アザミはセビアの手を引き走る。
狼の声はだんだんと大きくなってきているのが分かる。
追いつかれるのも時間の問題だ。
セビア「ハァ…ハァ…!」
さっきからセビアは辛そうだ。
走るスピードもかなり落ちている。
おそらくヒールが走りにくいのだろう。
これ以上無理に走らせても、自滅を招く。
アザミはセビアのスピードに合わせて走った。
アザミ「…大丈夫か?」
セビア「…う、うん…!大丈夫…!」
しばらく走っていると、木の間から家らしき物がみえた。
セビア「あれって!」
アザミ「人家だ…!セビア、もう少しの辛抱だぞ…!」
二人は満身創痍で走った。
やがて狼の声も聞こえなくなり…
“ドンドン!!”
アザミは人家の扉を強く叩く。
アザミ「誰かっ、誰かいませんか!?お願いします!助けてください!」
その瞬間、
“カチャッ”
扉の鍵が開いた。
???「鍵は開けておいたよ…さっさとお入り…。」
アザミ達は何とか生き延びたのであった。
現在地:森の人家
屋敷の中は広かった。
そしてとても暖かい。
ーーーなんとか助かって良かった…。
???「おやおや、可愛らしい子供が迷い込んだみたいだねぇ。」
階段から誰かが降りてくる。
深緑のマントに先のとんがった帽子。腰は少し曲がって、表情はとても柔らかい。優しそうな老婆が降りてきた。
アザミ「アザミといいます。さっきは助けてくれてありがとうございます。」
セビア「セビアです。本当に助かりました。」
老婆「無事で良かったわ。大丈夫?狼に襲われる人、よくいるのよ。そのほとんどが、狼達の餌になってしまったのだけど。」
老婆「オマケにこの雨の中、よく逃げきれたわね。本当に運がいいわ。」
老婆「私はこの家に住む魔女なの。雨がやんだら、魔法で近くまで送ってあげるわ。」
どうやら老婆は魔女らしい。もう超常現象続きであった二人は、それほど驚かなかった。
アザミ「いいんですか…?」
魔女「えぇ、いいわよ。それより、二人共疲れたでしょう?雨がやむまでまだ時間があるようだし、ご飯にしましょう。遠慮はしなくていいのよ。」
“キュルルルルルル〜”
アザミの腹の虫が鳴く。
アザミ「…いただきます。」
魔女「良かった、丁度お腹が空いているみたいね。それじゃあ、私についてきて。」
そう言って、魔女は階段を上がっていった。
セビア「魔女か…。大丈夫かな…?もし悪い人だったら…」
アザミ「大丈夫だろう…。もう僕達も限界だ。しばらくお世話になった方がいい。」
セビア「…でも…」
魔女「二人共どうしかしたのかい?さっさと上がっておいで。」
アザミ達は魔女の元へと向かった。