魔女のヒーローアカデミア   作:陽紅

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MP37 魔女に導かれた者 後

 

 

 

「……ふ、ふふ……ぐふう。げ、現役のプロヒーローを押さえ込めとか、パンピーオタクに無理難題をおっしゃられ……おや? このオッパイ殿は……」

 

『出せやゴラ!! 解けやオラァ!! お前らタダじゃすまさね……おい待て! 電気消すな! 橙子だろ! 暗闇はダメだっつってんだろいつも! な、なぁおい! 聞こえてんだろ? ……おいマジでやめろって! なあ! わかった! わかったから! もう暴れないから! グスッ、なあってばぁ!』

 

「……この音声を録音すれば、薔薇姉殿にもファンが付きそうでござるなぁ……」

「それでファンが付いても3日で全員いなくなる。……アレの弱点を知って、記憶を保っているのはお前とアタシくらいさ。なんせ、天魔にすら隠し通してるくらいだ」

「MJD?」

「(天魔にだけは、かもしれないがな)……本人いわく、『女の意地』だとさ。格好悪いと思われたくないんだろ」

 

 

 遠く隔てて『出してよぉ……ごめんってばぁ』と弱々しい、幼女のような声が聞こえるが……騙されてはいけない。ここで情けを見せれば、扉を開けた瞬間に『薔薇色の弾丸雨(Rose of Rain)』という名の、彼女が現在所有している全銃器のフルバーストが降り注ぐのだ。

 

 

「で、この娘がどうかしたのか?」

「いやー、あのオッパイ殿の武器なのですが……最近早乙女氏にお貸ししたアニメに酷似したものがありましてな? それでただ単純に気になっただけござるよ。拙者、ボインは守備範囲外でござるので。ツルペタこそ至上にして至高。ただしロリコン、てめぇはダメだ……!」

 

 

 なにかの扉を開いたような容貌と、背後霊的な何かを幻視させる立ち姿になったオタクを視界の外に物理的に飛ばし、人形使いは画面の向こうで激戦を繰り広げる二人の生徒を見る。

 

 

「……まだまだ荒すぎるな。これからの鍛錬次第で光るか腐るか。まあ……光る物が出てきたら、名前くらいは覚えてやるさ」

 

「あ、ちなみに女子は八百万 百で男子は常闇 踏影とぷぎゃあ!? ちょ、拙者は踏まれて喜ぶ特殊性癖はないでござるぞ!? っていうかなんで!? ……言ってる側からストンピングしようとすんなBBA!」

 

 

 踏み付けから逃れようと足の下で足掻いている物体に、気持ちさらに力を込めて汚い悲鳴を上げさせる。

 

 それをBGMに、画面の向こうで白熱し始めた戦いをもう一度眺めた。

 

 

 

(まあ、女の方に切り札が無ければ、男の方の勝ちだな……)

 

 

 技術は拙い。殴り合いなど、きっとしたことがないのだろう。

 体力が無い。本人は隠しているつもりだろうが、疲労も濃く息も荒い。

 

 何より、使う物の練度がダメだ。付け焼刃にも程がある。手甲・脚甲を使った武術を、銃を用いた武術を、彼女は恐らく知っていないのかもしれない。

 

 優勢は常闇。食らいついているのが八百万である。

 

 

 

 だが……逆に言えば、起死回生の切り札、それがあれば女──八百万の方が勝つ。

 

 ……覚える気はまだ無いというのに、覚えてしまった。

 

 

 

「……八百万が勝たなかったら、お前、紅華のところに放り入れるからな」

「MJD? ……え、マジでなんで!? 死亡フラグってか死亡確定案件ですよねそれ!? 拙者別になにもしてないでショ!? ってだからグリグリすんなBBA!」

 

 

 

 

***

 

 

 

 どこか遠くの孤児院で、若干アブノーマルな光景を作り上げている現役の女ヒーローがあげた欠点を、当人は試合前から自覚していた。

 

 以前まで、自分はどちらかと言えば遠距離型……近付かれる前に物量で押し切るのが理想だ、と常々思っていた。個性である創造は確かにあらゆる物を創り上げることができるが、それだって結構な集中力が必要なのだ。ゆえに、近接戦闘で学んだのは防御に重点を置いた棒術くらいなものだ。

 

 

「ふっ……!」

『痛イ!』

「だが、狙いが荒くなってきている……! もう少しだダークシャドウ!」

 

 

 弾丸をダークシャドウと常闇に撃ち込む。ゼロ距離にいるダークシャドウには当たるが、10メートル以上離れている常闇には難なく躱されてしまった。彼に当てるためには、八百万が近付く必要があるのだが、それをダークシャドウが許さない。仮に数歩近付けても、フリーな常闇は簡単に距離を開けることができる。

 

 ……誰がどう見ても、ジリ貧だ。そう時間をかけずに、疲労で八百万が動けなくなるだろう。この状況を打開するためには、確かに一発逆転の切り札が必要だった。

 

 

 

(切り札は、ある……ありますのに……! 誤算──いえ、こんな基本的な事を忘れるなんて……っ)

 

 

 切り札は、ある。二つの手順を成功させる必要があるが、それでも、常闇とダークシャドウを追い詰める切り札が。しかし……。

 

 

(……なんて迂闊っ、重量の考慮を怠るなんて!)

 

 

 両手の──仮に手甲銃と呼称するが、これが、なかなかに重いのだ。

 

 片方で3.75kg。(弾丸と火薬は含まれていない)一般的なアサルトライフルがおよそ4kg(※)として、それを両手に括り付けて使っているようなものだ。しかも、普通の銃なら両腕と全身で射撃の反動を抑えるのに対し、彼女の場合は片腕である。その上で強力な攻撃の防御にも腕を使っているため……疲労が加速度的に蓄積して当然だった。

  (※ 素人調べにつき、多少の誤差はご了承ください)

 

 

(タイミングを待つ? それとも、一か八かの賭けに……!?)

 

 

 長くは持たない、そう判断した直後だった。

 

 

 常闇とダークシャドウ、そして八百万の立ち位置。常闇とは距離はあるが、二人の間に八百万が入る形。

 そして、ダークシャドウの攻撃。『やりすぎないように』と無意識に手加減しているからか、威力はあっても単調になりやすい。……待っていたのは、横へ大振りの薙ぎ払い。

 

 

(来ましたわっ)

 

 

 両腕でなければ受け流すこともできなかった一撃を、片腕の手甲で受け、全神経を集中させて受け流す。肘や肩に激痛が走り、衝撃が全身を巡るが──

 

 

「……ここっ!」

 

 

 飛ぶ。自身の脚力にダークシャドウの攻撃を合わせ、反対方向……目を見開いた、常闇へ──!

 

 残した片腕は、自由に動く。それは、すぐにでも撃ち出せる様に構えに入っていた。

 

 

 

(……ここで、俺を狙う……? 決定打としてはまだ──否、違うッ八百万の狙いは……!)

「ダークシャドウ! 気を付けろ!」

 

『ワカッテル! ()()はやらせねぇゾ!』

「ち、違うダークシャドウ! 八百万の狙いは……!」

 

 

 意思の疎通……いや、この場合はダークシャドウの経験の浅さだろう。それが、浮き彫りになり、かつ致命的なものになった。

 

 八百万は飛びながら、視線を常闇へと向けたまま……構えたまま肘を真っ直ぐ伸ばし、胸を反らす。すると当然その拳は後ろへ、背後に迫るダークシャドウへと向けられた。

 

 

 呆然としたダークシャドウの表情(真ん丸になった目くらいでしか判断できないが)。そして、おそらく間の抜けた声を発したのだろうが……その声は、特大の()()()にかき消されてしまった。

 

 

 

  「あ、あれってもしかしてかっつあ!? ちょ、かっちゃん! 頭蹴らないでよぉ!」

 

  「うるせぇぞ足置きナード。……はっ、いい度胸してんじゃねぇかポニテ女ぁ……!」

 

 

 

 弾丸は出ない。ただ大量の火薬を起爆させただけ。爆音が響き、閃光がダークシャドウを弱らせ……そして衝撃が、ダークシャドウと八百万を吹き飛ばした。

 

 知っている者が見れば、それは『爆速ターボ』という、とある少年の移動手段の模倣だとわかるだろう。

 

 

「ヅッ!? ぅっ、あああ!!」

 

 

 細い肩へ経験したことのない衝撃が襲いかかる。異音とともに激痛が走り、目に涙が浮かぶが……今まで上げたこともない裂帛と、抱いたこともない気合いでねじ伏せた。

 

 

 加速。

 

 ──自分の脚力と、ダークシャドウの攻撃で飛んだ体。さらに爆発で弾丸のように常闇へと迫り、何を挟む間も無く、再び爆発と共に着弾した。

 

 

 

『りょ、両者激突ー! 白熱したバトルから一転、八百万が一気に攻めたぁ!! せ、攻めたけどこれ、二人とも大丈夫か!?』

 

『──いい判断だ。八百万は正直ジリ貧だった。あの武装の発想は良かったが、実戦で使うにはまだ練度が浅い。戦闘力で劣っている以上、八百万が常闇に勝つためには、どこかで賭けに出る必要があったが……』

 

 

 実況が叫び、解説が言葉の最後を呑み込む。会場全体が固唾を呑んで見守る中、爆炎と砂塵が晴れていき……倒れる常闇の喉元に拳、銃口を突きつけている八百万が現れた。

 

 

 どよめきが走る──八百万の左腕が、ダラリと下がっていた。外れているか……加速に用いた爆発の威力も考えれば、折れていてもおかしくはない。

 激痛に顔を歪めながらも……しかし突きつけた拳は、震えてすらいなかった。

 

 

 

 

 

「……随分と、危険なマネをしたな。あれだけの爆発、自分を巻き込んでいてもおかしくはなかっただろう」

 

「っ、危険は、ありましたが、十分対策はしましたわ。爆発の直前に、体の背面に大量の水分を創りましたし、それに、このジャージの下は、耐爆繊維ですの、よ?」

 

 

 八百万は満身創痍だ。常闇も最後にダメージを受けたが、ボロボロの彼女と比べれば軽傷ですらない。

 ……戦いを続けようと思えば、十分可能である。審判による勝敗宣言もされてなければ、場外に出たわけでもない。戦闘続行しても問題はないのだが──……それはあまりにも、無粋が過ぎる。

 

 

 

 

「……見事。俺の負け──……いや、お前の勝ちだ。八百万」

 

『──常闇くんギブアップ! よって勝者、八百万さん!!』

 

 

 ミッドナイトのどこか急いだような勝敗宣言に大歓声が炸裂する。両者の健闘もそうだが、なにより可憐な少女が見せた、勝利への信念に触発されたのだろう。

 

 だが、八百万はそれに答える余裕がない。緊張状態から解放された反動か、肩から来る激痛に顔を歪め、そのまま後ろに崩れていった。

 その体を、丁度戻ってきたダークシャドウが受け止める。痛むだろう肩に触らないように、しかし硬い地面に降ろさないように……オロオロとどこへ運べば良いのかと周囲を見渡していた。

 

 

(お互い、課題は多いようだな。今回は我らの負けだが──次は、勝たせてもらうぞ)

 

 

 悔しさも次への熱もある。……だがまずは、ダークシャドウと共に、勝者である少女を医務室まで運ぶとしよう。リカバリーガールがいるはずだが、きっと、心配性の魔女に道中で出会(でくわ)すはずだ。

 

 

 

『YaaaHaaa! Please more Clap Your Hands(さらなる盛大な拍手を)!! 熱く! 若く! しかし清廉に! 我が校の自慢の生徒たちへ、盛大な喝采を! なんかもう決勝戦ばりに盛り上がっちゃったぜ、俺!』

 

『……まあ、荒削りながらいい試合だったよ。これからも、大いに切磋琢磨してくれ』

 

 

 

***

 

 

 

「──さて、と。悪いがマイク、少し席を外すぞ」

 

「ん? そりゃあ構わねぇけど……なんかあったか?」

 

 

 トイレか、とも思ったが……わざわざ放送のスイッチを切った上、半強制連行してきたマイクに断りを入れるだろうかと、思い直す。

 

 問われた本人は、長い付き合いであるマイクですら数える程しか見たことがない、稀に見る柔らかい方の苦笑を浮かべていた。

 

 

「『教師の役割』を果たしにいくだけだ。こればっかりは、流石にアイツに持っていかれるのは御免だからな」

 

 

 

***

 

 

 

 常闇は予想していた。救護室までの道中のどこかで天魔が待機しているだろう、と。

 

 

(間違ってはいなかったが、まさか、入場口の影で待っていたとは……)

 

 

 これは推測だが、恐らく勝敗宣言の時点で駆けつけたかったのだろう。しかし、流石に自重したらしい。

 

 ダークシャドウに抱え方を変えさせ、そのまま何やら光を翳して診断……結果、骨にヒビが三つほどあったらしい。結構重傷だった。

 

 

「早乙女、大丈夫なのか? 八百万は……」

 

「怪我の治療は大丈夫なのですが……この場合、怪我の処置が問題です。リカバリーガールに治療してもらえば、この怪我ですと相当消耗してしまいます。今の八百万さんの疲労度と考慮すると、次の試合は正直厳しいでしょうね」

 

 

 それは……と常闇は口をつぐむ。彼女は自分に勝ったのだから、行けるところまで勝ち進んでほしいという思いがある。

 

 そして、その問題もものともしない解決方法がある。──あるのに、それを八百万が拒んでいるのだ。

 

 

 

「──だから、私に治療させてもらえませんか? というかさせて下さい今すぐに!」

「で、ですからこれは私自身のミスですのでっ! いっ!? リカバリーガール先生の治療を受けて乗り越えるべきで、つあ……!」

 

 

 これである。

 

 ……きっと、お互いに譲れない意地があるのだろうが、ひどく不毛であった。

 

 

「アタシとしても、天魔(この子)の治療を受けることを勧めるよ。医療知識と経験こそ年の功でアタシがまだ勝ってるが、それ以外はこの子にもう完敗さ。ただでさえアンタの個性は作るのに脂質を消費するんだ。消耗は避けるべきだと思うんだがね?」

 

「で、ですが……!」

 

 

 養護教諭であるリカバリーガールに諭されても、それでもなお粘る。現状第三者である常闇も流石に我が過ぎると内心で顔を顰めるが……他の生徒ならまだしも、八百万がこうも頑なになるだろうか。何よりも、頑なになる理由さえ彼女は語ろうとしない。

 

 

 

 

「──……はあ、やっぱりな」

「む、相澤先生。何故ここに……」

 

「担当しているクラスの生徒から怪我人が出たんだ。普通は来るだろ? 常闇、ここはいいから席に戻れ。

 ……お前の課題は、お前自身のフィジカル増強とダークシャドウの経験だ。それを高めるだけで大きく前に進める。対応力の幅を広げるためにも、励めよ?」

「(ここは任せろ、ということか)──御意」

 

 

 常闇を見送り、扉が閉まるのを見届け……相澤は二対一で話し合う中へ割り込んでいく。

 

 合理主義者の相澤が来た。痛みを我慢しながらも、その事実に顔を俯かせる。だが……。

 

 

 

 

 

「──お願いします、リカバリーガール。()()()()()で、八百万の治療をしてやってください」

 

 

 

 

 その相澤が腰から深く、リカバリーガールへと頭を下げた。

 

 

「「相澤先生!?」」

 

「……らしくないね。イレイザーヘッド。合理主義者のアンタが、随分と非合理的じゃないさ。

 

 アタシに『最適な治療があるのにそれをするな』……と言うのかい?」

 

 

 空気が変わる。いや、重くなる。それを成しているのがリカバリーガールであり、それに抗っているのが相澤だ。

 ……体を強張らせた八百万が肩を抑えたの見て、その空気はすぐに霧散したが、非難するような視線はそのまま担任へと向けられ続けている。天魔の何故、という視線もそこに含まれていた。

 

 

「非合理的であることも、二人の信念・信条を踏みにじる頼みであることも重々承知しています。ですが、いまはこれこそが、今の八百万には必要なことです。

 ……彼女は早乙女の言葉で新しい道を見つけ、進み出しました。本来ならば『どこまでやれるのか』とその背を押すため万全のバックアップを施すべきなのでしょうが……今はまだ、その時ではないと俺は思います。彼女が早乙女の治療を望んだなら何も言いませんが、そうでないのなら、今だけは彼女の要望通りにしてもらえないでしょうか」

 

 

 

 二人に口を挟ませずそこまで言い切り、相澤は頭を上げ、今度は八百万を見た。

 

 

「ここまで言ったが……正直、俺も『さっさと早乙女の治療を受けろ馬鹿』と、頭に一発入れてやりたいくらいだが……意地が、あるんだろ?」

 

「は、はい!」

 

「なら、相当な不利を覚悟しろ。リカバリーガールの個性による骨の治療は、かなり体力が持っていかれる。十中八九、二回戦敗退……最悪出ることも難しい。それでもいいんだな?」

 

「……はい。それでも、ですわ」

 

 

 揺るがない。揺るがせない。それを理解した深いため息。それは、リカバリーガールのものだ。

 

 

 

「はあ……しょうがないね。わかった。アタシがやろう。これ以上問答して、痛みを我慢させるのもかわいそうさね。天魔もいいね? 患者の意思が最優先さ。

 ──ただ、今回だけだよ? そして、忘れないどくれ。アンタらがやったことはね、医療に携わる者全員の努力を馬鹿にしてる行為だってことを。さ、治療しようかね上着を脱いで、背中をこっちに向けとくれ」

 

「は、はい!」

 

 

 

「おい待て八百万! 俺がいるのに脱ぎ出すな……!」

「『達』が抜けてます相澤先生! ワザとで……あ、あれ? ワザとじゃない? あの、扉閉めないでください私がまだ出てませ……!」

 

 

 おもむろにジャージの上を脱ぎ、そのまま下の体操服まで躊躇いなく脱ごうとする八百万に、慌てて男たちはバタバタと救護室を出ていく。

 

 

(あの子が拗ねるから言わないが、やっぱり違和感があるねぇ。難儀な子だよ、ホント……おや?)

 

 

 服をたくし上げ、細いウエスト周りを晒した状態で停止している八百万。ポカンとしているが、痛みで止まっているわけではなさそうだが。

 

 

「あの……リカバリーガール先生? 何故早乙女さんまで……?」

「不憫な子だよホント。アンタ、本人の前で言うんじゃないよ? 絶対言うんじゃないよ? 振りじゃないからね? おばあちゃんとの約束だよ?

 あと乙女がおいそれと脱ぐんじゃないよ。お嫁に行けなくなったらどうすんだい!」

 

「お嫁……はっ、そ、そういえば私早乙女さんに公衆の面前であんな辱めを……こ、これは、私が責任を取って早乙女さんを娶るべきでは……!」

 

「娶るな。性別考え……うん? あれ、合っとる?

 ──え? 嫁さん候補がここで出てくんの? こんな形で出てくんの? いやアタシも孫みたいに思って「ひ孫見たいねぇ」ってズレた事思ったこたぁあるよ確かに。……行けるかいこれ? 可能性出てきた?」

 

 

 

 きっかり、三十秒。

 

 患者も医者も、治療そっちのけで血迷っていたそうな。

 

 

 

***

 

 

 

──ズガガガガ!!

 

「か、掠ったぁ! 壁貫通してきた流れ弾掠ったでござるよいまぁ!? っていうか今のは『薔薇色の弾丸雨(Rose of Rain)』!? なんで必殺技ブッパしてんのあのプロヒーロー!?」

 

「…………」

 

「あ、あれ? こっちもこっちで決戦兵装の『終幕の人形姉妹(ラストダンス・ドールズ)』を四姉妹全員出していらっしゃる? え? これ拙者一人で止めるの ? 一人で軽く軍隊相手にできるBBAを二人同時に? SNMG(それ何て無理ゲー)?」

 

「「あ"あ"?」」

 

「──よし。上手く殺意がこちらに向いたでござるぞ。次回『田中君、死す!』乞うご期待!

 

 

 ……さて。これ、どこに逃げ込めば助かるのでござろう。警察署とか近くにあったっけ……」

 

 

 

 




読了ありがとうございました!

八百万さんの武装ですが、『RWBY』というアニメの武器をイメージしています。現在は試作段階ですが、ゆくゆくは……という感じです。感想欄で正解された方がいらっしゃったのでここでご紹介させていただきました。今後も八百万さん経由で色々出てくるかもしれません。
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