一応ここから新章、シンクロ次元編です。
「これが、この一件の顛末です。」
「そんな・・・柚子・・・」
「・・・・・・」
あの夜が明け、次の日の朝に舞網チャンピオンシップの中止が宣言された。
表向きの理由は広域のリアルソリッドビジョンを利用しようとしたテロリストの介入
だが、俺は母さんと修造さんには包み隠さず話した。
アカデミアのこと、次元戦争のこと、赤馬 零王のこと、父さんの失踪の原因、そして柚子と俺が狙われていることを
「修造さん、申し訳ありません。
アカデミアに捕らわれることを避けるため、勝手に別の次元に柚子を行かせてしまって・・・」
できれば、柚子の近くにずっといてユーリが近づいても問題ないようにしたかったが、あまりにも多いアカデミアが全員俺を狙っていたので、一緒にいるより先に倒してしまった方がいいと思っての行動だったが、次善策である別次元に隠すしかなくなってしまった。
ミエルの『花は旅人と共に行ったわ。』のメールの文面からアニメと同じようにシンクロ次元に行ったようだが、あそこも命の危険があるエクシーズよりはましというぐらいの安全度しかない。
ユーゴがおそらく一緒にいるから大丈夫だとは思うが、あの鼻長官が柚子を見つけないことを祈るばかりだ。
「・・・信じがたい話だが、遊矢、お前がそう言っているのならそうなんだろう。」
「で、遊矢、あんたは一体どうするんだい?」
「アカデミアが俺も狙っている以上、俺はこの世界に居られない。
赤馬 零児に話をつけて、対アカデミアの部隊に入ったから、アカデミアを、いや赤馬 零王を倒す。」
実際、アカデミアが柚子たちを狙っているのは、あのハゲの命令だからだ。
ハゲさえどうにかしてしまえば、柚子たちは自由の身だ。
それを利用すればセレナあたりを新しいアカデミアのトップに据えて、融合次元の平定もできるかもしれない。
戦後を穏便に済ますにはすべての罪を赤馬 零王に擦り付けて断罪したうえで、次元移動の技術をどうにかしなくてはいけないが・・・
「俺がいない間のことはLDSから講師を借りれるようにできるように交渉するし、零児の持ち株の30%をふんだくったから、俺がどうにかなった場合はこの株がすべて修造さんに移譲されるようにします。
そしたら、修造さんがLDSの社長、副社長に次いでの筆頭株主になるから、塾の講師を借りれるようにすれば講師に困ることもないでしょう。」
「なにかって・・・あんた!?」
この世界はアニメでも漫画でもない。
主人公が絶対的に敵に勝てるなんて保証はないし、事故もあり得る。
特にシンクロ編の最後に関しては場合によっては次元の狭間に漂うなんてこともなるかもしれない。
だから、絶対に戻ってこれる保証なんてどこにもない。
「遊矢・・・っ!!」
修造さんが何かを決心したかのように立ち上がる、なんだ?
「遊矢!!俺とデュエルしろ!!」
「えっ?」
いったいなんだ、急に?
修造さんなら、「俺も連れてけ!」とか「柚子を狙うアカデミアなんてぶちのめしてやる!」とでも言うと思っていたのに?
「いいから、ホラ!早くしろ。」
「は、はい・・・」
――おい、お~い!
ん?もう、お父さん・・・夏休みでしょ、もうすこし・・・・
――お~い!もう朝だぞ!いい加減に起きろ!
「もう、お父さん、もう少し・・・Zzz」
「誰がお父さんだ!俺はユーゴだ!!」
「うえっ!?えっ?ここ・・・どこ?」
怒鳴られて、目が覚めるとそこは知らない場所、倉庫?ガレージ?
えっ?これってどういうこと!?
「やっと目が覚めたか・・・
まったく、リンに似て図太い神経ぇしてんなぁ、お前?」
目の前にいたのは、白いライダースーツを着た男の子
青い髪に前髪だけが金髪で撥ねているから、なんだかバナナみたいな印象を受ける。
彼は確か・・・
「えっと・・・ユーゴで、いいのよね?」
「おう!」
二カッと笑う彼は遊矢と似た顔つきなのにどことなく子供っぽい。
うん、なんだか、いい人そう。
「ねぇ、ここはどこなの?」
窓の外に広がる景色は、寂れた街と、それを避けるように台の上に建てられた近未来的なビル街
高速道路みたいなのがあちこちに引かれているし、どう見ても舞網市じゃない。
私がそのことを聞くと、彼は言いずらそうに口を開く
「えぇ~と、ここはシティつぅ、俺の地元なんだが・・・
ここはたぶん、おめぇがいた世界とは違う世界だと思う・・・」
「えっ!?」
そういえば月影さんがこの世界は4つの世界に分かれているって言ってたけど・・・
えっ!!ってことは私、別の世界に来ちゃったの!!
「えぇ~っと・・・私がいた世界に帰る方法はあるのよね?」
そうよね。
この人、私のいた世界に来てたんだから、私を帰す方法もあるはず・・・
「・・・えぇ~と・・・ごめん!――パチンッ!
俺もどうやって世界を超えてんのか、わからねぇんだ!!」
・・・・・・?
手を合わせて、申し訳なさそうに私に謝るユーゴ、えっ?帰れない?
「なんですってぇえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
遊矢ぁぁぁ!!お父さん!私どうすればいいのぉぉぉぉ!?
「俺は墓地の装備魔法、妖刀竹光を除外してこいつを特殊召喚だ!
うおおおぉぉぉぉぉ!!燃えろ!燃えあがれ!!熱血だああぁァァァ!!
来い!ゴッドフェニックス・ギア・フリード!!」
GPギア・フリード「はっ!!」
ATK3000
爆炎を纏って現れる赤と白の鎧を身に纏う騎士、ゴッドフェニックス・ギア・フリード
さすがだねぇ。手札抹殺からモンスターやマジックの効果をつなげて1ターンでエースモンスターを呼び出した。
「ゴッドフェニックス・ギア・フリードに手札の妖刀竹光を装備!
この瞬間、発動させておいた永続魔法、燃え竹光の効果発動!!
このカードが既にマジック、トラップゾーンに存在する状態で、自分が竹光カードを発動した場合、次の相手のメインフェイズ1をスキップする!」
ゴッドフェニックス・ギア・フリードの持つ剣が竹光に変わってそれが轟々と燃えだして、遊矢のフィールドを火の海にする。
「さらに俺は蒼炎の剣士に装備魔法、ラプテノスの超魔剣を発動しエンドフェイズ
このターンに墓地に送られた焔聖騎士―ローランの効果発動!
デッキからローラン以外の戦士族、炎属性モンスター1体か、装備魔法を1枚俺の手札に加える。
俺は戦士族、炎属性のエヴォルテクター エヴェックを手札に加えてターンエンドだ!」
「俺のターン、ドロー!」
「遊矢!お前のメインフェイズ1は燃え竹光の効果でスキップされる!」
メインフェイズ1をスキップされ、遊矢にはスタンバイフェイズの次にバトルフェイズに入るか否かの選択が迫られる。
だけど、メインフェイズ2はバトルフェイズ後じゃないと発生しないから、バトルフェイズを行わなければエンドフェイズに入っちまう。
「俺はこのままバトルフェイズに入る。」
「よぉし!だったらこのバトルフェイズの開始時にラプテノスの超魔剣の効果発動!
装備モンスターの表示形式を変更し、モンスターを1体召喚する。
出てこい!デュアルモンスター、エヴォルテクター エヴェック!!」
蒼炎の剣士「ふん。」
ATK1800→DEF1600
エヴェック「ハッ!!」
ATK1500
青い鎧の剣士が奇妙な模様の入った剣を盾にして防御姿勢をとる。
すると、その隣から燃え盛る鉄球を振り回す戦士が援軍に駆け付ける。
絶対にバトルフェイズに入らなければいけない状況を作ってから自分のカードの効果につなげる。
修造君、プロ時代から全く腕が落ちちゃいないじゃないか。
「そして、蒼炎の剣士の効果発動!
1ターンに1度、互いのバトルフェイズに、このカード以外の自分フィールド上の戦士族モンスター1体に自身の攻撃力600ポイントを分け与える!
俺は蒼炎の剣士の攻撃力600をエヴォルテクター エヴェックに与えるぜ!」
蒼炎の剣士 DEF1600
ATK1800→1200
エヴェック ATK1500→2100
「バトルフェイズを終了、メインフェイズ2に入って魔法カード、テラ・フォーミングを発動
デッキからフィールド魔法、天空の虹彩を手札に加えて発動。」
天井に七色に揺らぐ光が現れる。
遊矢は前のターンでシャドール・ビーストの効果で1枚ドローして手札が7枚スタートだが、バトルフェイズを無駄にされて攻撃を封じられた。
さて、どう動く?
「スケール4のオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンをペンデュラムスケールにセッティングして、天空の虹彩の効果発動
自分フィールド上の表側表示カードを1枚破壊し、デッキからオッドアイズカードを手札に加える。
俺はオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを破壊し、デッキからスケール8のオッドアイズ・ミラージュ・ドラゴンを手札に加え、スケール5の
光の柱に昇る緑色のドラゴンとオレンジ色の輪っかが付いたキリン
「揺れろペンデュラム!異界へつながる扉を開け!ペンデュラム召喚!
手札からレベル6、
ミス・ディレクター「はいっ!」
DEF2000
オッドアイズP「ギャオォォォォ!!」
ATK2500
「ミス・ディレクターはオッドアイズモンスターが存在する限り、攻撃対象にならない。
そして守備表示で存在する限り、俺のオッドアイズモンスターは戦闘で破壊されず、俺への戦闘ダメージは0になる。
チェーンジラフは、自分のモンスターが戦闘で破壊されたとき、このカードを破壊することで、そのモンスターを特殊召喚し、そのターン中、戦闘で破壊不能にする。
さらに天空の虹彩の効果で俺のペンデュラムゾーンの
俺はカードを3枚伏せて、ターンエンド。」
固ったい守りだねぇ。
ミス・ディレクターを攻撃表示にするか、破壊しないとオッドアイズを戦闘で破壊できないしダメージもない。
さらにチェーンジラフの効果で実質ダメージが2500ポイントカットされるようなもんだ。
そして、伏せカードをガン伏せ、危ない臭いがプンプンしているねぇ。
「俺のターン、ドロー!!」
「修造さんのスタンバイフェイズにトラップ発動、バトルマニア!
相手モンスターはすべて攻撃表示となり、このターン表示形式を変更することが出来ず、必ず攻撃を行わなければならない。
さらに永続トラップ、生贄封じの仮面を発動!
互いのプレイヤーはいかなるリリースもできなくなる。」
「なっ、なにっ!?」
蒼炎の剣士 DEF1600→ATK1200
攻撃強要カード、それにリリースを封じるカードか。
蒼炎の剣士はラプテノスの超魔剣の効果で守備表示にできるし、エヴォルテクター エヴェックも蒼炎の剣士の効果で攻撃力2700まで上げることができる。
だけど、遊矢のフィールドにはまだ伏せカードが1枚、完全に攻撃したら何かありますって感じね。
相変わらず相手の逃げ道を防ぐのがうまいねぇ、あの子
デュエルが始まる前は困惑していたのに、始まったとたん冷静に相手を追い詰めてくる。
「ぬぅぅ・・・俺は黄金色の竹光を発動!
このカードは俺のフィールドに竹光装備魔法がある場合発動でき、デッキから2枚ドローする。
そして、竹光カードが発動したことにより、次の遊矢のメインフェイズ1はスキップされる!
俺はマジックカード、アームズ・ホールを発動
このカードを発動するターン、俺は通常召喚をすることができないが、デッキトップを1枚墓地に送ってデッキ、墓地の装備魔法1枚を手札に加える。
俺はデッキから装備魔法、スーペルヴィスを手札に加え、デュアルモンスターである、エヴォルテクター エヴェックに装備する!
これでエヴェックは再度召喚された状態となり、効果が解禁される!
エヴェックの効果で今、墓地に送られた炎属性、戦士族モンスター、フェニックス・ギア・フリードを特殊召喚だぁ!!」
Pギア・フリード「はあっ!!」
ATK2800
もう一体現れる紅白の騎士、その体に炎は纏っていないが場合によってはゴッドフェニックス・ギア・フリードよりも厄介な効果を持つモンスターだ。
「墓地の焔聖騎士―ローランの効果発動
このカードを自分フィールド上の表側表示モンスター1体に攻撃力500アップの装備カードとして装備する。
俺はローランをフェニックス・ギア・フリードに装備!」
Pギア・フリード ATK2800→3300
「さらに永続魔法、一族の結束を発動!
俺の墓地のモンスターの種族が一種類のみの場合、俺のフィールドのその種族のモンスターは攻撃力が800ポイントアップする。
俺の墓地には戦士族の焔聖騎士―モージがいる!そして俺のフィールドのモンスターは戦士族!
うおぉぉぉぉ!!もっと燃えろ!燃えろ!熱血だああァァァ!!」
GPギア・フリード ATK3000→3800
Pギア・フリード ATK3300→4100
エヴェック ATK2100→2900
蒼炎の剣士 ATK1200→2000
これでオッドアイズの攻撃力を3体とも上回った!
蒼炎の剣士は効果で守備表示にできるから問題ないし、ローランと妖刀竹光は墓地に送られればサーチができる。
スーペルヴィスはフィールドから墓地へ送られれば、墓地の通常モンスターがよみがえってくる。
ミラーフォースなんかが来ても対処できるし、蒼炎の剣士はラプテノスの超魔剣の効果で守備表示にしてしまえば、戦闘で破壊されない。
打ちのめされても諦めない。ホント修造君らしい、泥臭い戦い方だ。
「行くぞ遊矢!!
バトルフェイズに入り、ラプテノスの超魔剣の効果発動!
蒼炎の剣士を効果で守備表示にし、フェニックス・ギア・フリードを再度召喚する!
これで俺のフィールドの装備カードを1枚墓地へ送ることで、フィールドのモンスターを対象とするマジック、トラップの発動を無効にし破壊する効果を得た!
行け!フェニックス・ギア・フリード!!オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンに攻撃だああぁぁぁぁ!!」
蒼炎の剣士 ATK2000→DEF1600
あえて、バトルマニアの効果を受けていないフェニックス・ギア・フリードでの特攻
今のあのモンスターはすっごい厄介なモンスターと化しているからねぇ、遊矢としては先に潰しておきたいモンスターだ。
トラップを使うなら、ここで使うはず。
「トラップ発動!」
ほら
「分断の壁!」
おぉ!?
「このカードは相手の攻撃宣言時に発動できる!
相手フィールド上の攻撃表示モンスターすべての攻撃力を、相手フィールド上のモンスターの数×800ポイントダウンさせる!」
「げえぇっ!?俺のモンスターは4体、ッてことは!?」
「そう、3200ポイントダウンする!」
GPギア・フリード ATK3800→600
Pギア・フリード ATK4100→900
エヴェック ATK2900→0
うわぁ~なんて意地の悪い笑み
「そして、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンはモンスターとの戦闘で発生する相手へのダメージを倍加する。
返り討ちだ!オッドアイズ!!螺旋のストライクバースト!3連弾!!」
「ぐおぉぉぉぉぉ!!?燃え尽きたあぁぁァァァ!!」
LP4000→200→0
3つの赤黒い炎弾がモンスターをすべて薙ぎ払って、修造君は衝撃で吹っ飛ばされて壁にぶつかる。
修造君が倒れたから、遊矢は心配してかけよる。
やれやれ、オーバーだねぇ。
「大丈夫ですか、修造さん!?」
「お、おう、このくらい心配ねぇよ。
はぁ~結構いい動き出来てたのに、負けちまったなぁ~ははっ・・・
やっぱり、俺じゃダメか・・・」
「修造さん・・・」
「お前に勝てれば、俺も連れて行ってもらおうと思ったんだがな。
でも、こんなあっさり負けるようじゃ、戦争なんてできそうもないや・・・
もっとも俺は、そんな度胸もないけどな、たはは・・・」
あぁ、そうだね。
昔はデュエルを喧嘩の道具にしていたあたしだけど、デュエルを戦争の兵器にするなんて馬鹿げている。
だから、この子はそれを許さない。覚悟を決めて戦おうとしている。
「こんな情けない俺だけどな?俺はお前のことも大切に思っている。
もちろん、柚子を大切にしてくれているのはうれしいが、自分も大切にしろ。
お前、自分の命を賭けてでもとか思っていただろ?」
「そ、それは・・・」
「だから俺と約束しろ。
犠牲になる覚悟じゃなくて、みんなと一緒にここに戻ってくるって覚悟をしろ!」
「!!・・・そ、それは・・・」
保証しかねるってかい?そうだよね、あんたはそういうやつだ。
これは、あたしも覚悟決めなきゃね。
「遊矢!!」
「!?」
「あんたが戻ってくる場所は、あたしが守ってやる。」
困惑する遊矢を私は後ろから抱きしめる。
もう、榊 遊勝を待ち続ける女はやめよう。
あたしはあたしの家族が戻ってこれる場所を守る女になる!
「何年だって、何十年だって私は守り続けるよ。
だからさ。絶対に帰っておいで?
遊矢にまでどっか行かれちゃ、あたし泣いちまうよ?」
「母さん・・・」
遊矢は泣くやつが嫌いだ。誰かを泣かす奴も嫌いだ。
こう言っちまえば、お前は断れないだろ?掛け値なしのあたしの本音だけどさ。
「はぁ~そういわれたら、保証できないなんて言えないじゃないか・・・負けたよ。
で、覗き見している連中は、いい加減出てきたらどうだ?」
えっ?
「あはは、バレてた?流石、遊矢君。」
「だからワイは言うたやんけ、隠れてもどうせ見つかるんやから、どうどうと見ようって。」
出てきたのはミッチー、と鉄平君、それに
「ふん。」
「勝鬨、お前もか。」
「君たち、どうしてここに?」
「チャンピオンシップが中止になった詳細が知りたくて。」
「で、遊矢はんなら、知ってんのかなぁ~って、思うて来たんや。
そしたら、なんか面白そうなデュエルしとったから、観戦しようってなったんやけど・・・」
「でも、テレビで言っていた行方不明者って、柊さんのことだって聞いちゃって、そしたらなんだか、出て行きにくい雰囲気になっちゃってね。」
あぁ、2人がデュエルし始める前に柚子ちゃんのことを言ってたからね。
戦争のこととかはあまり口に出してなかったから、バレてないと思うけど。
「遊矢君、柊さんを追うんだろ?
しばらく会えないのは寂しいけど、帰ってきたら美味しい料理で最高のおもてなしをさせてもらうよ!」
「ワイもワイも、ごっつぅ魚、釣ってきてやるでぇ!
あぁ、そうや!この塾の子ら、たまにワイが野外学習で釣り教えといてやるわ!」
「僕も、たまに差し入れを持ってくるよ。」
「・・・・・・ここはアクションデュエルも教えているのだろう?
軽いトレーニングだったら、自分も教えることができるはずだ。」
「勝鬨、お前・・・」
「だから、お前はその気にくわない連中を必ず倒してこい。いいな?」
「・・・・・・あぁ!」
熱いね。
あの子らの青春は・・・あの子のデュエルは榊 遊勝のデュエルと全く違う、自分が楽しむためのものだけど、そのデュエルであんなに熱い絆を紡げるんだね。
昔のあたしも、あんな熱いデュエルが出来れば敵じゃなくて、馬鹿やれるライバルを作れたのかもしれないねぇ。
「ふっ・・・あたしも久しぶりにデッキをいじってみるかねぇ。
あの子が帰ってきたときに、思いっきり熱いデュエルができるように。」
≪デュエルは人を幸せにできる!
デュエルは人と人を繋ぐ、懸け橋になる!俺はそう信じている!!≫
遊勝、昔、あんたはあたしにそう言ったけど
あたしらの息子は、あんたと違う形でその夢をかなえているよ。
「あぁ、そろそろ時間だな。行くとするか。」
「ん?どこに行くんだい、遊矢?」
時計を見て思い出したかのようにこの場を去ろうとする遊矢にあたしは声をかける。
まったく、どっかに行ってほしくないって言った矢先にこれなんだから
「父さんの一番新しいファンのところ。」
えっ?
夜になって高窓から差し込む日の光が月光に変わった。
奴に蹴られて、罅の入った肋骨もレオ・コーポレーションの技術ですぐに治り、僕は記憶の読み取りによる情報の抜き出しに掛けられた。
まぁ、大した情報なんて得られなかっただろうけどね。
僕がエクシーズ侵攻のきっかけを作ったってわかった時は、黒咲っていうエクシーズの人間がつかみかかってきたけど
――コツ、コツ
ん?誰か来る?
「よぉ?」
鉄格子越しに現れた顔は、僕が最も見たくない奴の顔
そいつは、にやにやと笑いながらこちらを見下している。
だから僕は、そいつの顔が見たくないから鉄格子に背を向けた。
「おいおい、エンターテイナーなんだろ?
だったら、歓迎ぐらいしてくれよ。こんな場所でもさぁ?」
こんな場所に閉じ込められた原因が何を言っているんだ。
「やれやれ、随分嫌われちまったなぁ?
友達になりたいとか言ってきたのはお前の方だろぉ?」
たしかに言ったけど、僕は君が嫌いだ。
先生のエンタメに興味ない君が、アカデミアを簡単に蹂躙する君が、僕のすべてを否定する君が、大っ嫌いだ。
「はぁ~これは話を聞けそうにないか・・・」
彼はそう言いつつもどっか行ってくれることはなく、鉄格子の前に座り込んだようだ。
話なんてする必要ないだろ?僕の記憶はとっくにレオ・コーポレーションが入手している。
僕から話すことなんて・・・
――コッ、コン、コン・・・・コッ、コン、コン・・コッ、コン、コン
?・・・何をしているんだ?
――コッ、コン、コン・・コッ、コン、コン・・・コッ、コン、コン
横を見てみると、僕の周りに青いガラス玉が転がっていた。
なんだこれ?ビー玉?
――・・・ピンッ!
僕が振り向くのに合わせたのか、彼はそれまで適当に投げ込んでいたビー玉を狙いをつけてはじいた。すると
――コッ、コッ、コッ・・コッコッ・・・・・コッ
弾き込まれたビー玉は転がっていたビー玉を次々と弾いて、転がる力を与えていく
そして転がっていったビー玉はすべて鉄格子の間を抜けて、彼の手元へと吸い込まれていく
「へぇ~!!うまいもっ!?・・・・・・」
「やっとこっちを向いてくれたな。」
迂闊だった。こんなことで気を引いてくるなんて・・・
「昔、って言っても父さんがいなくなってすぐだから、3年前か・・・
柚子に無理やり、近所の夏祭りに連れて行かれたんだよ。
まだバッシングがひどいから、自分たちだけで行けって言ったんだけどな。」
何の話だ?
「で、出店を一緒に回って的屋も何軒かやったんだけど、あいつ不器用でさぁ~
結局、何にも景品もらえずに小遣いを全部スっちまってさ。
涙目になっていたから、仕方なしに柚子の代わりだってビー玉弾きやって、おもちゃの指輪を取ってやったんだよ。
そしたら、あいつ、花が咲いたみたいに笑って嬉しがってさ、今でもその時の指輪、大事にしてくれているんだよ。」
何それ、のろけ話?
「俺、母さんを慰めるのに失敗してさ。
泣いている母さんに笑えって言っちまって、無理やり笑うようにしてしまったんだ。
別に俺は、悲しみを押し殺してまで笑って欲しくはなかったんだけどな・・・」
それは・・・
「でも、その柚子の笑顔を見た瞬間、俺でも誰かを笑顔にできるんだなって、ちょっと自信がついたんだ。
だから、俺はその笑顔が守りたくなった。
母さんのこともあったけど、潰れかけた遊勝塾の経営をどうにかしたり、ため込んでいたファイトマネーで設備の都合をつけたりな。」
3年前って、君、小学生だよね?
「お前、エクシーズ次元で父さんに会ったんだろう?
どんな感じだった?まぁ、どうせ、相変わらず笑顔笑顔と言っているんだろうけど。」
いや、確かに言ってたけど・・・
「・・・その顔は図星のようだな。」
「はっ!?くっ・・・・」
いけない、いつの間にか顔をあっちに向けていた。
「まったく、エクシーズ次元の侵攻が始まったのが1年前だから、2年は立ち往生か・・・
何やってるんだろうな、あのクソ親父は
赤馬 零王、いや、お前にはプロフェッサーって言った方がいいか。
そいつを止めるために、石島さんとの王者防衛戦をすっぽかして、ファンを裏切って、母さんを悲しませて、自分で作った塾を傾かせて
勇んで自分で作ったもの全部、捨てていったくせに、何もできていない。」
「・・・・・・」
「それに、エクシーズ次元の侵攻が始まったのはお前がゴーサイン出したからなんだってな?
しかも原因が大道芸やってて、それをたまたま見に来た瑠璃を見つけてしまったからって、むしろ親父の方が戦犯だな。」
「違う!先生は何も、はっ!?」
あぁ、駄目だ。
なんなんだよ君は、僕の仮面の内側にするすると入り込んできて、これじゃホントの悪魔じゃないか・・・
「ふん、父さんを慕っているのは本当みたいだな。
だが、戦争を止めるために出て行ったくせに、止められなかった時点でもうアウトなんだよ。
むしろ、お前が瑠璃を見つけても黙っていられるぐらいにエンタメ漬けにしてしまえばよかったのに。」
「・・・・・・それは無理だよ。」
「あん?」
「僕は昔、貧しい孤児院で、笑うことない日々を過ごしていたんだ。
その孤児院では僕が一番歳が上だったから、下の子らの面倒を見て、どうにかして笑ってもらおうと手品とか、ジャグリングとか覚えたりしたんだ。
でも、アカデミアがその孤児院を徴収したから、帰れる場所はアカデミアしかないのさ。」
「はぁ~お前もかよ・・・」
お前も?彼はアカデミアの関係者と何かしらの知り合いなのか?
なら言っても構わないか
「僕みたいな先行組は似たり寄ったりな境遇だと思うよ?
帰る場所がアカデミアにしかないから、どんなに別の世界でいい暮らしをしてようと裏切れないのさ。」
僕らは子供だ。
大人に頼らず、自分を偽り続けて暮らすなんて無理なのさ。
耐えきれないから、帰れる場所を求めて、アカデミアを裏切るなんてことはしない。
「でも、お前は自分のやりたいことを見つけたんだろう?」
「あぁ、あのハートランドの街角でデュエルをする先生はとっても華麗で僕の憧れになった。
あれを見て僕はエンタメデュエルに目覚めたんだ。」
目を閉じれば思い浮かぶ、キラキラしたデュエル
その場にいた観客全員を魅了し笑顔にする彼のようなデュエルがしてみたいと、僕は人生で初めて目標というものを得たんだ。でも
「でも、それはまやかしだったんだね・・・」
僕は彼に勝てないと、負けを認めてしまった。
勝敗はついてないものの心が折れてしまった。
彼が勝ったのだから、正しいのは彼の方だ。
「あぁ?なんでそんなことを思った?」
「だってそうなんだろ?
彼は
「んん、まぁそうだけど・・・でも、お前が父さんのデュエルで感動したこととは関係ないだろ?」
「えっ?」
「花火だって、元はただの火薬だ。
でもそれを美しいと思う人はたくさんいるし、多くの人を集めて感動させている。
それなら父さんの派手なだけの見世物だって、似たようなものさ。」
派手なだけの見世物・・・
≪君は見た目の派手さばかりに、目を奪われているな。
エンタメデュエルで最も大事なことは、その華やかさの中にどれだけ人の心を揺さぶるメッセージを込められるか、それが大事なんだ。≫
「なんだか、似たようなことを先生に言われたような気がするよ・・・」
「そりゃそうさ。
俺が言ったんだから、派手なだけで面白みに欠けるプレイだなって。」
えっ?
「そもそも俺が父さんを
いやぁ~テーブルデュエルで突然、立ち上がってレディース&ジェントルメンとか言い出したときはイラっと来たね。
そのあと、普通にミラフォしたけど。」
「それは・・・」
ごめんなさい、先生、さすがにそれは擁護できません。
「似たようなことを言われたってことは、父さんはお前と自分を似た者同士だって感じたのかもしれないな?
俺はあのロクデナシと一緒にされるなんて、御免だけど。」
似た者同士・・・僕と先生が・・・
「まぁ、俺からしたら榊 遊勝は無責任なロクデナシ親父だけど
お前が榊 遊勝のデュエルでエンタメデュエルに憧れて、尊敬しているっていうのはお前の本当の気持ちなんだろ?
このビー玉だって、ほら。」
彼は手元で遊んでいたビー玉の一つを高窓から漏れる月明かりに当てる。
するとそれは、中の気泡が複雑に光を反射させて、キラキラと不思議に輝く、それはまるで宝石のようだ
「うわぁ・・・」
「どうだ?安っすい気泡入りのビー玉だけど、結構きれいなものだろ?
ただのガラス玉でもおもちゃでも、特別な思いがあれば、きっとその人だけが持つ本物の
俺にとってはただの派手なだけの父さんのデュエルだって、お前にとっては人生を変えるほどの
「遊矢・・・」
「まぁ、憧れるのはお前の思い出の中の榊 遊勝にしておけ、無責任な馬鹿オヤジにならないようにな。」
「ははっ、本当に君は先生が嫌いなんだね。
うん、でも分かった。僕が憧れたのはみんなを笑顔にする最高のEntertainerの榊 遊勝だ。誰かを悲しませることなんてしないよ。
僕はもう手遅れだけどね・・・」
僕はたくさんの悲しみを生んでしまった大罪人だ。
憧れる存在には絶対なれないし、君たちが勝っても負けても僕はもう日の目を見ることはないだろう。
「手遅れ・・・なるほど、お前は自分のやったことに罪悪感を感じているのか。」
「あぁ、そうだね。
僕だってできれば、ずっとあそこで大道芸をしたかった・・・僕とトラピーズ・マジシャンでみんなを笑顔にし続けたかったんだ。
それは僕の嘘偽りない本心だよ。
僕にはアカデミアを裏切る勇気なんてなくて、あんなことになってしまったけどね・・・」
後悔先に立たずとか、日本では言うんだよね。
なんでよりにもよって、瑠璃は僕のところに来てしまったんだろうとか考えちゃうし
これが運命とかいう奴なら、どんな皮肉なんだろうね。
「ふっ、じゃあ、悩めるデニスに俺から提案だ。俺と取引しないか?」
「取引?」
いったいなんだ?
すると彼はニヤッと、意地の悪い笑みを浮かべてとんでもないことを言い出した。
「デニス、お前に世界をくれてやろう。」
【16歳】第一回部隊名会議【中二病】
鉄〇団、けっして散らない鉄の・・・
待ってぇぇい!それでは私が途中で死んでしまうではないか!!
えぇ~じゃあパッ〇ョーネ。
それだと、お前がトップだろう!
わかったわかった。
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『結成、ランサーズ』
う~ん、どっちかって言うと目的とメンツ的にアサシンのような気がする・・・
「CC」カード群の効果について
-
制作したものをそのまま使用
-
後付け効果を削除
-
メインに入るカードの後付け効果のみを削除
-
EXのカードのみをアニメ寄りにして使用
-
完全にアニメカードそのまま