デュエル・マスターズ Mythology   作:モノクロらいおん

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 対戦パート。久々に書きましたけど、盤面挿入がないと文字数的には短いですが、状況把握がちょっと面倒になりますね。あれはマジカルベルだけで試験的導入した描写ですが、ターンごとの盤面状況があるのとないの、どっちがいいんでしょうね。ない方が勢いづけて読みやすそうではありますけど。


4-3「賢愚の接触 Ⅲ」

 汐と青崎の対戦。それは、異様な光景であった。

 宙に浮くカードたち。シールドは強固な壁として屹立し、手札は己の思考、知識と同期するように自在に操れる。

 カードから現出する効果演出さえ、現実に侵蝕している。

 あまりにも奇異で異常ではあるが、なぜか汐はそれに抵抗感がない。

 その感覚を不思議に思いつつも、混乱しないのならば、それでいい。

 理性的であれば、ミスもしない。いつものように戦える。

 とはいえ、冷静だからと言って優位に立って対戦を進められるわけではない。

 《ジェニコの知らない世界》《ブレイン・タッチ》と、汐は青崎のハンデスによって出鼻を挫かれ、序盤の動きに失敗していた。

 マナゾーンに見える黒と緑のカード。しかし、マナはいまだ4。マナ加速が上手く行かない。

 

「僕のターン、《パクリオ》を召喚だ。さ、手札を見せてくれ」

 

 青崎の執拗なハンデスは続く。しかも、ピーピングハンデス。

 汐の手札が、汐の意志に逆らい彼女の手元から離れ、背を向ける。

 青崎は公開された手札を見て、軽薄な笑みを浮かべた。

 

「おっと、面倒なのがあるね。《社の死神 再誕の祈》をシールドに埋めるとしよう」

 

 4マナ圏から次ターン一気に7マナ圏まで加速する《再誕の祈》が、盾に埋没する。

 汐のデッキにおいて重要な加速を成すカードを潰されてしまうが、しかし汐はピクリともしない。一切表情を変えないまま、次の一手を打つ。

 

「私のターンです。5マナで《月の死神ベル・ヘル・デ・スカル》を召喚ですよ。墓地の《ダーク・ライフ》を回収、ターンエンドです」

「それじゃあ僕は、3マナで《クラゲン》を召喚。山札から進化クリーチャーをトップに固定だ」

 

 青崎の山札から1枚のカードが摘出される。

 それは一瞬だけ汐の方を向き、嘲笑うように翻って、山札の一番上へと座した。

 

(? 今のカードは……?)

 

 一瞬だけ見えたカードが奇妙に映る。妖しげな感覚、不気味に見える挙動。そしてそれ以前に、まったく見覚えのないデザイン。

 刹那のことだけに確信は持てないが、それは汐の知らないカードであるように思えた。

 

「……青黒ハンデスのようですが、なにか、妙ですね」

 

 それは先ほどのカードが、だけではない。

 青崎のデッキそのものも、妙なのだ。

 ここまでのハンデスカードはともかく、《クラゲン》がハンデス系のコントロールデッキに入るだろうか。

 この唐突にはじまった謎の対戦空間といい、なにもかもがわからないことだらけでおかしい。あらゆる不可解と未知に溢れている。

 未知なものへの対処法。それは、じっくりと観察して考察するか、

 

「私のターン……いいですね。2マナで《ダーク・ライフ》。さらに3マナで《再誕の社》。墓地のカードを二枚、マナに戻すです。ターンエンド」

 

 未知なものは未知のまま、持ち得る最大の力を以て、速攻でカタをつける。

 汐はここに来て、一気に加速する。切り札まで繋ぐ土壌は、ほとんど整いつつある。

 しかし、

 

「エンジンかかって来たかな? でも、もう手遅れだよ」

 

 いくら汐が加速しようとも、青崎は既に下準備を終えている。

 あとは、先んじて仕込んだそれを、ただ引くだけ。

 

「《パクリオ》と《クラゲン》のコスト合計は7、よってこれらを神話の贄に。神話降臨(メソロギィ・シフト)[水]によって、7マナ分を摘出。残りの5マナは、僕が捻出しよう」

 

 空間が揺らぐ。世界が揺らめく。

 水のように揺れて、歪んで、弾けて、時空は生贄の命を結晶と共に包み込む。

 

「無限の叡智を渇望する、愚かな賢者。彼の賢しき愚行には、誰も抗えない」

 

 飲み込まれた命は吸収され、化学反応を起こしたように混沌にかき混ぜられ、異物の絶叫を轟かせる。

 生贄の魂に、水のマナを注ぎ込み、それは変じていく。

 水晶のフラスコの中、不完全なものを完全とするべく、新たな、正しい姿を形成する。

 これは進化に非ず。

 これは進化ならざる神話の再現。

 故に、これは、

 

神話化(メソロギィ・ボルテックス)――神々よ、調和せよ」

 

 供物(クリーチャー)と、巨大な(マナ)が、混ざり合う。

 水晶の中で、その魂は受肉する。

 これなるは、愚かしくも賢者の叡智を潤す神話なり。

 

 

 

「さぁ、彼女に神話の叡智を授けようじゃないか――《賢愚神話 ライブラリズ・ヘルメス》!」




 地味にヘルメスの名前がちょっと変わっている。
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