結果、投稿が遅れてしまいすみません…。
疲れた…。
今日も一日過酷な訓練を行い、心身ともに疲労したエレンはベッドで横になる。
疲労から瞼が重く、自然と眠りの中に沈んでいく。
意識が暗闇の中に落ちて行ったのに何故か光が瞼越しに差す。
おかしいな…夜の筈なんだけどな。
眩しさに苛立ちながら反対方向を向いて光を背で遮る。
「……れん。エレン」
誰だ?
呼ばれる声に意識がゆるりと覚醒する。
目を開けてもぼやけて見えないので瞼越しに目を擦り、上半身を起き上がらせる。
身体を捻り、肩を回したりして身体のコリを解す。
重い瞼を開け、薄目で周囲を確認すると見知らぬ一軒家らしき建物のソファに転がっていた。
おかしいな、ベッドで寝てたはずなんだけどと首を傾げているとアルミンが心配そうに見つめる。
「どうしたのエレン」
「え、あ…いや、何でもない」
なんだかよく頭が回らず後頭部を掻きながら誤魔化す。
室内を見渡すとミカサにアルミン以外にリヴァイ兵長やジャン、コニー、サシャなどの面子が集まっていた。
ミカサやアルミンは解かるが何故憲兵団所属のコニーやジャンが居るのだろうか?
疑問が浮かんだが、それ以上に気になる疑問があるのでまずはそちらから処理しよう。
「なんでジャンが倒れてんだ?」
肩を大きく揺らしながら荒い呼吸をし、身体中から汗をだらだら垂れ流すジャンは、床に大の字で転がっているのだ。
エレンの言葉を受けてジャンはキッと睨みつける。
「誰かさんが眠りこけている間に買って来たんだよ!俺だけ走ってな!!」
「走ってってお前…」
「仕方ないだろ。馬が二頭しか居なかったんだから」
「だからって後ろに乗せたりとかだな…」
「じゃんけんで敗けた人はダッシュって言ったのはジャンじゃないですか」
文句タラタラのジャンであったが全部言い返されて、もはやぐぅの音も出ない程打ちのめされて、床に両手を付いてがっくり項垂れる。
「おい、アイスはちゃんと買って来たんだろうな?」
「勿論です兵長」
リヴァイ兵長に
長方形の箱を手にした兵長は手慣れた様子で箱を開け、銀袋を取り出してはそれも開けて中のアイスに齧り付く。
パキリと良い音をさせながら食べて、若干頬が緩んでいる―――気がする。
「リヴァイ!アイス来たぁ?」
けたたましく叫びながら登場したハンジ分隊長に緩んでいたっぽい頬が不機嫌そうに歪む。
黙って冷凍庫を指差すとハンジ分隊長は放たれた矢の如しに突っ込んで中より一箱手に取る。
「お前らも食え」
「一人二つまでだったよね。誰か食べる?」
「あ、俺食べたいです」
箱を見せながら聞いてきたハンジ分隊長に軽く手を挙げて答えると山なりに放り投げられて落とさないようにキャッチする。
寝起きにアイスなんてちょっと贅沢な気がするな。
そんな事を思いながら箱に書かれているように箱を開けて、中からアイスを包んでいる銀袋を取り出す。
袋の上からでもひんやりとした冷たさが伝わり、これを額にでも乗せたら気持ちいいだろうなぁと思う。
実際にしてしまったらアイスが完全に溶けてしまうので思うだけで実行は絶対にしない。
銀袋の上下にあるギザギザに切れ目を入れて、中のアイスを取り出そうと破くように開く。すると中よりチョコレートでコーティングされたアイスが姿を現した。
ガブリと噛みつくと表面はバキリ、裏面はパキリと違った二種類のチョコレートの食感を楽しむ。
割れたチョコレートより中のアイスクリームが飛び出て、ひんやりとした冷たさとなめらかな甘さがアイスクリームによってもたらされる。
噛み締めれば硬いが薄いチョコレートに対して味が濃く、それがアイスクリームと混ざって深いコクと苦みが加わって良い感じに味が変わってコレは良い。
「これうっまああああああああい!」
「黙って食えねぇのかハンジ!!」
口の中に広がる幸せにニンマリと微笑んでいると叫び声が響く。
いつもの事なのであまり気にせず二口目を頬張る。
このアイスは途中途中に折れ目があって、簡単に一口サイズに割れるので非常に食べやすい。
何と無しに周囲の様子をい眺めながらパキリパキリと音を立てながら食べる。
ミカサは黙々と食べ、アルミンはジャンやコニーと談笑しながらつまみ、サシャは何とパンに挟んで食べていた。
それぞれ食べている中で一番気になったのは兵長だ。
「兵長。よく食べますね」
「あぁ、俺は元々結構甘党だからな」
…知ってます。
毎日のようにパウンドケーキやらペトラさん達から勧められたお菓子を食べたりとよく甘味を口にしている事から甘党なのは周知の事実かと。
口にしたら不機嫌そうな視線が返って来そうなので言う事は無いが…。
パクリとまた齧り付くと手の温度でアイスが少し溶けており、チョコレートから出てくると同時にふわっと蕩け、甘さを残して消失して行った。
そして後からチョコレートの味わいがやって来る。
最初と違ってアイスとチョコレートを別々に味わえ、はっきりと両方を味わい取れる。
「これ少し溶かすと味が変わるぞ」
自分が知った事を皆と共有したいと口にするとアルミンが関心を向ける。
「そうなの?一口くれないかな?」
「仕方ねぇな」
一口分をパキリと折って、アルミンの口に入れてやる。
確かにそうだねと感想を述べるアルミンと共有すると、ミカサがゆらりと近づいてきた。
何だと振り返るとひな鳥の様に口を開けて待機している。
「エレン、エレン。私も」
「おいおい、俺のがなくなっちゃうだろ?」
「……私の分、一口あげるから」
それなら別に良いかとミカサにも一口やると、幸せそうに笑みを零した。
予想以上に
立ち上がって何か言いだそうとした矢先、室内にエルヴィン団長が入って来た。
「すまない遅れた」
「別に待ってない…」
「つれないなリヴァイ」
いつもの軽口にエルヴィン団長は余裕のある微笑みを浮かべる。
「あ、エルヴィンの冷凍庫に入ってるよ」
「そうか。なら、私も……ないぞ。私のが」
冷凍庫を開けて固まったエルヴィン団長。
全員が買って来たコニーやジャン、そして一番怪しいサシャを見つめるも「私じゃないですよ!」と必死に否定する。
一人二個ずつ買ってきておいて無いなんて、数を間違えたか誰かが食べたしかない。
三人とも数を間違えてはいないと証言している事からして誰かが食べたのだろう。
そうなるとサシャ以外に…待てよとエレンは兵長に視線を向ける。
先ほど兵長が何個も食べていたのを思い出し、それがエルヴィン団長のだったのではと思ったのだ。
リヴァイもそれに気付き、後ろめたくそっぽを向いた。
その様子が全てを物語っており、全員の視線が集まり、特にエルヴィン団長の視線は槍の様に鋭かった。
「すまない。お前のとは知らなかった」
ジトーと睨むエルヴィン団長の圧力に耐えきれなかったのか、リヴァイ兵長がしおらしい表情でそっぽを向きながら謝る様子に、ハンジ分隊長が噴き出すとその場の全員が大笑いし始めた。
あまりに可笑しくて腹を抱えて笑ってしまった。
笑ってひと段落着いた所でエレンはソファに寝そべる。
さっき起きたばかりだというのに何と無しに横になる。
眠たさがある訳ではない。
寧ろ気分はすこぶる良い。
けど、俺は
ゆっくりと瞼を閉じると感じていた明るさが消え去り、暗闇と静寂が周囲を覆い尽くす。
「……んぁ?」
再び目を開けたエレンの前には見慣れた天井があった。
きょとんとしながら周囲を見渡すと、そこは一軒家の中ではなく宛がわれた寮の一室。
先ほどのは夢だったのかと口より垂れている涎を袖で拭き取り、残念そうにため息を漏らす。
目が覚めて現状の確認を済ませたエレンは、気怠そうに支度を済ませていく。
寝間着から制服に着替え、パンと牛乳の簡易な朝食を済ませ、顔を洗って歯磨きをする。
その間ずっと夢の光景が浮かんで、口の中がアイスの気でいる為にパンを食べているときは違和感しかなかった
食べたくて仕方がない。
どことなく不満げな表情のままエレンはミカサと顔を合わせる。
するとミカサも似たような表情を浮かべており、お互いにどうしたのかと首を傾げる。
「どうしたんだミカサ?」
「エレンこそ」
「んー…なんかアイスが食べたくて仕方がない…感じ?」
夢の話は省いて行ってみるとミカサは大きく目を見開き、何かを考えて口を開いた。
「…もしかしてアイスの夢を見た?」
ミカサの返しに驚きを隠せなかったが、それ以上に二人の中で今日は食事処ナオに行ったらアイスクリームを注文することが決定したのだった。
●現在公開可能な情報
・総司、アイスへの悩み
突然数名がアイスメインで注文を受け、総司は店のアイスの種類の少なさに気付き、抹茶や珈琲など増やそうかと画策する。
しかし自分が親しんでいたアイスがこちらで全て受け入れられるかと不安を抱く。
が、やはり品は増やしたい。
けど増やせばデザート担当のユミルの負担に繋がる。
総司は悶々と一人悩むのであった。