時期は休み明けの月曜日。
学校なんて面倒くさく疲れるのに、一昨日、昨日と涼介に一日中付き合わされた。お陰様で疲れが全く取れていない。今日は確実に全ての授業を寝ることになるな。
そう言えば、涼介はまだライブチケットが手元に残っていてどうしようかと唸っていたな。
「はーっ」
いつもの如く教師が来るまで机突っ伏して眠る
今日は本当に学校が終わるまで寝ていたい。何かが起きて丸一日自習とかになってくれないかなー、もう寝ると言う運命からは逃げられないから、どうにかなって欲しい。
「慎也」
あ?名前を呼ばれ、また涼介か、と思うが呼ばれた声が全く違う。透き通った美しい声、この声は、
「友希那?どうした?」
俺を呼んでいたのは友希那だった。あまり彼女からは話しかけられないしそもそも彼女から誰かと話そうと行動した事に驚いた。
「少し付き合ってもらっていいかしら?」
「何かあったのか?別に構わないがその前に場所を変えたい」
「そのつもりよ、着いてきて」
こうして俺は友希那に呼び出しをくらい、教室から出る。もうこれ寝る時間なんて休み時間と授業中くらいしか無い....。
まぁでも、涼介みたいに無用ではなく、友希那はしっかりとした用があるのだろう。だからこれは仕方ない。
「それで、わざわざどうしたんだ?」
時期に人気の無い校舎の空き教室前で立ち止まる。
「今日放課後にRoseliaのの練習があるのだけれども、慎也も来てくれないかしら?」
「俺が....Roseliaの練習に?」
Roseliaってあれだよな、あの超実力派バンドの、そこに俺が?
何があって俺がRoseliaの練習に行く必要があるんだ?
「貴方は私が悩んでいた新曲に大きく関わった。私はメンバーに貴方の事を言ったのよ、それで合わせたいと思ってね」
うーん、俺は人付き合いが苦手なんだよ、メンバーが何人居るか知らないが、あまり行きたくはない。
「心配しなくても大丈夫よ、誰も貴方には悪い印象を持っている人は居ないわ」
友希那は微笑んでそう言ってくれる。
「Roseliaの活動に貴方は少なからず貢献してくれた。感謝の気持ちを伝えるのと、練習を見て第三者の意見が欲しいの」
「期待されてる程いい事は言えないけど」
「それでも、聴く側の意見も重要なの、一度来てみてくれないかしら?」
何を思ってこう言ってくれてるのか正直まだ分からない。俺の耳は楽器の音を聴き分けられる程いい耳は持ってない。でも俺の心は行きたいと言っている。
何故?
人混みは苦手なのでは?
どうしてここまで手伝いたいと思う?
俺は前、暇な日常にアクションが欲しいと思っていた。でも面倒な事に足を突っ込んでまでそれを望んでいない。
じゃあ何故?分からない。でも嫌な気持ちでは無い。
だったら今はそれでいい。役に立てるなら今はそれでいい。
「分かった、力になれるよう頑張るようにする」
「ふふ、ありがとう。放課後、楽しみにしているわ」
はぁ、歌詞作りに練習の意見、俺の日常は本当に変わったな。
「そろそろ戻りましょう。HRに遅れてしまうわ」
こうして俺は放課後に新たな予定を作り週の始まりの学校生活が始まった。
無事、全ての授業を寝て、放課後はしっかり目が覚めた。
今日学校で何を習って何が起きたかなんて何も知らない。まぁでも、学校なんて大した事も教えないだろうし大丈夫だろ。
「今日はずっと寝ていたわね、そんな事で大丈夫なの?」
「別に心配されるほどでもない、これでも赤点を取ったこと無い」
俺の二つ右の後ろが友希那の席の為、全て見えていたらしい。
俺は今友希那と一緒にCiRCLEに向かっている。
後数分後には全く知らない人達と会うんだろうなー。
「なぁ友希那、もうRoseliaのメンバーは今日の練習に俺が来ること知ってるのか?」
「えぇ、昨日の内に伝えといたから大丈夫よ」
「そうか」
......ん?待て、昨日の内?俺は今日、練習行くと言った。なのにもう連絡済み。
.....来ること想定で話していたのか、全く、俺が行かないと言ったらどうするつもりだったのか。
「着いたわ」
話しているといつの間にか到着していて、俺はとうとうスタジオに足を入れようとしていた。そして友希那がスタジオの扉を開け、二人でスタジオに入る。
「あっ、きたきたー、友希那お疲れー」
「湊さん、お疲れ様です」
「友希那さんこんにちはー」
「こ...こんにちは」
そこには友希那を合わせた5人のメンバーがいた。
どこかで見た覚えのある茶髪の人
青緑色の髪をしている真面目そうな人
紫色の髪をした元気のある人
落ち着いていて小声の黒髪の人
「全員揃っているわね、昨日も言ったけど、今日は前に話した、上倉慎也にもきてもらっているわ」
他の四人の目線が一気俺に集中する。こういう時何をするのが正解なんだ?とりあえず自己紹介でもしておくか。
「どうも、羽丘高校2年の上倉慎也です。お話にあったように今日はRoseliaの練習を見に来ました。よろしくお願いします」
「君が聞いていた子かぁ、アタシは今井リサ、ベース担当してます。よろしくね♪」
「私は氷川紗夜です。ギターをしています」
「ふふ、妾は漆黒の闇より生まれし、....えーっと、暗黒の女王、宇田川あこなるぞ!えへへ、ドラム担当してます!」
「白金燐子です.....キーボードを......やっています」
一人ひとりが挨拶をしていく。
これがRoseliaのメンバー達
「上倉さん、新曲の作詞のお手伝いありがとうございます」
「あ、あぁ、力になれたならよかった」
本当に俺の歌詞を使っているのか、少し恥ずかしいな
「早速だけれども一つ通して歌ってみるから思った事を素直に言ってちょうだい」
「あ、ああ」
そしてRoseliaが音楽を演奏し始める。
「ふぅ、どうだったかしら?」
........なんて言えばいいんだろう、凄い、上手とかの言葉しか出てこない。でもこんなんじゃ、何も力になれない。......
「......凄いとしか言えない。思った事があるとすれば1番と2番のサビの盛り上がり方が違っててよかった......?」
なんだこれ、誰にでも言えるような底辺の意見じゃないか。こんなんじゃダメだ。
「わ、悪いこんな事しか言えない」
「......大丈夫よ、第三者の意見が聞けて良かったわ」
「......」
くっそ、思い切り気を遣わせている。やっぱり俺は音楽の事に意見を言える立場ではない。これじゃただ邪魔してるだけだ。何してるんだ。
「慎也、今日は帰って大丈夫よ」
「っ、あぁ、邪魔したな」
俺は荷物をまとめてスタジオから出ていく。
結局何もしてやれ無かったな......初めて聴いた曲とはいえ、あの答え方は流石に無い。
「そう言えば涼介は、まだライブチケット持っているのか?」
せめてライブの感想くらいは言ってあげたい。同じクラス何だし友希那にありのままの気持ちを伝えてあげたいし。
「少しあそこ寄って帰るか」
そう思い俺はある場所へと足を運んだ。
今日は慎也に練習を見て貰っていた。今スタジオにはRoseliaのメンバーしかいないが、慎也を帰らせたのには少し理由があった。
「湊さん、彼....」
「えぇ、そうね」
あそこのサビの盛り上がり方はギターの音を一つ上げただけで前奏に合わせた曲調にしているから殆どの人が気付かない。私達自身もその耳の錯覚を利用して盛り上がりをひき出している。
「たった一回聴いただけで気づくなんて耳がいいのか、本当に音楽未経験なのか疑う所です」
ギターの紗夜だからこそ、あそこに気付いた慎也を一番信用している。
「彼には今後も来ていただけると練習の効率も上がる気がします」
「そうね、それでいいかしら?」
「アタシは全然いいよー、もっと上倉君とは話してみたいし」
「あこも全然オッケーです」
「私も....です」
そうして皆の意見が全会一致したのでこれからのRoseliaの方針は決まった。
慎也は音楽関連に疎いと言っているが全然そんな事は無い。
彼は確かな才能を持っている。これからのRoseliaに必要な人物になってきそうね。
「それじゃあ、練習始めるわよ」
そう一言声を掛け、いつもの練習が始まる。
6人も出て来てくれたお陰で、会話の多い回になりました。
やっぱり会話で勘違いさせないように書くの難しい....