ダンジョンで友人のお守をするのは間違いだろうか? 作:翠星紗
今度はソファの上で眠ってしまったようで痛む頭をたたき起こして起き上がると、机の上は綺麗に片付けられており代わりに一枚の紙が置かれていた。
どうやらヘスティアちゃんの置手紙の様で、”今日はバイトがあるから出ていくよ。ミツキ、絶対にベル君にさっきの事言わないでよね! それと読んだらこの紙は燃やしておいてね。ベル君に見られない様に!!”とのことだ。
読んだら燃やしておく必要はないと思うが。まぁ、もって置けばいいだろう。
得にすることもなく拠点を出てフラフラと街を歩く。いつもベルちんと一緒に居る訳ではない。露店で暇をつぶしたり、狼人間を蹴り飛ばしたり、じゃが丸くんを露店で買ったり、お姫にじゃが丸くん取られたり、ロリ巨乳がお姫に威嚇してたり、狼人間を氷漬けにしたりと暇をつぶしながら街路をトボトボ歩く。
「今からダンジョンに行ってもなぁ……。何か面白いことないーーん?」
目の前から走ってくる
オラリオに住む一般人は冒険所の物騒ごとなどあまり関わりを持ちたくないだろう。
少女は男に突き飛ばされ前のめりに倒れる。すぐに立ち上がろうとした少女の腕を取り、近くにあった細い路地に男は連れ込んで行った。
「……相変わらず、治安が悪いねオラリオは。やだやだ、おじちゃん怖い」
この男、まだ19歳です。
やれやれと無駄に大きく肩を竦めて、少女が連れ込まれた細い路地を除く。
男は少女のフードを掴み、今にも殴ろうとしていた。
「このふざけたまねしやがっ 「神様直伝コメットパァーンチッ!!」 ゴハァ!?」
「ッ!!」
男の顎を狙って横から殴り飛ばした。急に現れた不審者に男は反論する間もなく吹き飛ばされ、パルゥムの少女は驚いて俺を見ていた。
吹き飛ばした方から少女へ視線を移すとビクッと驚いて顔をそむけた。
赤を基調とした服装なんだが、フード付きで両袖と腹部周辺は破られており、スカートも短くベルトも態と短くしているのか色々と目のやり場に困る服装をしているため、あと数十分眺めていたい。
「ざけんなよ……てめぇなんのつもりだ! そいつの仲間か!?」
「お、まだ起きてたのか。元気だねぇ……元気すぎるのも良いけど。往来の街中で女の子強姦しちゃダメだろ!!」
「なッ!? ふざけやがって!!」
「ッ!」
男は剣を抜き取りこちらに詰め寄ってくる。少女は驚いて声が出ないようだ。てか、こんな細い路地で剣なんか抜くなよ。
動きが制限されるでしょ?
上段に構えたまま男は斬りかかって来るが、懐に入り込み剣の柄を抑え込み相手の顎に頭突きをする。二度目の顎への攻撃で男は強く脳が揺さぶられたようで、一歩退き剣を持つ手の力が緩んだ。そして、相手の身体に
「アタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ、オワッチャーーーッ!」
数十発と拳を当て、最後は蹴り飛ばして再度壁へお帰りなさい。今度は完全に意識を飛ばしたようで、力なく地面に崩れ落ちたのだった。
そして、崩れ落ちた男に指をさし
「お前はもう、死んでいる」
「殺したんですか!?」
「あ? 殺してないよ、なんとなく言いたかっただけって……
少女の声が聞こえて振り返ると、そこにいたのは先ほどの背格好と服装のシアンスロープの少女だった。
パルゥムの筈だったんだがと、少女をじっと見つめると不思議そうに少女は首を傾げた。
「はい。リリはシアンスロープですけど?」
「……てっきりパルゥムかと思ったんだが―――おい、膝から血が出てんぞ」
「え? あ、さっき突き飛ばされたときにひゃあ!?」
「んじゃ、治療にいくべ」
ヒョイッと少女を抱えて連れていく。変な叫び声が聞こえたが気にしない気にしない。
というより、この子軽すぎじぇね? 飯食ってんの?? 服もこんなだし……まさか、奴隷として誘拐された娘なのかも……
「放してください!! いくら助けてくれた恩人とはいえ、叫びますよ!!」
「…グス。大変な思いしてきたんだな」
「何、急に泣いてるんですか!?」
「誘拐なんざ許さぁーーーんッ!!」
「誘拐!? リリは誘拐されたんじゃないです!! というより、現状誘拐されてます!!」
「お兄さんがついててやるからなぁ!!」
「何なんですか、この人ーーーーッ!!」
この日の夕方。シアンスロープの少女を担いだ男が堂々と誘拐していたと少し話題になっていたという。