ちなみに作者は軽度の高機能自閉症です。何となく生き辛さを感じたことは中学まで続いてたり。今は好きなことを見つたり人生観の見直しでボケっと生きてます。
好きなことは好きで、とことん突き詰めていくのが私達であって、それ以外は興味を持たないのが私達です(暴論)
この作品の彼もそんな感じです。
教室の扉がガラガラと音を立てて開かれる。それを機に波山に集まっていた生徒達が蜘蛛の子を散らすようにして自分の教室へとダッシュで帰って行く光景を見て、緑髪の山田真耶は苦笑を浮かべた。そして先程の女子の中心に居た波山を見ると、先程の対応とは裏腹に空を見つめてボケーッとしている。座席に体育座りをして両脚を両腕で抑えて、口も半開きでそのまま。涎が垂れていくことも気にせずに、白い天井を何が面白いのか常人では知り得ないほど見続けている。
有名画家のフウカ・ナミヤマがこのIS学園に来ると決まった事実は、恐らく教師陣は悩みの種を学園に入学させてしまったことと思うだろう。厳しいことを言うが、
しかしここでへこたれる山田真耶ではない。彼女も1教師の端くれ、ならばここで鬼が出ようと蛇が出ようともこれを乗り越えてこそ教師の本分であるのではないのか。そうポジティブシンキングをするのも束の間──
「お、織斑くーん? 聞こえてますか?」
「……は、はいっ。」
「ご、ごめんね。“あ”から始まるから“お”の織斑君の順番だからね。」
さっそくこんな調子である。客観的に言えば健常者である織斑一夏を相手に戸惑いを見せている。教師の腕は大学で鍛え上げたのだろうか。その点が少々気になってしまう。
──
───
────
─────
ど……どうすれば良いんですか、これ。そう思ったのは織斑君の自己紹介に介入した織斑先生が、織斑君の頭を出席簿で叩いた時でした。ずっと上を見つめていた波山君が急に体をビクッと震わせて両耳を両手で塞いだところを見て、正直彼が咄嗟の行動をしたことに驚きました。
でも本当に驚いたのは次でした。織斑先生の自己紹介が終わり女子生徒たちが歓喜の声を叫んだ途端────
「ああ"あ"あ"あ"あ"あ"!」
叫び声を挙げたんです。周囲の声が止まってただ波山君の声だけがずっと響き続ける教室。予想できなかった自体で咄嗟の対応が出来ずに呆然としていると、1人の女子生徒が彼に近付いて目線を合わせて彼の両手に自分の両手を重ねると、徐々に声が小さくなっていき彼女の方を見たんです。
「フーくん、保健室行く?」
「──ぅん」
そのまま織斑先生と私に会釈すると、彼の席の下にあるバッグを持って彼を連れて教室から出て行きました。はぁ……と織斑先生から出てきたため息が私を含めた全員の視線を集めると、彼のことについて話し始めました。
「先に説明しておくべきだったな。諸君、波山楓花はアスペルガー症候群と高機能自閉症を
それは……仕方ないこと、の一言では済まされないのかもしれない。けれど私達にとってアスペルガーや自閉症の子の対応はそもそも想定していなかったことだ。言い訳をしてしまえば、彼のような人に対する配慮の仕方を教育実習で体験していなかった。そもそも彼のようなケースが稀であるのだ。
しかしそんな彼は世界に名を連ねる天才画家。プロフィールデータには数々の美術館の展示や様々な国で個展を開いている実績がある。一概に単なる障がい者と位置付けるのは難しい。芸術家としてみれば、騒音や不快なことはセンスを鈍らせる“要らないもの”としての扱いなんだろうと誰しも考える。
───ただ、実績があったとしても、彼は今ここの一生徒として暮らすのだ。天才画家と呼ばれて注目されていようとも、そもそも彼は人だ。少ない繋がりよりも、もっと色々な関係を持ってほしいと思う。友達や仲間という、狭い世界では作れないものを作って欲しいと願うのはダメでしょうか。
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彼は頑固なところがある。いや、我儘を貫き通しているというのが正しいだろう。その我儘を貫き通すことによって、彼は独自の世界を創り続けた。拘りをもっとも大切とし、誰よりも何よりも全てにこだわり続けた。
暫くして落ち着いた彼は、そのまま保健室で絵を描き始めた。感性の赴くまま、自分の世界を純粋に信じ続けながら。青い絵の具は嘗てフェルメールが使用した宝石、ラピスラズリを態々限界まで購入し全てを絵の具にしている拘りっぷり。
そのラピスラズリの色が本当に気に入ったのだろう。彼は他の宝石にも手を付け始めた。手始めにターコイズ、ヘマタイト、エメラルド、パイライトなど……数え切れないほどの宝石を絵の具にして絵画に昇華させたのだ。
赤と青は混ぜない。アメジストを絵の具にしたものを使う。混ぜれば、その宝石の持つ色の特性が消える。本来の美しさが消えてしまうと彼は断言する。そんな高級の度を超えた絵の具を存分に絵に描く。しかしここで1つ問題がある。絵を描くということはその部屋に絵の具が飛び散ることだってある。つまりは汚れるのだ。
ここがアトリエならまだしも、他の生徒も使用する場所なのでこのようなことは普通なら御法度だ。しかし───
「───────」
「───────」
息が、できない。喋ることはおろか身動きひとつさえとれない真剣さが辺りを包んでいる。その気迫さは注意しようとした保健医でさえも黙るほどだ。描いていく彼の姿からただならぬ思いが体に染み込み奥へ奥へと入っていく。自分の体重が増えて足で体を支えることがままならなかったから、ゆっくりと椅子に座ったのだ。
宝石の絵の具がベッドのシーツにシミを作る。紅、黄、碧、蒼、紫、緑、茶…………その色彩の1部がキャンパスとなり模様を描いていた。床は1ヶ所だけが元々その色ではなかったのかと思われるほど塗り潰されていた。
そうして描いていくこと──実に1時間、その画家にとって僅かな時間で彼は絵を完成させた。
「────んっ。」
「──ッはぁっ、はぁ……はぁ…………はぁ」
満足気な様子になりつつ、彼はその完成した絵をクレバスを入れていた緩衝材入りの桐箱に入れて箱を閉じた。この桐箱は絵を保存して運びたいがために、態々職人に頼んで一年かけて作らせたものである。依頼を受けた専属の職人は彼も気に入っており、描いた絵を1枚譲渡しているほどだ。
「ん……しょ…………」
その桐箱を大事そうに抱えて保健室を出ていく彼。保健医は先程ので疲れてどうにも動けそうにない様子だ。追いかける気力すら全く感じられなかった。ふと保健医が彼の座っていたベッドのシーツを見ると、何故か一瞬心を奪われそうになったのは余談である。
そんな彼はゆっくりとした足取りで何処に向かっているのだろう。その答えは彼のルーティーンから察すれば一目瞭然、ずっと傍に居てくれる人に1番最初に絵を見せるために元の場所へと戻るのだ。
にこにこ微笑みながら、想起するのは大切な人の笑顔。それだけは彼のもっとも大切にしているものの1つだ。絵と同じぐらいとても大切なのだ。
ふと、自分が居たクラスから言い合いの声が聴こえてきた。何で怒っているのか、気にはなったがすぐに興味が失せた。呑気にクラスで何が起こっているのか知らず、彼は扉の前に来ると絵を置いて扉を開けた。
──
───
────
─────
始まりは本当に些細なこと。そう、私が言ったクラス代表を決める件についての話題が出た時だった。そのさい女子生徒たちは一夏を推薦しており、それに困惑している一夏がクラス代表になりたくないと言った時であった。バンッ、と机を叩く音が聴こえその弟の方向へ視線を向けるとオルコットが立ち上がっていた。
「……いい加減にしてくださいまし、ここはお遊び半分で決めるものではありませんわ!」
そう言い放つと続けざまに──
「男性操縦者が物珍しいから彼を選んだのでしょうが、そもそも彼は素人同然ですのよ!? 彼を代表としたいのならば、周囲が認めるほどの実力をつけてから選ぶのが普通ではありませんの!?それと貴方、織斑一夏!」
「え……?」
「そんなみっともない返事をするんじゃありませんわ! 嫌なら嫌で自分を貫いてみせなさい! 優柔不断で無学過ぎて呆れ返ってしまいますわ!」
「そ、そこまで言うことは無いだろ!」
「いいえありますわ! 嫌なら嫌で現実的な意見を述べて逃げれば良い! 無理なら無理と言えば、それで済む話ですのよ!? あの方のように我を貫き通せば良かったにも関わらず!」
「あの方って誰だよ!?」
「フウカ・ナミヤマ氏のことですわ!」
──嫌なら嫌で、貫き通せば良い。
──無理なら無理と、そう言えばいい。
思えば私は、一夏にそう言っただろうか。いや、全くない。記憶を探しても、何処にもない。
織斑計画の一端として産まれた“成功例”の私は、そう言える余裕が無かった。そう厳しく、一夏の逃げ道を作れる言葉を言えた試しがない。辛いことを吐き出すはけ口を作ることを考えていなかった。
……ああしていれば良かった、こうしていれば良かった。そんなタラレバを、今更ながら考えさせられた。波山楓花は確かに我が強い。それは1つのポテンシャルで個性、ある意味天才として必要なものだ。束も同じように我が強くて、あまり人の話を聞こうとはしなかった。そして束と波山を比べてみれば、共通点が多いなという感想が浮かんだ。
「何でそこでアイツの名前が出てくるんだよ!?」
「あの方はとても我が強く、自分の決めたことをひたすらに進んでいける方ですの! 絵を描く、ただその行動を10年以上も! 絵描きを邪魔するのなら誰であろうと怒る、そんな我の強さがあるのです! 貴方もあの方のように意志を貫いて言えば良いのです!」
「俺はアイツじゃねぇ! 大体さっき叫んで挨拶を邪魔したのは誰だよ!?」
「2人とも、そこまでだ。」
これ以上は無用な騒ぎを起こすだけだ。平行線、意見が何処で交わるのかすら分からない状況をこれ以上放置しておくのは不味い。
「話を戻すが……織斑、やるのか?」
「ッ──あぁ、やってやる! ここで逃げたら男じゃねぇ!」
“逃げる”
その行為や言葉は一夏にとって、最も嫌うことだ。昔から、そのようにして生きてきた。…………もう、私の言葉は今言っても届かないな。頭を冷やしてもらうぞ、一夏。
「成程な──オルコット、お前はどうだ?」
「自薦しますわ! 」
「そうか、ならば……」
ならば、実力で決めろ。そう言おうとした途端、扉が開いた。見ればそこに立っていたのは波山であった。
「波山、戻ったのか?」
「…………」
返事はない。私を見てムスッと不機嫌な様子をするが、すぐに表情が変わった。視線の先に居るのは……鷹月静寐。そして見つけると大きな箱を持ってきていた。
「……あれ、フーくん出来たの?」
「うん! 新しいの!」
新作の絵を見せに来たようだ……ん、新作?
何書きたいのかちょっと混乱して分からなくなってきた(オメメグルグル)