五人の花嫁たちが出会ったのはサッカー選手の卵でした 作:前園正幸
長い空の旅を経てようやく空港に到着した。僕はここで風太郎のお父さんと待ち合わせをしており、その後風太郎の家に車で向かうという手筈になっている。
「おーい!こっちこっち!」
声のする方を振り向くと風太郎のお父さんが立っていた。
結「お久しぶりです 勇也さん」勇「いやーそれにしても大きくなったなあ!今何歳だっけ?」結「15です」
勇「そうかそうかもう15か!本当この8年あっという間だったなあ!」
相変わらず風太郎のお父さんはテンションが高い。自分的にはテンション高い人は苦手だったりするがそこは置いておく。
結「あ、ところで例の件風太郎にはバラしてませんよね?」
勇「もちろんさ!俺はこう見えて約束は守る方なんだぜ?」
結「それは安心しました。バレちゃってたらサプライズになりませんからね」
とこのような会話を風太郎宅へ向かう途中の車中で交わした。
そして一時間ほど経つと家が見えてきた。
勇「どうだ?懐かしいだろう?」結「はい。ようやく帰ってこれたと実感が湧いてきました」
風太郎の家には何度かお邪魔したことがある。もはや第二の生家と言っても過言ではないだろう。…まあ当の風太郎本人が自分の事を果たして覚えてくれているかどうかが問題だが。
勇「お腹空いてないか?何か食いたい物があったら適当に冷蔵庫漁って食べていいぞ」結「お気遣いありがとうございます。今は飛行機の機内食食べたのでお腹は空いていません」
勇「そうか。じゃあ今日は早く風呂入って寝なさいな。部屋は二階にあるぞ」結「何から何までありがとうございます」
勇「いいってことよ。結君は俺のもう一人の息子みたいなもんだからな!」 そう言い残して勇也さんは自室に戻っていった。…本当にこの人は昔から気さくな人で、ちょっと適当なところもあるけれどさっきも言ってくれたように僕を本当の息子のように接してくれた。
そして翌朝、いよいよ転校初日、高校生活が始まる。
身支度を整えてリビングへ向かう。
結「おはようございます」勇「おはよう!制服似合ってるぞ!」
そう言って勇也さんは僕の頭をくしゃくしゃ撫でる。せっかく整えてきたのにこれではやり直しだ。
結「ところで風太郎は起きてるんですか?」
勇「いや、今この家にはいないんだ。」結「え?それってどういう…」勇「最近あいつ家庭教師のバイト始めてな、なんでも一度に5人も教えてるんだと。しかも教えてる生徒の家に泊まり込みで家庭教師やってると聞いたぞ」結「そうなんですか。しかしなぜ泊まり込みをしてまで教える必要が?」勇「それは俺にも分からん。けど報酬は普通の家庭教師の5倍って聞いたぞ。今家は経済的に厳しいからその話を聞いたときは飛び上がってよろこんだものさ」
結「普通の5倍…」
そこまでの報酬が用意されているということは、何かの詐欺か、あるいは教えてる生徒の成績が相当やばいことになっているか、この二択だろう。
勇「お、そろそろ行かないと遅れちまうぞ」 時計を見るとかなりギリギリの時間になっていた。
結「ごめんなさい!行ってきます!」そう言って僕は急いで家を出た。
6分ほど走ると風太郎が通っている高校の校舎が見えてきた。まだ生徒が校門をくぐっているところを見ると時間は大丈夫そうだ。
職員室に着いた。
結「失礼します。今日から転校することになりました、如月結です」
すると一人の男の先生が歩いてきた。
「君が如月君だね。私は君のクラスを担当する足立といいます。これからよろしくな。もうそろそろホームルームの時間だから一緒に教室まで行こう」
教室に着くと、
足「皆静かに!今日は転校生が来てるぞ!」
教室がざわつくのが廊下まで聞こえてきた。
足「如月!入ってこい」
呼ばれたので教室に入るとさっきまでざわついていた教室が一気に静寂に包まれる。
結「皆さま初めまして。如月結です。ドイツからの帰国子女です。向こうではサッカーをやっていました。これからよろしくお願いします」
足「皆如月と仲良くな!如月の席だが、あの1番後ろの上杉の席の右隣だ」
上杉ってやっぱり…
足立先生に指示された席に向かう。
結「久しぶり、風太郎」
一瞬、誰だっけという顔をされたがすぐに思い出したようで、
風「ああ、幼稚園一緒だったな」と返してくれた。
風「今どこに住んでるんだ?」結「風太郎の家」風「は?」
結「だから、風太郎の家」風「おいおいまじかよ。なんで親父もらいはも言わなかったんだ…」
足「ホームルームは終わりだ。上杉、お前は如月に次の授業の教科書見せてやれ」 風「わかりました」
直後、僕の席に人だかりが出来、
「さっきサッカーやってたって言ってたよね?どこのチームでプレーしてたの?」結「バイエルン・ミュンヘンだよ。」「マジかよ!あのチャンピオンズリーグも優勝したこともある強豪か!すげー!」その後も1限開始ギリギリまで質問責めにあった。…あ、風太郎のこと忘れてた。ごめん。
そして昼休み、
風「今から食堂行くけど結も一緒にくるか?」僕はその提案を承諾し、風太郎とともに食堂に向かう。
風「あ、言い忘れてたけど、あと5人来るから」
5人も来るのか…ん?5人?
「上杉さん!おまたせしました!あれ?その人はどちら様ですか?」
声がしたので振り向くと、そこには頭にうさ耳リボンをつけた女子生徒が立っていた。
風「こいつは今日転校してきたばっかなんだよ。俺の幼馴染だ」
「そうだったんですね!私は中野四葉です!よろしくお願いしますね!」 結「よろしくお願いします」
その後残り四人が集まり、
風「よし、お前ら、結に自己紹介しろ。まずは一花から」
「中野家長女の一花です。何か困ったことがあったらお姉さんに相談してね!」
風「次、二乃」
二「中野二乃よ。ふうん、まさか上杉に幼馴染がいたとはねえ。上杉より頭良さそうだわ」
風「二乃だけ来週のテストの合格点数高くするぞ」
二「はあ⁉︎なんでよ!」 風「次、三玖」二「ちょっと!無視しないでよ!」
三「…中野三玖 結君は抹茶ソーダ好き?美味しいから飲んでみて」抹茶ソーダ?そんな飲み物がこの世にあるのか…
風「念のため四葉も自己紹介しとけ」
四「はい!改めてまして、中野四葉です!この五姉妹のなかでは1番区別がつきやすいように頭にリボンつけてます!」この五姉妹、どうやら顔まで一緒みたいだ。一卵性か…
風「最後、五月」
五「中野五月です。これからよろしくお願いしますね」
今日だけで沢山の出会いがあった。特に中野家の五姉妹の面々は個性豊かで風太郎も苦労してそうだ。
第2話終了です 五姉妹の性格等こうしてほしいなどのいけんがありましたらご意見をいただきたく思います