ヒューヒューと辺りに冷たい風が吹いた。
辺りは薄暗く街灯も少ない公園の中で1人の少年が倒れ込んでいた。その少年の周りには夥しい量の血が溢れ、左腕はぐちゃぐちゃに折れ曲がり閑静な住宅街の公園には凄惨な光景が広がりなんとも言えない雰囲気を漂わせていた。
コヒュー、コヒューと少しでも酸素を吸い込もうと懸命に息をしようとしているが辺りには人1人の気配もなく静寂が支配していた。
少年は身体の激痛に意識を失いそうになりながらも頭の中で今日の出来事を思い出していた……………。
その日は何気ない、いつもと変わらない日常だった。
まだ5歳になったばかりの兵藤一誠、彼は幼稚園から自宅に帰った後、母親に遊びに行ってくると言い公園に1人で遊びに来ていた。
一誠が公園に着くと、自分と同じくらいの年齢の近所と子供達が数人遊具に乗ったりして遊んでいる。自分も混ぜてと子供達の方へ走って行き、一緒に遊んでいた。
時間が経って行くと、1人、また1人と子供達はまた遊ぼうと言いながら迎えに来ていた親と一緒に帰って行った。気がつけば公園で遊んでいたのは一誠1人になっていたが遊具に夢中になっていた一誠は気が付かなかった。
少し日が傾いて空が茜色になった頃公園に1人の女の子が立っていた。人目を引く綺麗な紅い髪をした女の子は辺りをキョロキョロと不安げな表情を浮かべながら見回しため息をついていた。
「どうしたの?」
「お兄様とはぐれてしまって……どこに行ったのかわからないの…多分ここで暫く待っていれば来てくれると思うのだけど…」
「なら、お兄さんが来るまでぼくと遊ぼう!」
「いいの??」
そう言いながら顔を上げた少女は行こう!と自分の手を引いた少年の後ろをついて行く。
「何して遊びたい?」
「えっ…、じゃあ、その、ブランコが…」
「ならブランコまで行こう」
少女を連れブランコまでついた少年は少女が乗ったブランコの隣に座った。
少年がブランコを漕ぎ出すとギィギィと少し錆びついたブランコが音を上げて動きだした。
あはははと少年が笑い声を上げながらしばらくブランコを漕いでいると楽しそうにブランコをする少年を見てブランコを漕ぎ出した。
少女も段々と明るい気持ちになりながらブランコを漕いでいると
「ぼくは、イッセー、君の名前は?」
「わたしは、リアス。よろしくね」
「リアスちゃんは次なにして遊びたい?」
「じゃあ!次は砂場がいい」
砂場に着いた2人はそのまま夢中になって砂遊びをしていた。
辺りが薄暗くなり始めたころ、少し離れた場所からリアスと少女を呼ぶ声が聞こえてきた。
少女はその声にバッと顔をあげて声の聞こえた方向に向かって走って行きお兄様!と抱きついた。
「どこに行って行っていたんだい?心配したんだよ?」
「ごめんなさい…道に迷ってしまって…」
「さぁ、そろそろ帰ろう」
と少女の手を引きながら公園を出ようとすると
「待ってくださいお兄様」
とリアスは兄の手を離しまた砂場へと戻って行った。青年が急いでリアスを追いかけると、砂場でリアスと小さな男の子が話していた。
「リアス、この子は?」
「あっ、お兄様! 彼はイッセーって言うの、お兄様が来るまで彼が遊んでくれてたの」
「そうだったのかい。ありがとうイッセー君、妹と遊んでくれて。だけど、もう時間も遅くなっているから君もそろそろ帰った方がいい」
青年に言われるとイッセーはハッと辺りを見回した。
「もうこんなに暗くなってる。早く帰らなきゃ!リアスちゃん、また一緒に遊ぼう!」
そう言いながらイッセーは走って帰って行った。
「良かったねリアス、お友達が出来たみたいで」
「はい!優しい子でした、また遊びたいです」
そう言いながらリアスも兄と共に公園を後にした。
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ただいまーとイッセーは家に帰り玄関を開けたが、なにも反応が無い。どうしたんだろう、と不思議になったイッセーがリビングのドアを開けるとそのには自分と同じ顔をした子供が立っていた。
「…だっ…だれ?」
自分と同じ顔をした子供はなにも答えない。
「一誠?誰か来たの?」
奥からイッセーの母親が出てきた。
「おかあさん!知らない子が!!ねぇおかあさん!」
イッセーはパニックになりながら母親に向かって抱きつこうとしたが…
「貴方はだれ?勝手に入ってきちゃダメじゃない!それに貴方の母親なんかじゃないわ!」
母親からの拒絶にイッセーは言葉を失った。
「お父さん!知らない子が勝手に家に…ねぇ早く追い出して!…この子なんだか一誠によく似た顔もしてるし気味が悪いの!!」
「おとうさん………」
母がそう言うと父と呼ばれた男性がソファから立ち上がった。
「君が誰かは知らないけど家には君みたいな子供はいないし勝手に入って失礼じゃないか?早く出て行け!!!」
イッセーはビクッと肩を震わせ、両親からの言葉に絶句しそのまま玄関から飛び出して行った。
家に残っていた子供はニヤリと嗤っていた…
イッセーは無我夢中に走った。
知り合いの子の家にも行き助けを求めたが帰って来た反応は両親と同じだった、なんで?とイッセーには意味がわからなかったが声を掛けた人は皆イッセーを気味悪がって追い返し、中には殴り掛かろうとする者さえいた。
そんな状況でイッセーに出来るのは逃げる事はだけだった。
走って、走ってひたすら逃げる…それがイッセーに残された道だった。目にいっぱいの涙を浮かべながらどれくらい走っただろう。イッセーはさっきまで遊んでいた公園に来ていた。
体力の限界だったイッセーはそのまま力なくブランコに座った。
「なんで?ぼく何か悪いことしたのかなぁ……」
独り言を呟くイッセーは嗚咽を溢した。
「なぁんだ、こんな所にいやがったのかぁ?」
イッセーはビクッと顔を向けると目の前に自分とよく似た子供がニタニタと嗤いながら立っていた。
「…なんなんだよ!おまえ誰なんだよ!おまえのせいで!!!おとうさんも!おかあさんも!みんな!みんな!!!」
目の前の子供に向かってイッセーは叫んだ。
「お前が悪いんだよォ、兵藤一誠ィ、お前がナァ、せっかく転生してハーレムを築こうと思ってもあのクソ神のヤローが今あるものの存在は歪められないってナァ!お前がこの世にいたら俺が主人公になれねーんだよ!だからお前はいらない、お前の顔も!名前!も親もなにもかも!俺が全て奪ってやるヨォ!誰もお前が死んだ事にすら気づかない!安心してくれ俺がお前の代わりに兵藤一誠になってやるからヨォ!だからナァ心置きなく死んでくれや!!!」
目の前の子供は狂気の宿った目付きで隠して持っていたナイフを取り出してイッセーに刺した。
ズブッと嫌な音が聞こえイッセーは自分の腹を抑えた。
ジンジンと刺された場所が熱くなっていきドクドクと血が流れ出していた。
ズブッ…
再び刺されたイッセーはその場に倒れ込む。
イッセーの周りは夥しい出血で真っ赤に染まっていた。
「………だれ…だ…よ、おま…え……」
「あぁん!?テメーまだ生きてんのかァ、ゴキブリ見てーなヤローだなァ!俺は今から兵藤一誠だよ!さっきも言ったじゃねーか?」
「ち…がう、ゴホッ、兵藤…一…誠は、ぼ……ぼくの名前だ……」
「テメーはもー死ぬんだよ!だからお前は兵藤一誠じゃない!!名前もないただのモブキャラなんだよ!!!!」
…なんだよそれ……とイッセーは思った。いきなり現れたヤツに名前もなにもかも奪われてこんな……こんなヤツに殺されるなんて………いやだ……絶対にいやだ!!
その想い応える様にイッセーの左腕が光り出した。
『……ほぅ、感情の昂りで俺を起こすか小僧……チカラを貸してやろう…』
イッセーの頭の中に声が聞こえると左腕が籠手の様な物に包まれていた。
その様子を待っていたと言わんばかりに兵藤一誠は変質した左腕を見ると
「ハハハッ!やっぱりだ!これでお前も本当に用済みだ!!!」
と吐き捨てる様に言いポケットから小さなガラス球を取り出した。
取り出したガラス球を左手に握ってそのままイッセーの左腕を殴りつけた。
『無駄だ小僧……貴様如きにこの……こ、これは…貴様!!!』
「今更気付いてもおせーンだよ!これで、これで全部俺のもんだ!」
兵藤一誠がそう言うと手の中にあるガラス球が光り出し彼の腕にイッセーと同じ籠手が覆った。
『くっ……油断した…。よもやこの小僧がこんなものを持っていようとは………チカラが…チカラが奪われた……すまん………………………
イッセー………』
頭の声が聞こえなくなるとイッセーの腕は元に戻っていた。
反対に兵藤一誠の腕は真っ赤な籠手に変わっていた。
「これが何かわかるか?わからねーよなぁ!テメーみてーなモブキャラにはなぁ!!」
「これはなぁ!元々はオメーの力だったんだか今はもう俺様のもんだ。この赤龍帝の籠手でテメーにトドメを刺してやるよ!」
「Boost」
籠手からさっき頭の中で聞こえた声がする。兵藤一誠は左腕でイッセーを殴りつけた。
メキッととても子供の力で殴ったとは思えない音が辺りに響く。
殴られたイッセーの左腕はまるでダンプカーに轢かれたかの様にひしゃげ折れ曲がっていた。
あまりの痛みに声すら出ないイッセーを見た兵藤一誠はニタニタと気持ちの悪い笑みを浮かべて嗤っていた。
「じゃぁなぁ、元主人公君、お前はここでのたれ死んでくれや」
そう言うと兵藤一誠は彼に背を向け帰って行った。_____嗤いながら。
1人公園に残されたイッセーは流石にもう自分が助からないことを幼いながらも悟っていた。段々と遠くなって行く意識の中自分の血を見たイッセーは今日一緒遊んだ紅髪の女の子を思い出していた。
…ごめんね、リアスちゃん……また一緒に遊ぶ約束………ま…守れそう…ない……や……
イッセーは意識を手放した…。
初投稿になります。
拙い文章ですが読んでいただきありがとうございます。
原作をアニメしか見ていないので矛盾も多いかもしれませんが暖かい目で見ていただけると幸いです。