(・・・どうしよう。今の見られていたのかな?
ライターもないのにいきなり火が出てくるなんてさすがにおかしいよね?)
少女はじっと少年の方を見て動かない。
(気まずい・・・。)
ここで自分も少女をじっくり見てみる。
少女の見た目は、茶色の髪に大きな瞳、白い柔道着を着ている。
少女は何かを決心したのか歩き出す。
少女の急な変化に焦る少年。
内心冷や汗をかいている。
(いったいどうしたんだろう?まさか化け物、この町から出ていけ!
とか言われるのかな?初対面の子にそこまで言われるとさすがに
傷つくなー・・・。まあ、初対面じゃなくても傷つくけど・・・)
ビクビクしていると目の前に来た少女が口を開いた。
「今のすごいですね!!
どうやってやったんですか?」
目をキラキラさせながら少女は聞いてきた。
「へ?」
何を言われたかまったく分からず、しばらく固まっていると少女が動き出した。
「あ、イナホの名前は櫛八 イナホって言うんです。よろしくお願いします!あなたのお名前は?」
どうやら、知らない人から話しかけられたから固まっていると思われたみたいだ。
しばらく無言なままでいるとイナホの表情がどんどん曇ってきた。
(・・・ハッ!いきなりの事で思考が停止してたよ。自己紹介されたし、自分もしないと駄目だよね。)
「・・・えーと、僕の名前は松谷 葵って言うんだ。よろしくね。」
自己紹介すると満足したのかイナホは笑顔になった。
「それで先ほどのをもう一度やってくれませんか?」
「さっきのってなんのことかな?」
(何とかごまかせないかなー・・・。)
少年はとぼけてみる。
「何もないところから炎を出すやつですよ!イナホずっと見てました!葵様が炎を
出すところを!」
がごまかせなかったみたいだ。
イナホはグッとこちらに迫りながら言ってきた。
じっとこちらを見てくる。火を出さないとてこでも動かせそうにない。
(はぁ・・・、これはもうごまかせないな・・・。うん、そういえば・・・。)
「櫛八さん「イナホって呼んでください!」えーと、じゃあイナホちゃん。」
「はい!なんですか?」
キラキラした目でこちらを見てくる。
「出してもいいけど、後日にした方がよくない?柔道服みたいなのを着てるけどトレーニング中なんじゃないの?」
「あっ!忘れてました!早く帰らないとお父様に怒られてしまいます!
でもせっかく葵さまと会えましたのに・・・。」
イナホは悲しそうな顔でうつむいてしまった。
(こんな顔をしている女の子はほっとけないな・・・。女の子だからたぶんお菓子が好きだよね。
よしっ!)
「イナホちゃん!クレープは好き?」
「?はい。好きですけどどうしてそんなことを聞くんですか?」
イナホは分けが分からず困惑した顔で尋ねる。
「何味が好き?」
「イチゴ生クリーム味です。」
答えているがなぜこんなことを聞くか分かっていないみたいだ。
お菓子を出すスキルを作り、イチゴ生クリーム味のクレープを出す。
「はい!イナホちゃんにプレゼント!」
クレープを作り渡した瞬間イナホはまた笑顔に戻った。
「わぁ!ありがとうございます!いったい何処から出したんですか?」
「何処から出したかは秘密だよ。それと、女の子は笑顔が一番なんだからそんな悲しそうな顔をしたら駄目だよ?
僕は明日もここに来るからさ。あっ、またこの時間に会える?
無理だったら仕方ないけど・・・。」
イナホは普通の笑顔からさらにぱぁと背景にヒマワリが見えそうな笑顔になり
「はい!明日この時間にまた会いましょう!
それでは失礼します!」
葵に手を振りながら元気に逆方向に走って行った。
(元気な子だったなあ・・・。まあ、これで明日ここに来なければならなくなったが・・・、まあいいか。)
(そうだ家を探さないと、この姿だと確実に警察のお世話になってしまう・・・。
それに食料も・・・。)
これからいろいろ大変だなーっと息を吐くと気が緩んだのか
お腹がぐーっとなってしまう。
(さっき能力を作り、クレープも作ったからお腹がさらに減ってしまった・・・。)
そう、葵の能力を作り出す能力は一見便利そうだが能力を作るのにエネルギーを使ってしまう。
作る能力によりエネルギーの消費量は違うが、先ほどのような能力でも結構エネルギーを使ってしまい
物を出すとなるとその作り出す物のエネルギーも使ってしまう。
加えてまだ、体が成熟していないのでエネルギーの総量じたい少ない。
なので葵のエネルギーはほとんど残っていない。
(とりあえず食料が第一、もう限界に近い。)
イナホちゃんが走って言った方向と逆方向に歩きだそうと体を反転させ、歩き始める。
ふと、後ろに何かの気配を感じ振り返ってみると火の玉が目の前まで迫ってきていた。
誰をヒロインにするべきか悩む・・・。
何れ、アンケートを取るかも・・・。