彼女・・・今井リサさんはすぐ近くの学校である、羽丘女子学園の生徒でRoseliaのベーシスト兼、潤滑油的存在である、らしかった。 潤滑油て。
「アタシのことは大体こんな感じ、今度は天ヶ瀬さんの話聞かせてくださいよ!」
「僕のことは凪でいいよ、あと敬語もいらない、慣れてないし」
「そうですか?なら遠慮なく!・・・凪さんは何か趣味とかないの?」
趣味・・・か、最近は仕事のばかりでそういうのは無かったな・・・
「仕事かな」
「えっ」
「じ、冗談冗談・・・」
普通に考えて仕事が趣味ってやばいな、末期じゃん。
「笑えないって・・・」
「そうかな、ははは・・・」
・・・
なんか変な空気になってしまった。仕方ないよね、女の子と話す機会なんてそうそう無いんだから。
「・・・そういえば、仕事って言ってたけど何をしてるの?」
「・・・別に遊んでる訳じゃないぞ」
「いやっ、そう意味じゃなくって、どんな仕事してるのかなーって」
「・・・あー、そういう」
さて、なんと答えたらいいものか・・・
「・・・無職」
「え?」
「・・・今は無職だよ、数日前に辞めたんだ」
「なにかあったの?」
「・・・いろいろね・・・」
純粋な女子高生に社会の闇を教えるわけにはいかない、そう思い僕は話をはぐらかした。
「・・・そう」
彼女も気を使ってくれたらしい、それ以上深く聞いてくることはなかった。
彼女ばかりに気を使わせて・・・一体僕はなにをしているんだ。さっきから困らせてばかりじゃないか。
「今井さんは、今生きてる時間、バンドのこと・・・Roseliaのこと好き?」
せめて僕になにか言えることを
「うん、今、この時が好きだよ、Roseliaはアタシの居場所。これからもそれが変わらなければと思ってる」
大切に思ってることが自覚できているならいい、どんなことだって過ぎたあとに気づくものだから
「なら、バンドのこと、今いる居場所、大切にね」
自分のことを棚に上げてなにを、とも思った。でも僕が、今まで後悔ばかりの人生を歩んできた僕が言えることはこれだけだった。後悔だけはして欲しく無いんだ。
「・・・! うん・・・もちろんだよっ」
「そうか、ならよかった」
「・・・あと」
「うん?」
「アタシも凪さんって呼ぶから、凪さんもアタシのことは名前で呼びなよ」
「・・・えー」
「なんで嫌がるの⁉」
「だって恥ずかしいし」
「アタシだって恥ずかしいよ!?」
えー、そんな素振り微塵もなかったのに。
「・・・リサ・・・さん?」
「なんで疑問形?あと、さん付け無し!」
「それじゃあ、・・・リサ・・・これでいいか?」
普通に恥ずい。
「・・・」
なんか頬を染めだした。意外と初心なのな、あとこっちも恥ずかしくなってきたからやめて。
「う、うん、合格!」
リサは少し照れながらそう言う。やばい普通に可愛い。
と、そうしているうちに時間がかなり過ぎていた。
「あ、ごめんリサ、急いでるからもう行くね」
「あっ」
ちょっと残念そうな表情をするリサ。
「・・・またね・・・」
彼女はそう言いながら僕を見送っていた。
「あ、おはよう!早いね、天ヶ瀬君!」
リサと別れた後、急ぎCiRCLEへと向かった。しかし急ぎすぎたせいか少々早く着き過ぎたみたいだ。それにしても朝から元気だなこの人は。
「おはようございます、月島さん・・・あと僕のことは凪と呼んでくれて構いません、言いずらいでしょうから」
「わかった!よろしくね、凪君!・・・それなら私のことはまりなって呼んでね!」
「いやそれはちょっと」
「なんで⁉」
なんでって・・・普通に恥ずかしいからね・・・今までまともに女の人と話すことがなかったし。でもなんか不機嫌そうだし・・・
「わかりましたよ、まりなさん・・・これでいいですね?」
「うんうん♪素直な子は嫌いじゃないよ?」
・・・なんか上手く乗せられた気がする。しかもこの件はさっきやった。
「おはようございます・・・あら?まりなさん、そちらの方は・・?」
そうこうしていると、女学生五人が入ってきた。挨拶をしたのはいかにもクール系って感じの子だ。と、その中には・・・
「あっ」
「や、やあ、奇遇だね・・」
そう、そこにはさっき道端でぶつかった女の子・・・リサもいた。
既にリサ姉のキャラ崩壊が起きてる