正直ここまで行くとは思ってませんでした。確認してみれば想定外のことッ! 度肝を抜かれました。ハイ。
感想で貴重なご意見を頂きました。ありがとうございます。
サブタイ変えます。だからと言って(考えてる)展開を変更するつもりも更々ありませんがね。
人は何かへの理解がとても大事になってくる。その理解は全てに通じ、やがて自分への理解という1つの結果へと通じる。とても大切なことだ。私達が忘れてはいけないことだ。だが、その理解に対する現代人の反応は如何なるものだろうか。理解している者は居るのだろうが、それこそが大切なものであると気付いている者はどれぐらい存在するのだろうか。
世間的に言われる“理解のない人”とはどのようなものだろう。自分勝手な意見を振りまく者か、或いは自分の意見を強制的に他人に認めさせる者か。──いいや、それは違う。少なくとも前述した2つは、その個人にとって“そのようなものだ”と理解している。
本当に理解のない人というのは、あらゆる物事に対して興味が湧くことの無い人間をそう言う。興味が無い、ということはそれらに対する概要や詳細を知らない。知る必要も無いと勝手に決めていることを指すのだろう。しかし真に理解のない人、というのは先ずお目にかからない。 我々は本当に理解のない人を見たことがないのだ。
もしも本当に“理解のない人”が現れたというならば、是非ともこの目で見てみたいと感じる。あらゆる物事に対する興味のない人間なんて、この世に存在する筈はない。人間は必ず興味あることの1つや2つ存在するのだから。
例えばだが、政治に興味なくとも新作ゲームの情報やワイドショーの何気ないニュース等に興味が惹かれることがあるだろう。その時点で人間はそのことに対して“興味”を持ち1つの“理解”を示している。何も興味が湧かないというのは有り得ないことを、何気ない日常が示しているのだ。
そのような事実はある。が、俗に理解のない人と呼ばれる者達はどのようなものだ。自分の考えを決め付け、他人の意見を聞かない者達だ。しかしそれでは──彼、波山楓花はどうなる。理解のない人か? 否、彼は絵に理解がある故に真に理解のない人とは言えない。
そのことに気付く者は、一体どれほどいるのだろうか。
──
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─────
その翌日のことであった。彼は1人だけで応接室のような場所で柔らかな椅子に座ってキョロキョロと辺りを見渡していた。綺麗な内装が目を移らせ自身の視界に創作を描く。今では無くなったが、彼はたまにキャンバスが無くなると壁にまで絵を描くことがあった。その絵を消そうものなら嫌だと騒いで家族を困らせたこともあったが、今では甲斐あって自分の視界に絵を描くことで壁描きから離れてくれた。
想起してから5分も経たない時間のあと、誰かの咳払いが聞こえるとそちらの方へと視線を向ける。彼の目の前には齢70ぐらいの見た目の男が対面して座っているのが分かる。ここに鷹月が居なくても良いのかと思われるが、どうやら特に問題は起きなさそうだ。
「態々ありがとう、授業中にも関わらず。」
この時間帯は今、普通では授業に入っている。授業1つでも遅れが出れば後後に影響が出ることもあるため、本当ならば放課後や昼休みの時間に話をすれば良いのだが──
「勉強、疲れるからヤ。教科書の絵も苦手だし……それでいっつもイライラするからヤ。」
「成程、絵か。」
絵は彼を構成するにあたって、専ら必要不可欠なものだ。一見乱雑に見えていても、彼から見えるのは1つの調和された完成品である。要は教科書の絵や図形がとても気に入らないのだ。普通に見えるものが、彼にとっては“何でこうなのだろうか”と不安や苛立ちの種になったりする。だからこそ別に参加しなくても良いと思っているのだ。
「そういえばだけど、実は私も君の絵のファンでね。1枚、年甲斐もなく心惹かれて買ったのさ。」
「……タイトルは何のやつなの?」
「【心 36】をね。」
「……一昨年描いたやつだ。えっと、ありがとう……ございます。」
「好きになったからね。……っと、無駄話よりも用件を伝えようか。」
そう言って彼の前に幾つか写真を見せる。写真といってもパワードスーツ、ISだ。しかしその写真には1つの違和感が漂っている。首を傾げてその写真を見れば、彼なら理解が早かった。
「これ、絵?」
「というのは?」
「……感情が無い。絵から伝わるものがない。…………これ、
「……ふふ、そこに気付くか。」
その男性は微笑みながら、しかし瞳の奥にはその透視紛いのような観察眼に眼福していた。
「その通り、この写真にあるISは全て
「ん」
その男性は微笑みながら、しかし瞳の奥にはその透視紛いのような観察眼に眼福していた。
つまるところ、彼のために造られるオリジナルの完成予想図だ。しかし写真の全てが違う形として描かれている。このことから専用機開発に名乗りを上げている国が、それぞれ他国への牽制も兼ねて専用機の完成予想図を見せたのだろう。
が、しかし悲しいかな。そもそも彼は絵に心血を注ぐ猛者であって、絵以外は殆ど興味無い。風景画や時たま人間、大部分は自身の頭の中に浮かんだ景色を描いているが、正直なところ彼は一般の男子が気に入りそうなものはまるで眼中に無い。故に彼は────
「そして単刀直入に聞こう。この中で欲しいのはあるかい?」
「興味ないから要らない。」
これである。ここに織斑千冬が居たとすれば、間違いなく彼女は篠ノ之束を思い出すだろう。そして、“やはりか”と内心思うその男性は懐から1枚の写真を取り出し彼に見せた。
「……要らないよ?」
「それは聞いたよ。けれど、要らないのなら最後に一つだけ紹介させてくれないか?」
「いや……だから…………要らないって」
「絵を描けることが出来る。」
彼の興味関心が、一気に傾いた。
「逆に言えば、この機体は
「……どうやって絵を描くの?」
「難しい説明になってしまうが……大きな絵筆から、数にして約5京のナノマシンが色合いを変えながら放出されて立体的に絵が描けるんだよ。」
「……3Dみたいな?」
「そうだとも。」
「絵は消えない?」
「それは難しいかな。5京ものナノマシンを補充するにしても莫大な予算がかかるからね。」
「────それは、やだ。」
「その代わりといってはなんだけど、その絵のデータを保存してホログラムに映せば何時でもその絵が見られるよ。」
「……?」
「またその絵が見られるのさ。やり方は担当技術者に聞いてくれれば分かるよ。」
「…………ほんとなの?」
「本当さ。」
「────話してから、決めていい?」
「構わないよ。」
「ん。じゃ、バイバイ。」
「気を付けて。」
入る時よりもウキウキとした気分で、それでいて誰がどう見ても“あぁ、嬉しいことがあったんだろうな”と思わせられる程の笑顔でその部屋を出ていった。一段落して彼と話していた男性『轡木 十蔵』は一息つく。
正直な話、轡木は彼がISに乗らないと答えるのは予想の範囲であった。というよりも彼が見せたこの学園に来るまでの表情から察するに、全くと言って興味がない反応なのは誰しも察することは難しくなかった。絵のみに生きてきて、急に
ならばと、全世界はISの前提を変えて彼に専用機を渡すことを決めた。それこそが絵を描くためだけのIS、ロシア、イギリス、イタリアの3ヶ国共同制作のISであった。ここまでするのにメリットはあるのかと問われれば、確信を持ってあると言える。
そもそも、世界初の男性操縦者である織斑一夏は日本の倉持技工が開発を担当しデータの管理を行う。1部のデータは提供されるものの、男性でも乗れることの出来る要因が分からない以上そのようなデータを見せられても何の得にもなりはしない。ならば彼に頼るしかない。そこで、彼専用ISの制作だ。
彼も男性、そして織斑千冬や篠ノ之束の親類縁者でもなんでもない彼だからこそ、秘めた可能性を見せてくれるのではという期待が持てた。そのためならば相手を怒らせずに穏便に済ませる手段で、危険を冒さず成果を手に入れる方が早い。
─────
────
───
──
「専用機?」
「うん。貰えるって。」
「────ん〜」
私は悩んでいた。授業が終わった途端に帰ってきたフーくんから、専用機のことについて相談されたからだ。
専用機、というのはIS操縦者にとっては誰しも憧れるものだ。この世界には今467個のISコアがあるけれど、逆に言えばそれほどしかない貴重なもの。そんな貴重なコアを使って、彼のために専用機が作られる……そしてその専用機も絵を描くことのみに特化、謂わば彼だけの真の専用機だ。
けれど、正直なところ彼にISの世界に踏み込ませるのに些か抵抗があった。彼の言ってたことは近日中に知らされるだろうけど、
彼は今もこうして嬉しそうなのは変わらないけど、せめて彼の安心が確実に保証されるのなら承諾できる。彼の話に出てきた、“おじいちゃん”という人に直接会いに行かなければ。