※一部誤字がありましたので、訂正しました。
『ごめんなさーい、12位はてんびん座の貴方。今日は自分の思うようにならない日かも』
プツッ
そこまで聞いて俺はすぐさまテレビを消した。
自分にとって都合の悪いことはあまり聞き入れないことだ。
しかし12位とは朝からテンションが下がるというものである。
普段占いとかは信じないタイプに属する俺だがこういうのを見ると、信じずとも少しはテンションが落ちてしまう。
溜息をつき荷物を手に取り家を出る。
空全体が雲に覆われていて空気がとてもどんよりとしている。
今日から転校して新しい学校に通うというのにとことん幸先の悪いスタートだ。
ちなみに以前俺が通っていたのはただのむさっ苦しい男子校で、これから通うのは元女子校の羽丘学園。元女子校なため男女比率が圧倒的に女子の方が多いと聞いた。
であるが故に俺は現在非常に緊張している。小中は共学だったが、高校は男子校だったため女子との話し方なんぞ殆ど忘れてしまっているのが現状。
正直てんびん座12位と相まって不安しか募らなかった。
そうこう考えながら歩いてると前方で何やら小学生が、何かを虐めているようだった。
「…あれは、子猫か?」
流石に見てて気分が悪いので急いで小学生らを追い払う。
子猫1匹に対して人間数人で虐めるとはかなり趣味の悪い連中だ。
制服を着ていなかったら小学生と言えど容赦なく殴り掛かっていたところだ。
小学生に虐められた子猫は数箇所怪我をして少し衰弱してしまっていた。
転校初日と言えどここで子猫を見捨てる程、俺も腐っていないつもりだ。
何者かに見られているような気がしたが、とりあえず今は気にせず、俺は子猫をできるだけ優しく抱き上げ通学路を引き返した。
一通り子猫の手当てを終えて、エサと水を与え、とりあえず柔らかいタオルで作った簡潔なベットで休ませる。
昔野良猫を飼っていた経験がここで生きたようだ。
だがしかしそうこうしてるうちに時計の針は12時を回ったところだった。
まぁ、今からでも一応転校初日ということで学校には行くことにした。
俺が学校に行ってる間に子猫が腹を空かすといけないのでエサと水をある程度置いてから家を出た。
先程歩いた通学路を再び歩き学校へと向かう。
学校に近づくにつれ、改めて緊張してくるのがわかった。
校門前までつき、校内に入る前に深く深呼吸をして、気合を入れる。
……と、気合を入れたまではよかったのだが、職員室に向かおうとしてどうやら俺は早速校内で迷子になってしまったらしい。この歳にもなって恥ずかしいというコメントは置いといて、正直これはかなりまずい状況だ。
女子とのコミュニケーション能力が欠如してしまっている俺には到底自ら話しかけに行くなんてことは不可能。
さあどうしようか迷ってあたふたしている俺はふと声をかけられた。
「君、こんな所で何してるの?もう昼休み、遅刻は良くないよ?」
振り返るとそこには相当顔立ちが整っている水色の髪の女子生徒が立っていた。
「…え、あ、いや、その、すみません、道に…迷っちゃいまして」
その可愛さに見惚れて早速コミュ障フルマックスな俺に嫌気が差したが、今はそんなことで悩んでいる余裕はない。
「道に迷ったって、君うちの生徒じゃないの?」
「あ、いや、俺はその、今日転校してきたんですけど」
「あぁー、なるほど!通りでるんっ♪ってきたわけだ!君、何年何組かは分かる?」
る、るん?な、なんの事だろうか…
「えっと…一応2年A組って聞いたんですけど、職員室の場所ってどこにあるんですか?」
「職員室?うんオッケー!んじゃ案内してあげるからついてきてよ」
「は、はい」
何とか成り行きで職員室に着けそうだが、それとはまた別問題に俺のコミュ障は思ったより酷かったようだ。少しづつでも直していかないとな。
「そー言えばじこしょーかいするの忘れてた!私は3年B組の氷川日菜。この学校の生徒会長だよ!」
おっと、まさかのいきなり先輩+美人生徒会長様であらせられるか…まぁ確かにこの人はすごくカリスマオーラに満ち溢れているような気がしていた。
「ほら、次は君の番だよ」
「あ、は、はい、俺は宮崎新(みやざきあらた)です。えっと前は隣町の男子校に通ってました」
やはり話す時に最初に〈あ〉がついてしまうがこれくらいなら妥協できるラインだろう。
「んー、それじゃあ君のことはこれから新くんって呼ぶね!」
新くんか、なるほどね…………は!?名前呼び!?
マ、マジか…最近の女子高生はみんなこうなのだろうか…。
この幸せだけで飯100杯はいける気がしてきた。
「あははっ新くんてばなんでそんなに汗かいてるのー?変なのー」
「あ、い、いや別になんでもないですよ?えぇ、ほんとに。あ、あと俺は先輩のことは氷川先輩で大丈夫ですかね」
「んー、それだとおねーちゃんと分かりづらいから日菜でいいよ!あと敬語も禁止!」
……はっ!俺としたことが思わず硬直してしまった。で氷川先輩は今なんて言ったんだ?名前呼びでいい?敬語禁止?……マジか。というかお姉様がいるのか、この見た目だとお姉様もさぞかし美人なのだろうな。
いや、ていうか流石に名前呼びはハードルが高すぎるな。なら少し妥協して…
「えっと…すみません、流石にそれはまだ早い気がするんで、その、今は敬語と日菜先輩で勘弁してください」
「えー…まぁいっか、あ、ここが職員室だよ」
下の名前で呼び捨てにされず不満げな日菜先輩はそう言った。
どうやら話に夢中になっているうちに目的の場所に着いたようだ。
「ありがとうございました、日菜先輩のおかげですごく助かりました」
「なんもだよ、新くんと話して私もるんっ♪って来たしね」
コミュ障っぷりをいきなり晒してしまったのは減点だが、こうして生徒会長である日菜先輩と接点をもてたのは非常にいい出だしなのではないかと思う。
「あ、そーだ!今日は新くんに校内を私が案内してあげよう!」
「え、マジですか!助かります!」
「うんうん!じゃあ放課後になったら3年B組の教室まで来てね!」
「はい、了解です」
それだけ言うと日菜先輩は自分の教室へと戻って行った。
というかまさか放課後の予定まで埋まってしまうとは、遅刻したと言えど、出だしはかなり成功と思ったのもつかの間。俺は重要なことを思い出す。
「そういや3年B組の教室…どこにあるか知らねーや…」
俺はあからさまに落ち込んで職員室に入るのだった。
とりあえず今回はここまでにしておきます。次回はいつ書くか分かりません。