今回は、最初読むだけでは理解しにくいかもしれません。
「おい、涼介!」
「おおっ!?何だ?」
俺は学校に着き、開口一番で涼介にそう話しかける。
「Roseliaのライブチケット、まだ持ってるか?」
「Roseliaの...あ、すまん、昨日の放課後にもう渡しちまった。」
「はあ!?」
なんでだよ、昨日まで残ってたのになんで他に宛が見つかった?これじゃあ、ライブ行けねー。あぁ、ったく前から受け取っとけば良かった。
「どうしたもんか」
「あー、悪かったな。もう少し早く言ってくれれば良かったのに」
「あぁ、...俺もいきなり悪かったな」
Roseliaの演奏、本当に凄かった。あの音をもう一度聴きたい。今度は少しでもいい事を言ってあげたい。何か手は無いかな。
俺は机で、ある物を見つめながら色々考えた。
「慎也、本当に大丈夫なのかな、目の下にすげークマ出来てたけど」
「慎也、一緒に帰ろうぜ」
「悪い....ちょっとパス」
「あ、あぁ、じゃあ今日は先帰るよ、じゃあな」
何か変に気を遣わせてしまったがまぁいい、今日は早く帰って昨日の続きをしないといけない。今度のRoseliaのライブの為に。
「慎也、今日も放課後放課後空いているかしら?」
「ゆ、友希那!?放課後は....」
まさかここで友希那に話しかけられるなんて、しかも放課後?練習は無いのか?
「何か予定があったかしら?それに眠そうね、クマが出来ているわよ」
「大丈夫だ....と言うより友希那、今日は練習無いのか?」
「あるわよ、今日も慎也に来て欲しいの。何か用事があったのなら仕方ないけど」
俺が、練習に?
昨日何もいい事言えてないのに、何故俺をまた。それに、用事の内容があれだからなー、断るのが正解なのか行くのが正解なのか....
「....いや、大丈夫だ付き合うよ」
「そう、ありがとう」
俺の決断は練習に行くと言う結果になった。
さて....一夜漬けの力、何処まで貢献できるかな。昨日より少しだけでも、いい事言えるといいな。
俺は友希那とCiRCLEに向かい昨日同様スタジオに入る。
「あ、友希那じゃーん。それに上倉君も、来てくれたんだ」
「あ、はい。こんにちは、今井さん」
「リサでいいよ、同じ学年なんだし、気軽に呼んで。こっちも、慎也って呼ばせてもらうから」
既に今井さ....リサはスタジオ入りしていて全員分の楽器を準備していた。こんな風に女子を名前呼びする人が二人になるなんてな。
「分かった。それでさ、昨日はあまり力になれなくて悪かったな」
「え?昨日?あー、もしや友希那、まだ言ってないなー」
「何の事だ?」
「いやいや、なんでもない、なんでもない。さ、練習始めよー」
何を言っているんだ?Roseliaの事なのかな、俺はあまり関係無いのかもな。それにいつの間にかもう皆揃っていたので、直ぐに練習が始まる。
「それじゃあ始めるわよ、まずは音合わせから」
個人の音合わせが終わり、1曲通すことになった。昨日同様俺は聴いた感想を言うらしい。凄い以外の言葉が思いつかないあの演奏をどう伝えるものかな。
「いくわよ、LOUDER」
その一声の直後に激しいドラムの音、ギターの音が響き渡る。盛り上がった前奏の後に多少落ち着いた音の中に奏でられる友希那の声。
引き込まれる音に俺は耳を傾け聴き入る。
「ふぅ、どうかしら?」
いつの間にか演奏は終わっていて、俺は聞き入っていたせいでその事に気づいていなかった。
「一通り聴いてみてこの曲は激しいとても盛り上がりのある曲だと思った。」
俺は淡々と聴いて思った事を口に出していく。
「だから最初のギターとドラムの音を上げても不自然なくより盛り上がると思った。」
「.......」
「それと、友希那が一人で歌う場面が印象的だった。楽器の音がなくても迫力があった」
「「「「「.......」」」」」
俺の感想を聞き終えた5人が静かに俺の方を見続ける。
...こういう時誰でも良いから何か言って欲しい。見当違いなのかすら分からない。
「もしかして、見当違いな事言ってたか?もしそうなら、すまん」
「いえ、大丈夫です。それと1時間ずっと休みも挟んでないので少し休憩をとった方が良いかと」
「そうね、少し休憩にしましょう」
そうして夫々、個人的に休憩を取り始める。少し外の空気でも吸ってこよう。気を変えたい。
「ちょっと外行ってくる」
「わかったわ、10分後にまた再開するからそれまでには戻ってきて」
友希那に承諾を貰い一度スタジオから出る。
「結局俺の言ってる事は正解なのか?」
そんな事を呟きながらぼーっと時間を潰す。
休憩を取り、夫々休み始める。私もずっと歌っていたから喉が乾いている。自分のバッグから水を取り出しそれを飲む。
「湊さん、彼の感想、意見が昨日とかなり違いましたね」
「確かにそうだったわね」
「はい、的確な指示とてもありがたかったです」
「.......」
「ギターやドラムの音についても触れてきた。本当に未経験なのですよね?」
「慎也自身はそう言っているわ」
そう答えてもあまりうかない顔をする紗夜。確かにその気持ちもわかる。歌を聴いて、そこから細かな音について、ギターや、ドラムのことを少しは知識が無いと分からないはず。
「才能、かしらね」
水を飲み、自分のバッグへしまう。
「これは?」
近くにあった慎也のバッグが目に入いった。チャックが開いており中を見ると大量の本が入っていた。手に取って見てみると予想外の本だった。
「これ、って」
それは、音の聞き分けの本や、ギターや、ベースと言ったバンドに関係する参考本が入っていた。
もしかして、慎也は昨日ずっとこれらを読んでいたのかしら....
だからあんなクマが....
「?湊さんどうかなさいました?」
「いいえ....大丈夫よ」
「あまり大丈夫そうには見えません。しっかりと休憩して下さい」
「ええ、ありがとう紗夜」
慎也はRoseliaの為にこんなにも頑張っていた。自分の理由で慎也を誘って、こんな無茶をさせていた。そんな事させるつもりなんて無かった。こんなに頑張るとは思わなかったから。
「戻りました」
そんな慎也が目に入る。謝らないといけないわね。こんな事をさせたのだから。
「友希那さん、そろそろ始めませんか?慎也さんも戻ってきたことですし」
「そうするつもりよ」
帰り少し二人で話そう。
練習が終わり、それぞれか片付けをし始める。
「ねぇねぇ、この後皆でファミレス行きませんか?りんりんは行くでしょ?」
「う、うん」
「お、いいじゃん、私も行こうかな?紗夜も行くでしょ?」
「わ、私はそういうのにはあまり....」
「いいじゃん、紗夜も一緒に行こーよ」
元気な事だ。そんな事する気力なんて無い。例え誘われたとしても俺はパスだ。
「慎也も一緒に行かない?楽しいよー」
「悪い、今日はパスで」
「んー、友希那は?」
「私も今日は少し用事があるからやめておくわ」
この後にも友希那は何かあるのか、お疲れ様としか言いようがない。
その後、CiRCLEを出て四人はファミレスへと向かっていった。
「それじゃあな、練習、誘ってくれてありがとうな」
「....待って慎也、この後少し話さないかしら」
「?別に構わないよ」
二人で歩きながら話し始める。友希那は何か用があるんじゃなかったのか?
「今日の練習、感想ありがとう」
「力になれたか分からないが、そう言って貰えると嬉しいよ」
「それと....」
何故か友希那が黙り込んでしまう。何があったんだ?俺何かしたか?
「ごめんなさい。貴方に余計な無茶をさせたわ」
「....え?」
いきなり立ち止まって頭を下げる友希那。何してるの?なんで謝ってるの?
「私の勝手なお願いで、慎也に徹夜までさせて、練習に来させた。Roseliaの事ばかりで貴方の事何も考えてなかったわ」
徹夜?なんで友希那それを知ってるんだ。
「偶然貴方のバッグの中身見てしまって、それで、あの本を」
あー、あれ見ちゃったか、しっかり閉めとくんだった。
でも....
「....なんで謝ってるんだよ?お前じゃなく、俺が勝手にそうした事だ、謝る理由なんてないだろ?」
「でも、Roseliaに誘わなかったら徹夜までしなかったはず」
んー、友希那何か勘違いしてるな。どうしよう、意味の無い謝罪をさせる訳もいかない。
「そうじゃない、Roseliaの演奏が俺は好きで、力になりたくて、行動したんだ。友希那はそのきっかけを作ってくれたんだよ」
「.......」
「だから感謝してるんだよ、こうしてRoseliaに、お前に会えた事が嬉しかったから」
「っ....バカね」
なんでここで罵倒されたんだよ。退屈な日常を友希那が変えてくれた事が嬉しいって言っただけなのに。
「ありがとう。明日も来てくれるかしら?」
「お望みなら」
友希那のその顔は少し赤く染まっていた。この少し暗い道でも分かるくらいに。明日もRoseliaの練習にか、期待に応えられるようにしないとな。
そのまま俺は友希那を家まで送ったのだった。
はい、と言う事で、前回慎也が寄ったのは本屋で楽器の本を買うためです。
今回は少し最初が曖昧でしたね。
でもこれを書きたかったから許して。
自分勝手な作者でした。次回も頑張ります。