魔女のヒーローアカデミア   作:陽紅

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見た目的には同性だけどちゃんと異性恋愛。
見た目的には異性恋愛だけど実は同性恋愛。

これタグ増やすべきデスカネ?(血迷)


MP4 誤解が歪んでそのままで

 

 

 雄英高校。無数にある施設の中、その本棟のある一室からゾンビさながらのうめき声が聞こえてくる。

 

 その一室とは所謂『保健室』であり、うめき声の発生源はいくつかあるベッドからだった。

 

 

「便利で強そうなこと出来ると思ったらデメリット……アンタの個性って、ホントに所々で難儀だねぇ」

 

「ぶっつけ本番でやるからだ。これに懲りたら、少しは自重しろ」

 

「わ、わかりましあぅううう……」

 

 

 後頭部に氷枕。額にはどデカイ氷嚢が乗せられ――大きすぎて氷嚢がヘルメットのようになっていた。

 このゾンビこそ、先ほどまで行われていた実技試験で相当活躍した留年生、早乙女 天魔である。

 

 

「この子の治癒魔法で頭痛は治せるはずなんだけど……頭痛でイメージが阻害されて魔法自体が使えない、と。弱点発見かねこりゃ」

 

「これが弱点なら俺はむしろ羨ましいですね。表面化するのは自分の不注意のみ……わかったか。早乙女」

 

「わ、わかりましたってばあああああ……」

 

 

 問題だったのは『分身』。十数人に分かれた彼は試験終了後なんとか一人に戻り……そのまま、頭を抱えて倒れたのだ。

 

 原因は、十数人分の三十分間の記憶が、一気に流れ込んできたことによる脳のオーバーヒート。分身している間に魔法使用回数は多いと一人数十回。イメージした記憶も当然残っているため、脳への負荷が凄まじいものになったらしい。

 

 ……回復系の魔法はイメージも難しく(失敗したら怖いので念入りにしているらしい)、分身状態で乱発したために現在この状況になったようだ。

 

 とりあえず命に別状はなし、知恵熱の重症版というだけで、一日寝れば回復するとのリカバリーガールのお墨付きを貰い、相澤は保健室を後にした。

 

 

 

 

「はあ……ったく、いらん心配を――」

「素直じゃないね相澤くん!」

 

 

 突然至近距離から声をかけられた相澤の肩がビクリと跳ねる。発声源は手を伸ばせば届く距離。横、というよりも下に近い急角度から。

 

 

「……何度も言いますが、気配を殺して近づかないでください。根津校長」

 

「やあ! 今日も毛並みのキューティクルは万全な校長先生さ!

 ……早乙女くんが倒れたって聞いたけど、その様子だと問題ないみたいだね」

 

「はい。ですが、『いろいろできるようになった』ってのも考えものです。やってみたら出来たを検証せずに実践するなんて、不合理どころか危険ですらある。

 ……まあその辺は、今回の件でアイツも身に染みたでしょうが」

 

 

 回復したら念の為一応釘を刺しておこうと決める。

 

 そして――もうすぐ一年か、と相澤は内心で呟いた。

 

 

 天魔が雄英に入学し、学校側の都合で留年とされ、八ヶ月。

 あと二、三週間せずに、新年度が始まる。

 

 

「――校長。改めて早乙女の件、ありがとうございました」

 

「お礼を言われるような事は何一つしていないさ! いや、むしろボクが……雄英高校が君にお礼と謝罪をしなければいけないよ」

 

 

 

 長い廊下を2人は並んで歩く。交わすその声はかなり小さく、二人の距離でもギリギリ聞き取れるレベルだ。

 

 

「先に提案したのは俺です。だから、どちらも必要はありませんよ」

 

「ボク個人分だけは、できれば受け取ってほしいんだけどね。

 ……彼の個性は確かに万能かつ強力だ。万能性だけなら、雄英高校創立から顧みても、最上位だろう。

 

 だけど、あのデメリットが大き過ぎるよ」

 

 

 何かを思い出したのか、根津はブルリと身を震わせ、少し逆立った毛を撫で付けた。

 

 

「『一日四回の不幸』――小さなものなら問題はない。でも、個性を使わないとどうしようもない事故や害意に対して、公的な個性の使用が禁じられている現代社会では、彼はあまりにも無力だ。

 ――身を守るために個性を使って、それが『個性の無断使用』で犯罪者扱いなんて、いくらなんでも酷過ぎる」

 

 

 根津が体験した大型トラックが突っ込んでくる件を後々天魔に聞いたら、『慣れました』と軽く返ってきた。

 

 ……慣れるほどによくあることなのか、それとも、その程度と思えるほどに大きなモノに晒されてきたのか。

 

 そんなことが、日に四度もあるのかと。

 

 

 

 その事実を前に、根津は一人の教育者として、早乙女 天魔という一人の生徒を守らねばと奮起した。

 

 幸いにも、雄英高校の敷地内であれば個性の使用はできるし、周囲の不幸を集めるという習性も最小限に抑えられる。

 

 在学中に彼をヒーローとして育て、公的な使用ができるようになれば――と、自らの個性『ハイスペック』を用いた綿密なプランを立てていき……

 

 

 

 『圧倒的に時間が足りない』という、現実の壁に阻まれてしまった。

 

 

 

 ヒーロー科は、言ってしまえば職業系の専門校である。だが、当然一般高校生としての勉学も学ばなければならない。最新の設備があったとしても、それを使う時間が無ければ意味がない。

 

 

 当然『他のヒーロー科の学生も同じ条件じゃないか』と反論されるだろう。三年という時間は等しく平等であり、その間に多くの生徒が仮免や本免に受かって取っているではないか、と。

 

 

 

 だが――ここで、天魔の個性の万能性が『アダ』となってしまう。

 

 出来ることが多い、それは事実だろう。だが、出来るようになった全てを持ち腐れさせることなく熟させることは、大変難しい上に時間がかかるのだ。

 

 一つのことを十進めるには、純粋に十という労力で済むだろう。だが、十のことを十進めるには、百という労力が必要になってくる。

 

 

 ――三年間。学業と並行しての片手間では、仮免も難しいだろう、と。

 

 

 

「でも流石に、一学期の期末試験を前に十九人を除籍しちゃうとは思わなかったのさ!」

 

「彼らにはヒーローとして見出せるものがなかったもので」

 

 

 

 そんな折、一人を残して全員の除籍処分をしたという報告。しかも、それをした担任が残った一人をマンツーマンで教授したいという嘆願。

 

 根津はこれを聞いて、すぐに閃いた。

 

 

「……今からでも、早乙女くんに言った方がいいんじゃないかい? 彼の留年を決めたのは、相澤くんじゃなくてボクだという事を」

 

「今更ですよ。それに、校長が、というよりも、教師の一人である俺が、の方が雄英高校の社会的なダメージが少ないでしょう。それに減俸の件も、正直嘆願が通れば半額は覚悟してたんですが、少なく済んで拍子抜けたくらいです」

 

 

 

 と、少し皮肉げに笑う相澤に苦笑を返す。

 

 留年してしまったことで生まれる時間。学業との並行ではなく、純粋に個性を高め磨ける黄金の八ヶ月。それを最新の設備と、名門校のヒーロー教師陣営による最大限のバックアップが支え導いた。

 

 

 その集大成が、先の実技試験だ。

 

 

 危なげなく空を翔けて現場に急行。状況に応じた魔法を、彼は瞬時に判断・行使できるようになった。最後の最後で欠点こそ残したもの、改善すれば、あの分身も凄まじい武器になることは間違いない。

 

 

 

「彼の今後が楽しみだね。相澤くん」

 

「……まあ、否定はしませんよ」

 

 

 本当に素直じゃないなぁと、改めて苦笑を浮かべる校長先生だった。

 

 

 

 

***

 

 

「さあ! 急いで戻ろうか! 実技試験の集計がまだ全然終わってないからね!」

 

「……集計に使ってる会議室からもゾンビみたいな声が聞こえるんですが」

 

「一万人超えてるからね! オールマイトも巻き込んで今夜は徹夜さ!」

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 雄英高校の入試試験が終わって数日。僕は多分……いや、確実に落ちているだろう。

 

 筆記試験の自己採点は十分合格圏内に入っていたけど、問題は実技試験。取れたポイントは、0。

 最後の最後で発動したワンフォーオールで殴り飛ばした大型のヴィランロボは妨害用の0ポイントだから……多分、そういうことだと思う。

 

 試験の後、オールマイトからの連絡は途絶えたまま。あまりの不甲斐なさに「見放されたのかも」と過ったけど、不思議と不安はなかった。

 

 

「――すごい、人だったな」

 

 

 ヒーローに憧れてから、ずっと書き続けたヒーローノート。そこに、新しい一ページが出来た。

 ヒーロー名のところは空白で、姿絵もまだで……というか殆ど空白なんだけど……そのページは、予約みたいな感じで残すつもりなんだ。

 

 

 実技試験の直前。ガチガチに緊張していた僕は、彼女のなんらかの個性で緊張を解してもらえた。今思い返すと、一滴からどこまでも広がっていく波紋。そんなイメージが脳裏に焼き付いてる。

 

 そして次は、試験終了直後。

 ……跳び上がった反動で両足を、殴り付けた反動で右腕を、もうグシャグシャって言っていいくらいボキボキにして、1ポイントも取れなかったことに呆然としている僕の側にフワリと降りてきて……両足右腕をあっという間に治してしまった。

 

 

「――雄英高校の保健の先生にリカバリーガールが就いてるって聞いたことはあるけどかなりの高齢だから絶対違うというより同じ受験生だもんなでもあの治癒力は体験したからこそわかるけど凄いの一言で済ませていいレベルじゃない同い年であれだけの個性を冷静に使えるなんてよっぽど訓練をしたに違いないあれでも待てよあの人空を飛んで来たよねだとしたら『高い治癒能力』と『飛行能力』がある?一体どんな個性なんだろういずれにしても凄い個性だ――……」

 

 

 

 

 

――しばらくお待ちください――

 

 

 

 

 何故か気が付いたら30分くらい経ってた。

 

 しかも、開いたノートの左側……姿絵を描くはずのページには絵が描かれている。

 

 ――あの時俯く僕に、あの人が見せてくれた笑顔で……。

 

 

 

 ――悔しいかもしれません。歯痒いかもしれません。でも今は、胸を張って誇ってください。

 ――助けた貴方がそれだと、貴方の行動で助かった女の子が悲しんでしまいますよ?

 

 

 

 頭部の前面が大きく凹み、衝撃で頭部全体に歪みや亀裂が走っている0ポイントロボの成れの果て。

 

 

 でも、僕の成果はそれだけじゃない。

 

 未熟で、誰よりも遅れていて、全然追いつけないけれど……一人の女の子を、助けることができたんだって。

 

 

 ――格好良かったですよ。貴方はこの場の――いえ、今日ここに集まった誰よりも、ヒーローでした。

 

 

 

「あの人の名前……聞いておけばよかったかな」

 

 

 

 右手を見る。俯く僕に差し伸べられた手は――何だっけ……あ、そう、白魚のようで。でも触ると小さな細かい傷がいっぱいで。

 

 雄英高校に落ちてしまったことは……その、とてもショックだけど。ヒーローへの道が閉ざされたわけじゃない。

 憧れ続けたオールマイトに『ヒーローになれる』と認めて貰えた。偉大なヒーローの後継として、ワンフォーオールという大きな力を預けてもらえた。

 

 

 なら、こんな所で諦めるわけにはいかない。

 

 誰もが認める最高のヒーローになりたい……いや、なるんだ。誰もが認める、最高のヒーローに。

 

 

 そしてできれば……あの人が僕にしてくれたように、誰かに手を差し伸べられる、優しいヒーローに。

 

 

 

 

 ――緑谷 出久がそんな覚悟を決めて。その覚悟を、良い意味で無駄にしてくれる郵便物が届いたのは、その一時間後だったそうな。

 




読了ありがとうございました!

ーー爆弾セット!

ヒロインアンケート改 深く考えずに直感で

  • A組女子
  • B組女子
  • ヒーロー科じゃない女子
  • 前提が違う。天魔がヒロインで皆ヒーロー
  • 八木先生(ネタですヨ?)
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