『魔女とはなにか』
自分の個性『魔女』を自分なりに理解しようとした時に、殊更難解だったのが『自分がどの解釈の魔女なのか』という点。
ぱっと思いつくイメージでは
『黒いローブと、黒いフードor先の曲がったトンガリ帽子』
『箒に乗って空を飛ぶ』
『呪文を唱えて魔法を使う』
という、なんとも頼りない先入観。女性である要素がなくて『魔法使い』でも通用しそうな感じがして余計に『なんで女の一文字組み込ンジャッタノ……?』と鬱になりそうだったので調べました。
そしたらまあ……調べれば調べるほど出てくる出てくる。多いんですよねえ、魔女『的ななにか』。
魔女の前に何かしらの『色』がついたり、『ッ子』と後ろについたり、前後に分けて間に『法少』になったり。ああ、メカメカしいあれこれを付けて砲撃ぶっ放すジャンルもありましたね。
お姫様関係では毒林檎を作った鷲鼻の老婆や、カボチャの馬車とガラスの靴の製作者。
パン屋さんで宅急便や、異界で神様相手の湯屋経営者も有名どころですかね。
悪い魔女も良い魔女も、盛り沢山でした。
なので好きなように解釈して、良い魔女になりましょう。なるべくヒラヒラしてない系で。
調べていく過程で、魔女の歴史にも触れました。
その起源を調べた時には出てきたのは『超自然的な力を、儀式を用いて行使する』という定義文献。悪魔と契約した女ともありましたね。
魔法陣はまだいいですけど……小動物の死体とか人間の頭蓋とか心臓とか、準備段階で
そして、魔女の歴史を語る上で外せないのは、中世あたりのヨーロッパで行われた『魔女狩り』。男女問わず多くの方が犠牲になったようですが、一説には異教徒狩りの建前だとかなんとか。
……ええ。絶対に良い魔女になりましょう。火炙りとかダメです。カボチャのリムジンと超強化ガラスの靴を作れるようにならなくちゃ……!(本気)
では次のお題。
『魔法とは』――なんですが……正直、色々な個性が溢れまくった現代社会で魔法とか言われましても……と、考えていました。
実際 『炎を操る』とか『体を巨大化』や『植物の操作』って、無個性の人から見たら魔法でしかないでしょう?
これもぱっと思いつくイメージでは
『某有名ゲームの多様手段』
『某有名映画の詠唱ありきの多様手段』
『etc』
くらいで……ええ、途中で投げましたよ。多過ぎるんですよ、魔法のイメージ。
それでも個性が発現して、容姿が激変したその時から……自分の中に不思議な力を感じました。ああ、これがMPとか魔力なんだなーって。
……その不思議な力を、どう使えばイインダロー……?
『自分の取扱説明書』をあれほど切望した瞬間はありませんでした。今でも若干欲しいです。
ゲームのようにコントローラーがある訳でもなく、自分の考えたオリジナル呪文とか、唱えた瞬間黒歴史登録待った無しですよ。
親居なくなるとか施設たらい回しとか気にしてる場合じゃねぇんですよ日に4回の不幸乗り切るのに必死なんですよ大型トラック突っ込んでくるのが軽いって言ったら相澤先生にドン引きされました解せませんそろそろ隕石とか来そうでうわこれが田中くんの言ってたフラグってやつですねわかります
――話が微妙に逸れてしまいました。あ、元気にしてますか田中くん。貴方が教えてくれたゲームとか漫画の知識は本当に助かってます。
(命がけ、でしたからねぇ)
毎日待った無しでやってくる不幸。四の五の言ってる暇はなくて。
それ以上に自分の不幸で、周りに迷惑をかけるわけにはいかなくて。
『止まれ』というイメージで、止めたいものへ物凄い突風が向かい風として。
『止まれ』というイメージで、止めたいものの運動エネルギーが真逆に働いて。
『止まれ』というイメージで、止めたいものの周囲の空気を完全に固定した。
思考を早く、イメージを詳細綿密に。より少ない力で、最大の効率を。
科学と化学と数学を叩き込んで。物理と定理と方程式を刻み込んで。
「《エアムーブ》」
周りの空気を操作し固定。ゆったりしたコスチュームは、シルエットだけなら動きやすそうな形に。
そこに――
「《イリュージョン》」
光の屈折率を変化させる。見た目の質感が変わり、市販の安っぽい黒ジャージにしか見えないでしょう。触ったりしなければまずバレないはずです。
「……よし、成功ですね。一週間の即席なら、これで十分でしょう」
改良の余地多数。試験終了後に要考察、と。
……ああ、すみません。『魔法とは』でしたね。
A『自分の中の不思議なエネルギー』をB『イメージ』に流してAB『現象にする』。
ABを大きくしたいなら、AかBの値を大きくする。でもAには『一度に使える量』とそもそもの『限界容量』があるので、基本的にはB……イメージが重要となるわけです。
だから『できない』と、一瞬でも思ってしまったら、何もできなくなる儚い力。
故に、敢えて言いましょう。私の個性は『魔女』。魔法を使う女。
――『できない事は、あんまり無い』
……本当に、なんで女性の要素組み込んじゃったんですかねぇ……?
***
「……あのレベルで服を隠せるなら、顔もそれらしく見せられるだろあいつ」
「あ、指摘しちゃダメよイレイザー。『どう見てもクールビューティーなのにちょっと天然な男の娘』とか超希少なんだからね!?」
「不合理極まりねぇなおい……」
***
『――オーケイ受験リスナー! 本日は俺のご機嫌なライブへようこそ! エブリバディセーイッ? 』
(……失敗したぁ……!)
何やらご機嫌なDJの声が聞こえるが、残念ながら今の天魔はそれどころではない。
プレゼントマイクによる、これから行われる実技試験の説明。いくらサポートとして参加するとは言え天魔は学生。情報漏洩やら機密保持のため、試験の詳細は一切知らされていなかった。
『去年の反省点
……内容を知るためには、当然天魔も説明会に参加する必要がある。受験生全員が未だそれぞれの学生服のままである会場に、一人準備万端のジャージ姿で現れてしまったのだ。
説明が始まるまで、視線が一気に集中したのは言うまでもない。いまでもそこかしこからチラチラと視線が向けられているのである。
――な、なんやあの美人さん。一人だけ画風が他と違うんやけど……!
――そのファスナーをあと10センチでいいから下ろせよおらぁ! 下はスパッツだ絶対にぃ!
――こんだけ視線向けられてるのに態度変わんないとか、超ロックじゃん。ま、まあトータルで完敗だけど、胸なら……!
――雄英女子レベル高ぇと思ってたらボスがいやがった!
(もうやだおうち帰るぅ……)
『(ウッハ、目立ってんなぁ早乙女w)……結構なお手前のシヴィー! だが気にせず実技試験の説明していくぜ! まあ手っ取り早く手元の資料を見な!』
すでに、というよりも大半の受験生がそれを確認していたのだろう。紙をめくる音は殆どしなかった。
『リスナーたちにやってもらうのはぁー……デデン! ヴィランロボを相手にした戦闘試験! 市街地を想定したフィールドに、三種類のヴィランロボが徘徊している。それぞれポイントがあり、撃破したポイントが多かった上位者が合格となるって寸法だ!』
(ん……あれ? これ去年と同じですね。三種類なのにシルエットが四つあるところも……ということは、今年もあの大きいのが出るんですか)
1〜3の有ポイント。数字が大きいと強く、逆に1なら個性なしでもなんとか撃破できるレベル。
そして、0ポイント。相手をするだけ無意味なイレギュラー。マイク的通称『ドッスン』。
――の説明が、メガネの受験生に指摘されて行われる。
……目の前の席から飛び上がるように起立&挙手されて、ちょっとビックリしたのは内緒。
何やら呟いていたらしい注意された暗い緑色の髪の受験生と一緒に心拍を抑えつつ、天魔は去年との差異を探した。
『試験中は基本的に
説明は以上! 各自、自前の運動着に着替え指定された試験会場に移動しろよ! そして最後に……!』
気のせい……ではないだろう。ニヤリと笑ったプレゼントマイクのサングラス越しの視線を、天魔は感じた。
『――挑み行く君達へ。先人の言葉と、我が雄英の『校則』を贈ろう』
かの英雄、ナポレオン=ボナパルトは言った!
声が、叩きつけられる。
――『真の英雄』とは、人生の『不幸』を乗り越えていく者だと!
芯へ、心の底へと。強く、強く。
さあ、難題を超えろ! 夢をその手に掴む第一歩が、今日この時だ!
血が巡り、熱を持つ。
『
息を呑む。体が浮き、自然と前へ傾いた。
――良い受難を――!
***
「……結局、去年との違いってなんなんでしょう……?」
「え? 俺の魂込めたエールだけど」
「……え?」
読了ありがとうございました!
ヒロインアンケート改 深く考えずに直感で
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A組女子
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B組女子
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ヒーロー科じゃない女子
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前提が違う。天魔がヒロインで皆ヒーロー
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八木先生(ネタですヨ?)