ダンジョンで友人のお守をするのは間違いだろうか?   作:翠星紗

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勧誘

グォオオオオオオオオオッ!!

 

「あぶねっての!!」

 

 

ミノタウロス二匹の攻撃を躱し距離をとるミツキ。早く戻らないとベルちんの命がマジで危ないだろう。なんであの時、二手に分かれる作戦を取ったのかと自分自身に苛立ちを覚えていた。(自分のやったことを忘れてる奴

 

流石にこれ以上時間をかける訳にはいかないと、ミツキは腰にある刀――袖白雪――に手をかける。ミノタウロスの動きを静かに見つめ構えた。

動きの止まったミツキにミノタウロスは咆哮を上げながら彼を見定めて棍棒を振り下ろす。しかし、振り下ろした瞬間、ミツキはそこにはない。

それどころか棍棒を持つ腕を振り下ろしたはずなのに見えない。肩から先の感覚がなくなっていた。

ミツキによってミノタウロス二体の腕は斬り落とされていた。それも自らの腕が斬られたと判断させるときなど無い。しかし、気づいた時には……

 

 

「初の舞・月白―――」

 

 

ミノタウロスを中心にした白い円が足元に浮かび上がり、地面から天井に向けて氷の柱がミノタウロスを呑み込んで行った。

二体の死を確認したミツキは刀を仕舞い。氷を見つめる。

 

 

「マンモスもびっくりだなこりゃ。さて、と……ベルちんを助けにって!?」

 

「おらぁ!!」

 

 

路を引き返そうとした瞬間。背後から叫び声と共に足が飛んできていた。

慌てて避けるミツキは目の前を白い影が通りすぎ、二つの氷柱を破壊する。あ、ドロップアイテム見っけ。

 

いそいそとドロップアイテムを拾っていると、蹴りの主がまた叫び弾けた。

 

 

「よけんじゃねぇよ!!」

 

「避けるは狼人間!! 貧乳神の所に居てると考えが狭くてたいへんだぁーなッ!!」

 

 

狼人間。ロキ・ファミリア所属のベート・ローガ。

なにかあると俺に戦闘を吹っかけてくる狂人……いや、狂犬だなこりゃ。

 

 

「俺はこの後、やることがあるんだよ! ワンちゃんはそこどけ!!」

 

「うっせ!! いつも勝負から逃げやがって! さっさと勝負しろや!!」

 

「なにこの理不尽な子!! 飼い主に再教育してもらってきなさい!!」

 

「んだと、男女が」

 

 

 

 

 

「ああぁ!?!?!?!?!? んだとゴラァ!?!? 誰に口きいてんのか分かってんのか!! てめぇみてぇな戦闘狂なんざ

相手にしてる時間がねぇっつってんだろ!! そんなにここで殺されてぇのかワレ!!」

 

「行くぞゴラァ!!」

 

「上当じゃワレェ!!」

 

 

 

 

「やめんか、バカモン共がぁッ!!」

 

 

今にも取っ組み合いのケンカになりかけた瞬間、一人のドワーフがあほ二人の頭を殴り鎮めた。

ミツキは地面に埋まった頭を上げて殴った奴を見ると、そこにはロキ・ファミリアのガレスのじっちゃん。いつの間にやら他のロキ・ファミリアの皆様も来ていたようで、団長であるフィンくんの姿があった。

 

 

「いってぇ……ガレスのじっちゃんもっと優しくしてくれよぉ」

 

「たわけ、こんなところでケンカしとるお主らが悪い」

 

「そういうなら、この狼人間に首輪つけといてくれよ!!」

 

「んがぁ!?」

 

 

まだ埋まっていた狼人間の後頭部を殴ってさらに頭を埋めてやる。なんか変な声が聞こえたが気にしない。

というより、周りのみんなが呆れてるんだが……まぁ、今はいいや。

 

 

「とりあえず。こいつ頼むわ 「ゴォ!?」 今からはぐれた仲間を助けに行かなあかんのでな」

 

「仲間? キミの所のレベル1の子 「ベギャ!?」 だったかな?」

 

「そうそう。今頃、ミノタウルスにやられてないか不安で不安で……」

 

 

余りに心配で辺りをウロウロしていると時々カエルを踏んでいるのかやな感触と鳴き声が聞こえる。

そんな心配する俺にフィンくんは呆れてため息を漏らしながら、再度口を開いた。

 

 

「それなら、アイズが助けた筈だ」

 

「そうなのか、お姫?」

 

「うん。ミノタウロスに襲われてたところを……すぐにどっか行っちゃったけど」

 

「あぁ……まぁ、ミノタウロスなんて初めて見るだろうからな。お姫、ありがとな」

 

 

なんか、お姫の様子が暗いような気がするが……まぁ、腹減ってんだろ。

それじゃ、ベルちん俺より先にダンジョン出ちまったのか? 薄情者が……あとで、こらしめてやろ。

なら俺もここに居る必要はないな……。

 

 

「そんじゃ、先にダンジョン出る――――――」

 

「ちょっと待ってくれミツキ」

 

 

足早に出て行こうとしたが、フィンくんに呼び止められてしまった。

正直、彼が何を言いたいのか分かってる。どうせ―――

 

 

「やっぱり僕たちの所に来る気はないかい?」

 

「相変わらずしつこいねぇフィンくんも……。俺はあのロリきょ―――じゃなくて、ヘスティアが好きなんだから」

 

「ほとんど出てるわよ」

 

「なんなら、ティオネちゃんとリーさんが僕のお嫁さんになってくれるなら!!」

 

「断る」

 

「誰があんたなんかの嫁になるってんのよ!!」

 

「じゃ、一生無理だね」

 

 

ちゃちゃを入れてきたアマゾネスの姉であるティオネと今まで黙ってたエルフのリヴェリアに近づいて両手をワキャワキャさせながら近づく。

リーさんは呆れ、ティオネちゃんに至っては今にも殺しそうな殺意を見せながら睨んできた。分かりきっていた模範解答と俺の反応にフィンくんはヤレヤレと肩を竦めた。

 

 

「じゃ、一つ課題を出そう。それがクリア出来たら、俺はフィンくんの言いなりだ」

 

「その課題ってのはどういったものかな?」

 

「あんたらん所の主神様いるだろ? その胸部を大きくすることが出来れば絶対入ってやるさ。じゃな!!」

 

 

そういって、ミツキはその場から逃げ出したのであった。

 

 

 

 

 

 

ロキ・ファミリアが本拠点。黄昏の館に帰還するとそこには主神のロキが大手を振って団員の帰りを待ちわびていた。

 

 

「おかえりな。みんな無事やったか?」

 

「あぁ……報告に関してはあとでするよ。なぁ、ロキ」

 

「ん? なんや?」

 

 

フィンが問いかけてロキがそれを静かに見つめてる。何か言いだすのかと思いきや。

 

 

「……ふぅ。難題だな」

 

「何がや!?」

 

「まぁ、無理と分かっていっとったからの」

 

「こればかりは私の力も及ばん」

 

「な、なんやねんお前ら!! あ、アイズたん、フィンたちが虐めてくる!!」

 

 

まるで可哀そうな目で見てくる古参の三人にロキはアイズにしがみ付く。

そんなロキを見てアイズは……

 

 

「はあぁぁぁ…」

 

「あ、アイズたんまで…」

 

 

その場で崩れ落ちるロキの姿が夕暮れ時の本拠点前で見られたとか。

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