遊戯王ARC-V Rーe:birth   作:深海の破壊大帝

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作者は最近ゴジラSPに嵌ってます。

シンクロ編ラスト
最後の問題を残した人物の清算と考察、そしてお別れ回です。
短めになってしまいましたが、ダラダラ伸ばしても仕方がなかったので


また会う日まで

 治安維持局長官、ジャン・ミシェル・ロジェによる大規模テロから2日

 街の混乱も落ち着き、街は日常を取り戻そうとしていた。

 

「そうですか・・・彼らはこの街を去るのですか・・・」

 

「えぇ、元々彼らを引き留めていたのはこちらですから、これ以上引き留めることもないでしょう。

 彼らには彼らの目的がありますじゃ。」

 

「そうですか・・・・

 それにしてもフレンドシップカップ優勝、そしてあの騒ぎへの功労

 それに賞するものがあんなものでよかったのですか?」

 

「あれを欲しがったのですから仕方ありませんなぁ~

 こちらとしてもあんな厄介なものを引き取ってくれたのは願ったりかなったり・・・

 それより、モーメント発電機の破棄、本当によかったのですかな?」

 

 デュエルエナジーという次元に影響を及ぼす異常なエネルギーの残留が懸念され、大型モーメント発電機は解体が決まった。

 それだけではなく、扱いきれないほどのエネルギーを発生させる大型モーメントは現状の技術では生かすことが出来ないことが分かったのだ。

 

「えぇ、今の我々にはアレは過ぎたる発明です。

 ゴドウィン御兄弟も大変残念そうにしておられましたが、しかたなしと・・・」

 

「そうですか・・・

 もっと我々が良き街を作っていれば・・・」

 

「いえ、急ぎ過ぎれば、躓くと大変なことになります。

 ゆっくりでもいいのです。前へ進み続けることを忘れなければ、いつかきっと・・・」

 

「そうですのう・・・」

(この街はようやく歩き出した。それでも街はここにある。

 ユーゴ、大事なものを取り戻したら、帰ってくるのじゃぞ?)


――チュン、チュン

 

「う・・・・ぁ・・・・痛っ!!」

 

 まだ痛みやがるな・・・まぁしかたねぇか、無茶して暴れたからな。

 ん?ロゼの奴はもう起きてやがんのか?まだ6時だぞ?

 まぁ、俺も目ぇ覚めちまったし起きるか・・・

 

 俺もメシの準備手伝わなきゃなぁ

 

「んぁ?ロゼの奴、どこ行ったんだ?」

 

 D-ホイールは・・・あるな。ホントどこ行ったんだ?ん?

 鍋の中には魚とザリガニが入ったクリームスープ、クラムチャウダーってのか?

 

「『温めて食べてください。』いや、こんなの書かなくったって・・・!!?」

 

 食卓の上にはスターダスト・チャージ・ウォリアー、サテライト・ウォリアー、ジャンク・ウォリアー、シューティング・ライザー・ドラゴン、そしてスターダスト・ウォリアー

 ロゼと共に戦った遊星のカードたちが置かれていた。その横にはもう一枚の書置き

 

「『お世話になりました。』って・・・勝手にいなくなるなよな!!」

 

 あばよの一言もかけないで行きやがって!

 俺は数年ぶりにあいつに連絡を取る。出るかどうかわからねぇが・・・

 

『なんだクロウ、お前が俺に連絡など。』

 

 ぶっきらぼうな声が受話器越しに聞こえる。ロゼのことで一番協力してくれそうなのがこいつだ。

 

「おう、ジャック、おめぇに頼みたいことがある・・・」

 

『頼みたいこと?』

 

「あぁ、実はロゼがいなくなっちまって・・・」

 

『・・・そうか、奴は大会を終えたら旅立つと言っていたからな。』

 

 そうなんだけどよ・・・そうだよ、あいつがいなくなるのは分かってたことじゃないか。

 あいつはただの通りすがりで、あいつと会ったのはたったの一週間ちょい前のことだ。

 人を探しているって言ってたけど、それも見つかって、大会も終わった。

 ここにいる意味はねぇ・・よな・・・・

 

『・・・クロウ、お前はこれからどうするつもりだ?』

 

「えっ?」

 

『俺も近々、この街を出る。世界のキングを、俺の道を進むためにな!』

 

「ジャック・・・」

 

 お前もいなくなっちまうのか・・・

 

「俺はボルガーたちと一緒にライディングデュエルのプロリーグを創るつもりだ。

 俺たちの作ったライディングデュエルをもっといろんな奴らに楽しんでもらうためにな。」

 

『ふん、お前らしい青臭い考えだな。

 それで、ロゼは遊星のカードとDホイールを置いて行ったか?』

 

「!!?なんでそれを!?」

 

『奴が決勝の時に言っていた

 それでクロウ、お前はあのDホイールとカードをどうする?』

 

「どうするって・・・そりゃ・・・」

 

 どうするんだ?どうしたいんだ、俺は・・・

 わざわざ勝手に恨んでいたジャックに連絡までして、それなのに遊星のモノをどうするか、その答えが出てこない。

 

『あれをただの思い出にするのか。』

 

 遊星はとっくの昔に死んじまった。

 それでも遊星のカードとDホイールはロゼと一緒にシンジを救ってくれたり、この街を守るために戦ってくれた。

 もう、眠らしてやってもいいと思う。だが・・・

 

『それとも・・・』

 

 だが、俺は・・・


遥かなる時の中 人と精霊は手に手を取り合い世界は廻る

 

絆は力 力は赤き竜となって生まれ落ちる

 

力は本能のままに精霊を喰らう 精霊を喰らうことに力は嘆き悲しむ

 

悲しみを止めるため人と精霊は力を眠らせ互いを別った

 

力の体は大地に抱かれ 力の魂は天空で永遠の安らぎを

 

力は絆 我らは忘れることがなきよう力に思いを捧げよう

 

餓えることがなきよう 忘れることがなきよう

 

眠りが妨げられたのなら その叫びを聞け

 

星の導 それは力の叫び 星が連なり未来へと向かう

 

解読者 矢薙 典膳


 今日発行された新聞の一面

 南アメリカアンデス高地からマヤにかけて伝わる詩

 それは荒ぶる神を鎮め眠らせ、その安息を願う、人と精霊の絆の詩

 

 やっぱり、漫画5Dsとはかけ離れた存在だったか

 ロジェも究極神の意思が乗っ取ったのではなく、暴走していたものの意識はロジェのままだった。

 あのスターダストは赤き竜なりに手を貸してくれたということか。

 

 究極神の笑みの真意に思いをはせてコーヒーを一口

 

「ねぇちょっと遊矢!新聞読んでないで説明してよ!」

 

「へいへい。」

 

 柚子の回収、フレンドシップカップ、そしてロジェの計画を潰した以上、もうシンクロ次元に用はない。

 ロジェは逃亡したがホワイト議長指揮でセキリュティが血眼になって探し、国際指名手配までされた以上、ロジェの再起は無理だろう。

 そしてそのロジェがセキュリティに残して行ったデータからこの次元世界における新たな情報が得られた。

 

「まずは次元移動の座標のそれぞれには定員があること。」

 

「定員?一度に送れる人数があらかじめ決まっているってぇことか?」

 

「おっ、さっすが察しがいいな沢渡さん。

 ここを例に言うと、俺たちが来た4つの地点で2~4人、それが通れるくらいの穴が空いていて、次元移動はそこに通路を差し込んでいるってことだな。

 それ以上は転送位置にラグが発生するらしい。」

 

「ラグ?位置ずれを起こすということか?」

 

「あぁ、いわゆる石の中にいるだったり、上空1万メートルに放り出される事態になるらしい。

 また、時空移動すると同じ穴は規模によるが数時間から1日以上期間を置かないと、不安定になるらしい。」

 

 どこかで聞いた話だが、戦時中のドイツ軍が異次元研究をしていて戦艦を乗組員ごと異次元空間に隠そうとしたが、再出現した際に乗組員ごとあらゆるものが融合した状態で出てきたとか

 やっぱりというか次元間移動にはそれなりのリスクがあるってことだな。

 そして、このシンクロ次元が侵攻を受けてない理由がそこにある

 

「このシンクロ次元はそれぞれの穴の定員が数人と少なく、シティ周りに複数箇所あるが、それ以外は距離がある。

 一気に来れるのも俺たちと同じくらいの人数で、集まろうにも取り締まりが厳しい。

 だから、ロジェもここを拠点にしたんだろうな。」

 

「それでは俺たちの、エクシーズ次元のハートランドは・・・」

 

 まぁそりゃ知りたいよな。黒咲は

 スタンダードならオベリスクフォースがやって来た舞網市の約50人が転送できる穴が最大

 それでなぜ自分たちの故郷だったのか、その理由は

 

「・・・ハートランドに空いている穴で転送できるのは1000人規模、2個大隊が一気に攻め込める大穴が空いている。

 他には日本以外に1人2人しか通れないような小さい穴しかないみたいだが・・・」

 

「なっ!?」

 

 それ以上は言わなくてもわかるハートランドが攻め込まれた理由、そして人が少なくなったにもかかわらず、ずっとハートランドで居座っている理由

 攻め込みやすい場所が他になかったから、ハートランドを足掛かりに人間狩りをしているのだろう。

 

「それとなんでデュエルをしてカード化を行っているのかについてだが、これはデュエルエナジーが関係していると思われる。」

 

「デュエリストがデュエルを行った後に発生させるエネルギーでござるな。

 その性質は次元に影響を与えるとのことでござったか?」

 

「そう、で奴らの目的は次元を統一し新たな理想郷を作ること

 それを加味すると奴らの目的は政治的な統一じゃなくて、デュエルエナジーを使って物理的に世界を融合させる気だということだな。」

 

「そんなこと・・・可能なのでござるか?」

 

 日影が俺の無茶な推測に疑問を発する。

 まぁこの推測、俺が結末を知っているから立てられたものだしな・・・

 そこにちょうど、頼んでおいたトーストが来る。

 

「どうぞ。」

 

「ありがとう。ちょうどいい。」

 

 俺はトーストを四角く8等分に切り分ける。

 

「この一つ一つがカード化された人々が閉じ込められている異空間

 見ての通り切り分けられていて、この世界含め互いに干渉することが不可能になっている。

 外から干渉を受けないから、内部の状態が分からずシュレディンガーの猫理論的にどうなっているかわからない状態にある。」

 

「だが、カードの絵柄という情報でこの世界で観測されているため、内部の状態はそれで固定されている。というわけか。」

 

「う~ん・・・付いた焼き目は変わらない。ということか?」

 

「まぁ、そういうことだな。

 もっとも、燃えたり濡れたりして状態が変わったら、――サクッ、かふぁるともふぉうけど。」

 

「う~ん、それとこれがどう・・・」

 

「切られたパンを持ち上げても互いに干渉することはないが、この切れ目を飴でも塗ってくっ付けたらどうなる?」

 

「?2つが離れずに持ち上がるだけ・・・あぁ、そういうことか・・・」

 

「干渉できないものを干渉出来るようにする・・・

 世界と世界が認識されてより大きな世界になる。それが多くなれば一つの次元になる。

 それが第五次元ってことだろう。

 

 ロジェのシミュレーションによると、第五次元は現在の4次元の上に腫瘍のような形で出現し、薄い壁しか持たない4つの次元を侵食融合しながら成長するらしい。」

 

「・・・それって・・・今の世界は・・・どうなるの・・・・?」

 

「それはわからない。」

 

「そうだろうな。

 そんな事態予想がつかない。その世界で我々は今のままでいられるのか

 それとも再構成され全く別のものになってしまうのか・・・いずれにしても世界が崩壊するに等しいことになる。

 止めなければならないのだ・・・我々が・・・私が・・・」

 

「兄様・・・」

 

 零児め、一人で背負い込もうとするのはもう性分だなこりゃ。

 そりゃ完全に父親の起こした不祥事だが。それに目的もはた迷惑極まりない。

 

 第五次元に柚子たちを放り込んだ場合、元がレイという一人の人間だった柚子たちのパーソナルスペースは互いに干渉し合って崩壊して交じり合う。というのが赤馬 零王としての目的なんだろうけど、その後のことについては考えてない、いや興味ないんだろうな・・・

 

 世界を分け隔てる楔がそんなことになれば4つの次元の核となっている四天の竜の持ち主も元のズァークに戻るだろうことは容易に想像がつくが、『エン』カードを使って討伐できると考えているのだろうか?

 その時異物の俺がどうなるか分からんが・・・

 

「あ、あの、すいません!」

 

 ん?君は・・・


「う~ん、居ないねぇ~」

 

「そうね。もうスラムにはいないのかも」

 

「あぁ~あ、ロゼも黙っていくことねぇのになぁ。」

 

 クロウのためにロゼ探しを手伝うタナー、アマンダ、フランク

 だが広いシティ、人一人を探すのは容易ではない。だが彼らは運がよかった。

 

「あぁ~あ、なんで俺たちが買い物なんなんだよ。」

 

「仕方がないだろう。

 あのブレスレットに近づくとどこに行くかわからないんだから。」

 

「「「あっ!」」」


「これでおしまいだな。」

 

「はい、ありがとうございました。」

 

「・・・俺は今日この街を発つ。そうしたらもう君に会えることはないだろう。

 カードを取り返す気があっても不可能になる。

 なんなら、このカードを普通に返してもいいが・・・どうする?サム君?」

 

 自信なさげな顔の少年『サム』

 デッキ片手にここへやってきた彼は俺に挑み、そして負けた。

 デッキの内容は・・・まぁ酷いものだ。本当にそこらへんで落ちてそうなノーマルカードの束

 だが彼はそれで挑んできた。

 自らの意思で[調律の魔術師]を取り戻すことを選んだのだ。

 

「いえ、そのカードは貴方が持っていてください。

 いつか、貴方からそのカードを勝って取り戻す。そう決めましたから。」

 

 そう言って、サムは笑う。

 その笑みは卑屈さを感じさせない真っすぐな笑みだ。

 

「勝手だな。」

 

「はい。勝手に決めさせてもらいました。」

 

「フンッ!ならば、その前に俺を乗り越えていくことだな!」

 

 !!?ジャック!?

 

「キ、キング!?なぜここに!?」

 

「今の俺はキングではない!ジャック・アトラスだ!

 いいか!こいつを倒したいならまずは俺を倒していけ!!」

 

「えっ・・・えぇぇええええぇぇぇぇ!?そんな!無理ですよ!!」

 

「無理ではない!

 お前はこいつを乗り越えると言った!ならこの俺を乗り越えられない道理はない!

 デュエルは無限の可能性があるのだ!

 俺も・・・勝手な期待をさせてもらうからな。」

 

「!!・・・はい!!」

 

「で、ジャックはどうしたんだ?

 コーヒーでも飲みに来たか?コクが違うぞ。」

 

「それもいいが、ここに来たのは忘れ物を届けるためにクロウに泣きつかれたからだ。」

 

「おい、誰が泣きついたんだよ!」

 

「クロウ。」

 

 ぐっすり眠らせておこうと思って出発したが、探させてしまったか。

 

「ロゼ。てめぇはよ・・・とにかくまずはこいつだ。」

 

「えっ?これは・・・」

 

「『忘れ物』だ。外のアレも忘れんじゃねぇぞ?」

 

 そこにあったのはクロウの家に置いて行った5枚のカード。

 『不動 遊星』が使用したシンクロモンスターたちだった。それに外に出ると例の赤いDホイールが、ボルガー社長たちの乗るトラックに置かれていた。

 

「いいのか?これはあなたたちの・・・」

 

「俺はあいつのことを忘れたりせん。だが俺は奴の思い出に縋りつく気もない。

 そして、お前以上にあのカードとDホイールを託せる奴もいない。」

 

「そうだ。俺たちはあのDホイールに、遊星にずっと走っていてほしいんだ!

 だから、このカードとDホイールをお前に託す!」

 

「・・・俺は通りすがりだし、ライディングデュエルを他でやるのかも怪しいぞ。」

 

「・・・あぁああぁぁ!!もう!いいか!俺たちは『仲間』のお前にこいつらを持っていてほしいって言ってるんだ!」

 

「なかま・・・俺が?」

 

「あぁ、デュエルして、一緒に飯食って、ダチを救ってくれて、街も救ってくれた!

 お前は何と言おうと、俺の、俺たちの仲間だ!

 だから!『さよなら』ぐらい言わせろよ・・・」

 

「・・・ごめん。」

 

「んで、また会おうな!約束だぜ?」

 

「!!」

 

「そうだ、また会うときにはまた俺と戦え、これらは俺たちからの誓いだ。」

 

「あぁ、ありがとう。大切に使わせてもらう。そして、また・・・」


 止まった街は歩みだした。新たな絆を紡いで

 

 そして、次なる舞台は

 

「じゃ、柚子を頼んだぞ。零児。」

 

 花は太陽なき場所へ

 

「あぁ、君も、この作戦にこの世界全ての命運がかかっている。」

 

 道化は希望を失った国へ

 

「遊矢・・・」

 

「大丈夫だって、こんなくだらない事さっさとケリを付けて一緒に帰ろう。」

 

「うん!」

 

 次なる舞台を移す。

 

 運命はまだ決していない。だが確実に狂い始めた。

 

 闇の中に光を灯すのは、王の記憶




てぇわけで、遊星のカードとDホイールはやっちまった。

そうか。

シンジ、お前に話を通さなかったのはすまねぇと思っているだが時間がなくて

いいや、もういいんだ。
俺はあのロゼってやつはよく知らねぇが・・・

ん?

あいつが認めたのなら文句はねぇよ。
次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth
『勇者の言葉』

「CC」カード群の効果について

  • 制作したものをそのまま使用
  • 後付け効果を削除
  • メインに入るカードの後付け効果のみを削除
  • EXのカードのみをアニメ寄りにして使用
  • 完全にアニメカードそのまま
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