遊矢「おぉ、柚子、久しぶりだなぁ。」ジッ
柚子「な、なに?じっと見つめて・・・」
遊矢「やっぱりその髪色(マゼンタ)目立つな・・・」
柚子「えっ!?」
やっと涼しくなってきましたね。
本当は先週に投稿する気だったのですが、仕事が忙しくなったので遅れてしまいました。おのれシルバーウィーク!
まぁ、来週から忙しさは抜けるので、出来る限り週一更新を目指します。
なお、シンクロモンスターを封じる効果は本来カウンター効果なのですが、OCGでは永続効果になっているので、それに伴い、効果名を変えております。
「ローズトークンでマインフィールドに攻撃!」
「ぐっ!マインフィールドの効果で、墓地のフィールド魔法、ブラック・ガーデンを手札に加える。
そして、古の森の効果でローズトークンは破壊される。」
LP700→650
聖なる森の神気が、薔薇の化け物を浄化する。
「どうした遊矢!お前が作り上げたデッキはそんなものか!!」
「ふ、ははは・・・どうだろうなぁ?」
5年ほど前だったか?
遊矢は新しいデッキを思いついたからと、手合わせを頼んできた。
その時の俺は、自分の実力に伸び悩みを感じていた。
「さて、ターンエンドか?権現坂?」
「あぁ、俺はターンエンドだ。」
そして遊矢が作り上げたのは、俺の持つデッキとはまるで違うマジック、トラップを多用したデッキ。
あぁ、そういえばこの時の一戦は遊矢が
「俺のターン、ドロー
俺はフィールド魔法、ブラック・ガーデンを発動」
神聖な森が無数の蔦で覆われ、赤黒いバラの花が咲き誇る。
俺の超重武者は無理やりに攻撃表示に変えられれるなどをして調子を崩され、遊矢は地力の低いモンスターしか出さなかったため、互いに大きなダメージが入らないまま何ターンか経過した。
「なぁ権現坂?こんな言葉を知っているか?
デュエルはモンスター『だけ』では勝てない。トラップ『だけ』でも魔法『だけ』でも勝てはしない。」
その言葉は、俺のデッキに刺さる言葉だった。
モンスターだけで構築されたフルモンスターの超重武者デッキ、俺の不動のデッキ
だが、俺はそこに限界を感じ始めていた。
「バランスの良いデッキは確かに勝利をつかみやすい。
だが、この言葉の本質はそこじゃない。」
「何が言いたい。」
「この言葉はこう続くのさ。
勝利を築き上げるために最も必要なことは、ここにある!ってな!!」
遊矢は自身の胸を指さし、一枚の手札を切る。
「俺は巨大ネズミを召喚!」
巨大ネズミ「ヂュー!!」
ATK1400→700
「ブラック・ガーデンの効果で攻撃力が半減し、相手フィールドにローズトークンが攻撃表示で特殊召喚される!」
ローズトークン ATK800
黒い庭に現れる骸骨を持った、その名の通り巨大なネズミ
その身に蔦が絡まり、俺の場に魔力で育った巨大な薔薇の怪物が再び現れる。
「バトル!巨大ネズミで、ローズトークンに攻撃!」
「馬鹿な!?そんなことをしてもお前にダメージが!?」
巨大ネズミはローズトークンの蔦に貫かれ破壊される。
「ぐぅ・・・だが、巨大ネズミの効果でデッキから攻撃力1500以下の地属性モンスターを特殊召喚する。」
LP650→550
「攻撃力1500以下?
そんなモンスターを出しても俺の不動のモンスターはおろか、ローズトークンすら破壊することは、っ!?」
いや、この状況で最も力を発揮するモンスターがいる!?
後で聞けば遊矢は親父殿から1枚のカードを託されていた。
そしてそのカードを使い、俺の持つデッキとは全く違うデッキを作り上げていた。
「来い!超重武者ビッグベン―K!!」
ビッグベン―K「ベンケエエェェェェェェ!!」
ATK1000→500→DEF3500
フィールド魔法を使った妨害には長けているものの、勝ち筋がないように思えたデッキ。
だが、ソレまでのことは決して無駄ではなかった。
遊矢は待っていた。たった1枚の切り札を
「こいつは召喚、特殊召喚時に表示形式を変更することができる。
そして、自分フィールド上の超重武者に守備表示のまま守備力を使って攻撃できるようにする効果をもつ。
行け!ビッグベン―K!!」
黒い庭の中に雄々しく立つ機械の武者
それから放たれる一撃は、ソレまでが繋いだ勝利の一撃
それはデュエリストとして最も大事なことを貫いたが故の勝利
ビッグベン―K「ベンケエェェェェェ!!」――ズドンッ!!
デュエルに最も必要なもの、それは・・・
「おい、権現坂!起きてんのか?」
瞼を開ければ、沢渡の顔が真正面にある。
やれやれ、こいつの騒がしさはどこでもいっしょだな・・・
「むぅ~何だ、沢渡?」
「ハッ!相変わらず肝の据わった奴だぜ。
プロも出ているこんなでけぇ大会で、平然としているなんてよ。」
こいつは人のことが言えた義理だろうか?
「プロが出ていようと出てまいと、俺のやることは変わらん。
それはお前も同じだろう?」
「まぁ、そうだけどよ。
でも、アブねぇ奴らと戦いに来て、大会に出ることになるとはなぁ?」
まぁ、それについては同感だ。
この大会は街おこしのための大会、とはいえアカデミアがかかわっている疑いがある以上、見過ごしておけぬだろう。
『さぁさぁ!伝説的な熱いエキシビジョンを経て、本日よりフレンドシップカップ本選です!』
外からMCの女性の声が興奮気味に聞こえてくる。
対戦相手はランダムで決まると言っていたが・・・
『栄えある開幕戦に登場するのは・・・なんとなんと!!
このシティの天空に輝く星!あなたの!あなたの!そして私の!みんなのキング!!ジャック・アトラァァアアァァァス!!』
――ドドンッ!!
――キイイイィィィィィィィィィ!!
「キングは一人!この俺だ!!」
花火が上がり、車体そのものが車輪になった独特のバイク、いやDホイールに乗った金髪の男が昨夜と同じように、名乗りを上げる。
そしてそれに呼応し、周りの観客たちも叫びをあげ、彼の名を高らかに叫ぶ。
――ウオオオォォォォォォォォォォォ!!ジャック!ジャック!ジャック!ジャック!ジャック!ジャック!
「あぁ~あ、完全にアウェーだぜ。
チキショウ!俺様がオープニングを飾れば、沢渡コールにすべて変えてやったのによぉ!!」
はぁ~何を言っているんだか・・・
「Ah!そうだね。
僕も出れたら、もっとお客さんを盛り上げるオープニングにしてあげたのに~」
「権現坂殿、システムチェック終わったでござる。」
「車体点検も問題なし、怪しいものは仕掛けられてないでござる。」
「うむ、日影殿、月影殿、かたじけない。」
この大会に出るにあたりDホイールは評議会が用意するとの打診があったが、何かしらの工作をされる恐れがあったので、デニスの稼ぎを使いDホイール等のライディングデュエルに必要なものを一式購入、整備員として風魔兄弟と赤馬零児を据えることで、マシントラブルを装った妨害を防止した。
「ヘルメットも問題ない。
まぁ、我々がずっと持っていたのだから当然だが。」
過剰とも思える妨害への警戒
遊矢は何かを感じているのだ、この大会に
「ほれ、行ってこい。」
「うむ。」
沢渡からヘルメットを受け取り、Dホイールに乗り込む
どんな陰謀が動いているのかわからぬが、デュエルを汚す者の好きになどさせぬ!
俺の不動のデュエルで阻んでくれよう!
「男、権現坂、参る!!」
『キングに挑む、勇敢なるデュエリストは権現坂 昇ぅ~!!』
――キイィィィィィィィィィン!
甲高い音を出して、入場口から登場した渋めの色のDホイール
告げられた名前に全く聞き覚えのない観客たちは、あれは誰だと困惑しているが、それとはまったく違う反応をしている一角があった。
「くふふ、権現坂の奴全く似合ってないなぁ~」
帽子とマフラーで顔を隠した黒ずくめの少年 ロゼこと遊矢と
「ちょ、ちょっと、そんなこと言ったら可哀そう、プッ!」
「いつものあのリーゼントはヘルメットのどこに収まったのかしら?」とか考え始めた時点で噴出した、クリーム色と茶色の制服のようなものを着た金髪の少女
学校の出し物で使った[閃刀姫―レイ]の衣装で変装した柚子である。
「くふふ・・・ねぇ、ゆ、じゃなかった。ロゼ
あなたはどっちを応援するつもりなの?」
「う~ん、ジャックとはこの大会で再戦の約束をしたし、でもだからって権現坂を応援しないっていうのもないから、どっちもかなぁ~」
「えぇ・・・それってありなの?」
「ありなんだよ。
それに中々に勝ち予想がつかない組み合わせだし、むしろ黙って観戦している方が面白いかもな?」
(ロジェの計画はジャックを利用した街の心理的掌握。
場合によっては、ジャックを勝たすために、妨害を行うかもしれないな・・・)
遊矢は楽しみな反面、不安を感じながらジャックと権現坂のデュエルの開始を見つめる。
『では!さっそくいくわよぉ~!フィールド魔法!クロス・オーバー・アクセルゥ~!!』
見える景色が紫がかり、アクションカードがばらまかれる。
スタートカウントが始まる前に、ジャックは権現坂に向かって一言宣言する。
「キサマがどこのだれかは知らんが、この大会、俺はキングとしてではなく、ジャック・アトラスとして戦う!
慈悲や加減など期待せん事だ。」
「望むところ。この男、権現坂、逃げも隠れもせん!」
――フッ
2人はそれぞれの覚悟を宣言すると自然と口元を緩ませる。楽しくなりそうだと
『ライディングデュエル!アクセラレーション!!』
『『
スタートと共にジャックは一気に前へ躍り出る。
対して権現坂は追随できる程度のスピードでファーストコーナーに入る。
「その程度のスピードでこの俺は抜けんぞ!俺のターン!!
俺はチューナーモンスター、レッド・リゾネーターを通常召喚!!」
レッド・リゾネーター「ヘッ!」
ATK600
「リゾネーターモンスターの召喚に成功したことで手札のレッド・ウルフは攻撃力を半分にして特殊召喚できる。
さらにレッド・リゾネーターが召喚されたことで、手札のレベル4以下のモンスターを特殊召喚する!
来い!レッド・ウルフ!チューナーモンスター、変容王 ヘル・ゲル!」
レッド・ウルフ「ワオオォォォン!」
ATK1400→700
ヘル・ゲル ATK100
赤き調律の小悪魔に導かれ赤き人狼と上下に二つの口を持つゲル状の人型が呼び出される。
「変容王 ヘル・ゲルの効果発動!
このモンスターが召喚、特殊召喚に成功した場合、このカード以外のフィールドの表側表示モンスター1体を対象にし、ヘル・ゲルのレベルをそのモンスターと同じにし、そのレベル×200ポイントのライフを回復する。
俺はレッド・ウルフを対象にし、ヘル・ゲルのレベルを6に変更、さらに1200ポイントのライフを回復する。」
LP4000→5200
ヘル・ゲル LV1→6
「さらにヘル・ゲルの効果で手札からヘル・ゲルよりレベルの低い悪魔族モンスター1体を特殊召喚する!
俺は絶対王 バック・ジャックを特殊召喚!!」
バック・ジャック「ハッ!!」
DEF0
現れたのはジャックをデフォルメしたようなモンスター
あっという間にジャックのフィールドにモンスターが4体揃えられ、権現坂も感嘆の声を出す。
「おぉ!1ターンでこれほどのモンスターを揃えるとは・・・」
(そして、そのうちの2体はチューナー、なれば次の手は)
「刮目するがいい!ジャック・アトラスのデュエルを!!
俺はレベル6のレッド・ウルフにレベル2のレッド・リゾネーターをチューニング!
王者の咆哮!今、天地を揺るがす!唯一無二なる覇者の力をその身に刻むがいい!!シンクロ召喚!
荒ぶる魂!レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト!!」
レッド・デーモンズS「グオオォォォォォ!!」
ATK3000
「さらにレベル1の悪魔族、絶対王 バック・ジャックにレベル6となった悪魔族チューナー、変容王 ヘル・ゲルをチューニング!
天頂に輝く死の星よ!地上に舞い降り生者を裁け!シンクロ召喚!
降臨せよ!天刑王 ブラック・ハイランダー!!」
ブラック・ハイランダー「フン!ハッ!!」
ATK2800
星が輝き新たな輝きとなって降臨する。
一つは王の魂である紅き悪魔竜、もう一つは新たな白を抹殺する黒き執行者
「ブラック・ハイランダーがフィールド上に存在する限り、お互いに新たなシンクロ召喚を行うことはできない!
黒い執行者の大鎌が振るわれ、二人の走る道が黒く染まる。
「墓地へ送られたバック・ジャックの効果でデッキの上から3枚を確認し、その後好きな順番でデッキトップに戻す。
俺はこれでターンエンドだ!」
『おぉ!!キング、最初の1ターン目で強力な2体のシンクロモンスターの召喚に成功!!
さらにシンクロを封じる凶悪な戦術をくりだしたぁ!!
今日のジャックは一味違う!!
対する権現坂選手、このピンチをどう乗り越えるのでしょうかぁ!!』
(高攻撃力のシンクロモンスター2体にロック戦術、1ターン目でこれほどの場を構築するとは・・・
さすがキングと呼ばれる男!だが、この男、権現坂、その程度では揺るがぬぞ!)
「見せてやろう!俺の不動のデュエルを!俺のターン、ドロー!!
自分の墓地にマジック、トラップカードがないとき、手札の超重武者ビッグワラ―Gは特殊召喚できる。
来い!超重武者ビッグワラ―G!!」
ビッグワラ―G DEF1800
「ビッグワラ―Gは機械族モンスターをアドバンス召喚する場合、2体分のリリースとして扱うことができる。
俺はビッグワラ―Gをリリースし、アドバンス召喚!!
いざ出陣!!超重武者ビッグベン―K!!」
手も足もない黄色のロボットの胴が2つに割れると巨大な草履のようになって消え、権現坂の魂たる橙の重武者が出陣する。
ビッグベン―K「ベンケェェェ!!」
ATK1000→DEF3500
「超重武者ビッグベン―Kは召喚、特殊召喚したとき、表示形式を変更できる。」
「ふん!だが、守りを固めるだけでは俺には勝てんぞ?」
「いや、超重武者ビッグベン―Kがフィールド上に存在する限り、俺のフィールドの超重武者は守備力を攻撃力として扱い、守備表示のまま攻撃できる!」
『えぇ~!?何それ!!』
「さらに手札の超重武者装留ダブル・ホーンの効果を使い、このモンスターをビッグベン―Kに装備する!」
2本の角の付いた巨大な兜が2つに割れて、ビッグベン―Kの肩に合体する。
「ダブル・ホーンを装備した超重武者は2回攻撃ができる!」
『えっ!?じゃあ、実質、攻撃力3500のモンスターが2回攻撃できるようになったってこと!?』
「なるほど、なかなかに楽しませてくれる・・・
なら俺もそれに応えよう!俺は墓地のバック・ジャックの効果を発動!
相手ターンにこのカードを墓地から除外することで、デッキトップを確認し、そのカードが通常トラップなら、セットできる。
デッキトップは針虫の巣窟、通常トラップだ。よって俺のフィールドにセットされる!」
(針虫の巣窟、あのカードは自分のデッキトップのカードを5枚墓地に送るカードだったな。
本命は墓地肥やしと墓地へ送られたカードによる迎撃、だが!!)
「ここは臆さず攻める!!バトルフェイズ!」
「バック・ジャックの効果で伏せられたカードはセットしたターンに使用できる!
針虫の巣窟を発動させ、俺のデッキの上から5枚のカードを墓地へ送る。
そして、墓地の超電磁タートルの効果を発動!このカードを除外することでデュエル中に一度だけ、相手のバトルフェイズを終了させる!」
ビッグベン―Kがスラスターを吹かして、ジャックのモンスターに突撃するが突如として現れた機械の亀が発した磁力によって弾き飛ばされる。
(超電磁タートルか、ここで使わせたのはいいが
1200ポイントのダメージを回避するためだけに使ったとは思えん・・・)
「俺はこれでターンエンドだ。む?」
スタジアムと違い、シティの全域をライディングコースとして使用するフレンドシップカップ本戦
広大な分アクションカードもかなりばらけて置かれており、1デュエル内でアクションカードを入手する機会は減っている。
初めてのアクションカードがコースの真ん中で浮いていた。
もちろん先行しているジャックはそれを遠慮なく入手する。
「アクションカードは頂くぞ!
お前のエンドフェイズに墓地へ送られた彼岸の悪鬼 スカラマリオンの効果が発動し、デッキからレベル3闇属性の悪魔族モンスター、奇術王 ムーン・スターを手札に加える。
そして俺のターンだ、ドロー!
俺はブラック・ハイランダーの効果を発動!
1ターンに1度、装備カードを装備した相手モンスター1体を選択し、そのモンスターに装備された装備カードをすべて破壊し、破壊した数×400ポイントのダメージを相手に与える!
ブラック・ハイランダーが鎌を振り、その斬撃がビックベン―Kの鎧となっているダブル・ホーンを切り裂き破壊する。
「ぬぅ・・・」
LP4000→3600
「さらにレッド・デーモンズの効果発動!
1ターンに1度、自身以外の自身の攻撃力以下の攻撃力を持つ特殊召喚された効果モンスターをすべて破壊し、1体につき500ポイントのダメージを相手に与える!
くらえ!クリムゾン・ヘル・バーン!!」
黒い道を紅き炎が蹂躙する。
レッド・デーモンズの放つ炎はブラック・ハイランダーの身を焼き、その魂を炎熱へと変え、権現坂に直接襲い掛かる。
「ぐおっ!?ぐうぅぅ・・・だが、ビッグベン―Kはアドバンス召喚されたモンスター
レッド・デーモンズの効果では破壊されん!」
LP3600→3100
「ふん!だがこれで、新たなシンクロ召喚が可能になる!
墓地の風来王 ワイルド・ワインドを除外し効果発動!
デッキから攻撃力1500以下の悪魔族チューナーを手札に加える。
俺は攻撃力100のチェーン・リゾネーターを手札に加え、召喚!」
チェーン・リゾネーター「ケケッ!」
ATK100
「フィールド上にシンクロモンスターが存在するときに、チェーンリゾネーターを召喚したとき、デッキからチェーン・リゾネーター以外のリゾネーターモンスター1体を特殊召喚できる!」
「その効果に対し俺は手札の増殖するGの効果を発動!
このカードを墓地へ送ることで、このターン中、相手が特殊召喚を行うたびに俺はデッキからカードを1枚ドローする!」
「むっ、だが、発動してしまった効果は止められぬ。
デッキより現れよ!レベル1チューナー、シンクローン・リゾネーターを特殊召喚!」
シンクローン・リゾネーター「ヘッ!」
DEF100
鎖を背負った小悪魔が仲間を呼び出すが、権現坂を追随する黒い影たちが、権現坂のデッキからカードを引き権現坂に渡す。
『うっ!?ゲェェェェ!?ぞ、増殖するGぃ!?
リアルソリッドビジョンでアレ使うのォォ!?
ですがこれで、ジャックが特殊召喚するたびに権現坂選手は1枚ドローします。
うぅ、強力な効果なのはわかるけど、ビジュアル的にきついよぉ~』
司会のメリッサ含め、一部で阿鼻叫喚が起こっているが、当人たちは平然とデュエルを続行する。
(増殖するG、だが、ここで立ち止まるわけにはいかぬ!)
「俺はレベル8のレッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトにレベル1のチェーン・リゾネーターとシンクローン・リゾネーターをダブルチューニング!
王者と悪魔、今ここに交わる!赤き竜の魂に触れ、天地創造の雄叫びをあげよ!!シンクロ召喚!
大いなる魂!レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント!!」
レッド・デーモンズT「オオオオォォォォォォォォォォォォ!!」
ATK3500
スカーライトを炎が包み、観衆たちの前に覇者の威風を見せつける竜の暴君
その登場に増殖するGで半狂状態になった観衆も持ち直す。
「来たか、特殊召喚により俺は1枚ドローする。」
『きたあぁぁぁぁぁ!!ジャックの切り札、レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント!!』
「レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラントは1ターンに1度、自身以外のフィールド上のすべてのカードを破壊できる!
くらえ!!アブソリュート・パワー・インフェルノ!!」
『さすがはジャック!アドバンス召喚されたモンスターでも、これで、って!?えっ!!』
だが、レッド・デーモンズは無数の不気味な炎を上げるお札に囲まれていた。
レッド・デーモンズT「グルル!?」
「なんだこれは!?」
「俺は手札から幽鬼うさぎの効果を発動させてもらった!
このカードは1ターンに1度、フィールドのモンスター効果が発動したとき、または既にフィールドで発動しているマジック、トラップカードの効果が発動したとき、自分の手札、フィールドのこのカードを墓地へ送り、フィールドのそのカードを破壊する!
さらに手札の超重武者装留ファイヤー・アーマーの効果を発動し、このカードを捨てることでこのターン、ビッグベン―Kの守備力を800ポイントダウンさせ、戦闘と効果で破壊されなくする!」
ビッグベン―K DEF3500→2700
権現坂の隣にはぼさぼさの白髪を2つ結びにした少女が浮かんでおり、レッド・デーモンズを葬らんとお札を操作していた。
「レッド・デーモンズはやらせはせん!!
手札のレッド・ガードナーの効果を発動!自分フィールド上にレッド・デーモンモンスターが存在し、相手のマジック、トラップ、モンスター効果が発動したとき、このカードを手札から墓地へ送ることで、このターン、俺のモンスターは相手の効果では破壊されない!!」
レッド・デーモンズに襲い掛かる青白い炎を放つお札を、紅き盾が放つ炎が駆逐する。
そしてレッド・デーモンズが放った炎がビッグベン―Kに襲い掛かるが、ビッグベン―Kがその身から立ち上らせた炎のような闘気で相殺される。
バトルという枠を超えた効果の応酬による激闘への褒美とばかりに、2人の前に新たなアクションカードが出現する。
『おぉぉと!?ここで新たなアクションカード!
ジャックはすでにアクションカードを手にしているので、権現坂選手、アクションカード入手のチャンス到来です!』
「バトルフェイズ!いけ!レッド・デーモンズよ!ビッグベン―Kに攻撃!」
『えっ?このターンもうビッグベン―Kは戦闘でも破壊されないのに。』
「手札のアクションマジック、回避を発動
そしてこの瞬間、レッド・デーモンズの効果を発動!
バトルフェイズ中のマジック、トラップの効果を無効にし、自身の攻撃力を500ポイントアップさせる!」
レッド・デーモンズT ATK3500→4000
アクションマジックのソリッドビジョンがレッド・デーモンズによって砕かれる。
これにより、ジャックの手札にはアクションカードはなくなり、観客たちは2人がアクションカードを入手するために派手なライディングバトルを繰り広げるものだと思っていたが
「ぬ?」
ジャックすら首をかしげるほど、権現坂は動かなかった。
ランダム性は高いとはいえ、防御カードの多いアクションカード
使えなくても手札コストにできる分、手に入れていて損はないものだ。一般的には
レッド・デーモンズはいまだに闘気を纏うビッグベン―Kを殴りつけるが、暴君の拳は不退の機械武者を倒すには至らない。
モンスターたちがそうこうしているうちにアクションカードはジャックが手に入れた。
『あれあれ?権現坂選手、アクションカードを全スルー!?』
観衆たちはせっかくのアクションカードの入手のチャンスを棒に振った権現坂の行動に驚きを隠せなかった。
少しでもデュエルを齧ったことがある者ならば、どんなカードでも手札が増えるのはとんでもないアドバンテージだとわかるからだ。
ゆえに、観客の一部からやる気があるのかとヤジが上がる。
「貴様、何の真似だ?」
「俺はこのデッキを信じている。
デュエルとは魂と魂のぶつかり合い。
そして、デッキとは自分の魂を託し共に戦うモノ
ならば俺は自分を信じ、作り上げたデッキを信じ戦う!これぞこの男、権現坂 昇の不動のデュエルよ!」
そう、これが遊矢があの時教えてくれたこと。
デッキに正解などない。自分の好きなカードで、好きなように組み上げ、戦い、研鑽したものこそが、最強のデッキだということ
魂を託したデッキを信じることは自分を信じることにつながる、それこそが不動心!
誰に何と言われようが、これが俺のデュエルだ!
「ふん!そうか、ならばその信念とやら、突き通して見せろ!ターンエンドだ。」
「俺のターン!ドロオォォ!!」
全体破壊を連発されたら、さすがにもたん。
こちらが相打ちできぬようにするとは、なかなかのしたたかさだ。
「俺は手札の星見獣ガリスの効果を発動。
このカードはデッキの一番上のカードを墓地へ送り、それがモンスターだった時、このカードを特殊召喚し、相手に墓地へ送ったモンスターのレベル×200ポイントのダメージを与える。
デッキの一番上のカードは超重武者コブ―C、モンスターカードだ!出でよ、星見獣ガリス!」
ガリス「グオオォォォン!」
DEF800
「コブーCのレベルは2、よって貴殿に400ポイントのダメージをあたえる!」
「・・・ふん、生ぬるい!この程度のダメージへでもないわ!」
LP5200→4800
鎧を着た鳥にも似た黒い獣、星見獣ガリスがフィールドに現れ、背の羽から2つの光弾を解き放つがジャック・アトラスは平然としている。
「俺の墓地にマジック、トラップカードが存在しないとき、このカードは手札から特殊召喚できる。
来い!チューナーモンスター、超重武者ホラガ―E!」
ホラガ―E「イィー!」
DEF600
「チューナーだと?」
「これもまた俺の研鑽の賜物だ!
レベル8の超重武者ビッグベン―Kにレベル2の機械族チューナー、超重武者ホラガ―Eをチューニング!
荒ぶる神よ、千の刃の咆哮と共に疾風吹き荒れる戦場へ現れよ!シンクロ召喚!
現れよ!レベル10!超重荒神スサノ―O!!」
スサノ―O「オオオォォォォォォォォォ!!フンッ!!」
DEF3800
ほら貝の音色が響き渡り、ビックベン―Kが緑の装甲を持つ荒神へと変わる。
スサノ―Oは雄たけびを上げ、ドシッと空中に座り込む
「墓地の超重武者コブ―Cの効果発動!
自分の墓地にマジック、トラップがない場合、自分フィールド上の超重武者シンクロモンスターのレベルを1つ下げ、墓地からこのカードを特殊召喚する。
俺は超重武者としても扱うスサノ―Oのレベルを1つ下げ、現れよ!チューナーモンスター、超重武者コブ―C!」
スサノ―O LV10→9
コブ―C「フンッ!」
DEF900
スサノ―Oの星を1つ砕き、巨大な拳を構える鋼の武者が現れる。
「レベル3の星見獣ガリスにレベル2のコブ―Cをチューニング!
揺るがぬ心、その曇りなき刃に籠めよ!シンクロ召喚!
出でよ、レベル5!超重剣聖ムサ―C!!」
ムサ―C「フンッ!」
DEF2300
二つの刀を持った超重武者、ムサ―C
その姿はかつて剣の道を極め、最後には刀を抜かずにその威圧だけで敵を倒したとされる宮本武蔵を彷彿とさせる。
「ムサ―Cがシンクロ召喚に成功したとき、墓地の機械族モンスターを1体手札に加えることができる。
俺が手札に加えるのは超重武者ホラガ―E
さらにここで超重荒神スサノ―Oの効果を発動!
1ターンに1度、俺の墓地にマジック、トラップがない場合、相手の墓地のマジック、トラップカード1枚を俺のフィールドにセットできる。」
「なにぃ!?」
「貴殿の墓地からマジックカード、貪欲な壺をセットし発動
俺の墓地から星見獣ガリス、幽鬼うさぎ、増殖するG、超重武者装留ファイヤー・アーマー、超重武者ビッグワラ―Gをデッキに戻し2枚ドロー
スサノ―Oの効果でセットされたカードはフィールドから消滅した際、除外される。」
『なんとなんと!相手の墓地からマジック、トラップカードを奪ってしまう驚異の効果!!
ジャックの墓地に強力なカードが送られると、権現坂選手はそのカードを使いたい放題になってしまいます!
これは容易に墓地肥やしもできなくなりましたぁ!』
「そして俺の墓地にマジック、トラップがないため、手札の超重武者ホラガ―Eを特殊召喚だ!」
ホラガ―E「イィー!」
DEF600
「マジック、トラップが墓地に存在しない場合・・・そうか、お前のデッキは・・・
なんという無茶なデッキで、この大会に挑んでいるのだ。」
再びフィールドに現れるホラガ―E
さすがに何度もやったからか、ジャック・アトラスは俺のデッキがどういうものか気づいたようだ。
「これが俺の信じる、俺の
俺は手札から超重武者ダイ―8を通常召喚!」
ダイ―8 ATK1200→DEF1800
「このモンスターが召喚、特殊召喚に成功したとき、このモンスターの表示形式を変更できる。
さらにダイ―8の効果!守備表示の自身を攻撃表示に変更し、デッキから超重武者装留モンスターを手札に加える。
俺は超重武者装留チュウサイを手札に加え、ダイ―8に装備する!」
ダイ―8 DEF1800→ATK1200
大八車に4つの腕が生えている機械、チュウサイを乗せる小型のロボット、ダイ―8
あれを呼び出す準備はこれで最後
「超重武者装留チュウサイの効果発動、このカードを装備したモンスターをリリースしデッキから超重武者モンスターを1体特殊召喚する!
再び現れろ!超重武者ビッグワラ―G!」
ビッグワラ―G DEF1800
本来なら舞網チャンピオンシップの決勝で遊矢への隠し玉として用意していたものだが、相手にとって不足なし!
「レベル5の超重武者ビッグワラ―Gと超重剣聖ムサ―Cにレベル2の超重武者ホラガ―Eをチューニング!
不動の鬼神よ、籠めたる魂を燃やし、今、鉄の鬼となって戦場に咆哮せよ!シンクロ召喚!
いざ出陣!現れろ!レベル12、超重蒸鬼テツドウ―O!!」
テツドウ―O――ウオオオォォォォォォォン!!
DEF4800
線路が敷かれその上を爆走する鬼の顔の付いた蒸気機関車
その上にスサノ―Oが搭乗し座り込む
『守備力4800!?
しかも超重って、もしかしてそのモンスターも守備表示のまま攻撃できる!?』
「その通りだ!行け!テツドウ―O!!
レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラントを攻撃!!」
「相手の攻撃宣言時、手札のレッド・ミラーの効果発動、このカードを墓地へ送り、レッド・ミラー以外の炎属性悪魔族モンスターを1体墓地から手札に加える。
俺はレッド・ウルフを手札に戻す!」
テツドウ―O――ウオォォォォォォン!!
レッド・デーモンズ「グオオォォォォォ!!」――バンッ!!
「くっ!レッド・デーモンズ!」
LP4800→4000
テツドウ―Oの口から炎が吐かれ、紅き暴君を燃やし破壊する。通ったか!!
「続け!超重荒神スサノ―O!!ダイレクトアタックだ!!」
「させるか!!相手のダイレクトアタック宣言時
手札のバトルフェーダーを特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる!!」
――ゴーン、ゴーン、ゴーン
バトルフェーダー DEF0
フィールドに鐘の音が響き渡る。
ふむ、保険を掛けられていたか、この攻撃が通ればテツドウ―Oの効果で俺の勝ちだった。
それを阻止し、次のターンの布石を整えるとは、野獣のような勘だ。
「ならば、テツドウ―Oの効果発動!
1ターンに1度、手札を2枚まで捨て、捨てた数だけ相手フィールド上のカードを対象にとり破壊する。
俺は手札の無限起動スクレイパーを捨て、バトルフェーダーを破壊する。」
テツドウ―O――ボオオォォォォォォ!!
テツドウ―Oが唸りを上げそのスピードを上げる。
巨大な鬼面の口を開け、バトルフェーダーをかみ砕く
「墓地の無限起動スクレイパーの効果発動
このカードを除外し、墓地の地属性機械族モンスターを5体デッキに戻すことで、俺は新たに2枚のカードをドローする。
俺は墓地の超重剣聖ムサ―C、超重武者ダイ―8、超重武者装留チュウサイ、超重武者ビッグワラ―G、超重武者ダブル・ホーンの5体をデッキに戻し2枚ドローし、ターンエンドだ!」
フィールドはがら空き、手札はすべて公開されたもの、エースモンスターはすべて墓地
この状況、どう切り抜ける?キングと呼ばれる男よ!
ギリギリだった。
前のターンにバトルフェーダーを握っていなかったら、俺は奴に屈していた。
レッド・デーモンズのパワーを真正面から打ち破るモンスター、俺のカードすら利用したタクティクス、そして、奴と共に戦うモンスターとの信頼
あぁ、震えるぞ!魂が!!
「俺のターン!!」
奴のモンスターは守備力が高い割に、攻撃力が低い
ならばデーモン・カオス・キングで突破するのが最善手、だがそれがうまくいくのか?
奴のデッキはフルモンスター、ならばあのカードが手札に入っている可能性は十分にある。
「俺は・・・マジックカード、闇の誘惑を発動
デッキからカードを2枚ドローし、手札の闇属性モンスター、奇術王 ムーン・スターを除外する。」
来たか!現状を変えるカード!
ふっ、一か八かの賭けなど、いつぶりだろうな。
「俺はさらにマジックカード、手札抹殺を発動!
手札のレッド・リゾネーター、レッド・ウルフ、スカーレッド・コクーン、そしてアクションカード、クラッシュ・アクションを墓地へ送り4枚のカードをドローする!」
「俺も手札の超重武者装留マカルガエシ、超重武者装留バスター・ガントレット、エフェクト・ヴェーラーを捨て3枚のカードをドローする。」
やはりあったか!エフェクト・ヴェーラー!
あのままデーモン・カオス・キングをシンクロ召喚していてもあのカードで効果を無効にされ、ただの案山子のようにされていたところであった!
だが、これで阻むものはない!
「俺は手札からレッド・スプリンターを召喚!」
レッド・スプリンター ATK1700
「レッド・スプリンターの召喚、特殊召喚に成功したとき、墓地からレベル3以下の悪魔族チューナーモンスターを「俺は手札のエフェクト・ヴェーラーの効果を発動する!」なにいっ!?」
2枚目だと!?
「相手のメインフェイズにこのカードを墓地へ送ることで、対象モンスターの効果をターン終了時まで無効化する!
俺のデッキをなめてくれるな!」
あの年とは思えない裂帛の気合が俺の体を震わせる。
自らのデッキとの信頼、そして絆、それがあのカードを呼び寄せたというのか・・・ならば!!
「ふんっ!俺の魂もレッド・デーモンズと共にある!
手札を3枚伏せ、エンドフェイズ、墓地へ送られたスカーレッド・コクーンの効果が発動し墓地からこのモンスターを呼び覚ます!
舞い戻れ!レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト!!」
レッド・デーモンズS「グオオォォォォォ!!」
ATK3000
その絆は俺とレッド・デーモンズも負けてはいない!!
『そのエンドフェイズに俺はスサノ―Oの効果を発動し、貴殿の墓地の針虫の巣窟を俺のフィールドにセットする!』
また、強いカードを取れたな、権現坂
それにしても、ロジェはなかなか動きを見せないな。
アイツの目的を考えれば、ジャックがここで負けることは許さないはず・・・
「ねぇねぇ、これってさ、勝っちゃうんじゃない?権現坂!」
柚子が嬉しそうに勝利目前の権現坂の様子を聞いてくる。
たしかにジャックの手札は0、ドローのために捨てたアクションマジックは[クラッシュ・アクション]相手の手札のアクションカードを破壊して、そのターン中、アクションカードを使えなくするカードだ。よって、スサノ―Oがいる以上、アクションカードでの防御も捨てたとみていいだろう。
「だけど、そううまくいくかねぇ~?」
「えぇ~だって、たしかにライフは満タンだけど、権現坂なら一気に消し飛ばせるでしょ?」
たしかに、ジャックのモンスターは攻撃表示で置かれている。
権現坂が新たなモンスターを出せば、ジャックのライフは消し飛ぶだろう。
「まぁ、手負いの獣ほど怖いものはないって言うだろ?」
「俺のターン!ドロー!
俺はセットしたトラップカード、針虫の巣窟を発動し、デッキの上から5枚のカードを墓地へ送る。」
「ならばこちらもリバースカード発動!速攻魔法、エネミーコントローラー!」
権現坂にターンが移ったスタンバイフェイズ、ジャックの発動させたカードからゲームのコントローラーが飛び出す。
「このカードはコマンド入力により、異なる効果を発揮する!左!右!AB!
このコマンドにより、俺のフィールドのモンスター、レッド・スプリンターをリリースし、お前のフィールド上のモンスター、超重蒸鬼テツドウ―Oのコントロールをエンドフェイズまで得る!」
レッド・スプリンターが消え、コントローラーの接続線がテツドウ―Oに突き刺さる。
テツドウ―Oは上に座っていたスサノ―Oを振り落とし、スピードをあげてジャックの横につけるように走り出す。
「ぬぅ!?テツドウ―Oが!
だがエンドフェイズまでのその場しのぎにしかならんぞ!」
「フンッ!そう思うのなら、貴様はどうする!」
(相手の伏せカード2枚は確実にトラップ
一番あり得るのはミラーフォースだが、守備表示で攻撃する超重武者には効かん
別の手があるとみて然るべき。)
「ならば、まずは伏せカードから除去させてもらおう!
手札の超重武者装留イワトオシを通常召喚!」
イワトオシ ATK1200
フィールドに現れる青い弩、権現坂はデッキに眠る赤い鬼を呼び出すために墓地のコブ―Cの効果を発動しようとするが
「トラップ発動!ナイトメア・デーモンズ!
自分フィールド上のモンスター1体をリリースし、相手フィールド上に悪魔族、闇属性、レベル6、攻守2000のナイトメア・デーモン・トークン3体を攻撃表示で特殊召喚する!」
ラジコンのようになったテツドウ―Oが消え、権現坂のフィールドに黒い影のような悪魔たちがわちゃわちゃと踊りながら、フィールドを埋め尽くす。
「ぐっ!?こいつらは破壊されるとコントローラーに800ポイントのダメージを与えるトークン!?」
(このターンでレッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトを破壊しなければ、俺は4体のモンスターを破壊され2000のダメージ、さらにトークン3体の破壊によって2400のダメージを受け、敗北する!?)
権現坂は焦った。
デュエルに逆転劇はよくあることだが、目の前の男の敷いた策は完全に自分が動かなければ好転できない状況に追いやられていたからだ。
それと同時に感心もした、どんなことがあろうともこの逆転のコンボの中心にはジャック自身が魂と呼ぶカード、レッド・デーモンズの存在があることに
「・・・ふっ、なるほど、遊矢好みの決闘者だな。
ならば!ここが男の意地の見せ所!!
イワトオシの効果を発動、このカードを自分フィールド上の超重武者モンスター1体に装備することができる!
俺は超重武者として扱う超重荒神スサノ―Oにイワトオシを装備する。
さらにスサノ―Oの効果で貴殿の墓地のアクションマジック、クラッシュアクションをセットしバトル!」
イワトオシはフィールドから墓地へ送られたとき、デッキから超重武者をサーチする効果がある。
そしてクラッシュ・アクションにより、ジャックはアクションカードを使っての防御を行えない。
アフターケアと対策を施した上で、権現坂が動く
「正面突破だ!!行け!スサノ―O!クサナギソード・斬!!」
スサノ―Oが薙刀を振りあげるが、そのさまを見てジャックは不敵に笑う。
「そうだ!そうするしかあるまい!!トラップ発動!波動障壁!!
自分フィールド上のシンクロモンスター1体をリリースし、相手フィールド上に攻撃表示で存在するモンスターをすべて守備表示に変え、その後、攻撃宣言をしたモンスターの守備力分のダメージを相手に与える!!」
「なっ!?攻撃表示のトークンを俺のフィールドに置いた真意は、そのカードの発動条件を満たすためか!?」
「その通りだ!行くぞ!レッド・デーモンズ!!」
レッド・デーモンズ「グオオオォォォォォォォォォ!!」
レッド・デーモンズはその身を炎と化し、その熱に煽られたナイトメア・デーモントークンはすべて怯え、うずくまる。
権現坂の手札にこのダメージを防ぐすべはない。
だが、墓地に眠るカードにはこれを防ぐ術はある。あるのだが・・・
(どちらにしても俺の負けか・・・)
そう、そのカードを発動させた所で権現坂の敗北は決定していた。
足掻いたところで意味はない。
(確かに意味のない無駄な足掻きだ。
だが、その無駄な足掻きを遊矢はした、自身の敗北すら少しでも華々しくするために・・・)
それは最後にできたちょっとしたお遊び
デュエルは楽しくやるという遊矢の意思の表れ
(ならば、俺も俺の意思をジャック・アトラス殿に示そう!!)
「バトルフェイズ中に相手がマジック、トラップ、モンスター効果を発動したとき、墓地の超重武者装留ビックバンを除外し、その発動を無効にして破壊し、その後、フィールド上のモンスターをすべて破壊し、お互いのプレイヤーに1000ポイントのダメージを与える!!」
「何っ!?キサマのフィールドには破壊されれば、800ポイントのダメージを与えるナイトメア・デーモントークンがいるのだぞ!?」
「どうせ負けならば、俺は貴殿の身に一太刀でも多くの傷を刻むまでだ!!」
迫る炎の悪魔竜に対し、スサノ―Oが跳ぶ
2体の拳は途中で交差し、過ぎ去ると2人のフィールドに同時に着弾し、お互いに大爆発を起こした。
「おのれ!うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
LP4000→3000
「ぬわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
LP3100→2100→1300→500→0
閃光に包まれる会場の画面、やがて画面が切り替わり爆発が収まるとDホイールのエンジン音が鳴り響き、煙の中を突っ切り白いDホイールが飛び出してくる。
『あはっ!見てください!会場の皆様!ジャックです!ジャック・アトラスです!
フレンドシップカップ第一試合を制したのは、みんなのキング!ジャック・アトラース!!』
――ウオオオォォォォォォ!!
ジャックの勝利に観客たちは沸く。
遅れて、権現坂のDホイールが強制停止の影響でのろのろと出てくるが、それに乗っている敗者はしてやったりの顔で、勝者であるはずのジャックはぶすっとした顔をしている。
「あの人、なんか勝ったのに悔しそう。」
「まぁ、自分の魂みたいなモンスターの捨て身の一撃が躱された上に、ダメージ貰って、相手はほぼ自爆だからな。」
「あぁ~なるほどね。」
しかし、ジャック[波動障壁]なんてなかなかに渋いカードを
相手モンスターを減らさずに自分のターンでスカーライトの効果で相手にダメージを与えるコンボのために入れているのだろうけど、権現坂にとって完全に地雷だったな。
ロジェに関しては完全に動きなし
映像を見ている限り妨害などは無し、風魔兄弟がずっと権現坂たちを見張っていたし、普通に健全な試合だった。
割とジャックが追い詰められていたにもかかわらずだ。う~ん・・・
「ねぇ、どうしたの難しい顔をして?」
「いや、無事に試合が終わったなぁ~って。」
「うんそうね!
権現坂、転んじゃわないかとか思ったけど、全然そんなことなかったわね!」
能天気だな、柚子・・・
自分が狙われているのだから、その常にピコンピコン光っているブレスレットみたいにもっと警戒心をもってもらいたい。
「はぁ~さて、権現坂が戻って来たら労って、ん?」
――ビカッ!!
唐突にブレスレットが放った目の前を覆いつくすほどのピンク色の強い光、これって!?
「おい!!ねぇちゃん!フラッシュ焚くならもっと弱くしてくれよな!!」
「は?えっ!?あっ!!ご、ごめんなさい!?」
俺はマフラーの下に隠した通信機を使い、ユーゴのお目付け役をしている零羅とセレナとユートと一緒にいるはずの黒咲に連絡を取る。
「黒咲、零羅、ユートとユーゴはそこにちゃんといるか!?」
『ユーゴ、ちゃんといる。』
『どうした、さっきの光はなんだ!?』
「黒咲、ユートとセレナはちゃんとそこにいるな?」
『あぁ・・・まさか!?』
「あぁ、そのまさかだ。」
2人ともちゃんとそこにいるなら間違いない。
ユーリが来た。
あぁ~あ、ゴンちゃん負けちゃった。
あの人かなり強いね。ユーリって、えっ!?ちょ、ちょっと、ユーリどこ行ったのさ!?
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『動き出す悪意』
悪ふざけはやめてよね!あれ本当にいない?どこに行ったのさ!ユーリ!?
「CC」カード群の効果について
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制作したものをそのまま使用
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後付け効果を削除
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メインに入るカードの後付け効果のみを削除
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EXのカードのみをアニメ寄りにして使用
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完全にアニメカードそのまま