元社畜と陽だまりの彼女   作:野兎改二

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初投稿です


第一話

 僕は仕事を辞めた。

 某自動車メーカーの整備士として入社した僕、天ヶ瀬 凪は二年目突入と同時に辞めることを決心し、遂に無職となった。

 その職場はそれはもう酷い所で、毎度のごとく理不尽な理由で上司に叱られてはサービス残業を強いられる毎日。そんな日々に嫌気がさしたのだ。

 

「ついこの前まで学生だったはずなのになぁ」

 

 そう呟きながら寒い夜道を歩く。季節は冬。どうしてこうなってしまったのだろう。

考えることはいつも同じ、どうしてこうなってしまったのか、どこで道を違えてしまったのだろうかと。

 だが、仕事を辞めることが出来たからなのか、意外と気分は晴れ渡っている。今までは常に仕事のことだけを考え、夜も眠れない日も少なくなかった。眠れたとしても、仕事に追われる夢をよく見たものだ。

 そんな生活が無くなるんだと思うと自然と心が躍るような気がした。

 だが生活するにはお金がどうしても必要になる。いつまでも無職でいる訳にはいかない。

 

「このままニートで居たいのは山々だけど早めに働き口を見つけないとなぁ・・・」

 

 といっても当てがある訳じゃない。どうしたものかと考えながら歩いていると、ポスターのようなものが電柱に張り付けてあり、ふと目についてしまった。

 

「なぜこんなところに・・・?」

 

 そう思いつつ目を凝らしながらそのポスターに目を通した。

 どうやらアルバイトの求人のようだ。

 

「なになに・・・?ライブハウスCiRCLEでライブを盛り上げよう!新人スタッフ大歓迎!・・・」

 

 なんともまあ理解に苦しむ求人ポスターである。結局のところ何をするバイトなのかさっぱりわからない。しかも大人が作ったとは思えないほどの雑さを感じる。

 

「でもまあ他に当てがある訳でも無いし、とりあえず明日行ってみるか・・・」

 

 正社員を辞めてアルバイトというのも現実的にはおかしな話かもしれないが、正直、この求人を募集したいのかそうではないのかよくわからないポスターに少し興味が湧いてしまった。

 

「今日は帰って明日に備えるとしますかね」

 

 そう呟きつつ帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 帰り着いた後はすぐに寝てしまった。ここ最近真面に眠れてなかったこともあってか快眠だった。一応、目覚まし時計を八時に設定して置いたのだが、起きた時刻は七時半。

まさか目覚まし時計よりも早く起きるとは僕自身予想していなかった。今までなら例え休日でも正午近くまでは寝ているのが普通だったので軽く困惑している。

 

 「まさか仕事を辞めるだけでここまで日常生活に変化が出るとはね・・・」

 

 兎に角、支度をしなければ。

 

 

 

 

 

 「うぅ 寒っ」

 

 外に出た瞬間肌が凍るように冷えていく。

 

 求人募集のポスターに書いていた住所を昨日予めメモしておいたのでそれを参考にしつつ例のライブハウスを探す。

 

「・・・えーと、 この辺のはずだけど・・・お、ここかな?」

 

 

 見つけた。

 まさかこんなところにライブハウスがあるとは、一応近所のはずなんだけど。

 とりあえず入ってみるとしっかりと暖房が効いており凍えた身体が温まる。

  

 入ってすぐ正面に受付らしき女性がいた。

 

 「すみません、求人募集のポスターを拝見して伺ったのですが・・・」

 

 そう言うと受付の女性は少し眉をひそめてから

 

 「求人募集のポスター・・・? あぁっ アレね!なるほどなるほど!」

 

 その間は何なんだろう・・?

 

 「そういうことならこっちに来て!あ、履歴書とかは別にいらないからね!」

  

 いいのかそれで。

 

 彼女はそう言いながら僕を奥の部屋へ連行するのだった。

 

 

 

 

 

 あの後、このライブハウスのオーナーと面接があり、即採用とのことだった。

 

 ・・・本当にいいのかこれで

 

 「今日のところはもう帰っても大丈夫だけど・・・あ、今から時間ある?」

 

 「はい、特に予定はありません」

 

 「なら、今からRoseliaっていうガールズバンドがライブをするんだけど見ていかない?」

 

 「・・・分かりました。そういうことなら是非、拝見します」

 

 僕がそう言うと、

 

 「まぁまぁ、そう堅くならずに」

 

 そう言われたが、相手が目上、年上となると過去が過去なだけあってそう簡単にはいかない。

 

 「はい、善処します」

  

 「・・・はぁ・・・」

 

 なんか飽きられてしまった。

 

 

 

 

 

 

 ここがライブスタジオか。おぉ、人がいっぱい。

 

 「Roseliaって言ったっけ、すごい人気なんだなぁ」

 

 「そう、Roseliaは本格派ガールズバンド、技術もプロ顔負けなのよ!」

 

 うぉっ っと、急に話しかけられたからびっくりした。と心の中で驚く。

声に出なくてよかった。

  

 そう思っていると彼女がニマニマした顔つきでこっちを見てきた

 

 「なんだ、そういう表情もできるじゃない」

 

 「・・・ちょっと驚いただけですよ・・・」

 

 できるだけ真顔を保ちつつ僕はそう言う。

 

 「・・・そういえば、自己紹介してなかったね」

 

 そういえばそうだった。

 

 「私は月島まりな。 このCiRCLEでスタッフをしてるよ! あなたは?」

 

 そう言い僕に自己紹介を促してくる。

 

 「・・・僕は、天ヶ瀬 凪です、歳は今年で二十二です、訳あってアルバイトをすることになりました」

 

 「うんうん、よくできました♪」

 

 ・・・なんだろうこの遊ばれてる感じは・・・

 

 「さて、自己紹介も済んだことだし、ほら! そろそろ始まるよ!」

 

 そこで僕は初めて君に出会い、初めて知ったんだ。

 

 君の笑顔を、その陽だまりのような存在を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これだけ書くのにとても疲れた・・・
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