孤高の歌姫が変えた生活   作:アイファー

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探し物はお互いに

「ただいまー」

 

誰も居ない家に挨拶をして商店街で買ってきた材料をキッチンへと持っていく。

親が居ない為自分で料理を作らないといけない。料理が出来ないという訳では無いが余り難しいのも作れないので簡単そうな筑前煮を作ることにした。

 

「えーっと?まずは────」

 

最初に包丁を洗い、まな板を置く、そこに買ってきた材料を置いて切り始める。

 

「名前で呼んで、か」

 

ふと何も考えずに料理をしていると、今日の出来事が脳裏に蘇る。

彼女は本当に意外な性格をしていた。

前、教室の入口でぶつかりそうになり、謝るといった会話をした。

そしてその帰り道には予想も出来ない行動をしていた友希那が居た。猫の真似をする友希那。

 

「そして今日も...」

 

家から出ると昨日と同じ所に彼女が居た。学校でよく見る彼女の仕草、表情、行動が全て違っていた。

あの友希那に、二回も会うなんて思ってもいなかったし。

自分の望んでいた特別な日にはなったけど、名前呼びは完全に隙を突かれた発言だったから本当に驚きだ。

 

「明日が怖いよ...ったく」

 

そう言い、煮ていた材料を確認する。

 

「あっ....」

 

そこには買ってきた材料達が悲惨な姿に形を変えていた。

色々考えながら調理していたため時間など測っていなかった。

これ完全に煮すぎたわ....

 

 

 

慎也に送り届けて貰い、私は来た道を戻る慎也を見送る。

商店街の方へと向かっていった彼がやがて見えなくなり、そろそろ家に入ろうとする。

 

「私も家に入ろう、少し寒くなってきたわ」

 

昼前はあんなに生暖かかったのに夜になるとどうしてこうも気温が下がるのかしらね。

 

「ただいま」

 

家に入り、軽く小さな声で挨拶をして直ぐに自分の部屋へと向かう。

明日はRoseliaの練習も無いので、明後日までには、新曲を完成させておきたいところね。そう思った私は作詞をし始める。

 

「んー....」

 

作詞というのは難しい、前の音程に合わせて曲調にもあった歌詞を考えなければならない。どうもいい言葉が思い浮かば無い。

仕方ないから、前買ったCDを聴きはじめる。

何か参考になるいい歌詞はないかしら?そう、思いながら、ベッドに寝っ転がる。

 

「ふぅ」

 

大して考えてもいないが少し頭が疲れた。

今私が聴いているのは最近有名のバンド。

 

ギターは激しくもしっかりと音程が合っていてとても盛り上がりがあるギター

 

ベースもギターの音に負けず、周りのサポートも出来ていてしっかりと音が聴こえてくる

 

ボーカルも他の楽器に消される事無く、綺麗に、大きく聴こえる

 

私達もこのバンドを目指して、否、このバンド以上の実力を付けなくてはならない。FWFに出場するためにRoselia5人が本気で努力をしないといけない。だからまず、私が他の4人を成功への道へと導いていかない...と....

 

そうして重く感じていた瞼が段々と落ちていく。

 

 

 

「慎也、おはよー!」

「あぁ、涼介か、朝からうるさいな」

「なんだよ元気ねーな?眠いのか?」

「分かってるなら放っておいてくれ」

 

そのまま俺は自分の席で机に突っ伏す。本当に疲れた。

結局昨日はおかず作るの失敗したし、何故か中々眠ることが出来ず1時くらいに寝るはめになった。

 

「そんなに眠いなら学校が終わるまで寝とけ」

 

それが出来たらとっくにしてるっての。

あー、また何時もの学校生活が始まる。この生活がぐうたらしてるのは重々承知してるがやっぱり眠気には勝てねぇんだよ。

 

 

 

適当に授業を受けていて今現在3限目の授業が始まった。

確か古文だったよな?正直古文なんて習った所で何かいいことでもあるのかよ...

 

「まずは、この紙を前から回してくれ」

 

なんだこの縦に長い長方形の紙は?

 

「今日は俳句を書いてもらう。テーマは今の自分の気持ちだ」

 

自分の気持ち?おいおい、俺が本当に今の気持ちなんか書いたら呼び出しとか食らうけどいいのか?こういうのって絶対真面目に書けないこと分かってやってるよな...

 

「この俳句が書き終わったら提出して自習だ、少し用事があるためここには居れない」

 

おおー、と声を上げる生徒達、嬉しいのは分かるが静かにして欲しいものだ、こんな俺たちを置いて教師は教室から出ていく。

まぁせっかく貰った自由時間なんだ適当に熱い気持ちでも書いて俺は寝よう。

 

10分程で書き終えた俺は再び机に突っ伏す。

 

ペラッ...

 

 

 

昨日私は作詞の為と言いつつ眠ってしまった。これは本気では無かった証拠、だから私は今の俳句の時間で昨日の遅れを取り戻せるように考えていこう。

 

「あらっ?」

 

何故か机の下には1枚の紙が落ちてあった。それを拾い上げると一句既に完成してあった紙だった。

 

「っ!?」

 

私はそれに目を通すと思わず息を飲んでしまった。

それは今も考えていた曲にあう言葉、とても曲にあう言葉があった。

俳句自体の善し悪しは、分からないが、真ん中の七文字だけはとても心に染みた。

周りを見るも探している人は居ない

 

「少し借りようかしら?」

 

悪いと思いながらも私はこの紙を参考にもう一度作詞に 脳を切り替えた。

 

 

 

チャイムが微かに聞こえ、俺は目を覚ます。

あぁ、もう終わりか、こんな時間が毎日、いや、毎時間あれば良いのになー、

さて、また面倒くさい教師に何か言われる前にさっさと俳句用事を提出しとくか。

 

だが自分の席にには用紙がない。

 

なんでだよ!?

 

窓は開いていないから風で落ちたということは無いし、万が一何かがあって落ちていたとしても自分の席の近くにはあるはずだ。それなのにない。

 

いやいやいやいや

なんで俺の俳句用紙を盗ったんだよ意味が分からねー、普通盗る必要無いだろ?それに────

 

「もしかしてこれ慎也の俳句用紙かしら?」

 

え?友希那?なんで俺の俳句用紙持ってんの?

 

「あ、あぁそうだよ、拾ってくれたのか」

 

考え直すと確かにそうだ。

机から落ちていたとしても誰かが拾っていれば周りを探しても見つからないのは当然だ。

 

「ねぇ慎也、この俳句なんだけれども────」

 

と友希那が何か話そうとしたが周りから視線と声が小さく向けられる。

 

「湊さんが男子と話してる」

「確かあいつ、上倉慎也って言ったよな?何かしたのか?」

「どっちから話しかけたのかな?」

「立ってるんだから湊さんじゃない?」

「いや、上倉が呼んだって事もあるぞ」

 

外野がうるさいな

 

「場所が悪いわね、...放課後空いているかしら?」

「意図は分からないが、別に暇だからいいよ」

「えぇ、また放課後に、後これ返すわ」

 

そう言って友希那は教室から出ていく。

その友希那の行動にまた外野達が、「ふられた?」だったり「怒らせた?」だったりと言ってくる。

あー面倒くさい。こういうのは時期に無くなるだろ、この問題は時間に解決してもらおう。

 

「よおー慎也、歌姫様と何を話していたのかなー?」

 

あーウザイ、おい涼介、何時か一度だけ優しくしてやるから今すぐ離れろ。

後ろで「羨ましい」だの「ずるい」だの何か涼介が泣き言を言っているが無視して置こう。そうして次の授業が始まる。




今回は二人の視点で書いてみました。
それぞれの視点で書くのってむずかしい...

次回
友希那との放課後回
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