魔女のヒーローアカデミア   作:陽紅

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Q.前に書いてたヒロアカは?
A.オリ主の個性が劇場版の敵の個性とダダ被りでしたので。削除済みです。すみません。



MP0 ドロップアウトの裏側で

 

 

 

 

 初夏。太陽の日差しが日に日に強くなり、だんだんと夏らしく強く容赦なくなり出した頃。

 少しばかりフライング気味なセミの独唱をBGMに、二人は冷房の効いた広い教室で向かい合っていた。

 

 

「えっと……すみません。聞こえなかったわけでも理解できなかったわけでも無いんですが……その、確認のためにもう一度言ってもらえませんか?」

 

「お前らしくも無い──と、言いたいところだが、流石にこの件は雄英高校(俺たち)側が不合理かつ不誠実だからな」

 

 

 一息。

 

 

「早乙女 天魔。本日現時刻を持って1年次課程を途中終了。来年度の新入生に合わせて()()()、1年次課程を再開する」

 

 

 言い切り、そしてニヒルに笑う。

 

 

「まあ……早い話が『留年』だな」

 

 

 

 ──〇〇年度入学、1年A組の完全解散が決定した瞬間だった。

 

 

 


 

 

「まぁ……退学にならなかっただけマシ、と考えるべきなのでしょうかねぇ、ここは」

 

 

 一学期終業式。

 これから夏休みだぜヒャッホウ! という気分であるはずのその日に一人、教室で深いため息をついていた。

 

 

 

 ……四月の入学は、ぴったり二十人。

 

 ──たった三ヶ月で、その全員がいなくなってしまった。

 

 

 自己紹介をして、名前は覚えた──だが、たった、それだけだ。

 

 男子14名女子6名は互いの趣味を教えあうことも、それを切っ掛けにどこかへ遊びに行くこともなく、その繋がりは途絶えてしまった。

 連絡先も当然知らない。全員別の高校へ滞りなく編入を終えた、と担任の教師に伝えられたが、それ以降は全くわからなかった。

 

 ……友、と呼べる関係では無いだろう。精々が知り合い程度だ。

 

 

「さて……と」

 

 

 最後なのだから、と念入りに行った教室の掃除も終わった。

 異形系個性の生徒のために設計された超バリアフリーな教室は広かったが、最後の三週間は一人だったので特に汚れてもいなかったので、一人で掃除しても特に時間はかからなかった。

 

 留年は決まったが、新一年生としてスタートするまであと八ヶ月もある。その間は自由登校となり、さらには自主学習・自主訓練が主になるとのこと。……今年度中この教室が使われることは殆どないだろう。

 

 

「流石に、一人でこの広い教室にいたら、絶対心病んじゃいますよねぇ」

 

 

 呟いた言葉は小さかったが、やけに響いた。……軽い冗談だったようだが割とガチになりそうである。独り言は禁止にしたほうがいいだろう。

 

 

(そういえば……夏季休講の課題もないんでしたっけ……?)

 

 

 担任のアングラ系ヒーローの説明では二学期三学期の中間試験や期末試験もないらしい。再スタートまで八ヶ月あるが、逆に言えば八ヶ月間は完全にフリーということだ。

 

 加え、今日から夏休み。

 

 

 ──なんの予定もない、240日間。

 

 

 

 

 

「ん? あれ、これってある意味で見たらとってもお得なんじゃ……?」

 

 

 

 何をしましょうかねぇ、と考えたところで思考が加速する。

 

 高校一年で留年、というのは世間体はあまりよろしくないだろう。ドロップアウト、つまりは落第者だからだ。

 

 

 だが、その高校は、ただの学校ではない。

 

 数多くの有名ヒーローたちを世に送り出した天下の名門、『雄英高校』なのだ。

 

 

 広大な敷地を、そしてそこに備えられた最新鋭の設備を、わずか三年で使い倒すことは不可能に近い。しかも、通常の高校生としての授業も並行して行わなければならないのだ。

 

 

 

 ──早乙女 天魔の頭に、天啓が落ちる。……天繋がりではないはずだ。多分きっと。

 

 

 

「なるほど。これがいわゆる、修行パートってやつですね……!」

 

 

 

 にわか知識でしかないマンガ用語を自信満々に言い放ち、その天啓に逆らうことなく実行に移すために職員室へと走──ろうとして思いとどまり、競歩で向かった。

 

 

 

***

 

 

 

「HaHaHa! 見掛けによらず中々にAggressiveでPositiveなやつだな!」

 

「ホントにねぇ。学校側の都合で留年言い渡された直後よ? ……早乙女さん。あ、君だっけ? どっち?」

 

 

「うるさいぞ山田」

「本名はらめぇ!」

「ミッドナイト先生、『君』です。本人もあれでかなり気にしていることらしいんで、目の前で言うのは止めてやってくださいよ。軽く鬱になりますから」

 

 

 ところ変わって、そして幾許かの時間をおいて、職員室。

 

 纏わり付いてくる同僚、プレゼントマイクを捕縛布で流れるように拘束・沈黙させ、同じく同僚で先輩でもあるミッドナイトに軽く注意する。

 

 手元にある今しがた作成・申請されたばかりの書類を軽くまとめているのは、イレイザーヘッドだ。

 

 個性派揃いの雄英教員でも、『教師に見えない』ことではダントツとも言われている。

 髪はボサボサで無精髭。黒の上下に薄汚れた布を幾重にも首に巻いている姿は、初見の生徒にも不審者として通報されるレベルだったりする。

 アングラ系ヒーロー(アンダーグラウンド:メディア公開を嫌うヒーロー)であるため、世間知名度が低いのもその要因だろう。

 

 

「でも、流石に丸々一クラスが無くなるとは思わなかったわ。……まあ、イレイザーが彼らを除籍にした理由も分からなくもないけど」

 

「オレも授業中だけど『あ、これダメだわ』って思ったZE! だからあんまり気にすんなよMy Friend♪」

 

「別に気にしてない。あと、同情ならいりませんよ。見込みがないからこそ早めに区切らせる。再スタートは早ければ早いほどいい。

 ……まあ、早乙女には悪いことをした、と思わなくもないですが」

 

 

 敬語と遠慮なしの交互が地味に面倒だ、とイレイザーヘッドこと相澤消太は思う。ミッドナイトは教師歴も先達だし僅かだが年上だから敬語は必要だし、だが高校から同期であるプレゼントマイクに敬語は使いたくなかった。

 

 不合理だ、と渋面。

 

 

 そして、早乙女 天魔──彼に関しては、『時期が悪かった』としか言えない。教師が抱く感想として絶対に褒められたことではないが、今年の新入生……殊、一年A組のメンバーは不出来が過ぎた。

 

 高校一年生……齢わずか15の少年少女に求めすぎるのは酷だ、と言われるかもしれない。だが、ヒーローという職業はそれだけのものを要求されるのだ。

 

 

 本人の『素質』。

 努力を苦としても、やり遂げられる『精神力』。

 そして何よりも、絶対に何があっても揺らがない『確固たる原点』。

 

 

 この三つのうち一つでもあれば、並みのヒーローにはなれるだろう。だが、彼ら彼女らにはそれがあまりにも希薄すぎた。

 

 

 

「……それでも、あいつをここで腐らせるには、あまりにも惜しすぎる」

 

「「…………」」

 

 

 そして、見込みがないとした19人の中であって、『素晴らしい逸材』と相澤が教師人生の中で最大の太鼓判を押した唯一の生徒……それが早乙女 天魔という少年だった。

 

 

 ……本来(まずありえないことではあるが)一人を残して全員が除籍となったなら、その残った一人は同学年の別クラスに移籍するのが普通である。なにせ、その残った一人には何の落ち度もないのだから。

 

 普通では留年にならないのに留年になった……つまり、普通ではない何かしらがあった、ということである。

 

 

 

(二年間二割減俸……安いもんだろ)

 

 

 隠すまでもなくぶっちゃけると、ことの犯人は担任であるイレイザーヘッドである。

 

 三ヶ月という短い期間ながら、彼は早乙女の可能性を見出した。そして、自分が受け持つことになった来年度の一年A組に『留年生』という形で組み込ませるために動いたのだ。

 

 見出した可能性を、教師として、自分が教え導きたいがために。

 

 

 ……もちろん、葛藤が無かった訳ではない。思春期の中の一年を足踏みさせることに躊躇いは当然あったし、どう言い繕っても当人についた『留年』という履歴はずっと消えないまま残る。

 

 そして、実を言えば、その葛藤はつい先ほどまで胸中に溜まっていた。

 

 

 

 過去形だ……マフラーのように巻いた捕縛布の中で、相澤はニヤリと笑う。

 

 

 分厚いとまではいかないが、それなりに厚みのある紙の束。その全てが、夏季休講中の雄英高校にある訓練設備などの使用申請書や、各教員、並びにサポート科への開発要請の書類だ。

 

 

(『高く飛ぶためには深くしゃがむことが必要』……だが、流石に行動が早すぎるだろ、早乙女)

 

 

 とりあえず申請できるものを手当たり次第に、という形で出された書類共。よく見れば一番早い使用申請で明日の午前中だ。相澤がここで温めていても意味はない。

 関係各所に渡して合理的に進めるために、一番先頭に生徒の詳細なプロフィールを載せている。

 

 出身中学を始めとした、住所や来歴、備考という個人情報のオンパレードの中で、乾きがちな目がその項目を強く意識した。

 

 

 

 

 早乙女 天魔

 

 個性『魔女』

 

 魔女っぽいことができる!

 

 

 

「……ん? あれ? おいイレイザー。俺の書いたウィッチボーイの個性紹介のやつ……おーい」

 

 

 ※1 複合型、かつ完全人型にも関わらず異形系個性。『魔法』という超常黎明期以前のサブカルチャーのような事象を行使できる。

(例:火や水を球体に圧縮し放つ『ボール系』、土や氷を地面からせり上げる『ウォール系』など多種多様。箒を用いた飛行も可能)

 

 ※2 『魔性の女』という意味でも魔女。当人曰く、「個性が発現したら容姿が激変した」とのこと。(これにより異形型個性に指定)

 諸事情により幼少時の写真等がないので比較は出来ないが、女性的に非常に優れた容姿である。長い黒髪は切っても一晩で元に戻るとのこと。

 

 なお、この事で幼少時相当苦労した模様。触れるべからず。

 

 

 ※3『不幸集中体質』《最重要》要検証──検証終了。

雄英高校ヒーロー科教員相澤、校長根津、ほか校外プロヒーロー三名による連名調書作成済

 

 『魔女=不吉の象徴』という非現実的な要素の再現。

 およそ半径一キロメートルの災難が自分に集中してしまう。(本人曰く『個性の制御で相当縮んだ』とのこと)

 一日分の小さく些細な不幸が、寄り集まって大きくなる。回数は最大で一日四回。日によっては危険度の高い事故等に巻き込まれる。

 皮肉にも、これの対処を続けた事で当人の判断力、対応力等が極めて高水準かつ、異常なレベルに至っている。

 

 (不幸例:就寝中、家屋に突っ込む軌道で暴走した大型トラックをふと起きて止めた)

   コメント:根津「ホントだよ! 信じてマジで! 嘘じゃないさ! いやアレホントどうなってるのマジで!?」

 

 

「根津校長のキャラが崩壊している件」

 

「……注目すべきところはそこじゃないぞ山田」

 

「だから本名はらめぇ! って……コイツで個性よりも注目すべきところってーー……あ"?

 

 

 

 

 

 『 特殊養護施設院『月見園』出身。 』

 

 

 職員室に備えられたアナログ時計の秒針が、音を立てること約10回。

 

 

「つ、月見園て……おいおいおいおい! 待て、マジかよおい! ここの出身者をこっちの都合で留年させちまったのかお前!?」

 

「ああ……どー説明したもんかなー。我らが御後輩には」

 

「あ、あー……そっか。彼女の……うっわぁ……御愁傷様、イレイザー。貴方、来年迎えられるかしら……」

 

 




読了ありがとうございました!


Q.境ホラは?
A.原作が鈍器すぎて息抜きしたいんです。書店ハシゴしても一発で見つかる分厚いノベルが見つからないんです……。

ヒロインアンケート改 深く考えずに直感で

  • A組女子
  • B組女子
  • ヒーロー科じゃない女子
  • 前提が違う。天魔がヒロインで皆ヒーロー
  • 八木先生(ネタですヨ?)
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