仕事の方が忙しいのと、暑さで頭が回らなかったので一か月超更新が止まってしまって申し訳ありませんでした。
来週からは仕事の方は落ち着くのですが、私は熱さにかなり弱いうえにパソコンのある部屋はエアコンがないので、また遅くなるかもしれませんが気長にお待ちくださいませ。
「ふぁ~やっぱり、慣れないことすると疲れるねぇ~」
怒れるジャックを何とか落ち着かせて、待機場に戻ってきた。
ロジェ対策のためにここにDホイールを置いておくわけにはいかないので、すぐさまカードにしてトンズラしなければならないのだが、今回は待ち人がいるのでここにきている。
「で、ちょっとはジャックが何を考えているか分かったか?サムくぅ~ん?」
「・・・・・・」
目を伏せて黙り込む気弱そうな小柄な少年『サム』
コモンズ民だが、生活費のために役所の宿泊施設のボーイのバイトをやっているのだが、他人、それもこの街のスターであるジャックから直接カードを渡されたにもかかわらず、そのカードを「レベルも攻撃力も弱いモンスター」と言い切り、それを理由にジャックを裏切り者認定した。
そのかなりの自己中っぷりから『強欲なサム君』とあだ名がつけられた少年である。
「なんだ、余計に分からなくなったって顔だな?」
「・・・はい、それにあなたのことも・・・」
「あぁ?」
「だって、なんであなたはそんなに楽しそうなんですか!?
あなたは負けたんですよ!悔しくはないんですか!!」
なんだそんなことか・・・
「別に悔しくないってわけじゃないさ。
だけど、悔しいよりも俺は嬉しいんだ。」
「嬉しい?」
「何を隠そう、俺はジャックの昔からのファンでね。
そのジャックと思いっきりデュエル出来たんだ。
それに演出のためとはいえあれだけ悪口を言っておきながら、最後にジャックは俺とまた戦いたいと言ってくれた、これが嬉しくないわけないだろ。」
「ジャックのファン・・・」
お~おぉ、また目を伏せちゃってまぁ、落ち込みやすいやつだ。
まぁ、大方ジャックを倒せそうな奴を見つけたのに、そいつがジャックのファンだったから落胆しているってところかな?
「言っておくが、俺はお前の復讐に付き合う気もないし、コモンズ代表なんてものにもなった覚えはないぞ?」
「!!?」
やっぱりか、わかりやすいやつだ。
エキシビジョンが始まる前、俺の控室にこいつが来たのでとりあえず話しかけたのだが、まぁ、こいつは俺の記憶通りの奴だった。
ジャックに勝手に期待して、勝手に失望して、勝手に恨んでいる。
あのデブやトカゲ野郎もそうだったが、これがコモンズの標準なのだろうか?
まぁ、自分で働いているだけマシかもしれないけど。
「ジャックのことが許せないのなら、自分でやったらどうだ?
何をやられたかは知らないけど~」
まぁ、原作通りなら知ってるんだけど
「・・・僕もジャックのファンでした。
スラム街の無敵のキングと呼ばれていた時からずっと・・・
僕も彼のようになりたくて・・・でも、カードも持ってない僕は、こうしてお金を稼ぐためにトップスの下で働いたりして・・・」
いや、働き口ってトップス以外にほとんどないような気がするけど
コモンズの住んでいる層は、ほとんど民家でコンビニや酒場なんかもない、そういうものがあるのはどちらも通える中層地帯だ。
店と言ったら露天があるものの、あそこは偏屈な商人ばかりが集まっているので子供に手伝いなんてさせないだろうし
「一度、彼と会う機会があって、僕はどうしてもこの思いを伝えたくて、彼の前に行きました。
そして僕は彼から『お前に一番ふさわしいカードだ。』と言われて、このカードを渡されました・・・」
懐から出されたのはやはりというか[調律の魔術師]
レベル1の闇属性、魔法使い族のチューナーモンスターだ。
ステータス的にかなり希少なカードであるが、召喚、特殊召喚するたびに微妙なデメリットが発生するため、かなり使いづらいカードである。
「こんな、レベルも攻撃力も低いカードが僕にふさわしいなんて・・・ジャックは馬鹿にしているんだ!同じコモンズなのに!!
ジャックは変わった、キングになって金持ちになったジャック・アトラスはトップスに魂を売った裏切り者だ!!」
・・・またかよ。
「裏切り者ねぇ?
じゃあ、ジャックがキングになった時、自分から俺はコモンズの代表です!って言ったのか?」
「えっ?」
「どうなんだ?」
サムは目を伏せて、記憶を掘り返しているようだが、まぁないだろう。
「・・・言って・・・ないです。」
「だろうな、あの傲慢で自分勝手でめんどくさい男が、そんなこと言うわけがない。
そもそも、コモンズに対して仲間意識があるのかと言っても答えはNOだろう。
彼は彼、ジャック・アトラスでしかありはしないんだからな。」
サムはさっきまであった怒り顔が嘘のように消失し、ただの叱られている子供の顔になっている。
まぁ、言葉足らずのジャックもどうかと思うことはあるけど・・・
「君と同じようにジャックを裏切り者と言っている奴らにこの前も会ったけどさぁ
元からジャックはコモンズの代表としてキングになったわけじゃないと思うし、勝手な期待を背負わされるのなんてジャックからしたらいい迷惑だ。」
「うぅ・・・」
ジャックはいい統治をして国を豊かにする『王様』じゃない。
道を切り開きその生き様を見せて、さぁ追いつけるものなら追いついてみろ!と言い放つ『
ゆえに、彼に何かを伝えたかったらデュエルをして認めてもらうしかないだろう。
まぁ、俺はジャックのこととは別にものすごくこの子に対して気に入らないことがあるのだが
「ところで、君はそのカードがどういう価値を持っていると思う?
あぁ、ジャックからもらったカードって言うことを除いて、純粋にデュエルモンスターズにおいての話だ。」
「えっ?・・このカードの価値?
こんなレベルも攻撃力も低いクズカードに価値なんか・・・」
クズカードか・・・
「闇属性、レベル1、チューナー、魔法使い族、攻守は0
サーチ幅が広くて、サポートも多く受けられるステータスを持っている上、同じ条件をもつモンスターは俺の知る限り他にいないからな。」
「で、でも!召喚するたびに相手のライフを400回復させて、自分のライフを400削るんですよ!」
「俺は面白い効果だと思うけどな。
まぁ、生かすのなら専用構築にしなくっちゃいけないし、パーツを揃えるのも大変だとは思うけど・・・
すぐにクズカードと言って切り捨てる、君のような奴には向いてないカードだわな?
それとも何か?ジャックが、使えば誰にでも勝てる無敵のカードでもくれるとでも思ったのか?」
「うぅ・・・」
図星かい。
っていうか、そんなカードねぇよ。
ゲーム崩壊級の禁止カードだって大半が他のカードと組み合わせると悪さするから牢屋に入っているというのに・・・
まぁその話は置いておいて
「ん~そんな玄人向けのカードを渡してきたってことは『そのカードを使いこなせるほどの
「えっ!?」
アニメだと自分が上を目指すきっかけになったカードを渡したということだったような気がするけど、まぁ、そんなことこいつに分かるわけでもないし、理由的にはこっちだろう。
ぶきっちょな男だから本気で前者かもしれないけど・・・
「俺はここ数日スラム街にいたけど、夢のないなんとも面白みのない街だったな。
他人に迷惑をかけることしか考えない本物のクズもいたけど・・・
そんな奴らに比べたら、夢を持って歩きだした君は全然マシだ。
だからジャックは君に期待してこのカードを預けたんじゃないか?」
「期待・・・そんな・・・僕なんかに・・・」
申し訳なさそうな、嬉しそうな、そんな顔をしてぶつぶつ言ってるな。
「いや、言っておくがそのあたりは俺の想像だからな?本気にするなよ。」
「!!」
おぉ、一気に落ち込んだな。
ここまで百面相されるとは・・・いじりがいのあるやつだ。
「・・・あなたにお願いがあります。
このカードを貰ってくれませんか?」
落ち込み顔のあと、悩み顔になり、何か決心したような顔をしたと思ったらそんなことを言ってきた。
手に持っていたカード、ジャックからもらった[調律の魔術師]を差し出して
「どういうことだ?
そのカードはジャックが渡した君のカードだ。
ここでバイトしているのもカードを買うためなのだろう?
たとえ使いにくいカードでも1枚でも多くあったほうがいいんじゃないか?
デッキすらできていないのだろう?」
「そうです。
僕が持っているカードはこの一枚だけ・・・
僕はジャックが期待してようとしてなかろうと、僕は、デュエリストになる夢は諦めてしまったんです・・・」
「その夢はそんなに簡単にあきらめられるものなのか?」
「・・・・・・」
俯き差し出される手は震えている。
嘘の下手な奴だ。
俺は差し出したカードを未練がましく見つめるサムから調律の魔術師を奪い取る。
「あっ・・・」
「なんだ、未練たらたらじゃないか。
ふふ、それでこそこのカードを手に入れた甲斐がある。」
「えっ?」
「ジャックが期待したのなら、それなりのデュエリストになるだろう。
だから、このカードを返して欲しかったら、それなりのデュエリストになって取り返しに来い。
おまえの好きなカードで、好きなデッキ組んでな。」
「えぇ!?」
「このカードが気になるのなら、本当の0から始めろ。
お前の夢は捨てるんじゃなくて、ここから始めろ。」
「そ、そんな勝手に!?」
「お前はジャックに勝手な期待をしたんだから、俺もお前に対して勝手な期待をさせてもらう。」
「うっ・・・」
「別に俺は、お前がこれを取り返しに来なくても構わないんだけど・・・どうする?」
「・・・・・・失礼します・・・」
サムは扉を開けて出ていく、さてさて釣れるかねぇ~
8パックぐらいなら買えそうだけど・・・
「で、盗み聞きなんて趣味が悪いじゃないか、クロウ?」
サムと入れ替わりに入ってくるクロウ
扉の隙間からチラチラ見てたけど、用はこのDホイールだろうな・・・
ジャックが『友』って言っている人の物らしいし、いや、それともゴーストライダーのことだろうか?
「・・・ちょっと、付き合え。」
それだけを告げて、クロウは出てゆく。
俺はDホイールのエンジンを起動し、ガレージから直接スタジアムを出る。
見つけたクロウの後ろをついてゆく、さてさてどこに行くのやら・・・
エキシビジョンマッチが終わって、ユーゴのガレージに戻ってきたけど、ユーゴは「ちょっと走ってくる。」って言って出て行っちゃった。
もう、こんな遅くに・・・で、ユーゴの代わりにやってきたのが
「久しぶりね。ユート。」
「あぁ、そうだな。
柊?でよかったか?」
う~ん、なんか違和感が・・・やっぱり遊矢と同じ顔だからかしら?
ユーゴも柚子って呼んでくれるし・・・
「別に柚子でいいわよ?」
「あぁ、ありがとう。
だが、なんというか・・・」
「・・・もしかして、瑠璃のこと?」
「あぁ、やはりというか、君もセレナも瑠璃に似すぎているのでな・・・」
そうよね。
ユートはずっと、辛い中で戦って、大切な人まで奪われて・・・
ユーゴはチャンスを不意にしたらリンに怒られるからって、この大会で戦って行く決意をしているけど、それだって寂しさや悲しみの裏返し
こんなにみんなを悲しませて、一体、赤馬 零王は何をする気なの?
「・・・ねぇ?聞かせてくれない、瑠璃のこと。」
「えっ?」
「あっ!いや、ちょっと気になったというかぁ~?
ユーゴもリンのこと話してくれたし、セレナとは実際会ったし、瑠璃のことだけ知らないなぁ~って・・・」
し、しまったぁ!!気になったからつい言っちゃったけど
ユートにとって瑠璃のことは辛いことのはずなのに、私の馬鹿!!
「ふふ、君は随分と素直なのだな?」
「あっ、いや、その、ごめん・・・」
「いいさ。だが、そういうところは瑠璃と少し違うな。」
「へっ?」
「瑠璃は決めたことをまっすぐ突き進んでいた。
アカデミアが襲ってきて、街が火の海になっているときでさえ、こんなの間違っていると、デュエルは争いの道具ではないと『デュエルは人を笑顔にするもの』だと曲げなかった。」
!!?その言葉って・・・でも、当然といえば当然のことだし・・・
うぅ~ん、遊矢に言った方がいいかしら?
「そう、強い人だったのね。」
「あぁ、喧嘩をした俺と隼を殴って止められるくらいにな。」
「いや!?腕力の話はしてないわよ!!?」
ちょっと、瑠璃って囚われのお姫様的な人じゃないの!?
ユートは思い出してしみじみしているけど、全然感傷にふけるような話じゃないわよ!?
「え、えぇ~と、もしかして瑠璃って怖い人?」
「いや、確かに怒ると手が付けられないことはあったが、優しい人だったよ。
大空を自由にさえずり飛び回る鳥達のような、明るく楽しいデュエルがしたいと言っていた。
不器用で不愛想な隼も、瑠璃の前ではいつも笑顔だった・・・
まぁ、俺と同じで隼たちも孤児だから、家族と呼べるのも瑠璃だけだから当然だがな。」
隼、たしか黒咲って人のことね。
すごい怖い顔してたけど、いや私の顔を見たときすごい狼狽してたけど、あの人が笑顔をみせるか・・・
逆に言えば瑠璃が攫われたから、あんなふうになったのよね・・・
その後も、ユートはエクシーズ次元のいろいろなことを話してくれた。
楽しくて平和な思い出、戻ることのできない色鮮やかな記憶を
エキシビジョンマッチの興奮冷めないシティ
コモンズ、トップスのどちらもが訪れる中層と呼ばれる一角がいくつかある。
その中でも一番外側にあるその場所は、シティを一望出来る知る人ぞ知る場所である。
――シュボッ!
「スゥ~はぁ~・・・」
その場所に作られた公園のベンチで一人の老人がタバコをふかしていた。
「タバコは体に悪いぜ?ジーサン。」
「ははっ、そう堅いことを言うな、小僧。
評議会室は禁煙なんじゃ。」
その老人に近づく白いライダースーツを纏った少年、ユーゴ
突然話しかけたユーゴに対し、その老人、ホワイト・タキはユーゴがここに来るのが分かっていたかのように言葉を返す
「なんじゃ、こんな時間に
もしかして、わしに会いに来たのか?」
「いんや、ここの景色を見ようと思ったら、たまたま爺さんがいただけだ。」
「はっ!なんじゃ、可愛げのない奴じゃのう。」
ユーゴはホワイトの隣に腰を下ろすと、シティの街並みを眺める。
しばらく無言が二人の間で続く
「・・・嬢ちゃんのことすまなかったのう。」
「なんだよ、藪から棒に・・・それは爺さんの所為じゃねぇ。」
(誘拐犯が別次元の人間だとか誰もわかんねぇよ。)
「いや、この一件はセキュリティそのものがかかわっているらしいのであれば、この街を取り仕切る者としてわしに責任がある。」
「心配すんな!リンはこの俺が絶対に助け出す!」
「ふん、毎度のことじゃが大口叩くのう。
わしに向かって『絶対にキングになる!』と吠えただけのことはあるわい。」
「へっ!『その時までにこの街を最高にして見せる』なんて、言った爺さんの方がよっぽどだと思うけどな!」
「ふ、そんなこと言った過去の自分を殴りたいわい。
腰の重い古狸どもの穴をたたくのがどれほど面倒か・・・」
「でも、そのおかげでフレンドシップカップが出来たんだろ?」
「あぁ、でも、それも今は都合のいい客寄せパンダを作るための大会になってしまったがのう・・・」
「おいおい客寄せパンダなんてジャックが聞いたら怒るぜ?」
「ホッホッホッ、たしかに、あの男は客寄せにしては不愛想すぎるのう。
まぁ、あの男はキングとしては最高じゃが、それ故に勝とうとするものが少なくなってしまったのは問題じゃったがのう・・・」
「そんなこたぁねぇ!ジャックは最高のキングだ!
ジャックがコモンズでもトップになれることを証明してくれた。
爺さんがフレンドシップカップを作ったから、ジャックはキングになれた。
ジャックがキングになったから爺さんが俺たちの孤児院慰問に来た。
俺と爺さんの出会いはジャックのおかげなんだぜ?」
「ふっ、そういえばそうじゃのう・・・」
トップスの中のトップである最高評議会の長とコモンズの少年
少年の夢と老人の約束、その交差は絶対王者の威光
「じゃが今年はおぬしがキングになるのは無理そうじゃがのう。
何しろキング当人だけではなく、あのイカレ道化も倒さねばならぬからのう!」
「はっ!俺はリンを助け出したときの土産話で『キングになった』って言うつもりなんだ。
だったら、ジャックだってあいつだって倒して登り詰めてやるぜ!!」
「結構トバしたのについてくるなんて、エキシビジョンの時も思ったがいい腕しているな。」
「ほめてくれるな。
俺はDホイールに乗って一週間のペーペーだ。
すごいのはこのDホイールのアシストプログラムだ。」
連れてこられたのは何の変哲もないシティ郊外の森の上を走る道路
クロウは道路の縁から眼下の森を見つめる。
「一週間!?
ははっ、暇があればDホイールをいじっていたあいつらしいぜ。
そんなど素人が、ジャックと張り合えるDホイールを作っちまうなんてよ・・・」
だんだんと言葉尻が小さくなり、うつむいてしまうクロウ
クロウと同じように下の森を見ていると月明かりに照らされた川がキラキラと光っている。
『川』『Dホイール』『作っちまった』ってことは、このDホイールの持ち主、この世界におけるあの人に該当する人は・・・
「・・・昔、俺には大勢の仲間がいた。
ガキの頃からの親友、デュエル仲間、ただ単に気があった奴、仲間になった奴のそのまた仲間・・・
まぁ、出会い方はいろいろだったけど、気の良い連中だった。
おめぇがあったトニーやデイモンだって、昔はあんなに擦れてなかったんだぜ?」
何も知らない俺に詮索する義理はない。
だがクロウはそんなことは知るかと昔話を始めた。確かにあった絆の物語を
「昔のシティは今よりギラギラしていてなぁ。
デュエルギャングや不良グループなんかもいたもんだ。
俺たちもそいつらと似たようなもんだったんだが、仲間の一人が“新しいライディングデュエルのための乗り物を作ろう”って言いだしたんだ。」
ライディングデュエルのための乗り物?
その時はまだDホイールという名称はなかったのか?
「最初は無茶だって誰もが思ったさ。
昔のなんてオーパイもないホントにただのバイクだったしな。
だけどそいつは、みんながライディングデュエルを楽しめるようにと、いろんなものを詰め込みまくった。
オーパイやら簡単に転倒しないようにする装置やら、デュエルディスクと連動するシステムとか
今のライディングデュエルがあるのはあいつのおかげさ。」
「へぇ~でも、そんな人の話、全然聞かないな。
さぞかし有名人だろうに」
「・・・あぁ、作ったそいつはそれが広まる前に死んじまったからな・・・」
・・・やっぱり、そう、なるか・・・
「新しいモノを作ろうとしているんだ。金もかかる。
いろいろとしているうちに資金がなくなってきてな。
で、仲間の一人が伝手を使って、トップスの金持ちに援助を頼みに行ったんだ。
だけど、仲間にはトップス嫌いの奴が何人もいてな。
そいつは俺たちに黙って話を付けに行ったんだが、それがバレちまった。」
「喧嘩にでもなったのか?」
「あぁ、そいつがトップスとつながっているって大騒ぎになった。
Dホイールを作ってたやつも、元は親がトップスから流れてきたやつだったから疑われた。
それで血の上った奴が、援助を頼みに行った奴をぶちのめしてやるって出て行っちまった。」
「そいつはトップスにどんだけ恨みを持っていたんだよ・・・」
「いや、恨みとかじゃなくて
トップスの力を借りずに“ライディングデュエルを始めたコモンズ達だけ”でな。
援助を頼みに行った奴は、どうやってもマシンを完成させたかったから、資金援助を頼んだ。」
「夢を追う奴と現実を考えて行動する奴の認識の違いってことか・・・」
「あぁ・・・」
その日はひっどい雨だった。
おまけにトップスの富豪の家に突撃かまそうとしているもんだから、どこの誰だか知らねぇがセキュリティまで追ってくる始末
――ウーウーウーウー!!
「おい!シンジ!!
セキュリティまで出てきちまったぞ!?こんなことやめろって!!」
『うるせぇ!!俺たちの夢を汚したボルガーの野郎は許せねぇ!!』
「だからって、今やることじゃねぇだろうが!!」
『今止めねぇとトップスの豚どもに全部取られちまうだろうが!!マシンも!俺たちの夢も!!』
血の上った俺たちの仲間『シンジ・ウェーバー』
仲間の中で一番トップスにいい顔してない奴だったが、その日は酷かった。
トップスに俺たちが作ってきたものを全部取られちまうと焦燥してやがった。
当時はまだデュエルチェイサーズなんてもんは無くて、追ってくるのもパトカーだけでセキリュティもデュエルを使ってシンジを止めるっていうこともできなかった。
トップスピードで突き進むシンジと追う俺たちじゃ、距離が縮まるどころか開くばかり
だが、何も策のない俺たちと違ってセキュリティには組織と人という武器があった。
『なっ!?あれは!?』
「検問!?」
セキュリティの奴らはシンジがどこに向かっているのかということを予測して、丁度そこに検問を敷いていた。
護送車を何台かおいて完全に封鎖されていて、普通の奴なら止まるしかない状態
だが、シンジは仲間の中で一番マシンテクに優れていて、その普通に当てはまらないやつだった。
『そのくらいで俺が止められるかよおぉぉぉ!!トップスの犬がアアァァァァァァ!!』
奴は突っ込んだ。
いつものあいつなら、ホイールの回転を利用してバリケードを飛び越えて、セキュリティどもを尻目に見ていただろうが・・・
――キキキッ!!
『なっ!?うわっ!!?』
通信越しに聞こえたのは困惑の声
視界不良になるほどの雨、郊外の道路だから舗装が荒れていたこと、そして頭に血が上っていたことによる判断ミス
シンジの奴は完全にバランスを崩した。
――うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!!
「シンジイイイィィィイイィィ!!」
俺が叫んだところで遅かった。
最高速でバランスが崩れたことで制御不能に陥ったシンジのバイクは、そのままバリケードに突っ込んでいった。
シンジはもう助からない、そう思った時
「――――――――!!」
――ビュウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
一陣の風が起こった。
「えっ・・・」
訳が分からなかった。
いつの間にかあいつはシンジのそばに接近していて、シンジをバイクから投げ飛ばしていた。
だけど
――ガシャアアアアァァァァァァァァァン!!ガンッ!!ガンッ!!
乗り手のいなくなったシンジのバイクはあいつを巻き込んだ。
あいつは乗っていたマシンから投げ出されて、バリケードに叩きつけられた
シンジの乗っていたバイクと一緒に・・・
――ドッッカアアカァァァァァァァァァン!!
――キキキッ!ドゴォ!!バッシャアアアァァァァァァァァン!!
はじめは何が起こったのかわからないほど目の前が真っ白になって、現実感がなかった。
そいつはトップスからコモンズになったいわゆる『落ちこぼれ』で、本来ならコモンズにも居場所がないような出自だった。
だがあいつはコモンズだとかトップスだとか関係なく仲間を作っていった。
無表情でクールそうな奴なのに、熱い心を持っていて、不思議と俺とも気が合った。
あいつが始めたライディングデュエル用のマシン“Dホイール”の開発もあと一歩、エンジン部分さえできれば完成するのに
――ゴオオオオォォォォォォォォォォ!!
激しい雨にもかかわらず、その炎は激しく燃えている。あいつと一緒に
「「!!?――エエェェェェェェェェェェェェ!!」」
「突っ込んでくるって分かっていたセキュリティ側の死傷者はゼロ
投げ出されて全身を骨折したシンジはその場で取っ捕まって、開発者がいなくなって資金援助の話はオジャン。」
「じゃあ、いまDホイールが広まっているのは?」
「あぁ、ボルガーの野郎が諦めきれなくってな・・・トップスに売り込んだのさ。
あいつだけじゃなくて、あの時の仲間はみんなチリヂリになっちまったがな・・・」
なるほど、じゃあこのDホイールはプロトタイプってところか、そういえば日影が設計図から見てエンジン系のリミッターが外れているとか言ってたっけ?
スピードを一定まで上げるとオーバーロードしたモーメントのエネルギーが制御できなくなって暴走状態になるからスピードの出し過ぎは危険だって
「なぁ、それ、どこで見つけたんだ?」
「森の中の不法投棄場
この下に川があるから、今の話とすり合わせると増水した川に乗って運ばれたんだろうな。」
「なるほど、せめてマシンだけでも
って、みんなでこの下探したのに見つからないわけだ。」
まぁ、下の川の水量は少ない。
だけど、おそらく近くに貯水用のダムとかがあって鉄砲水がやってくるか、雨の時だけ水量が増えるのだろう。
鉄の塊が流されているなんて、想像できなかったわけだ。
「なぁクロウ、このDホイール・・・」
「待った!」
返そうかと言う前に、クロウに止められた。
「そいつはライディングデュエルをやるために生まれてきたんだ。
そしてお前は今、フレンドシップカップっていうライディングデュエルの大舞台に出ている。
降りるなんて言うなよ。」
「だけど・・・」
当事者が見つかったのに、使い続けるのは気が引ける。
それになにより、このDホイールの持ち主の後釜としては俺には荷が重い。
「あぁ~もう!だけども、杓子もないっての!!
ジャックも言ってたろ!勝ち続けてまた俺と戦えって!だから、お前はそいつと一緒にジャックとまた戦ってくれ!
あいつはジャックを一番のライバルにしてたからな・・・」
「クロウ・・・」
「さぁ!そうと決まったら、そいつの未完成の部分を仕上げようぜ!
俺の家に予備パーツはあるからよ!
おっと、言っておくが、お前と俺が戦うときは手加減なしだからな?」
「ふふ、この前ぼろ負けしたのはどこの誰だったかな?」
「ぬかせ!今度は俺が勝つんだよ!!」
軽口をたたきながら俺たちはシティに戻る。
知ってしまったからには、こいつには花を添えなければならないな。
勝利という艶花を
ねぇ、本当にここに遊矢たちがいるの?
さぁ?
さぁ?って・・・
まぁまぁ、僕もなんとな~く、ここかなってきただけだしさ。
それにほら、なんだか面白そうなことしているみたいだよ?
フレンドシップカップ?って、えっ!?権ちゃん!?
あれ、知り合い?
じゃあ、僕の勘、っていうかスターヴ・ヴェノムの勘も的外れじゃなかったみたいだねぇ
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『頂のその先へ』
ライディングデュエル・アクセラレーショ~ンだっけ?
「CC」カード群の効果について
-
制作したものをそのまま使用
-
後付け効果を削除
-
メインに入るカードの後付け効果のみを削除
-
EXのカードのみをアニメ寄りにして使用
-
完全にアニメカードそのまま