種ウマ娘   作:こもれび

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今更ですが、この金額……
言わなくても分かりますよねw


第二十四話 10億9262万円

 みんなを白濁液まみれにした直後から、私はみんなのおもちゃになった。

 巨大化したペ〇スを触られまくって、メジャーで長さを測られたり、太さを測られたり、息を吹きかけられたり、擦られたり……

 みんな興味津々で質問しつつ私のそこばかりを弄りつくしていたのだけど、暫くしたら、またしょんぼりと小さくしぼんでしまい、それから何をしても大きくなることはなかった。

 ただ、スズカさんが触った時だけは、微かに反応したのだけどね、それも、ほんの少しだけ。

 先ほどスズカさんがしたように手でしごいてみたり、お尻に挟んでみたりと色々されたけど、もう今日はダメだった。

 

 みんなで身体を洗ってお風呂を出る。

 その後も、寝間着姿のままペ〇スをだした私を取り囲んで、あれやこれやみんながどうしたらまた大きくなるか、相談しつつ弄られるも変化なし。

 もうやめて欲しかったけど、物珍しさからみんなは辞めてくれず、私は下半身丸出しのままで枕を顔に押し当てて眠りました。スズカさんが手を握りながら添い寝してくれたから眠れたのかな?

 翌朝目を覚ましてみれば、丸出しの私の腰や足を枕にみんな寝息を立てていた。

 テイオーさんとか、涎垂らし過ぎで、私のペニスもぐっしょりだったよ。

 

 さて、そんなこんなで久々に会ったみんなとの楽しい時間も終了。

 みんなは学園の勉強もあるのですぐに帰ることになった。

 

「スぺちゃん。私も出来る限りのことしてみる。だから心配しないでね」

 

 そう言ってくれたスズカさんの言葉に胸が熱くなる。

 みんなもそれに合わせるように、なんとかお金を集めてみますと言ってくれた。

 私はみんなを見送ってから、すぐに良馬繁殖センターへと向かった。

 

 みんなにばっかり迷惑かけちゃだめだ!

 

 なんとかしなくちゃ……

 

 私のことなんだから……

 

   ×   ×   ×

 

 

「数河井先生! 私、種付け頑張ります!!」

 

 そう先生の前で宣言すると、先生は呆気にとられた顔になった。

 でも、すぐに表情を和らげて、

 

「そう、じゃあ頑張りましょうね。私もフォローするから」

 

「はい」

 

 こうして私は数河井先生と二人で気持ちも新たに種付け場へと向かった。

 

 私が用意すべき金額は10億円を超えている。

 はっきり言って、この金額を今の私が払えるわけがない。

 でも、ルドルフ会長さんたちは言っていた。

 種牡ウマ娘は、種付けするごとに歩合でお給料が増えると。

 もしそうなら、私がここで頑張って種付けをたくさんすれば、ひょっとしたら10億円くらい溜めることができるかもしれない。

 もうそれしかない。

 みんなが私の為にとお金をあんなに集めてくれた。

 スズカさんは私の為に命がけで身体を張ってくれもした。

 だったら私だって、やれることをやるしかない。

 

 私が病気なのか、本当に死んでしまうのか、そのことだって理解なんてしていない。

 でも、だからって何もしないじゃ、みんなに顔向けなんて出来ない。

 そう、もうやるしかない。

 

 昨夜、私は確かに勃起して射精もできた。

 

 昨日できたんだから、きっと今日だってできるはず。

 

 ペ〇スを勃起させて、繁殖ウマ娘さんの生殖器官に差し込んで、そこで射精すればいいだけ。

 

 思い出さなきゃ。

 昨日の事。

 昨日は確かにペ〇スは大きくなった。

 

 あの時、私が思っていたこと……

 そう、スズカさんのこと……

 

 思い出して……スズカさんのこと……

 

 あの細くて優しい指の感触を……

 

 熱い吐息を……

 

 彼女の柔らかい素肌を……

 

 あ…………

 

 

   ×   ×   ×

 

 

「お疲れ様、スペシャルウィーク。その……あんまり気にしないでね」

 

「はい……」

 

 浴衣を着た繁殖ウマ娘さんが、申し訳なさそうにそう言って部屋を出て行った。

 そこに裸のままで取り残されたわたし。

 見下ろしてみれば、うんともすんとも言わない、しょんぼりしたペ〇スが……

 

「はぁ……」

 

 溜息をついて私も浴衣を羽織った。

 それから、先ほどまで私のそばについていてくれた数河井先生を探したのだけど、もうどこにもいなかった。

 きっと、途中で嫌気がさして出て行ってしまったのだろう。

 なにしろ、今日はつぎつぎと10人も相手を変えたのに、一度も種付けが成功しなかったから。

 

 やっぱりだめだった。

 一生懸命頑張ったのだけど、どうしてもだめだった。

 スズカさんのこともいっぱい考えたのに、何も反応なし。

 よくよく思い出せば、昨日だってお風呂場で一度だけ射精できたけど、その後はスズカさんが触っても反応しなくなっていたもの。

 やっぱり私にはもう無理なんだ……

 

「はぁ……」

 

 またため息が出た。

 

 私は沈鬱な気持ちのまま、更衣室で着替えて、じいやさんの待つロビーへと向かった。

 

 もう全てが嫌だった。

 何も出来ない自分が嫌で、先生に呆れられてしまったことも嫌で、こうして俯むくしかできないことが嫌だった。

 その時、声を掛けられた。

 

「スぺちゃん」

 

「随分と顔色が悪いようだな、スペシャルウィーク号」

 

「え?」

 

 声の主へと顔を上げてみれば、そこに居たのはスズカさんとあの黒いお医者様。

 二人が並んで立っていることがまず不思議だったけど、とにかく私は近づいた。

 

「どうして……? どうしてお二人が?」

 

「あのね、スぺちゃん。私が先生にお願いしたのよ。どうかスぺちゃんの手術をしてくださいって」

 

「手術……、あ、で、でも、私まだお金用意できていなくて……」

 

「大丈夫よスぺちゃん、お金は私がなんとかするから」

 

「でも……」

 

 私に微笑みかけてくれるスズカさんに励まされつつ、でも申し訳なさがいっぱいでどうしていいのかだんだん分らなくなってきていた。 

 とにかくスズカさんにこれ以上頑張らせたら駄目だ。

 その思いだけは伝えなければと、私は黒いお医者様に向き直って口を開こうとしたのだけど、良く見たら先生は微かに笑っていた。

 なんで?

 

「まったく……あのスペシャルウィーク号とサイレンススズカ号が自分で自分の金の心配をするとはな……本当に妙ちくりんなことだ」

 

「え?」

 

 よくわからないことを言うお医者様。

 彼は薄く微笑みながら私を見た。

 

「スペシャルウィーク号。もう一度聞こう。君の望みはなんだ?」

 

 先日と同じことを聞く先生。

 私はそれに、今回はすぐに答えた。

 

「それは……スズカさんとずっと一緒にいることです。ずっと一緒に走り続けることです」

 

「スぺちゃん……」

 

 即座にそう答えると、彼は目を細めた。

 

「分かった。ならすぐにオペだ! お前の望みをかなえてやる!」

 

 先生はそう宣言して、身を翻した。

 私はその背中に向かって、叫んだ。

 

「待ってください。私はまだ言われたお金を用意できていません。それにお、オペって? すぐに手術するってどういうことなんですか?」

 

 それにお医者様は答えた。

 

「君は治る。この私が手術すれば、必ずな。それが答えだ」

 

「いえ……それは……、そ、それだけじゃないですよ。お金は? お金のことはどうすればいいんですか?」

 

「ふふ……全ては戯言だよ」

 

「へ?」

 

 お医者様の物言いが本当に分からなくて、スズカさんの手を握ったまま立ち尽くしていたのだけど、先生はおかしそうに言った。

 

「そうだ……先日のレース。最高のショーだったよ。それでな、私は実はあの時、サイレンススズカ号に賭けていたんだよ……ま、ここでの『馬券』の買い方が不明だったからこんな紙切れになってしまったがね。勝負は君が勝った、だからこれは君の物だよ」

 

 そう言いつつ、私に向かってピらりと差し出してきたその紙は……

 

「こ、これ? ひょっとして『小切手』ですか? え? いち、じゅう、ひゃく……」

 

 彼の手に握られていた小切手らしき紙には、『¥1,092,620,000也』と書かれていた。

 そしてそれを見せながらもう一度……

 

「戯言さ」

 

「お医者様……」

 

 スズカさんと手をとりあって、震えながらそれを見た。

 この人は最初からこうするつもりだったんだ……きっと。

 でも、わからない。

 どうしてそこまでして私を助けようとするのか……

 私は恐る恐るそう聞いてみたのだけど、もうそれ以上彼は何も言わなかった。

 それからもう一度、その小切手を私へと突き出してきた。

 

 結局分からないことが多すぎるし、手術をすることになるようだし本当に怖かった。

 それでも、私はこの人のことを信じたくなっていた。

 このお医者様に縋れば、きっと何かが変わる。

 そう、きっと……

 

 私の手を握るスズカさんの手も力を増していた。

 それを感じつつ、私は覚悟を固めた。

 

 私は小切手へと手を伸ばした……

 

「おーい、スぺぇ!」

 

 そこに現れたのは、ゴールドシップさんと……

 大きな荷物を積んだ台車を曳くトレーナーさん?

 

「ったく、俺に運ばせんじゃねえよ」

 

 トレーナーさんははぁはぁと息を切らせつつ、私の方を見ているけど、それはいったいなんですか?

 

「えっと、ゴールドシップさん、いったいどうしたんですか?」

 

「へへーん、トレーナーがよ、最後の手段!! とか言って、宝くじを買ってたから、私も買ってみたんだけど、そうしたら当たったんだよ!」

 

「当たった? って、宝くじがですか?」

 

「そうそう、宝くじ。はい、10億9262万円」

 

「へ?」

 

 呆気にとられた私……と、スズカさんとお医者様。

 鼻をこすりながらバンバンとトレーナーさんの引いてきた台車の荷物を叩くゴールドシップさん。

 そして、その巨大な風呂敷を徐に解くと、そこには大量のお札の束の山!?

 

「えええええっ!?」

 

 絶叫する私をしり目に、彼女は言った。

 

「なんかさ、『〇ト7』とかいう奴を買ってみたらさ、数字七つ揃っちゃったんだよね。で、28億円だってさ。だからスぺに必要な分だけやるよ。遠慮すんなって」

 

「に、28億っ!?」

 

 まさに空いた口がふさがらなくなっちゃったわけだけど、そんな私の目の前から、スッと10億円の小切手が引っ込められた。

  

 あ……、なんかずるい……


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