバーレイユニットを身代りに魔人エクシーズモンスターを破壊から守る効果があるけど・・・今回は使わない!

 代わりに手札のEM(エンタメイト)バリアバルーンバクの効果発動

 自分のモンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、このカードを墓地に送り互いの戦闘ダメージを0にする。」

 

 バーバリアン・キングの棍棒がマエストロークへ振り下ろされ、その衝撃が遊矢を襲おうとするが

 遊矢の掲げたカードから、紫色の獏の姿をした風船が現れ、巨大に膨らみながら衝撃を受け切り、紙ふぶきを撒き散らしながら軽い音を立て破裂した

 

「まだ、バーバリアン・キングの攻撃は3回残ってるぜ!EM(エンタメイト)ジンライノに攻撃!」

 

 紙ふぶきを鬱陶しそうにしながら棍棒を振り払い、ジンライノを遊矢に向かって弾き飛ばす

 ジンライノは途中でカードに変化し遊矢の手に戻ってきた

 

「これでお前を守るモンスターはいねぇ!

 終わりだ、バーバリアン・キングでダイレクトアタック!!」

 

「いや、いるさ!

 墓地のバリアバルーンバクの第2の効果発動、相手のダイレクトアタック宣言時

 1ターンに1度だけ手札のEM(エンタメイト)モンスターを捨てて守備表示で特殊召喚出来る。

 戻ってこい!EM(エンタメイト)バリアバルーンバク!」

 

 バリアバルーンバク DEF2000

 

「だったらそいつに攻撃だ!」

 

 再び現れる紫の風船、バーバリアン・キングが棍棒で叩き割ろうとするが

 突如、雷を纏った犀、ジンライノが現れ棍棒を弾き飛ばす

 

「バリアバルーンバクのコストで捨てたジンライノの効果で戦闘破壊を無効に

 戦闘破壊されなきゃ、バーバリアン・レイジのバウンス効果も発揮しない。

 さぁ、どうする?」

 

(くッ!?奴の手札にはまだ、EM(エンタメイト)モンスターが残っている。

 バーバリアン・レイジの効果でバリアバルーンバクを戻してしまうと効果をまた使われる、だが・・・)

「俺は攻撃するぜ!バーバリアン・キングでバリアバルーンバクに攻撃!!」

 

 バーバリアン・キングがバリアバルーンバクを叩きつけると

 バリアバルーンバクは萎みながら遊矢の手札に戻って行く

 

「あの手この手で防ぎやがって、さすが卑怯モンの息子ってとこかぁ?

 カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

「褒め言葉として受け取っておくよ、俺のターン、ドロー」

(さすがチャンピオン、楽しませてくれるな・・・やっぱりデュエルはこうでなくちゃ

 それにしても、ヒーロー・キッズにオーバーレイ・ブースター、それに切れぎみ隊長か・・・)

 

 遊矢は原作との差異を考えていた

 前の2枚はいい

 主役格が使っていたカードとはいえ、物語の根幹に関わるような三幻神やナンバーズの様なカードではないのだ

 この世界に有っても不思議じゃない・・・問題は最後の1枚

 

(たしかあのカードは第10期のカードだったはず・・・

 まぁ、漫画版やこの時点では登場していないカードを使っている俺が言えた話じゃないけど

 おっと、また考え込むところだった・・・

 さて、地味にさっき逃げ回った時にアクションカードを入手したけど、手札が微妙だな・・・)

「俺は、2体目のフレンドンキーを召喚して効果でロングフォーン・ブルを特殊召喚。」

 

 本日2回目の登場の目つきの悪いロバと3回目の水牛

 ロングフォーン・ブルは少し疲れ気味だがまだやる気は十分である

 

 フレンドンキー ATK1600

 ロングフォーン・ブル DEF1200

 

「ロングフォーン・ブルの効果でユニを手札に加える」

(あのセットカードは、チャンピオンのこれまでの使用カードからして高確率でバーバリアン・ハウリング

 

 戦士族モンスターが戦闘、または効果の対象になった時、相手モンスター1体をバウンスしてその元々の攻撃力分のダメージを与えるカード。

 

 チャンピオンの手札は現在0、攻撃のチャンスだけど、ハウリングと合わせて考えると迂闊に手出しは出来ないか・・・

 まぁ、まずは手札交換と行くか。)

「魔法カード、手札抹殺を発動

 互いのプレイヤーは手札を全て墓地に送り、捨てた枚数分ドローする。

 俺はアクションカードも含めた5枚のカードを捨てる。」

 

「まだドロー系カードを仕込んでやがったか・・・

 アクションカードを手に入れておくんだったぜ。」

 

「それはお気の毒に、俺は5枚のカードをドローぉ!?」

 

 飄々と皮肉る遊矢だが、ドローしたカードを見て素っ頓狂な声を上げる

 なぜならそこに含まれていたのは、このデュエル開始前に楽屋でデッキから外したカードだったからだ

 それも『彼』にとって見慣れた物であり、遊矢としては初めて見る

 下半分が魔法カードの様に緑色となったモノへと変化していた

 

(星読みと時読み!?

 どうしてここに!?自力で投入を!?ってネタに走っている場合じゃない!!

 おまけにオッ素まで、オッPに変わってるー!?他のカードは!?)

 

 遊矢は慌ててディスクを確認する

 そこには丁度、分りやすい差異が判るカードが存在していたからだ

 遊矢はそのカード、ロングフォーン・ブルのテキストを確認するが、そこにはそれまで使っていたものにはなかった『ペンデュラムモンスター以外の』という制約が1文追加されていた

 

(マジかよ・・・)

 

 突如始まった遊矢の不審な動きに、他の観客は今までのデュエルからまた何か始める気かと期待していたが、彼を良く知る者たちからは遊矢が焦っていることは丸わかりだった

 

「遊矢のやつ・・・・何をしているのだ?」

 

「なんか、トラブったのかなぁ?もぉのすごく手札が悪くなったとか?」

 

「いや、修造殿、その考えの線は薄いだろう。

 遊矢のデッキはどんな手札が来ても、なんだかんだ動けるように調整されているはずだ。」

 

「う~ん、なんだかD―パットのルール確認画面を開いてるみたいね?」

 

「ホントだ、でも遊矢ってルールにだいぶ詳しい筈だぞ?俺よりは・・・」

 

「いや、お父さん、それ、塾の講師としてシャレになってないわよ・・・」

 

 元凶がコントをしている中、遊矢はどうにかいくつかの確認事項を確かめ終えていた

 

(よし!ルールについては何か、項目追加されていたし

 後はあいつに丸投げすれば、メガネマフラーがどうにかしてくれるはず・・・)

 

「どうした、榊遊矢?

 ルールの穴を突くようなプレーを散々しておいて、今更確認など・・・

 俺をおちょくっているのか!」

 

(さすがに不審に思われたか・・・それっぽいことで誤魔化そう。)

「いや、ショーの前の点検は大事なもんでしょ?」

 

「ショーだと?」

 

「そう、俺が貴方を倒す。世紀の大スペクタクルショーさ!

 まずは下準備、魔法カード、ミニマムガッツ発動!

 自分フィールド上のモンスター1体をリリースし、相手の表側表示モンスターの攻撃力を0にする。

 俺は、ロングフォーン・ブルをリリースし、バーバリアン・キングの攻撃力を0にする。」

 

ロングフォーン・ブル「ブモオオオォォォ!!」

 

「ハっ!バーバリアン・キングをどうかしてくるってのは分ってんだよ!

 トラップ発動、バーバリアン・ハウリング!

 戦士族モンスターが攻撃、効果の対象となった時、相手モンスター1体を手札に戻し、その元々の攻撃力分のダメージを与える!

 フレンドンキーには消えてもらうぜ!」

 

バーバリアン・キング「グオオオオオォォォォォォォォォ!!」

          ATK4000→0

 

 ロングフォーン・ブルが全力でバーバリアン・キングの脛に体当たりを慣行する

 バーバリアン・キングの鎧をも破壊しバーバリアン・キングはその痛みで蹲るが、第2陣とばかりに突撃姿勢を取っていたフレンドンキーに向かって、怒りの叫びを上げフレンドンキーはその声量に吹き飛ばされてしまう

 その衝撃は遊矢まで脅かそうとするが、青い雨合羽が遊矢を守り代わりに吹き飛ばされていた

 

EM(エンタメイト)レインゴートの効果

 俺に効果ダメージを与える効果を持つカードが発動した時、手札のこのカードを墓地に送ることでそのカードで発生するダメージを0にする」

 

「ちっ!これも防ぎやがったか・・・

 だが、これでお前のモンスターは全部消えた!

 バーバリアン・キングの攻撃力は0になっちまったが、そのカードの効果はエンドフェイズまでだ!

 役者がいなけりゃ、ショーなんて出来ないだろ!!」

 

「あれ~俺はさっき下準備って言ったんだけどな~?

 残念、ショーの本番は此処からなんだよね!」

 

「なんだと?」

 

「さぁ、ショータイムだ!

 俺はスケール8の時読みの魔術師とスケール1の星読みの魔術師をペンデュラムゾーンにセッティング!」

 

「なっ!?モンスターを直接魔法・罠ゾーンに置くだと!!」

 

 蒼天の空に伸びる2本の光の柱、

 その中に白き星を司る魔術師と黒き時を司る魔術師が浮かんでいく

 蒼天の空にいつしか巨大な魔法陣と振り子の様な物が現れ、2人の魔術師の間を静かに大きく揺れ動く

 

「な、何が起きている・・・!?」

 

「魔法・罠ゾーンの左右両端に設置されている

 ペンデュラムゾーンにペンデュラムモンスターを設置することで、1ターンに1度、その設置されたペンデュラムモンスターに書かれたペンデュラムスケールの間のレベルのモンスターを手札またはエクストラデッキの表側表示のペンデュラムモンスターから可能な限り特殊召喚出来る。

 つまりこれで俺は手札のレベル2から7のモンスターを可能な限り特殊召喚可能となった!」

 

「な、なんだ!その召喚法は・・・?」

 

 融合、シンクロ、エクシーズ、近年台頭してきたこれらの召喚法とは全く異なる特殊な召喚法―

 ――それは邪悪なる龍によってもたらされた異界への扉

 

「揺れろペンデュラム、開演の鐘となれ!

 告げよ!新たなる歴史の1ページを!!『ペンデュラム召喚』!!」

 

 天空から流星のように光が降ってくる

 その光の中に居るのは機械的な鋼殻を持つ赤い地を駆けるドラゴン

 

「現れろ!2色の眼を持つ、新たなる竜!オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!!」

 

オッドアイズP「ギュオオオオォォォォォォ!!」

       ATK2500

 

「へっ!同時召喚ったって、1体だけかよ!!」

 

「あぁ、1体で十分だからな。

 もう貴方のフィールドに伏せカードはなく、手札もなく、墓地で効果が発生するカードもない!

 オッドアイズの爆進はもう止められない!!

 バトルだ!オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンでバーバリアン・キングに攻撃!!」

 

 オッドアイズは駆ける、勝利へのロードを、だがそれを相手が黙ってさせるはずもなく

 

「いや!まだ、この俺が居るぜ!!アクションカード!はつ」

 

「おっと、説明してなかったな!

 ペンデュラムモンスターはペンデュラムゾーンで発動している時、魔法カードとして扱われ、

 さらにペンデュラムゾーンでセットされている時にのみ効果を発揮するペンデュラム効果を持つ!

 星読みの魔術師は自分のペンデュラムモンスターの戦闘時、相手はダメージステップ終了時まで魔法カードを、時読みの魔術師はトラップカードを、それぞれ発動できなくなる効果を持つ。」

 

「なんだと!?」

 

「言っただろ、止められないって!!くらえ!螺旋のストライクバースト!!」

 

 オッドアイズの赤黒い螺旋を描く熱線が蛮族の王の鎧を溶かしつくし、その身を消し飛ばしていく

 

「さらにオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの効果

 このモンスターのモンスター同士での戦闘で発生する相手へのダメージは倍になる。

 さらにミニマム・ガッツの効果により、戦闘破壊されたバーバリアン・キングの元々の攻撃力分のダメージを与える。」

 

「合計ダメージ、8000だと!?」

 

「新たなる時代の幕開けにふさわしく、派手に散りな!!リアクション・フォース!!」

 

 赤黒い螺旋は蛮族の王の力を巻き込みそれを増幅

 肥大化したエネルギーは石島を盛大に吹き飛ばした

 

「ぐわああああああぁぁぁぁぁぁ!!」

LP4000→0

 

――静寂

 

 その決着がついたとき会場を包み込んだのは歓声でもなんでもなく静寂であった。

 

 ありえないものを見たからだ チャンピオンが年端も行かない少年に負けたからだ――

 

 初めて見るモノを見たからだ 新たな召喚法が世に知れ渡った瞬間に立ち会ったからだ――

 

 熱い戦いに心が躍ったからだ 誰もがまだこの戦いの終わりを告げたくなかったからだ――

 

「―――けっちゃーく!!」

 

 誰もが「ハッ」っとしたその一言で現実に引き戻された

 

「互いに先を譲らない激戦!

 チャンピオンを打倒し、新たなる召喚法と時代の幕を開いたのは

 狂った道化師(マッドピエロ)こと榊―!!遊矢―!!」

 

 ニコが告げたその名、ありえないものを見せてくれた、心躍る戦いを見せてくれた、

 デュエルに新しい風を吹き込んでくれた少年に群衆がもたらしたのは

 

――ワアアアアァァァァァァ!!

 

 盛大な喝采であった

 




やっちまった・・・
大観衆の前でペンデュラム召喚をしてしまった俺はその場を何とかごまかした
だが、これで厄介ごとの種は向こうからやってくることは明確
だったら、先手を打たせてもらう!
次回、遊戯王ARC-V Rーe:birth
『舞台裏で動く者たち』

「CC」カード群の効果について

  • 制作したものをそのまま使用
  • 後付け効果を削除
  • メインに入るカードの後付け効果のみを削除
  • EXのカードのみをアニメ寄りにして使用
  • 完全にアニメカードそのまま

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。