ダンジョンで友人のお守をするのは間違いだろうか? 作:翠星紗
今日もオラリオはとても平和です。
「俺がガネーシャだ!!」
「俺はミツキだ!!」
「やめてよ、ミツキ!?」
半裸の神と半裸の冒険者が互いの筋肉を見せあいながらポーズをとっていた。
そんな二人を…主にミツキを止めようと必死になるベルちん。なぜこんなことになっていたのかというと……話は少し遡る―――
◇
本日はリリっちとの冒険はお休みでベルちんの訓練を兼ねて二人でダンジョンへ向かうことになっていたのだが、早く集合場所についてしまったようでボォーっと鼻に舞う蝶を眺めて……
「ぶうぇええっくしょおおおおおおいッ!!」
本当に人の鼻に蝶が近づいてきたため、くしゃみが誘発されてしまった。少し出た鼻水を啜っていると、いつの間にか注目を集めていたようだ。やだ恥ずかしい♪
軽く頭を下げてにゃはは♪と笑うが、特に気にする様子もないようで完全無視された。
全部ベルちんのせいだと思いながら、まだムズムズする鼻を啜っているとバベルに向かう大きな檻を複数運ぶファミリが現れたる。
「あぁ、そうか…。もうすぐ
怪物祭。
オラリオにある闘技場にて、モンスターを放ち調教師がそれをテイム……だったか。倒す???だっけか。
正直、その辺は興味ないので知らん。一般の住民がいる所に態々モンスターを放つ奴の気がしれん。
「あぁ……やだねやだね」
「何が嫌なの?」
「ん? おぉ、ベルちん遅いちん、何してたちん?」
「そうだ! ミツキ、ありがとう!」
質問したら急にお礼を言われて頭を下げてきた。はて? 何かしたか俺??
流石について行けず、とりあえず思いついたことを口に出してみた。
「そっか。そんなに美味しかった、赤飯」
「うん!! って、違うよ!?」
「うぇ!? じゃ、不味かった?」
「あ、いや。凄く美味しかったけど、なんで赤いごはん昨日置いといてくれたの…じゃなくて、酒場のお金!!」
「さかば?」
「あの、豊穣の女主人のお金払ってくれてたってシルさんから聞いて」
「ん? シルさんって……あらやだお隣のベルちゃんったら、お姫だけでなくシルシルにも手を出してるなんてとんだplayboy」
「手なんかだしてないから! とにかく、ありがとうミツキ!!」
「お、う、うん……」
相も変わらず純粋な笑顔を向けてくれちゃってまぁー。そういうのふざけてる時にやられると対応困るんからやめてよねベルちん。
締りが悪くなってしまったことに髪をガシガシとかいていると、ベルちんが思い出したように口を開いた。
「えっと、あそこの店主さんが…」
「女将がどった?」
――あのバカに迷惑代として今日の夜タダ働きに来るよう伝えといておくれ!!――
「って」
「うっそーーーん」
あの時渡したの逸れ込みだったんですけど……。
しかも色も付けてたはずなのに、恐ろしすぎるよ女将さん。
「えっと、迷惑代って?」
「ん? ベルちんは気にすんな。それよりダンジョンに行くぞぉ」
「ちょっと待っ――っあた!? 急に止まらないでよ」
バベルに向かって歩き出したかと思うとすぐに止まるミツキ。そのあとをついていこうとしていたベルは急に止まったミツキの背中にぶつかってしまう。
ぶつけた鼻をさすりながらミツキの背中で見えない前方を確認する。
そこにはあるファミリアの主神が立っていた。
ガネーシャ・ファミリア。オラリオの中でも上位クラスに入るファミリアであり。その主神は上半身ははだけており、その体躯は太陽に光で浅黒い肌が筋肉の隆起と相まって綺麗に反射している。
イケメンの神らしいのだが、いつも象のお面をつけているため知る人は少ない。
怪物祭に向けて担当であるガネーシャファミリアがダンジョンからモンスターを連れてこようと準備をしていた。
そこへ激励のため来ていたのが、主神であるガネーシャだ。ただ、来たばかりのベルにとって怪物祭もガネーシャファミリアもガネーシャの事も良く知らない。
ガネーシャとミツキの関係も―――
ガネーシャとミツキ。
互いに視線を合わせ無言の時が流れる中、先に動いたのがガネーシャだ。
「俺がガネーシャだ!」
ドン!という効果音が聞こえてきそうなほどに声を張り上げ急にポーズを取り出すガネーシャ。
ベルにとっては意味が分からなかった。
「ふん。リラックスポーズか、最初は様子見ということだな」
「え? ミツキなに言ってるの?」
「ベルちん。少し離れてくれないか、これは避けては通れない戦いなんだ」
「まって、ミツキちゃんと説明して意味がって!?」
「若いの邪魔しちゃいかんよ。こっちまで下がりな」
「お爺さん誰ですか!?」
睨み付けるようにガネーシャを見るミツキに説明を求めようとしたベルだが、何処から来たか分からない眼帯出っ歯のおっちゃんにベルは引きずられその場を離れた。
それを確認したミツキは上半身を露わにする。均整の取れた筋肉に健康的な肌。所々、切り傷などの怪我が見られるが逸れさえも彼を彩る装飾に見られた。
「あ奴もええ具合に仕上がっとる」
「貴方は誰なんですか!? だれか説明してぇ!!」
「俺はミツキだ!」
ベルの叫びをかき消すほどのミツキの声が響き渡りガネーシャとはまた別のポーズを決め詰め寄る。
サイドチェスト
主に胸筋肉をアピールしながらも、体のサイドにある腕や脚の太さ、さらには体の厚みを見せるポーズ。
「ほぉ仕掛けてきよったか。じゃが、そのポーズはまだお主には早いの」
「ちょっとまって?! 何うえの解説? おじさん一人で盛り上がってないで教えてくださいよ!?」
「俺が、ガネーシャだ!!」
サイドトライセップス
横から上腕三頭をアピール。それ以外にも体の横から筋肉のディフィニションなどを見せることが出来る。
「ぐぅ!!
俺は、ミツキだぁ!!!!」
「おぉ! 耐えよったか!! そして、モストマスキュラ―でガネーシャ様の流れを止めよったわ!!」
それからも、アブドミナル・アンド・サイ。フロントラットスプレッド。バック・ラットスプレッドと攻撃しあっては詰め寄る。
この戦い、誰にも止められな―――
「って、もういい加減にしてよミツキ!?」
「あ、おい待たんか!!」
流石に周りに人が多く集まってきて、謎の集団になり始めている。流石に耐えきれなくなったベルがおっさんの制止も聞かずに今もポーズを決めながらガネーシャとにらみ合うミツキにしがみ付いた。
「俺がガネーシャだぁ!!!」
「俺はミツキだぁ!!」
「やめてよ、ミツキ!?」
フロントダブルバイセップスをお互い決めた直後にベルの叫びが重なる。
そして数秒間、時が止まったかと思いきや二人は固く熱い握手をした。
「俺がガネーシャ」
「俺はミツキだ」
「……へ?」
互いの健闘を称え頷く。
ガネーシャは去って行った。”俺がガネーシャだ”と、言い続けながらミツキに手を振りながら。
ミツキは手を振り続けた。”俺はミツキだ”と、言い続けながら去って行くガネーシャを見続けながら。
「俺はミツキだ―――――――――
じゃ、行くか」
「こんな状態で行ける訳ないでしょーが!!」
なに怒ってんの、ベルちん?
いつのまにか辺りは二人だけになっており、急に叫び出すベルちんを不思議そうに見るミツキであった。
殆どの投稿作品。
これ書きたいなって思いついたのを考えなしに投稿してますんで、あまり気にしない様にお願いします。おふざけ100%です。