ダンジョンで友人のお守をするのは間違いだろうか? 作:翠星紗
広大な地下迷宮、通称ダンジョンを中心に栄える迷宮都市オラリオ。その広大な地下迷宮で二人の少年がモンスターに襲われていた。
ミノタウロス。上階層にはいないはずのモンスターが何故か二人の冒険者を襲っていた。
「ベルちんベルちん! この状況やばくないかい!?」
「分かってるなら助けてくださいよ!? なんのためにミツキさんがいるんですか!!」
「お前さんの鍛錬のために態々来てやったんじゃないですか? それなのにベルちんは全てこの状況を僕のせいにするんですか?? あぁ、やる気なくした。めっちゃやる気なくした!!」
ヴォオオオオオオオオオッ!!
「「今は喧嘩してる場合じゃねぇーーーッ!!」」
白髪に赤眼の少年のベル・クラネル、黒の長い髪を後ろで結って和装なミツキ。二人ともヘスティア・ファミリアである。
そろそろ体力の限界が近づいてきた二人はスピードが落ちてくる。しかし、そこでミノタウロスの持つ棍棒が唸った。
近づいてきた二人の背後へ棍棒を振り下ろす。それをギリギリで躱してまた少しスピードが上がる。
「み、ミツキさん。もう……」
「情けねぇなベルちん。それじゃ…俺の国の言葉を一つ教えてやるよ」
「な、なんです…か?」
”獅子は我が子を千尋の谷に落とす”
「ど、どういう意味です?」
「それはな……
身をもってしれぃい!!」
「あが!?」
ミツキはベルの足を蹴り飛ばした。バランスの崩したベルはその場で倒れ込み、目の前を”あばよとっつあぁああん!!”と言いながら走り抜けていくミツキを見つめた。
彼の言った言葉は分からない。ただいえるのは…
グルルル……
「……」
おとりにされたことだ。
ベルちんの修行のため態と危険な場面へ放り込んだミツキは良心が痛んでいた。グスグスと鼻を鳴らし、目からは涙が出て”これも修行のため、これも修行のため”と心を鬼に……
「これでロリ巨乳は俺のもんだぁ!!」
稀に見る最低な男だった。
ベルの戦死を悔やみながらミツキはダンジョンの角を曲がる。するとそこにはあるはずのない壁があり、ミツキは急停止することが出来ず壁にぶつかった。
「ぶべら!?」
ボフッと壁に当たりそのまま埋まる。もさもさの触感と獣臭い匂い。さらに、まるで生きているかのように毛深い壁は動いていた。
それと嫌な鳴き声が聞こえてくるような……
グルルルルゥ………
「………あっおぉー」
なんということでしょう。さっきまで必死に逃げてたはずのミノタウロスがすでに目の前にいるじゃないですか。
なんで、ベルちんもうやられたの? 嘘、格好よくあとで登場して助ける算段だったのに。
足の一本はしょうがないかななんて考えてたんだけど、ほんとにお亡くなりになったの??
それじゃ、ヘスティアちゃんが悲しむじゃん。それはマジで困んだけど……
グルルルゥ………
ちょっと待って、なんか視線の先にまだ居るんですけど?
もう一匹いるんですけど?? 増えたの? ベルちん食われてミノタウロスに化けたの? キミは青鬼みたいに増えちゃうの?ここってまさか謎とかなきゃ出れない洋館なの??
ホラー苦手だからもう帰りたいんだけど?
グォオオオオオオオオオオオオオーーーーーーッ!!
フォォオオオオオオオオオッ!?
広大な大迷宮にミノタウロスとバカの叫び声が反響した。