緑が生い茂り自然豊かな森が広がる広大な土地グレモリー領。冥界の貴族グレモリー家が管理する土地に中世の屋敷を連想させる様な立派な建物がある。
ここはグレモリー家の悪魔の住む屋敷、その屋敷の一部屋に幼い少年が眠っていた。
ガチャッとドアを開けて1人の少女が部屋に入って来た。
リアス・グレモリーと呼ばれる少女は紅色の髪を靡かせながら先日助けた眠るベットの側に腰掛けた。
「あれから半年…あなたはまだ目を覚まさないのね……イッセー…」
そう言いながら彼の頭をそっと撫でる。
リアスと兄サーゼクスは半年前今にも死にそう怪我を負って倒れていたイッセーを助ける為悪魔に転生させて冥界へと連れて来ていた。
悪魔に転生したとはいえ怪我は完治しておらずグレモリー家に彼を連れ帰り治療の為にこの部屋に寝かせていた。
「お兄様が持ってきてくれた不死鳥の涙を使ってもまだ目が覚めないなんて…あなたはいつ目を覚ましてくれるのかしら…」
リアスは哀しそうな顔をしながら眠っているイッセーに言った。
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元来情に深いグレモリー家の悪魔達はこの小さな子供になにがあったかは判らないができるだけのことはしようと皆思っていた。
リアスがイッセーの元に行くのは最早日課となっていた。リアスのスケジュールは子供ながら過密であり勉強や鍛錬等の時間に追われていたが合間を見つけてはイッセーの眠っている部屋で本を読んだ、眠るイッセーの様子を眺めて過ごしていた。
リアスにとって彼は慣れない人間界で1人迷っていた時側に居てくれた唯一の存在であった。
「………そろそろ戻らないとまたグレイフィアに怒られてしまうわ…イッセーまた来るわね…」
そう言いながらリアスは立ち上がり部屋を出ようとした___
ピクッ、閉じたままのイッセーの瞼が一瞬だけ動いた。
リアスはすぐに側に駆け寄った。
ピクピクッとまた瞼が動く、そして___
「んっ、…………あれ?、ここは___?」
そう言いながらイッセーは目を覚ました。
「イッセー!!、やっと…やっと目を…!」
リアスは彼に抱きつき良かった、本当に良かったと泣き出した。
「君は…?リアスちゃ…ん?」
「あなたは眠ったままだったの、半年前に大怪我をしてからずっと…」
「そうなんだ…リアスちゃんが助けてくれたんだね。ありがとう」
「イッセー…、その、あの日何があったのか教えてもらえないかしら」
リアスがそう言うとイッセーは目を伏せながら頭を振った。
「わかんないんだ…、なにも、なにも思い出せなくて…」
「そうなのね…ごめんなさいこんな事を聞いてしまって…」
「でも、リアスちゃんの事はなんでかな、覚えてるんだ…」
イッセーが目を覚ましたと知ったグレモリー家の悪魔たちはイッセーの部屋に駆けつけていた。
「イッセー君、だったかな?私はリアスの父
ジオティクス・グレモリー」
「私はリアスの母ヴェネラナ・グレモリーです。本当に良かった、目を覚まして」
リアスの両親は目覚めたイッセーに挨拶をした。
「イッセー君、君は本当に何も覚えていないのかい?」
「……ごめんなさい。ぼく、本当に何も思い出せなくて…」
「一種の記憶障害か…、なかなか厄介だね」
ジオティクスは頭を抱える。
先ほどリアスが言っていたのはおそらく本当のことだろう、私も彼が嘘をついているとは思えない。死にかけるほどのことがあったのだ精神的にもまだ不安定なのだろう。
「イッセー君、君さえ良ければだがここに住まないか?」
「ぼくが?」
「もちろん、ここで私たちと家族として一緒に」
ジオティクスの言葉にイッセーの瞳から涙が流れた。
「いいんですか?……僕は…何もわからないのに…」
「構いませんよ、聞けば娘を助けてくれたようで。あの子の母としてお礼をしませんと」
「ありがとうございます」
イッセーは泣を浮かべながらお礼を伝えるとヴェネラナはイッセーの頭を優しく撫でた。
「何があったのかはわかりませんが、とても辛い事があったのでしょう?。ここにいる間は私達が貴方を守りますから安心して下さい」
イッセーヴェネラナに抱きつき泣き出した。
「あらあら、よしよし」
「お母様、私も!」
そう言うとリアスも彼の頭を撫で始めた。
しばらくするとサーゼクスがグレイフィアを連れてグレモリー家に帰って来た。
「ただいま戻りました、父上。イッセー君が目を覚ましたと聞きましたが」
「おぉ、サーゼクス、グレイフィアご苦労だった。先程イッセー君は目を覚ました、今は泣き疲れて眠っているがね。それで彼について何がわかったかい?」
「いえ、人間界に行って彼について調べましたが何も…。まるで初めから存在していなかった様に彼についての情報が消えていました」
「そうか……、
「神器…イッセー君の件と関係があるかはわかりませんが少し調べてみます」
「済まないな、魔王としても忙しいであろう」
「いえ、彼は今僕の眷属ですので」
「そういえば、サーゼクス彼を転生させるのに駒を複数消費したそうじゃないか」
「えぇ、驚きましたよ。まさかイッセー君に駒を4つも消費するとは思いませんでしたから」
「彼に秘められてる力がそれほど強大という事か…。サーゼクス、イッセー君の事だが。彼をグレモリー家に引き取ろうと思っているのだが…」
「それは助かります。最悪僕とグレイフィアの養子としてルシファード城で引き取ろうとも考えていましたから。転生したとはいえまだ子供ですし、悪魔としてこれから色々と教えないといけませんしね」
「グレイフィア、イッセー君の事を頼めるかい?私は魔王としての仕事も多い。イッセー君に悪魔としての社会の規範やルールを教えておいてもらいたい」
「わかりました」
グレイフィアはそう言うと深々と頭を下げた。
3話目になります。
描き始めた時はシリアスにしようかとも考えましたが、あまり暗くなりすぎないようにしようと思います。
読んでいただいてありがとうございました。