くだらないヒーロー 作:ヤンデレの婿
家を出てから歩いて二十分程の距離に僕の通う学校「第四異能力研究高等学校」、 通称「第四異研」は存在している。在学生はおよそ四百二十人、一学年につき大体二百十人程いる計算になる。今年度の入学生を合わせると六百三十人ぐらいだろうか。まあ、そこそこの人数だと言えるだろう。
突然だが、それだけの人数がいる中で、僕の友達は果たしてどれほどいるだろうか?答えはーーーそう、0人である。
いや、待ってほしい。別に言い訳とかではないのだが、理由を説明させてほしいのだ。そもそも、そう、そもそもの話だが、コミュニケーション能力に難のある僕に友達とかできると思うだろうか?
否、出来るはずがないのだ!だいたい、毎朝のルーティーンがないと怖くて学校にも来れないような臆病者の僕が、何故自分から人に話しかけられると思うのか。こんな僕が、今日から一週間もある伝統行事を無事に終了させられるのかどうか、甚だ不安である。
そんなことを考えているうちに、学校のある小高い丘を登りきってしまっていたらしい。花びらの散ってしまった桜の木が並ぶ校門を通り、校庭を真っ直ぐに突っ切るようにして玄関まで急ぐ。何故急ぐのか?簡単さ。周りを見るといい。
「ーーー。ーー!?」
「ーーーーー?」
「ーー!、ーー!!」
周りの人たちが僕の方を見ながら何かを囁いているのだ。何故かは僕には分からない。喋りかける勇気もないからだ。とにかく、毎朝毎朝、去年から一年中この居心地の悪い空間を通り過ぎないといけなかったのだ。しかも、問題はここだけではなくって…
嫌な視線をなるべく無視して廊下を急ぐと、僕の教室が見えてくる。クラス替えは始業式の時に行われるそうなので、僕はまだ一年生のクラスに行かなければならない。と、たどり着いたクラスのドアの前で少し深呼吸する。そして、なるべく注目を集めないように静かに、丁寧に、それでいて素早くドアを開けるとーーー
「っ」
思わず少し息を飲む。クラスの人間およそ三十人分の目がじっと僕を見つめているのだ。率直に言って、少し…いや、かなり不気味だ。自分の席に向かいながら、なるべく周りを警戒する。まあ、すぐに皆んな元の喧騒に戻るのだけど、やっぱりなんとなくチラチラとした視線を感じる。しかも、なんとなくだけどいつもより視線が多い気がするーーー
「お、おいっ!」
ーーー急に机の前に目つきの鋭い女の子が来た。な、何なのだろうか。金髪だし、長身だし、いかにもヤンキーって感じの子だ。カツアゲでもされてしまうのだろうか…?
「あ、あのさぁ、き、今日の放課後、体育館裏の倉庫まで来てくんない?」
怖い!顔が真っ赤で、いかにも怒ってますよって感じだ。なまじっか顔が整っているだけ、とんでもない迫力だ。か、カツアゲですか…。こ、これは何故とか聞いちゃダメなやつなんだろうか…?
「り、理由は、分かる、よな…?」
いえ、分かりませんけども!?
「じ、じゃあな…」
そう言いながら自分の席に戻っていく彼女。
あ、同じクラスだったんだ…とか思っている場合じゃない!どうしようか…。うっ、しかもなんだかざわつきが酷くなってない?
ーーーガラガラガラガラ!
「席につけー。静かにしろ。今からクラス最後のホームルームを始めるぞー」
若い男性の声。ドアを開けて担任が入ってきたのだ。ナイスタイミング!思わず唸りそうになる僕。
でも、あれ…?まだチャイムはなってないはずなんだけど。
「今日は始業式や入学式など色々な行事があるため、早めな開始だ。今この場にいない奴には誰か伝えといてくれ。いいな?はい、じゃあ号令!」
なるほどね…。というか、なんかいつもよりテンション高くないだろうか。最後だからかな。
「起立!気をつけ!礼!」
委員長もである。いや 、まあこれは理由が分かるのだが。おそらくは伝統行事のことだろう。皆んな春休み前に楽しみとか言ってたしな。ちょっと頭がおかしいんじゃないだろうか?
「えーっとだな、まずはーーー」
あ、説明はじまった。
「ーーーという感じだな。何か質問ある奴はいるか?」
ーーーなるほど。簡単に言えば、体育館で校長の話とかを聞いた後クラス替えの発表があって、そのあと一旦変わったクラスに荷物を持って行ったりして、で、また体育館に集まって伝統行事の開始、ということである。
「ないな?じゃあ移動開始してくれ!」
だからテンション高いって…