ダンジョンで友人のお守をするのは間違いだろうか? 作:翠星紗
ダンジョンを出てギルドのエイナっちの所に行くと、すでにベルちんはドロップアイテムを換金に来たとのこと。
しかし、その時の格好は頭からミノタウロスの血を浴びた状態で来ていたらしく。一度、ギルドでシャワーを貸してもらい、エイナっちの説教を受け……
「あん? お姫のことを聞いてきただと?」
「うん。どうやらベル君に憧れの人ができちゃったみたい」
「あぁ……なるほどな。分かりやすくて可愛いねぇベルちん」
どうやら、ミノタウロスから助けてもらったことが原因か。彼女の姿、美しさ、可憐さ、強さに惚れ込んでしまったらしい。
まぁ、ロキ・ファミリアに要る時点で恋愛はむずいだろうなぁ……
「儚き夢だな。振られたときはエイナっちが慰めてあげてくれよ」
「振られるの前提なんですね」
「まぁ、ロキん所だからな……」
「あぁ…」
納得してくれたようだ。
ま、初恋は実らないって言うから仕方ないよベルちん。
あれ? ベルちんの初恋ってお姫で良いのかな?ここに来る前はどうだったんだろうか。
あの純粋無垢なウサギちゃんだしな……
「んじゃ、今日は帰りますわ。エイナっち」
「はい。それでは」
小さく手を振り返してくれるエイナっちを後に、ミノタウロスを倒して手に入れたドロップアイテムのヴァリスを元手に色々と食材を買いあさった。
ファミリアの本拠点はオラリオの街から少し離れたところにある廃れた協会である。ただ、本拠点とギルドの丁度間位の位置にミツキの家がある。
一旦、荷物をすべて家に片付けてから拠点に向かう。協会は天井が所々朽ちてなくなっており、隙間風なんて至る所から入り込んでいる。協会の奥に部屋があり、そこのドアを開けると地下に続く階段が見える。
扉を閉めて階段を下りていくと一つの扉。ゆっくりと扉を開け……
「よぉ、ベルちん帰ってきてるかブベラ!?」
「ミィツゥキィ~~~~!! キミはベル君を置いて一人で逃げたんだってぇ!!!」
戸を開けたと同時に主神様のコメットパンチが飛んできた。綺麗に顎を狙われたため、軽く目の前に星が回っている。
しかし、ベルちん大好き主神様の怒りは治まることはなく、俺の首根っこを掴んでは強く揺さぶっている。ただね、ヘスティアちゃん。振られるたびに後頭部が扉にゴンゴン当たっていたいんですけど?
「君というやつは! 何のためにベル君のお目付け役になってると思ってるのさ!! それなのに、それなのに何がヴァレン某のことなんかああああッ!!」
「神様!! ミツキの頭から血が出てます!! 扉が真っ赤になってますよ!?」
結局、ヘスティアちゃんの怒りが落ち着くまで辺りは血の海になっていた。軽い殺人現場だよ、これ。
やっと落ち着いて数分後。
「ほんとにベル様には申し訳ないことをしました」
穢れた血が抜けきったミツキは。綺麗なミツキに生まれ変わっていた。
正座して指をひざ元に合わせて深く頭を下げる彼の姿に、二人は冷や汗が止まらない。
「神様!! ミツキがおかしくなっちゃったじゃないですか!!」
「い、嫌だなベル君。ミツキは昔からこんなんだったじゃないか!」
「ふふ。お二人とも変なことを言いますね」
「「ひぃ!?」」
口元を押さえて上品な笑みを見せるミツキに二人は寒気を感じた。見た目は中性的であり、どちらかと言えば女性よりなミツキ。
声も男にしては少し高いくらい。和風で長い黒髪のせいで、彼を知らない人が見れば半数以上は女性と間違えることだろう。しかし、普段の口の悪さと態度でゲス男丸出しのため、折角の綺麗さが失われている。
しかし、現状二人の目の前にいるミツキはどうだろう。まるで絵にかいたようなオカマではないだろうか?
女性らしい仕草に口調、声も高くしているせいか男の娘に見えてしまう。
ただ、普段の彼を知ってる二人からしたら気色悪いだけである。
「やっぱり無理でした!! ミツキごめんよ、さっきはやり過ぎたから戻ってきてくれぇ!!」
「まぁ、何を言ってるんですか? 私はいつも通りですよ、ロリ巨乳様」
「うぇえええんッ!!
………ん?なんて言ったんだい?」
「先ほどなんて、私の目の前でおっぱいさんがサンバを踊っているようでしたので、まさに眼福と言わざる負えないです」
「君は何処まで行っても相変わらずだねッ!!」
「デベラッ!?」
「はぁ…どこまで言ってもミツキだよ」
またも渾身の一撃をくらったミツキは平手の衝撃で壁と顔面キスを行い。そこで再起不能になって動かなくなってしまった。
翌日の朝まで目を覚まさなかったので、彼が持ってきた食材は二人が仲良く食べきったとのことでした。