遊戯王ARC-V Rーe:birth   作:深海の破壊大帝

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日刊ランキング1位習得?お気に入り件数1600越え?・・・・どういう、ことだ。
皆様の応援ありがとうございます。
これからも、完結目指して頑張っていきます。

残酷な描写タグは念のためつけておこうか・・・・


融合使い 紫雲院素良

 ペンデュラムの実践講義は予想以上の結果をもたらした

 どうも、血で血を洗うスクープ合戦を制したのは、あのデュエルをひっそり生で実況していたフリールポライターだったらしく、礼金として多額の褒賞金がこちらに支払われたのだ

 まぁ、肖像権とかでとやかく言われないための、口止め料だろう

 

 それより数日後、スペシャルマッチの出演料ということで、最新式リアルソリッドビジョン装置がレオ・コーポレーションから、業者付きで送られてきた

 それと同時に遊勝塾で使われていた旧式の装置も引き取ってもらうことになった

 契約通りだが、契約書に書かれている金額は、故障を繰り返している物の引き取り額とは到底思えないものだった

 どうも、あのデュエルはレオ・コーポレーションに随分な利益をもたらしたらしい

 面倒事押し付けたのに随分な対応だ

 

 色々な思惑が交差した結果得たお金だが、それを判っていないのが目の前に・・・

 

「嘘・・・あの、オンボロがこんなに・・・?」

 

 目が「$」になっている柚子だ

 

「柚子、まさかと思うけど・・・

 今、設置してくれているソリットビジョン装置が型落ちしたら、LDSに売りつけようとか思っていないよな?」

 

「そ!?そんな、わけ・・・ないじゃない?」

 

 なぜ、疑問形で返す

 

「はぁ~言っておくけど、これはスペシャルマッチが成功した報奨金込みなんだから

 実際、あんなオンボロ引き取らせたら、逆にこっちがお金払うことになると思うぞ?」

 

「うっ!わ、分かってるわよ・・・」

 

 絶対嘘だ、凄く落胆してる

 

 なぜ、中学生の俺たちがこんなことを話しているかと言うと、修造さんはこういう事にとことん向いていない性格だからだ

 金遣いが荒いというわけではないが、精査や情報収集などがずさんなため、余計な金がかかることがある

 その点、柚子は守銭奴なため安心できる

 

「と、ところで!最新式って、今までのと何が違うの?」

 

 強引に話を変えて来たな、まぁいいか

 

「う~ん、要約するとリアルソリッドビジョンの硬度を変えられるようになったらしい

 それと五感で感じやすくなっているみたいだな。」

 

「硬度を変える?って、それって、もしかして!!」

 

「あぁ、これまで危ないから塾生たちには

 アクションフィールド内に入れてやれなかったが、これでフィールド内で直接観戦させられるようになったな。

 それにトレーニングの方も走り込みみたいなのより、1ランクアップしたものが出来るようになる。」

 

「それはいいわね!生徒たちも喜ぶわ~!」

 

 舞い上がる柚子

 だが、遊勝塾が現在、直面している問題は他にもある

 

「そういえば、講師のバイトを依頼する話はどうなったんだ?

 結構な前金が出来たんだから、1人くらい雇っても大丈夫だろ?」

 

「う~ん、どうしようかしらね~?

 お父さんの伝手を頼ってもいいけど、忙しそうな人ばっかりだし・・・

 かと言って、まったく無名の人にいきなり生徒たちを任せるわけにもいかないし・・・」

 

 修造さんの同期はかなり凄腕のプロデュエリストぞろいだ

 修造さん自身、かなりの腕前なのだが『戦士ビート』なので戦い方がかなり泥臭い

 そのくせ、榊遊勝の弟子としてショープロを目指していたのであんまり売れなかった

 

「そうだな。

 いきなり、やってくれって言っても無理な話だし

 ある程度の腕がないと、講師としては成り立たないしな。」

 

 机上理論ならインフェルニティエンタープライズニルループとか考えられるのだ

 だが、そんなのは少し行き過ぎた奴らの領域であり、小学生にそれをいきなり理解させようとするのは無茶だ

 難解なカード効果やルールを教えるには

 ある程度、実戦経験のあるデュエリストじゃないと無理だろう

 

「はぁ~どこかに、丁度いい人はいないかしらねぇ~

 強くて、頭良くて、優しくて、低賃金でも講師やってくれる人~」

 

「おいおい、それはいくらなんでも無茶言いすぎだろ・・・」

 

――コンコンッ!

 

 ん、ノック?修造さんなら、そのまま入って来るだろうし業者の人か?

 

「柚子お姉ちゃんー」

 

「あれぇ~休みなのに、遊矢兄ぃちゃんまでいるぜ?」

 

「こんにちは、柚子さん、遊矢先生」

 

 フトシ、アユ、タツヤのちびっこトリオじゃないか

 今日は休講しているのにどうしたんだ?

 

「ん?お前達、今日は休講日なのにどうしたんだ?」

 

「最新式のソリッドビジョン装置がどういうものかと気になりまして・・・」

 

「そうそう。

 で、見学ついでに試させてもらえないかな?って」

 

 なるほど、子供は好奇心旺盛だね~わしにも覚えがある

 っと、フトシの奴、一心不乱に鼻を動かしているがどうしたんだ?

 

「この匂いは・・・あっ!マドルチェ・シャトーの紙袋だ!!」

 

 こいつ、ロゴが死角になってるはずなのに紙袋がどこのものか当てやがった!?

 缶詰で包装紙も取ってないのに・・・

 

 沢渡への報酬ついでに買った柊親子への差し入れだったが・・・

 修三さんは食べられそうにないな、これは

 

「ばれたんだったら仕方ないな

 柚子、またダイエットに悩まなくって済みそうだな?」

 

「ふ、太ってないわよ!?」

 

 いや、前にトリシューラ・プリン買ってきた時

 6個入りセット独り占めしてたから、絶対太っているだろう

 「高人気」「高カロリー」「高価格」の3拍子の名は伊達じゃない

 いや、そもそも俺のせいか

 沢渡用と一緒にちょくちょく差し入れしているし

 

「じゃあ、俺!プチシスタルトもーらい!」

 

「私はピョコレート貰うね?」

 

「ぼ、僕はバトラスクを戴きます。」

 

「あぁもう!こうなったら私も食べるわよー!マジョレーヌは貰ったわ!!」

 

「じゃあ、僕はそのミルフィーヤ貰っちゃおうかな。」

 

 思い思いのお菓子を取って行くちびっこと柚子の後に続く、聞き慣れない少年の声

 柚子の後ろから、ニュっと手が伸びてきて予告されたお菓子が消え去った

 

「うん、これ美味しぃ~!!」

 

 すかさず口に放り込まれたお菓子

 当の下手人は暢気に感想を言っている、こいつは・・・

 

「はっ!はっ!柚子、ここに今って、いたぁー!!」

 

 息を切らせた修造さんが入って来るなり少年を指差す

 どうやら勝手に入ってきたようだ

 

「お、お父さん落ち着いて!ほら、深呼吸、深呼吸」

 

「はぁ~ふゅ~はぁ~ふゅ~」

 

「修造さんはしばらく喋れそうにないな・・・で、君は?」

 

「僕?僕はね、紫雲院 素良!」

 

 元気よく名前を答える少年、紫雲院素良

 水色の髪を一括りにまとめ、翡翠色の瞳をした幼さの残る少年だ

 そして彼こそが、遊戯王ARC―Vにおける最も警戒しなければならない重要人物

 

「榊遊矢って、君のことだよね!河川敷のデュエル見てたよ!

 すごかったな~すっかり僕、君のファンになっちゃった!」

 

「俺のファン?」

 

「そ!だからねぇ~僕、この塾に入りたいんだけど~

 いいかな?いいよね、はい決定!」

 

 猫なで声で可愛らしくも強引に事を進めようとする素良

 だが、それに対して柚子が黙っているわけもなく

 

「ちょっと!?

 勝手に決めないでよね、うちは今」

 

「柚子。」

 

「何よ、遊矢?」

 

「話だけでも聞いてやろうじゃないか

 決めるのはそれからだ。」

 

「わ、分かったわよ・・・」

 

 柚子はしぶしぶと言った感じに引き下がる

 塾を管理している身としては不法侵入をするような問題児は勘弁願いたいんだろう

 俺としても危険物をそばに置くような真似はしたくないのだが、逆に勝手に動かれる方が面倒というのがあるのだ

 

「さて、まずは住所と通ってる学校の名前を答えてもらおうか?」

 

 普通なら無難な質問

 この世界ではよく分からないが、こいつの事情を知っている身としては直球の質問をしてみる

 さぁ、どう答える?

 

「学校?僕はもう卒業しているよ?住所は・・・今は無し!」

 

「えぇー!!それってどういうこと!?

 あっ!?まさか・・・もしかして、成人されている方ですか?」

 

 素良の答えに対して、勘違いを発動させる柚子

 いや、どんだけ若作りだよ

 

「違う違う、僕は13歳だよ

 学校は・・・そう、飛び級ってやつ

 で、今はデュエリストとして腕を磨くために武者修行中ってとこかな?」

 

 地味に判明する素良の年齢、まぁジュニアユースに登録されていたし当然か

 俺の1つ下って言っても、見た目年齢はそれ以下に見える

 栄養失調じゃないのか?

 

「へぇ~でも、うちは小学生向けの決闘(デュエル)塾だ

 武者修行中の寄り道なら物足りないんじゃないのか?

 強くなりたいんだったら梁山泊塾や権現坂道場、それこそLDSの方を勧めるよ。」

 

「えぇ~あそこも行ってみたけど、全然面白くなさそうなんだもん。

 僕はね、強い人が好きなんだ。

 そして、榊遊矢、君は此処の人たちの中でも指折りだ。

 だから、僕はここに来たんだ。」

 

 本心・・・なんだろうな、この反応は

 

「へぇ~掻い摘んで言うと、お前は俺と決闘したいからここに来たってことだな?」

 

「そうだよ!僕は君と戦いたいんだ!」

 

「ふ~ん・・・おい柚子

 さっき言っていた都合のいい講師の件、どうにかなりそうだな。」

 

「えっ!?ちょっとまさか・・・」

 

「あぁ、素良も別に俺と戦えれば塾生にならなくてもいいんだろ?」

 

「へっ?それは別にかまわないけど・・・」

 

「じゃあ、ひとまず、お前の希望は叶えられるな。

 今度は俺たちからお前への希望だ。

 お前、講師をやってくれないか?」

 

「ちょっと遊矢!?」

 

「さすがの俺もそれは簡単に容認できんぞ!?」

 

 柊親子が異議を唱えてくる、まぁ、当然だが

 

「3食おやつ付き、寝床も用意する。

 代わりに遊勝塾で塾生たちに対して講義をしてもらう、どうだ?」

 

「僕は別にかまわないよ、ただし」

 

「俺と決闘させろってか?いいぞ

 どちらにしろ、人となりとデュエルの腕を確かめる必要があるからな。」

 

 柊親子の抗議をそっちのけで、話がとんとん拍子に進んでいく

 リアルソリッドビジョンの試運転もできるから一石で四鳥くらいになるな

 

「すいませーん。

 装置の取り付け終わったんでサインもらえますか?」

 

 丁度良く取り付け作業が終わったらしい

 さあ、行こうか

 

「あぁーもう!!遊矢ー!!」

 

「遊矢先生と武者修行中のデュエリストとのデュエル!」

 

「なんだか、しびれるぅ~デュエルの予感!」

 

「なんだか、得した気分だよね~」

 

 しれっと退出した遊矢と素良、そしてそれを追いかける柚子と続くタツヤ、フトシ、アユ

 修造だけが置いてけぼりを食らった

 

「お、おい!?俺を置いて行かないでくれよ~!!」

 

「あの、サイン・・・」

 

「あ、はい・・・」


「勝負はアクションデュエル、子供たちもいるから硬度は最弱で」

 

「別にいいよ、そんなこと僕は気にしないし」

 

 地下のデュエル場

 改装は済んだみたいだが見た目はいつもと変わらない

 いい仕事をしてくれる、さすがレオ・コーポレーションの業者だ

 

「もう、なんでこんなことに・・・・」

 

『あ~俺もよく分からんが・・・仕方ないから始めるぞ

 ところで、アクションフィールドは・・・これでいいのか?』

 

 アナウンスで修造さんがアクションフィールドのことで聞いてくる

 特に指定はしてなかったはずだが

 

「うん、それでお願い!

 僕の力を試すんだから、アクションフィールドくらい僕が選んでもいいよね?」

 

 こいつの仕業か、まぁ別に問題はない

 どうせ、あのフィールドだろうし

 

「いいよ

 その代わり、お前の全力を見せてもらうか。」

 

『よし、じゃあ始めるぞ!

 アクションフィールド、スウィーツ・アイランド発動!』

 

 無機質なドーム状の空間が、光と共に一変する

 ケーキの山、マカロンの石畳、チョコの噴水、ジュースの滝・・・見ているだけで胸焼けしそうだ

 

「うはっ~想像以上だよ!僕の好きなお菓子がいっぱい!」

 

「お菓子がいっぱい!」

 

「美味しそ~!!」

 

「僕は、ちょっと・・・」

 

 ちびっこはタツヤだけが難色か

 取っていたお菓子もラスクだったし、甘すぎるモノは苦手なのか?

 

「俺はあまり長居したくないな・・・とっとと始めよう。」

 

「あは!じゃあ、よろしくお願いね?」

 

「「決闘(デュエル)!」」

 

「先攻は俺みたいだな

 俺はEM(エンタメイト)ギタートルとリザードローをペンデュラムゾーンにセッティング。」

 

 お菓子の国に光の柱が出来る

 その中に居るのはギターのような躰を持つ亀と紳士風のトカゲ

 おなじみのドロー加速要因だ

 

「ギタートルのペンデュラム効果

 1ターンに1度、このカードがセットされている状態で、もう片方のペンデュラムゾーンにEMが発動されたことにより1ドロー

 さらにリザードローの効果、もう片方にEM(エンタメイト)カードがあることにより、このカードを破壊して、さらにドロー

 そして、空いたペンデュラムゾーンにEM(エンタメイト)オッドアイズ・ライトフェニックスをセッティング。」

 

 リザードローが居なくなった後の光の柱に入れ替わりで現れるのは、炎の様な羽根を持つ赤い鳥

 そして、2本の柱の間に現れる巨大な振り子

 ファンサービスだ、最初から飛ばしていくぞ

 

「これで、ペンデュラムスケールは3と6

 揺れよペンデュラム、異界への道を指し示せ!ペンデュラム召喚!

 レベル4、EM(エンタメイト)ペンデュラム・マジシャン!」

 

ペンデュラム・マジシャン「ふん」

            DEF800

 

「おぉ~これがペンデュラム召喚!近くで見ると迫力あるな~」

 

 観光地の見世物みたいな感想だな

 まぁ、最初のターンだし・・・うまく行くかわからないけど、これ伏せるか

 

「特殊召喚成功によりペンデュラム・マジシャンの効果発動

 自分フィールドのカードを2枚まで破壊し、破壊した枚数に付き1種類、デッキからEM(エンタメイト)モンスターを手札に加える。

 俺はペンデュラム・マジシャンとライト・フェニックスを破壊して、デッキから、リザードローとレインゴートを手札に加える。

 カードを2枚伏せて、ターンエンドだ。」

 

「えっ?モンスターいなくなっちゃったけど、良いの?」

 

「さぁ~どうだろうな?」

 

 素良が召喚しなくていいのかと聞いてくるが

 あからさまに罠を貼ったのだから答えるわけがない

 まぁ、ちびっこたちと柚子も困惑しているけど

 

「ねぇ、ねぇ、柚子姉ぇちゃん?

 なんで、遊矢兄ぃちゃんモンスター召喚しなかったの?」

 

「そ、そんなこと私が判るわけないでしょ・・・」

 

 いや、そこはちょっとは考えてくれ、デュエリストなんだから・・・

 

「もしかして、僕を嘗めてる?

 そんなあからさまな罠なんて、かる~く乗り越えちゃうんだから!

 僕のターン、ドロー

 僕は永続魔法、トイポットを発動。」

 

 素良の隣に現れる巨大なガチャガチャ

 装飾の目のような部分や長い舌を模したレールなど、蛙の様な見た目だ

 

「トイポットはね

 1ターンに1度、手札を捨ててデッキからカードを1枚ドローできるんだ。

 そして、それをお互いに確認して確認したカードがファーニマルモンスターなら、手札からモンスターを1体、特殊召喚出来るんだ

 違った場合は墓地にポイ、でもまだ効果は使わないよ

 

 まずは手札から魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動

 手札から1枚、モンスターカードをポイして、デッキからレベル1モンスターを特殊召喚」

 

 ワン・フォー・ワン、あのデッキなら相性がいいカードだな

 アニメでも漫画でも使って無かったが・・・ストロング石島の使用していたカードといい、俺の影響か?

 だけど、素直には通さない

 

「じゃあ、俺はワン・フォー・ワンにチェーンして、手札のモンスターカード、増殖するGの効果発動」

 

「は?」

 

「「きゃあああぁぁぁぁぁ!!」」

 

「「うげ~・・・」」

 

 俺の背後にあるグミで出来たピラミッドの隙間から無数に顔をのぞかせる黒い影

 柚子とアユは絶叫し、タツヤとフトシも嫌な顔してる

 というか、素良も素で驚いてるみたいだな

 

「このカードの効果は1ターンに1度、相手のターンでも発動できる

 このカードを手札から墓地に送って発動、このターン相手がモンスターを特殊召喚するたびに俺はカードを1枚ドローする。」

 

「ドロー加速カード!?

 うぅ・・・仕方ない、ワン・フォー・ワンの効果でデッキからレベル1のファーニマル・マウスを特殊召喚」

 

ファーニマル・マウス「ちっ!」

          ATK100

 

 素良の前に現れるドーナッツを持った羽の生えたハムスター

 可愛らしいが、女子組はGの方が気になるようで黄色くない悲鳴を上げている

 

「増殖するGの効果で1ドロー」

 

 背後のグミのピラミッドからデッキの上に目にも留まらない速度で飛びかかってくる黒い影

 そして、勝手にドローされて俺の手元に飛んでくる

 さすがカイバーマン以上の攻撃力を持つG・・・ただものじゃない

 

「な、なんでそんなカード入れてるのよー!!」

 

「えぇ~便利だろ、これ。」

 

「た、確かに便利だけど・・・その・・・うっ・・・」

 

 柚子が便利だといいつつ、怯えている

 まぁ、そりゃそうか・・・OCGではおなじみのこのカードであるが、ソリッドビジョンがあるこの世界では誰も使いたがらないカードだ

 

「う~ん、ドローさせるのは怖いけど・・・

 このターンで決着を付けちゃえば問題ないね!

 僕はファーニマル・マウスの効果発動

 このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、自分のメインフェイズにデッキからファーニマル・マウスを2体まで特殊召喚出来る

 来い、2体のファーニマル・マウス!」

 

ファーニマル・マウス「ちっ」

          ATK100

 

ファーニマル・マウス「ちゅー」

          ATK100

 

「モンスターが特殊召喚されたので1ドロー」

 

「この効果を使ったターン、僕はエクストラデッキからデストーイモンスターしか特殊召喚出来ない。」

 

「デストーイ?」

 

 タツヤが疑問を口にする

 まぁ、「ファーニマル」じゃなくて、いきなり違うテーマの名前を口にされれば当然か

 あのデッキは3種類で1セットだが、このスタンダード次元ではそれを知っている人間は俺を除いていないだろう

 

「さらに墓地のエッジインプ・シザーの効果

 手札を1枚、デッキトップに戻すことでこのカードを守備表示で特殊召喚

 来い、エッジインプ・シザー!」

 

エッジインプ・シザー「ゲヘッ!ゲへへへへー!」

          DEF800

 

 現れたのは、複数の鋏が密集したような姿をした悪魔

 持ち手の部分が暗くなっており、その中かららんらんと光る赤い目が覗く

 

「特殊召喚により1ドロー」

 

「まだだよ、さらにトイポットの効果発動

 手札を1枚捨てて1ドロー

 さっき手札から戻したから、もう分かってるよね

 引いたカードはファーニマル・オウル

 そして、このカードを特殊召喚する。」

 

ファーニマル・オウル「ポー!」

          ATK1000

 

「増殖するGの効果でドロー」

 

「ファーニマル・オウルの効果発動

 このカードが手札から召喚、特殊召喚された時、デッキから融合を1枚手札に加える」

 

「「「「融合!?」」」」

 

 おいおい、そんなに驚くことか・・・って、LDSでもないのに融合を使えるのは珍しいか

 

「だったら、その効果にチェーンして速攻魔法、超カバーカーニバル発動だ。

 デッキ、手札、墓地からEMディスカバー・ヒッポを1体特殊召喚して、さらに自分フィールド上にカバートークンを可能な限り、特殊召喚出来る」

 

ディスカバー・ヒッポ「カバー!」

          DEF800

 

カバートークン(橙)「カーバ」

        DEF0

カバートークン(黄)「カバ」

        DEF0

カバートークン(青)「カァバァ」

        DEF0

カバートークン(緑)「カバァ~ン」

        DEF0

 

「へぇ~壁モンスター立てるカード伏せてたんだ

 でも、無駄だよ!このカードでみんな壊してあげる!!」

 

 現れた五色のカバを見て嘲笑する素良

 融合のカードを見せつけて、口角を吊り上げる

 

「僕は魔法カード、融合を発動!

 フィールドのエッジインプ・シザーとファーニマル」

 

「おっと、そうはいかないな。

 融合の発動にチェーンしてトラップカード、スウィッチ・ヒーローを発動

 お互いのフィールドのモンスター数が同じ場合、そのコントロールを全て入れ替える。」

 

「なっ!?」

 

 五色のカバたちはジャンプすると素良のモンスターを回し蹴りで俺のフィールドに蹴り飛ばす

 そして、そのまま素良を挑発するように腰振りダンスを開始する

 

「ウザッ!」

 

「さすがヒッポ達、いい仕事してくれる

 それで、お前のデッキにヒッポ達を融合素材にできるモンスターはいるのかな~?」

 

「・・・・・・」

 

「いないのなら、融合はフィールドが埋まってるから不発になり、墓地に送られる。」

 

 空しく消えていく融合のソリッドビジョンを呆然と見つめる素良

 俺はその辺に落ちていた、チョコレートを齧りながら挑発する

 う~ん、それっぽい味がするけど美味しくないな、ただ甘いだけだ

 

「どうした、まだ何かするのか?」

 

「・・・・・・ターン、エンドだ。」

 

 素良のエンド宣言と共にチョコを食べ終えた俺の前にアクションカードが出現する

 なるほど、このフィールドではお菓子を食べるとアクションカードが出現する仕組みか

 さっき大量にGが走り回っていたし、美味しくもないから食べる気がしないけど

 

「俺のターン、ドロー

 俺はペンデュラムゾーンに2体目のリザードローをセット

 ギタートルの効果でドローして、さらにリザードローの効果で破壊して1ドロー

 さらにファーニマル・マウス2体をリリースして

 オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンをアドバンス召喚」

 

オッドアイズP「ギャアオオオォォォォォ!!」

       ATK2500

 

 現れる、2色の眼に未発達の翼のような突起を持つ赤い竜

 かなり意地悪なコンボだが・・・さぁ、どう抜けてくるかな?

 あぁ~そういえばこれ試験だから、ちょっとは動けるように手助けしてやるか

 

「俺はカードを2枚伏せ、魔法カード、手札抹殺を発動

 互いのプレイヤーは手札を全て捨て、捨てた枚数分だけドローする

 俺の手札はアクションカード含めて4枚だから、捨てて4枚ドローだ。」

 

 しばらく呆然としていた素良だったが

 突然、その辺に落ちていた飴玉を引っ掴み、それを口の中に放り込むと勢いよく噛み砕く

 

―ガリッ!

 

「ちっ!あんまり僕を嘗めるなよ、遊矢!

 僕もアクションカードを含めた3枚のカードを捨てて、3枚ドローだ!」

 

 面白くないものを見たような、鋭い目で遊矢を睨み

 出現したアクションカードを引っ掴んで、そのまま手札と共に墓地に叩きつける素良

 もはや、最初のような可愛らしさはない

 そこに居るのは、ただ獲物を狙う1匹の凶暴な獣だ

 

「僕は今、墓地に送ったエッジインプ・チェーンの効果発動

 このカードが手札、フィールドから墓地に送られた場合、1ターンに1度、デッキからデストーイカードを1枚手札に加える。

 僕はデッキからデストーイ・サンクチュアリを手札に加える。」

 

(デストーイ・サンクチュアリ・・・となると素良のやろうとしてくることは・・・

やっぱり、そう簡単にコンボは決まらないか。)

「俺はスケール1のEM(エンタメイト)ユーゴーレムをペンデュラムゾーンにセッティングして

 手札から2枚目のペンデュラム・マジシャンをペンデュラム召喚だ。」

 

ペンデュラム・マジシャン「ふん」

            DEF800

 

 光と共に遊矢のフィールドに現れる、振り子の魔術師

 それと同時に出現した巨大な振り子がファーニマル・マウスとギタートルを砕く

 

「ペンデュラム・マジシャンが特殊召喚されたことにより効果発動

 ギタートルとファーニマル・マウスを破壊してデッキからEM(エンタメイト)マンモスプラッシュとカレイドスコーピオンを手札へ

 さらにカードを1枚伏せて、ファーニマル・オウルを守備表示にしてターンエンドだ。」

 

「うわぁ~遊矢兄ぃちゃん、意地悪だな~」

 

「そうだね。

 オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンはモンスターと戦闘を行う場合、相手に与える戦闘ダメージを倍にするから

 モンスターゾーンを開けるためにディスカバー・ヒッポで唯一攻撃表示のオッドアイズに攻撃したら

 3400ものダメージを受けることになる。」

 

「あのファーニマルって、モンスター達も融合素材を揃えるためにいっぱい出てくるみたいだけど

 レベルが全体的に低そうだからリリースしてモンスターゾーンを開けるっていうのも難しそうだよね。」

 

「そうね。

 あのままじゃあの子、まともに動けないわ。」

 

「解説、ごくろうさん

 さて、どうする素良?

 安心しろよ、カバートークンが居る限り呼び出した俺はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚出来ないからさ。」

 

「ちっ!!どこまで嘗めてるんだよ!ドロー!!」

 

「別に嘗めてないさ

 俺はお前の本気を見たいだけ・・・うん、やっぱり美味くないな。」

 

 ロールケーキを1本丸ごと齧りながら言う遊矢

 だが、その態度が癪に障ったのか、素良は激情に駆られて動き出す

 

「そう、だったらお望み通り見せてやるよ!僕の本気を!!

 墓地のファーニマル・ウィングの効果発動

 1ターンに1度、自分フィールド上にトイポットが存在する場合

 墓地のこのカードとウィング以外のファーニマルモンスター、ファーニマル・マウスを除外して発動する。

 デッキから1枚ドロー、さらにトイポットを追加で破壊し、もう1枚ドローだ!」

 

 手の付いた極彩色の羽根の様なモンスターがトイポットを解体し、素良に3枚ものカードを持ってくる

 

「そして、トイポットが墓地に送られたことにより効果発動

 デッキからエッジインプ・シザーかファーニマルモンスターを手札に加える。

 僕はファーニマル・ベアを手札へ

 さらに永続魔法、デストーイ・サンクチュアリを発動!」

 

 またもや飴を齧り喰らった素良がカードを発動させると、お菓子だらけの世界の中に夜が訪れる

 そしてその夜を照らし出す多数のライト、それを発しているのはおもちゃ箱の中身をぶちまけた様な騒がしくも散らかった建物、教会と言うよりも城の様だ

 

「このカードは手札を1枚捨てエクストラデッキからデストーイモンスターを2体、墓地に送って発動できる。

 僕は今、手に入れたアクションカードを捨てて、エクストラデッキのデストーイ・チェーン・シープとシザー・ウルフを墓地に送る。

 これで僕のフィールドに存在する融合モンスターはデストーイモンスターとして扱うようになった。」

 

「肝心の融合モンスターが居ないみたいだけど、どうするんだ?」

 

「焦るなよ。

 さらに僕は魔法カード、融合識別(フュージョン・タグ)を発動

 自分フィールド上のモンスター1体を対象とし、エクストラデッキの融合モンスターを相手に見せる。

 このターン、対象モンスターを融合素材とする場合、その見せたモンスターと同名カードとして融合素材にできる。

 僕はディスカバー・ヒッポを対象にデストーイ・シザー・ベアを見せる。」

 

 ディスカバー・ヒッポの首にタグ付きの首輪が巻かれる

 そのタグには腹から鋏が飛び出したクマのぬいぐるみが描かれていた

 

ディスカバー・ヒッポ「ヒポッ!?」

 

「これでディスカバー・ヒッポはシザー・ベアとして融合素材にできるようになった。

 後悔するなよ・・・僕はさらに魔法カード、魔玩具融合(デストーイ・フュージョン)を発動!

 自分フィールド上、墓地からデストーイ融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを除外し融合召喚を行う!

 僕は墓地のデストーイ・チェーン・シープとシザー・ウルフ

 そして、シザー・ベアとして扱うディスカバー・ヒッポを融合!」

 

 墓地から這い出た、鋏や針が突き刺さったボロボロのオオカミのぬいぐるみと、鎖で吊り下げられた羊のぬいぐるみが、ディスカバー・ヒッポを混沌とした渦の中に引きずり込む

 

ディスカバー・ヒッポ「ヒィ!?ヒポオオオォォォォォ!!」

 

「悪魔宿りし非情の玩具よ、哀れな捕らわれし獣を飲み込み、刃向う愚民を根こそぎ滅ぼせ!融合召喚!!」

 

――ズドドオオオォォォォォン!!

 

 混沌の渦から巨大な何かが落ちてくる

 熊のぬいぐるみのような中心の後ろから2本の首が生えたような異様な姿

 見る者に驚愕を持って笑顔を与える玩具は、歪に交じり合い、破壊を持って恐怖を与える兵器となって降臨する

 

「現れ出でよ!レベル8!全ての玩具の結合魔獣!デストーイ・マッド・キマイラ!!」

 

マッド・キマイラ ATK2800

――きゃはははははhhhhh

――うははhっははははhh

――ひゃひゃひゃやhhyhy

 

「でか!?」

 

「なに・・・あれ・・・」

 

「なんか怖い・・・」

 

「遊矢・・・」

 

「マッド・キマイラの攻撃力は、元々の持ち主が相手となる、自分フィールドのモンスターの数×300アップする。

 このカバどもは、元々は遊矢のだからマッド・キマイラの攻撃力は1200アップ!」

 

 マッド・キマイラ ATK2800→4000

 

「僕を馬鹿にしてくれた遊矢にはキツイお仕置きをしたい所だけど、まずは僕のモンスターを返して貰うよ。

 マッド・キマイラでエッジインプ・シザーに攻撃!

 何を伏せてるか知らないけど、マッド・キマイラが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法、トラップ、モンスターの効果を発動できないよ!」

 

 マッド・キマイラの正面の熊の口から砲弾が発射されエッジインプ・シザーを吹き飛ばす

 

「マッド・キマイラが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、そのモンスターの攻撃力を半分にして自分フィールドに特殊召喚できるけど

 モンスターゾーンが全て埋まっちゃってるから、発動できない。」

 

「うちのカバートークン達は本当にいい仕事するなぁ」

 

「ウザいだけだよ。

 手札のファーニマル・ベアの効果発動

 1ターンに1度、このカードを手札から捨ててデッキからトイポットをセットする。

 僕はこれでターンエンドだ!」

 

「いいね、化けの皮が剥がれて来たじゃないか。

 俺のターン、ドロー

 さて、十分に活躍してくれたカバートークン達もそろそろ、退場の時間だ。

 俺はファーニマル・オウルをリリースしてEMカレイドスコーピオンをアドバンス召喚」

 

カレイドスコーピオン「クルル」

          ATK100

 

 傷つける鋏は仲間を守る盾に、毒持つ針は役者を照らし出すスポットライトに変わった蠍が登場し

 その尻尾のスポットライトでオッドアイズとカバートークン達を照らす

 

「なに、これ?」

 

「役者は退場も派手にってな。

 カレイドスコーピオンの効果

 1ターンに1度、自分フィールド上の表側表示モンスターを対象として発動

 そのモンスターはこのターン、相手フィールド上の特殊召喚されたモンスターすべてに1回ずつ攻撃できる。

バトル!オッドアイズでカバートークン4体に攻撃」

 

 オッドアイズは気遣うかのように弱めのブレスをカバートークン達の足元に向けて撃ち

 カバートークン達はその足元で爆発した爆風に乗り退場していった

 

「カバートークン達が居なくなったことにより、マッド・キマイラの攻撃力は元に戻る。」

 

 マッド・キマイラ ATK4000→2800

 

「でも、そのモンスターじゃ

 マッド・キマイラには勝てないよ!はぐっ!残念だったね。」

 

 無駄な足掻きだと、馬鹿にしたように素良はスナック菓子を貪り食い、アクションカードを手にする

 だがそんなことは遊矢は百も承知だ

 

「だけど、これで俺はエクストラデッキのモンスターを使えるようになった

 俺はスケール4のEMマンモスプラッシュをペンデュラムゾーンにセッティング」

 

 闇夜に浮かび上がる光の柱、灰色の土人形の隣に上ってくるのは紫色の毛皮を持つ太古の獣

 

「これでスケールは4と1、手札からレベル2のEMトランプ・ガールをペンデュラム召喚だ。」

 

トランプ・ガール「ははっ」

        DEF200

 

「そのモンスターは!?」

 

「河川敷のデュエルを見てたって言うなら、分かるだろう?

 お前が融合で勝負してくるなら、俺も同じ土俵で戦ってやるよ

 トランプ・ガールの効果発動

 1ターンに1度、自分メインフェイズに融合モンスターカードによって決められた

 このカードを含む融合素材モンスターを自分フィールドから墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 俺はEM(エンタメイト)モンスター、トランプ・ガールとオッドアイズモンスター、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを融合

 現れろ、EM(エンタメイト)オッドアイズ・メタル・クロウ」

 

 道化師の少女と二色の眼の竜が混じり、新たなモンスターが産声を上げる

 その姿は重厚な鎧を身に纏い、鋭い鋼の鉤爪を持つ人狼

 

メタル・クロウ「グオオオォォォォォォン!!」

       ATK3000

 

「攻撃力3000・・・」

 

「そうだ。

 そしてこいつは、自身の攻撃宣言時に自分フィールド上の全てのモンスターの攻撃力を300ポイントアップさせる効果を持つ、次のターンでその不細工な玩具も終わりだ。

 おっと、俺が融合召喚したことでユーゴーレムのペンデュラム効果が発動する。

 墓地またはエクストラデッキの表側表示のEM(エンタメイト)ペンデュラムモンスターの中から1枚を選び手札に戻す

 俺はギタートルを戻し、ターンエンドだ」

 

「僕のターン、ドロー

 次のターンだって?そんなの渡すわけないじゃん

 墓地のエッジインプ・シザーの効果で手札を1枚デッキトップに戻し、このカードを特殊召喚」

 

エッジインプ・シザー DEF800

 

「トイポットをリバースして効果発動

 デッキトップのカードはもちろん、ファーニマルモンスターだ。

 来い、ファーニマル・ドッグ!」

 

ファーニマル・ドッグ「わん!」

          ATK1700

 

 天使の羽根が生えた子犬のぬいぐるみといった装いのモンスターが現れるが、それは無情の悪魔を呼ぶための供物でしかない

 

「ファーニマル・ドッグの効果

 1ターンに1度、手札からこのカードが召喚、特殊召喚された時

 デッキからエッジインプ・シザーまたはファーニマル・ドッグ以外のファーニマルモンスターを手札に加える。

 僕が手札に加えるのは、ファーニマル・ペンギン」

 

「どれだけ、手札を増やす気だよ」

 

「こんなのほんの序の口さ。

 墓地の2枚目のファーニマル・ウィングの効果を使い

 ファーニマル・マウスとこのカードを除外し、さらにトイポットを墓地に送ることで合計2枚ドロー」

 

(本当はエッジインプ・シザーを手札に加えて、シザー・ウルフでボコボコにしてやりたいけど、あのワンコロが邪魔だな)

 

「さらにトイポットの効果でファーニマル・ベアを手札に加える。

 そして、永続魔法、デストーイ・ファクトリーを発動

 このカードは自分の墓地の融合またはフュージョンと名の付く魔法カードを1枚除外し、1ターンに1度、デストーイ融合モンスターを特殊召喚する。

 僕はフィールドのエッジインプ・シザー、ファーニマル・ドッグと手札のファーニマル・ペンギン、キャットを融合」

 

 デストーイ・サンチュクアリの扉が開かれ、デフォルメされたペンギンと猫が鋏の悪魔と共にベルトコンベアで謎の機械に放り込まれる

 

「悪魔の爪よ!餓えた牙よ!冷たき心よ!忍び寄る足よ!

 今、一つとなりて新たな力と姿を見せよ!

 融合召喚!現れ出ちゃえ!レベル6!すべてを引き裂く密林の魔獣!デストーイ・シザー・タイガー!」

 

 機械が停止し、仕上がったのは継ぎはぎだらけの虎のぬいぐるみ

 だがその腕は鋏が突き刺さって体に繋がっており、腹からも巨大な鋏が生え、口の部分からは謎の紅い目が光を放っている

 それはデストーイ・サンクチュアリの中から這い出し、狂った産声を上げる

 

シザー・タイガー「うはははははっははhhh」

     ATK1900

 

「シザー・タイガーは自分フィールドのデストーイモンスターの攻撃力を

 自分フィールドのファーニマルとデストーイモンスターの数×300ポイントアップさせる。」

 

 シザー・タイガー ATK1900→2500

 マッド・キマイラ ATK2800→3400

 

「それだけじゃない

 このカードの融合召喚に成功した時、融合素材モンスターの数まで、フィールド上のカードを選択して破壊する

 やっちゃえ、シザー・タイガー!その犬っころとセットカード3枚を破壊だ!」

 

「やらせない。

 トラップ発動、ブレイクスルー・スキル

 相手フィールド上のモンスター1体の効果をターン終了まで無効化する」

 

 シザー・タイガーの腹の鋏が伸び、メタル・クロウと遊矢のセットカードを挟み込もうとするが、メタル・クロウは強固な手甲を装備した腕を振り上げ、その鋏をたたき折る

 

「ちっ!やっぱり防ぐか・・・」

 

「シザー・タイガーの効果が消失したことにより、デストーイモンスターの攻撃力も元に戻る。」

 

 シザー・タイガー ATK2500→1900

 マッド・キマイラ ATK3400→2800

 

「融合素材として墓地に送られたファーニマル・キャットの効果により、墓地の融合を手札に

 さらにファーニマル・ペンギンの効果

 デストーイの融合素材としてこのカードが墓地に送られた場合、デッキから2枚ドローして、その後1枚を捨てる。」

 

「融合を手札に加えたか」

 

「そうだよ!しっかり見せてあげるよ、僕の本気を!

 融合発動、手札のファーニマルモンスター、ファーニマル・オクトとエッジインプモンスター、エッジインプ・DTモドキを融合!

 悪魔の使者よ!偽る者よ!今、神秘の渦で一つとなりて新たな力と姿を見せよ!

 融合召喚!現れ出ちゃえ!レベル8!自由を奪い闇に引き込む海の悪魔!

 デストーイ・ハーケン・クラーケン!」

 

 混沌の渦の向こうから浮上する紫の烏賊の姿の悪魔

 その触碗の先は鋭い鎌となっていて哀れな獲物を待ちわびている

 

ハーケン・クラーケン「ゲへへへッ!」

          ATK2200

 

「ハーケン・クラーケンの効果発動

 このターン、ハーケン・クラーケンのダイレクトアタックを封じる代わりに、相手モンスター1体を墓地に送る。

 消えちゃってよ、オッドアイズ・メタル・クロウ」

 

――ザシュ!

メタル・クロウ「ギャオオオォォン!!」

 

「「「「うっ!?」」」」

 

 ハーケン・クラーケンの鎌がメタル・クロウを惨殺する

 見ていた柚子たちはその凄惨な光景を見て、顔を青ざめさせる

 

「はははっ!これで遊矢、君のモンスターは雑魚と壁モンスターだけだ。

 そして、ハーケン・クラーケンは2回攻撃が出来る。

 終わりだよ!バトル、デストーイ」

 

「バトルフェイズ開始時にトラップ発動!死魂融合(ネクロ・フュージョン)

 

「何!!死魂融合(ネクロ・フュージョン)!?」

 

「墓地の融合素材モンスターを裏側表示で除外することで、融合召喚を行う」

 

「墓地のモンスターで、相手ターンに融合するだって!?」

 

「俺は墓地のEM(エンタメイト)モンスター、レインゴートとレベル5以上の闇属性モンスター、曲芸の魔術師を裏側で除外して融合

 さぁ!存分に暴れな!EM(エンタメイト)ガトリングール!」

 

ガトリングール「ハハhハハハhHHHHッ!!」

       ATK2900

 

 玩具の姿をした刃物を持つ悪魔たちの前に現れる、機関砲を持った屍鬼

 早く撃ちたくてうずうずしているが、まだその時ではない

 

「うげぇ~!!でたー!?」

 

 柚子もなにか言っているが、今は気にしている時ではない

 

「ガトリングールの効果発動

 それにチェーンしてユーゴーレムのペンデュラム効果を、さらにチェーンして、マンモスプラッシュのペンデュラム効果を発動する。

 チェーンの逆処理によりマンモスプラッシュの効果

 融合モンスターが自分フィールド上に特殊召喚された時

 エクストラデッキの表側表示のオッドアイズペンデュラムモンスターを特殊召喚する。

 来い、EM(エンタメイト)オッドアイズ・ライトフェニックス」

 

ライトフェニックス「クエェー!!」

         DEF1000

 

「ユーゴーレムの効果でエクストラデッキのトランプ・ガールを手札に加え

 最後にガトリングールの効果、フィールド上のカード1枚に付き、相手に200ポイントのダメージを与える。

 フィールドのカードは全部で12枚、よってダメージは2400ポイントだ。」

 

 待ってましたとばかりに火を噴くガトリングールの機関砲

 素良はそれを受けて大きく吹き飛ばされ転がる

 

「うわああぁぁぁ!!くっ・・・うぅ・・・やって・・・くれるね。」

LP4000→1600

 

「まだ終わらないぞ。

 ガトリングールはペンデュラムモンスターを融合素材にして召喚された時

 相手モンスターを1体破壊し、その攻撃力分のダメージを与える。

 俺はデストーイ・マッド・キマイラを破壊する。」

 

「やった、遊矢先生の逆転勝ちだ!」

 

「そうは・・・いかないんだよ!

 アクションマジック、ミラー・バリア!

 このカードの効果で、マッド・キマイラはこのターン、効果じゃ破壊されない!」

 

 ガトリングールの銃弾がさらにマッド・キマイラをハチの巣に変えようとするが

 歪んだ鏡のようなものが、マッド・キマイラを覆い銃弾を防いでいた

 そして、ガトリングールの銃弾はついに弾切れを起こした

 

「ちっ!これを防いでくるのか・・・」

 

「はははっ!残念だったね。

 そいつがそのうち現れるだろうと思ってとっておいたのさ。

 最後の反撃も無駄に終わったね。」

 

「くっ!?」

 

「まぁ、中々楽しめたよ。

 この僕に本気を出させたこと、褒めてあげる。

 これで終わりさ!行け!ハーケン・クラーケン!カレイドスコーピオンを切り刻めー!!」

 

 カレイドスコーピオンに迫る無数の鎌、遊矢はそれを呆然とそれを見つめるだけ

 

「・・・・・・・・・・・な~ん、ちゃって!!」

 

 という事はなかった

 

「相手モンスターの攻撃宣言時に、トラップ発動!立ちはだかる強敵!!」

 

「何!?」

 

「さらにチェーンしてオッドアイズ・ライトフェニックスの効果発動

 自身をリリースし、自分フィールド上のEM(エンタメイト)モンスターの攻撃力を1000ポイントアップさせる。

 この効果は相手ターンでも発動できる。

 ガトリングールの攻撃力を1000ポイントアップ!」

 

 ライトフェニックスは自身の姿を炎へと変え、ガトリングールの弾の尽きた機関砲に宿る

 シリンダーは高速で回転し、火花を散らし、炎を噴き上げる

 活気が戻った相棒にガトリングールも嬉しげだ

 

「さらに立ちはだかる強敵の効果で、お前は俺の選択したモンスター、もちろんガトリングールと戦ってもらうぞ

 お前の攻撃表示モンスター全てでな!!」

 

「なんだって!?」

(僕のライフは1600、ハーケン・クラーケンを破壊されたら・・・)

 

 あまり知られてない事だったが、スタンディングデュエルでも長考時間は3分と決められている

 だが、アクションデュエルではとっさの判断力が求められるため、30秒と短く設定されている

 そして、バトルステップは攻撃が着弾するまでと言う、ごく短い間である

 

 素良は急いで自分の足元のラムネ菓子を大量に口に押し込み、アクションカードを出現させ発動させる

 

「アクションマジック!回避ぃー!!モンスターの戦闘を無効にするー!!」

 

 ガトリングールは早速試し打ちだとばかりに、鎌の迫るカレイドスコーピオンの前に躍り出て

 ハーケン・クラーケンの鎌を撃ち落とす

 

「おおぉー!よく躱したな

 だが次はそう上手くいくかな?

 忘れてないよな?その烏賊モドキは2回攻撃が出来るってことを!」

 

 邪魔をされたハーケン・クラーケンは無謀にも怒りで我を忘れて、勝てないはずのガトリングールに立ち向かっていく

 

「くっ!?」

 

 素良は急いで、近くにあったジュースの滝に飛び込む

 だがジュースは炭酸が混じっていたのか、彼の鼻や目を刺激する

 それでも一定の量を飲み込んだことでアクションカードが彼の下に出現した

 

「がはっ!!うっ、アクションマジック、奇跡!!

 戦闘ダメージを半減させ、その戦闘によって自分のモンスターは破壊されない!!うわっ!?」

 LP1600→750

 

 涙目でジュースまみれになりながら、アクションカードを発動させた素良の奮闘によって

 身の程を知らない海の悪魔は、その触手を炎の弾丸に焼かれるだけに留まるが

 悪魔の召喚者である素良に流れ弾が何発か降り注ぐ

 だが、不死鳥の力が宿った機関砲の弾は尽きることがない

 

「ま、まて!シザー・タイガー!!」

 

 仲間の仇だとばかりに密林の襲撃者は、敵に立ち向かっていく

 だが、それは愚行以外の何物でもない

 

――きゃああぁぁぁぁぁぁ!!

――助けてくれえぇぇー!!

――よくも俺の友達をおおぉぉぉぉ!!

 

 素良は急いで近くにあったチョコの噴水に頭を突っ込む

 だが、そのチョコレートは熱を持っており、体感度が最小になっているとはいえ

 いきなり、口の中に入れた素良は咽せて吐きそうになるのを抑えて飲み込む

 

「がはっ!?・・・ごふっ!・・はぁはぁ・・・アクション・・・・マジッ・・ク・・・

 回・・避・・・シザー・・・・タイガーの・・・攻撃を・・・無効にする・・・」

 

 弾の尽きることのない相棒に上機嫌のガトリングールは、狙いもそこそこに乱れ打ちする

 その何発かは、シザー・タイガーの足元に着弾し、シザー・タイガーは転んだことによって火だるまになるのは避けられる

 

――お父さぁぁぁん!お母さぁぁぁん!!

――この子だけは!この子だけは!どうか、命だけは!!

――お前だけは!お前だけでもおおぉぉぉぉぉ!!

 

 

――勝てない相手に無謀にも立ち向かうモンスター

――そして、その後ろで逃げ惑う自分

 

 それは素良の脳裏にあるものを連想させる

 

「はぁはぁ・・・・ア・・・クション・・カード・・・・」

 

 もつれた足が絡まり、その場に倒れ込む

 もう掴むことのない希望に縋るが、目の前の破壊の狂気に魅入られた悪魔は待ってはくれない

 そして、歪な悪魔の玩具が砲塔を、それに向けたことが合図となる

 

「時間だ。」

 

――ドルルルルウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

 無数の炎の弾丸が玩具の悪魔に風穴を開けて行く

 ガラクタとなったそれが崩れ落ちる寸前に見た素良の光景は

 破壊と勝利に酔う、悪魔の姿――その様は

 

――ハハハハハhhhッハハハハハッはハアッ派はhhッはアァァァ!!

 

 自分に重なって見えた

 LP750→0


 

 炎に焼かれたお菓子の国が光となって消えていく

 デュエルは終わったが修造も柚子たちも、目の前で繰り広げられた壮絶な光景に声が出せない

 素良は未だに床にうつ伏せになったまま動かない

 

(アクションマジック、キャンディ・シャワー

 相手のモンスターを守備表示にするカード

 最後に取られてたら、まだ分からなかったな。)

 

 自分の手札に最後に余ったアクションカードを見て、そんなことを考える遊矢

 そして、その足をゆっくり素良に向って進める

 

「俺の勝ちだな、素良・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

「試験の結果だが・・・・まず、お前は性格に難ありと判断した。

 弱いものを甚振ろうとするような、ゲスい考えが見え隠れしている。」

 

「・・・・・・・・」

 

「普段のアレは、キャラづくりか何か?それとも二重人格?まぁ、どっちでもいいか。」

 

「・・・・・・・・」

 

「だが、最後まで諦めないで足掻いたことは、デュエリストとして及第点だ。」

 

「・・・・・・!!」

 

「性格の方も・・・まぁ、普段、あれだけ隠せてるんだから問題ないだろう

 実力の方は申し分なし。」

 

「えっ?ちょっと、遊矢、それって・・・・」

 

 柚子が遊矢の言葉で我に返り、声をかける

 その質問の答えは、遊矢が素良に手を差し伸べたことで返される

 

「これからよろしく頼むよ、同僚。」

 

 遊矢が素良に掛けた言葉、その言葉に素良が返した返事は

 

―ドスッ!!

 

「ぐおぉ!?」

 

―無言の腹パンだった

 

「何上から目線で言ってくれてんだよ!このド外道!悪魔ー!鬼ー!!」

 

 立ち上がった素良はよほど頭に来たのか、普段の冷静さもなく子供らしく感情を露わにする

 

「ごほっ!ごほっ!何するんだよ!このチビ助が!!」

 

「ちびって言う方が、チビなんだよ!

 いいか!次は絶対!僕が勝つんだからな!!でかい態度、取ってるんじゃないぞ!!

 同僚ってなら、僕と遊矢は対等だろ?」

 

「はんっ!チビのくせにでかい口を叩くなよ!

 同僚でも先輩と後輩の関係だ!それに次も勝つのはこの俺だ!!」

 

「僕だ!!」

 

「俺だ!!」

 

「僕だ!!」

 

「俺だ!!」

 

「僕ー!!」

 

 突如始まる子供の喧嘩に柚子は呆れてものも言えない

 タツヤ達は2人の剣幕に声をかけられずにいた

 

「はぁ~これから、我が遊勝塾はいったいどうなってしまうんだ・・・」

 

 蚊帳の外の修造だけがモニターに映る2人の喧嘩する姿に、これからの不安を感じていた

 




不死鳥!機関砲!
これがフェニックスガトリングコンボだ
フハハハハッ!!(想定していたものではない)

何がフハハハハッ!だよ!この悪魔!鬼畜!ゲスー!!

ゲスはお前には言われたくないよ

ふんっ!ところで僕が住む所ってどこ?

えっ?俺の家

はっ!?

次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『嘘つきたちの夜』

「CC」カード群の効果について

  • 制作したものをそのまま使用
  • 後付け効果を削除
  • メインに入るカードの後付け効果のみを削除
  • EXのカードのみをアニメ寄りにして使用
  • 完全にアニメカードそのまま
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