孤高の歌姫が変えた生活   作:アイファー

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Present for you

テスト返却日

 

教師からクラス皆に答案用紙、成績表が渡される。クラスの人達はその結果を見て歓喜する人もいれば、夏が終わった見たいな顔をして成績表を見ている人も居た。俺は特に補習を受ける様な点数もとる事なく、70点前後の点数だった。いつもよりいい点数だったのはあの時の勉強会で自分も多少勉強をしたからだろう。

 

「しーんや、テストどうだった?」

「普通だ。涼介は?」

「いつも通り」

 

そう言って見せてくるのは、高成績で高い順位の成績表。涼介は性格はバカでも、学力はかなり高い。殴ってやりたい。

 

「はいはい、自慢はいいからどっか行ってろ」

「冷たいなー、でも、今回は慎也いつもより点数高いな」

「色々あったからな」

「勉強でもしたのか?珍しいな」

「自分でもそう思っているよ」

 

なんだそれ、と言って自席に戻る涼介。友希那との勉強会なんて言ったら面倒になるのは間違いない。まぁそれは置いといて

肝心の友希那はどうだったのかな?友希那の席を見るといつもの様に無表情で静かに席に座っている。

 

「まぁ大丈夫か」

 

一日だけだったとはいえ、かなり多くの事を覚えていってくれた。吸収が早かったから、自分でも時々自習してくれてれば問題ないだろう。

 

「テストはちゃんと復習しておけよー。補習のある奴らは忘れずに夏休み来る事。分かったか?」

 

は~い、と気のない声が教室に響く。勉強不足なんだからしっかり補習を受けるといい。俺はないからどうでもいいんだけど。

 

 

 

何時もみたいに俺はCiRCLEのスタジオに行き、Roseliaの練習を見る。

 

「あ、慎也、おつかれー」

「リサ、氷川さんもか、早いな」

「上倉さん、こんにちは」

「あぁ、こんにちはー」

「ねぇ慎也、友希那は?」

「もう来るぞ」

 

そう言うと同時にスタジオの扉が開き、友希那が入ってくる。

 

「あ、友希那ー、おつかれー」

「湊さんもこんにちは」

「あら、三人とも早いわね」

「学校終わってすぐ来たからな」

 

友希那も、終わってすぐ来たんだろうから、どうせなら一緒に行けばよかったな。その時にでもテストの事聞けば良かったし。

 

「お疲れ様でーす」

「こんにちは...」

 

そうして友希那に続いて、宇田川さんと白金さんが入ってくる。宇田川さんはいつもより元気だな。いや、いつも通りか。白金さんは言うまでもなく、いつも通りだ。

 

「あこ、いつもより元気だねー。何かいいことでもあった?」

「えっとねー、最近のテストが返されたんだけど、今までで1番いい点数とれたの!」

「へー良かったじゃん」

「これも、りんりんのおかげだね」

「私はそんな...出来ることをしただけだよ」

 

そう言えば前にテストがどうだの言っていたな。きっと二人で勉強会でも開いたのだろうバンドにテスト。白金さんもだけど宇田川さんも凄いな。

確かリサと氷川さんもやると言っていたな。

 

「リサ達の方はどうだったんだ?」

「こっちは紗夜がしっかり教えてくれたから全然問題なかったよー。ありがとね、紗夜♪」

「いえ、今井さんは基礎がしっかり出来ていたので、大変でもなかったですし」

 

リサって勉強も出来るんだな。どのくらいだったのか知りたいが、こういうのを聞くのは少し野暮だからやめておこう。

氷川さんは100点とか普通にとってるんだろうなぁ、次元が違う。

 

「友希那は?」

「え?」

「テストー。補習とかなってない~?」

「えぇ、今回は問題なかったわ」

「へー、凄いね!前なんて自分だけじゃ手付かずだったのに」

「そんなことないわよ」

 

偶に友希那を弄るリサを見てると、やっぱり幼馴染なんだなと実感する。

 

「それとも、慎也に教えてもらったり?」

 

ぐっ....

こういう時のリサの感が当たるのはやめて欲しい。普通に気づかれたくない事だし、前みたいに色々聞かれるのは面倒い適当に誤魔化しておこう。

 

「あ、そういう事ねー、ふーん、そうだったんだ~。よかったね」

 

あ。俺と友希那の一瞬の表情の変化を見てきやがった。しかもこの反応絶対にバレた。

はぁ....まぁリサなら百歩譲って別にいいか。こういうのは黙っといてくれるだろうし。

 

「お、お喋りは終わり。早く始めるわよ...」

「オッケー。今日も頑張っていこー」

「「.......」」

 

そんな俺達を他の三人は何があったかわからないような顔をしている。それでいい。何も分からなくて。

 

 

 

「うん、かなり良かったね。宇田川さんのドラムが強くなりすぎてたのは気になったんだけど」

「いやぁ、ちょっと嬉しくて」

「あこ、テストと練習は別。私も少し音については気になってた。ちゃんと気持ちを切り替えて」

「は、はい」

 

まぁ嬉しいのは分からなくはないけど。ドラムと音に出るほど嬉しかったのか。こういう感じは流石宇田川さんだな、なんて。

 

「遅くなってきたからそろそろ終わりにしましょうか」

「そうだな、暗くなりすぎると危ないし」

 

夏が近いとはいえ、7時近くなれば暗くはなってくる。

メンバー全員は片付けを始めて、リサはまた次の予約を取りに行った。もう、この光景は見慣れてきたな。

 

「慎也。この後少し時間あるかしら?」

「別に予定ないから、構わない」

「そう、それじゃあ」

 

友希那はそう言って準備を終えて、スタジオから出ていく。何かあったか?何か困ったような顔もしてなかったし、心配するような事では無いんだろうけど。

 

 

 

「それじゃあ、皆さんまた今度でーす」

「さようなら....」

「私もお先に失礼します」

 

スタジオを皆出て、三人とも家に帰っていく。俺はこの後用事があるから、直ぐには帰れないけど、大丈夫。それより友希那の言っていた何かの用件ってのはリサがいても大丈夫な内容なのか?

 

「私はこの後用事があるから先に帰っててもらって大丈夫よ」

 

あ、ダメなのね

 

「すまん。俺もやる事あるから」

「分かった。それじゃあね」

 

そう言ってリサは帰って行った。嘘をつくのは罪悪感があるが仕方ない。涼介にはついてもあまり罪悪感を感じないんだけどな....

 

「少しカフェでお茶でもしましょう」

「あぁ、良いよ」

 

俺達はすぐ近くのカフェで話すことになった。

 

 

 

「それで、どうしたんだ?」

「少し真也に用があるの」

 

俺に?何かしたっけ....

怒られるような事した覚えはないんだけど、大丈夫かな。

 

「どうした、俺に用って」

「えっと、渡したい物が...あって」

「俺に?」

 

何かカバンをあさって、友希那は何かを取り出す。それは手の平位の箱で綺麗にラッピングされている。

 

「これは?」

「勉強会。私の為に時間を割いて教えてくれた。そのお礼よ」

「え、お礼?」

 

友希那は勉強会のお礼と言ってその箱を渡してくる。そんな、お礼を貰うほど役には立ってないだろうし、友希那は吸収がいいから助言しただけで分かってくれた。大きく力には慣れていないはずだ。

 

「そんな、お礼を貰うほど役には立ってない」

「貴方はそう思ってるかもしれないけど、私は凄く助かったの」

「そんな...」

「言い方は悪いかもしれないけど、楽しかったわよ」

「そうか...ありがとな。友希那」

 

友希那は顔をほんのり赤くする。お礼と言っていたある箱を受け取ると、少しだけだけど笑ってくれた。

 

「中身はなんなんだ?」

「猫の置き物よ。部屋に入った時、何か置き物を置くといいと思ったから」

「そんなんだ。可愛いな」

「猫が可愛いのは当たり前よ」

「それもだけど、こういうセンスのある友希那も」

「え....」

「さっ、暗くなってきたからそろそろ行くぞ」

「.......」

 

無言で友希那も立ち上がって会計を済まして家に向かう。もう暗いから送り届けることにしよう。二人で横並びに帰り道を歩いていく。

 

「慎也」

「ん?」

「ありがとう....」

 

たったその一言だったけれども俺には凄く心にきた言葉だった。今日の帰り道はそれ以外の事は話さず、家に送り届けた。

 

 

 

「....」

 

私は慎也に送り届けて貰った後すぐに部屋に行き、ベッドに転がった。

慎也のあの言葉がどうしても頭から離れなかった。遠回しに可愛いなんて言われたような。もしかしたら、私の勘違いなのかもしれないけど、どうしても離れない。しかもさっきから心臓がドキドキして、それがおさまらない。

 

何なのかしらね。

 

それでも悪い気はなく、知らない気持ち。なんなんだろう。

私はそのままベッドの上で寝てしまった。

 




空街ホープさん、ANES91さん、名ナシさん、評価ありがとうございます。

空街ホープさん、誤字報告ありがとうございます
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