TS転生しちゃったけど、俺は絶対にメス堕ちしない。   作:棺祀師

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行けっ!最新話!
ちなみに焦って書いたんで今回も出来は良くないです!!(前置き)


4話 : 幽霊を見ちゃったけど、俺は絶対に呪われない。

 枕元に置いてある、目覚ましの音で目が覚めた。どうにも昨夜は寝付けなかった。夜ご飯を食べなかったって言うのもあるけど、やっぱり昨日の出来事を引きずってしまっているらしい。

 時計が示す時刻は6時。それからたっぷり15分程かけてベッドから這い出、うーうー言いながらなんとか立ち上がり部屋を出る。壁に手を付け、寝ぼけ眼を擦りながらお風呂まで直行。適当に服を脱ぎ捨てシャワーを浴びる。

 温かいお湯を浴びるにつれ、だんだんと目が覚めてくる。 

 

 冷静になって考えてみると、昨日の俺はあまりにも不自然だったなぁ。

 別にあの姿で士道の前に出ただけで、それ以外は特に何かした訳ではないし、そもそも変身中は見た目も変わる。バレる要素なんて殆どない。気にする必要はない!

 そう自分に言い聞かせる。

 でも……

 

 「……気まずいなぁ。」

 

 俺の呟きは、流れる水の音でかき消された。

 

 

———————————

 

 

 シャワーを浴びた後、リビングでボーッとテレビを眺めていたが、士道と会うのが気まずかった俺は、結局彼とは顔を合わせる事なく一人で家を出てきてしまった。どうせ学校でも会うだろうに、なんとも虚しい抵抗である。

 

 初めてこんな早い時間に登校するなぁ、と考えながら昇降口を通る。ホームルーム開始時間よりそこそこ前の廊下は、教室は、まだあまり人が居らず閑散としていた。

 コツリコツリと、俺の上履きが床を叩く音だけが辺りに響く。いつも時間ギリギリに来る俺だが、実はこの雰囲気は好きだったりする。これが夜だったらめちゃくちゃ怖いんだろうけど。幽霊とか出そうなイメージ。例えばこの曲がり角を曲がった先に幽霊が出てきたり。

 

 「ひっ……」

 

 居た。倒れてた。

 思わず間抜けな声が出る。白衣を着た女の人が廊下のど真ん中で、うつ伏せに倒れていたのだ。

 お、落ち着け。今は朝だし幽霊じゃない……はず。足はあるか?

 そそっと回り込み足を確認。良かった、ちゃんとついてた。人間だ。大丈夫。

 えーっと、人間なら声をかけるべきだよな……。

 

 「あの、だ、大丈夫ですか?」

 

 恐る恐る俺がそう尋ねると、彼女はおもむろに起き上がった。

 

 「……すまない。少し寝不足でね。」

 

 長い前髪に、その隙間から見える眼鏡、目元の分厚い隈。彼女には失礼だが、さながらホラー映画に出てくる悪霊の類いだ。再び間抜けな声が出そうになるが堪える。しかしキュゥと喉の奥から変な音が出た。

 こんな人、うちの学校で見た事がない。教員なら始業式にも居たはずだし、まさか、不審者?

 体に怖気が走る。思わず後ずさる。

 

 「驚かせてしまったようだね。私は今日からここで教員として世話になる、村雨令音だ。」

 

 彼女は俺の様子を見てなのか、そう自己紹介を始めた。

 

 「そ、そうなんですね。てっきり不審者かと。」

 

 「まあ、無理もない。これから宜しく頼むよ。」

 

 「こちらこそよろしくお願いします。あっ、王ノ輪廻っていいます。」

 

 「知ってるいるよ。」

 

 もう生徒のことを把握しているのか、見かけによらずとてもいい先生なのかもしれない。

 先生は、「それに、」と言葉を続けた。

 

 「君には少しばかり興味があってね。」

 

 「は、い?えっと……」

 

 「君は一体、何者なんだ?」

 

 突然どうしたのだろうか。これは心理テストか何かか?見た目的に保健の先生っぽいし。

 

 「えーっと、ただの居候?」

 

 「ふむ、居候。言い得て妙だね。」

 

 言い得て妙というか、そのままの意味なんですけど。

 

 「そうだね、一つ忠告をしておこうか。君が居候しているその家だが、家主は相当お怒りなようだ。精々気をつけたまえ。……そろそろ職員会議の時間だから、私は行くよ。」

 

 どういうことですか。

 聞き返す前に彼女は職員室の方へと向かってしまった。

 家主って士道のことだよね。やっぱり怒ってるかぁ。昨日も先に士道を置いて帰っちゃったって思われてるのかな……。

 

 

 結局その後俺はダラダラと授業を受けた。何度か士道と目が合ったが、気まずくてその度に目を逸らしてしまった。話をした方がいいとは思っているのだがいかんせん足が動かない。放課後になってもそれは相変わらずで、俺は机に突っ伏して悩んでいた。

 ちらと士道の様子を見てみるが、彼もどこか上の空と言った感じだった。そんな士道にずかずかと近づいて行く女が一人。もちろん俺などではなくて、昨日あの場所に居た白髪の少女鳶一折紙だ。

 

 「来て。」

 

 彼女はそう言うなり、士道の手を掴み無理矢理教室の外へと連れ出して行く。その光景を目にしていたクラスの女子達はキャーキャーと色めき立ち、「あの2人って付き合ってるの?」なんて会話まで聞こえてくる始末。なるほどなるほど。確かにあの光景はまるでカップルの逢引きの様な……

 

 「なぁっ!?」

 

 驚きのあまり思わず立ち上がってしまい、あの2人に引き続き俺まで注目を集めてしまう。

 っていうか、あの2人って"そういう"関係だったの!?昨日シェルターに入らず外に出て行ったのも、先に出て行った折紙を追いかけて!?いやでも今まで士道はそんな素振り見せなかったし……!隠してたって可能性もあるのか?確かに家族にそう言った話をするのは恥ずかしいってのは分かる。分かるけど隠す事はないじゃんか!!それにあの女!よくも士道を誑かしやがったな!!こんな公衆の面前で!!

 

 「おい、そんな怖い顔すんなって。」

 

 俺が思考に耽っていると背後から突然そう言われた。振り返ると、殿町が苦笑しながら俺の方に近づいて来ていた。

 

 「怖い顔……?」

 

 「もしかして自覚なかったのか?相当ヤバい顔してたぞ。」

 

 確かに彼の言うように、少し顔が強張ってしまっていたかも知れない。俺は頬に手を当てながら顔の力を抜いて行く。

 

 「ご、ごめんね。つい。」

 

 「まあ浮気現場を目撃しちまったんだ。そうなるのも仕方ないな。」

 

 「浮気って、別に士道とはそういう関係じゃないから!」

 

 「じゃあこのままあいつらの蛮行を止めずにいるってのか?」

 

 「それは……」

 

 「ったく、ほら、今ならまだ間に合うさ。行った行った。」

 

 「う、うん。」

 

 俺は殿町に背中を押され、おずおずといった感じで2人の後を追い始めた。

 2人は相変わらず手を繋いだ(様に見えるだけ)まま、屋上へ繋がる階段を上って行った。屋上は施錠されているが、そのおかげか扉の前の踊り場には人は全く来ない。逢引きにはもってこいの場所だ。

 忍び足で、2人の会話が聞けるよう階段を上っていく。

 

 「な、なあ……鳶一。昨日のあの女の子達って……。」

 

 少し上ったところで、士道の声が聞こえてきた。

 

 「あれは、精霊。」

 

 2人の会話の内容は、カップルの話題としては似つかわしくない昨日の出来事に関してだった。浮ついていた気持ちが、一気に落ち着きを取り戻していく。

 精霊とはおそらく、俺達のような化け物の事を指すのだろう。

 

 「私が倒さなければならないもの」

 

 「っ、そ、その精霊ってのは、悪い奴なのか……?」

 

 士道は昨日のあの惨状を目の当たりにしてもなお、悪い奴、とは断定していないらしい。一歩間違っていたら自分も死んでいたのかもしれないのに。

 もしかしたら彼なら、俺の正体を知っても家族のままでいてくれるのでは。なんて幻想を抱いてしまいそうになる。

 

 「——私の両親は5年前、精霊のせいで死んだ。」

 

 折紙が抑揚のない声で呟いたその言葉で、現実を叩きつけられた。冷たい刃物を突き刺されたかのように、全身からさーっと血の気が引いていく。2人の会話はもう、耳には入ってこなかった。

 その出来事に心当たりはない。きっと、昨日の様に別の精霊が起こした事なのだろう。でも、"精霊"がやった事なのだ。被害者(折紙)から見たら俺もその別の精霊も変わらない。等しく悪であり敵。

 これを聞いた士道はなんと思うだろうか。精霊に対して、まだ手を差し伸べようとしてくれるのか、それとも……。

 

 

 

 「王ノ輪 廻。」

 

 いつの間にか話は終わっていたようで、俺の目の前には折紙が立っていた。

 

 「あっ、えっと……」

 

 「今ここで聞いた事は、誰にも口外しないで。」

 

 「ごめんね?盗み聞きするつもりはなかったんだけど……」

 

 盗み聞きしていたのもバレていたらしい。感情の起伏のない彼女が怒っているか否か分からないが、俺はそう取り繕う。

 この感じだと彼女にも俺の正体はバレてないと思っていいだろう。気づいていてもなおという可能性はあるが、ここで泳がせておくメリットもない筈だ。  

 

 「口外しないのなら別に構わない。」

 

 「絶っ対誰にも言わないから!ごめんね!」

 

 「あれ?廻、か?なんでここに……。」

 

 俺達の会話を聞いて、士道も階段を下りてきた。彼は俺の顔を見、気まずそうな表情でそう言った。

 

 「士道……。あのね、2人が教室から出ていくのを見ててさ、殿町に『追いかけなくて良いのかー!』って茶化されちゃって。」

 

 「あいつ……。」

 

 「それでね?その、昨日の事なんだけど、本当に、()()()()。」

 

 「な、なんで廻が謝るんだよ。悪いのは俺の方だろ。」

 

 「ううん、実は、俺さ——

 

 「きゃああああああ!!」

 

 廊下の方から突然、甲高い悲鳴が聞こえてきた。

 

 「……っ!?な、なんだ?」

 

 士道は悲鳴を聞いて慌てた様子で階段を下りていく。俺もその後に続く。

 廊下には、数人の人だかりとその中心に倒れる見覚えのある女性。

 

 「ど、どうしたんだこれ」

 

 「し、新人の先生らしいんだけど、急に倒れて……!」

 

 説明をしてくれている女子生徒もたいそう慌てている。まあ目の前で突然人が倒れたのだから無理はない。

 というか、この人ってやっぱり……。

 

 「村雨先生?大丈夫ですか……?」

 

 俺がそう話しかけると、倒れていた先生は今朝と同じようにむくりと起き上がった。これを見るのは2度目だが、思わず後退りしてしまう。

 やはり、こわい。

 

 「……心配はいらない。ただ転んでしまっただけだ。」

 

 「あ、あんたは……。」

 

 隣の士道が、起き上がった先生の顔を見るなりそう言った。

 

 「な、何してるんですか、こんなところで……。」

 

 「見てわからないかい?教員としてしばらく世話になることにしたんだ。ちなみに教科は物理、二年四組の副担任も兼任する。」

 

 先生は胸につけていた、自身の名前の書かれたネームプレートを指差す。不覚にも、でかい、と思ってしまった。胸のクマさんも居心地が良さそうだ……って、あれ?

 

 「先生と士道って知り合いだったの?」

 

 「え!?あっ、その……。」

 

 「ああ、昨日たまたま知り合ったんだ。」

 

 言い淀む士道をフォローするかのように、先生がそう言った。まるで何か隠しているかのようで、2人のやりとりに引っかかりを覚えてしまう。

 

 「さて、丁度いい。実は彼に用事があってね。少し彼を借りていくよ。」

 

 「は、はい。」

 

 「じゃあ行こうか。ついてきたまえ。」

 

 「わ、悪いな廻、先帰っててくれ。じゃあ、また家で。」

 

 言いながら、彼は先生の後について何処かへと向かっていく。さすがにまたついて行こうとは思わなかった。

 というか、俺だけ除け者?

 

 

 

 …………猫ちゃんのエサ買って帰ろう。

 

 




 悩み事とか、自分の中ですらうやむやにして過ごしてしまう事、あると思います。
 ちなみに廻ちゃんくんちゃんがうやむやになってるのはただ僕の文章力がないだけです。彼女にはもっと悩んで欲しいんですけどね、やっぱり文字にするのは難しい。でも精一杯がんばります。
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