トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~   作:Lycka

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個人的に紗夜日菜コンビはまぁまぁ好きです
蘭モカも好きです
もちろん友希那リサも好きです


つまり、全員好きってことです。

13話、ご覧下さい


Produce 13#重なり合う音、想い

 

 

 

 

「紗夜さんの家は.....ここだな」ハァハァ

 

 

友希那とリサと別れてから、俺は紗夜さんの家に向かっていた。途中から走ってきたので少し汗をかいてしまった。玄関前で汗が引いて乾くのを少し待つ。

 

 

「よし、行くか」ポチッ

 

ピンポ-ン

 

 

本日3回目の女の子の家の訪問。聞こえはいいが、全て面倒ごとである。まぁ、友希那にもあんなこと言っちゃったからな。もう後には引けねぇな。

 

 

バタバタバタ 

 

 

インターホンに気付いたのか階段を勢いよく降りてくる音がする。ん、勢いよく?なーんか嫌な予感が.....

 

 

 

「むーねーきー!」ダキッ

 

「ひ、日菜⁉︎いきなり抱きついてくるなよ!俺じゃなかったらどうするんだ」

 

「え?上から見えてたから大丈夫だよ?」

 

なら汗の臭いとか気にして嗅いでたのバレてるじゃん。恥ずかし過ぎるんですけど。

 

「走ってきて汗かいたからやめてくれ」

 

「えー、私はこの匂い好きだけどなぁ」クンクン

 

「お、おい!匂い嗅ぐな!それより、紗夜さんはどうした」

 

「おねーちゃんは部屋にこもりっぱなしだよ」パッ

 

 

やっと離してくれた日菜。だが、日菜の顔をよく見てみると目が赤くなっているのがわかる。

 

 

 

 

 

 

 

「日菜、紗夜さんは俺に任せてくれ」ポンッ

 

「うん、お姉ちゃんを、助けてあげて」ポロポロ

 

日菜を部屋へ戻し、俺一人で紗夜さんの部屋へ向かう。

 

 

 

 

コンコン

 

「紗夜さん、入りますよ」

 

「......」

 

返事が無いが、今は構ってられないのでドアを開ける。そこには、ベッドに座ってこちらを見つめる紗夜さんの姿があった。

 

「何か、用ですか?」

 

紗夜さんも、日菜と同様に目が赤くなってしまっていた。やっぱ姉妹なんだなと実感する。

 

「日菜とも喧嘩したんですか?」

 

「貴方には関係のないことです」

 

「関係ありますよ。日菜、泣いてましたから」

 

「....ッ!、何であの子の事をそんなに気に留めてくれるの?」

 

紗夜さんから意外な質問が飛んできた。何故、俺が日菜の事を気にかけてくれるのか。そんなもの、決まっている。

 

 

 

「きっと、()()だからでしょうね」

 

「それじゃあ答えになってないわ」

 

「だったら、もっと簡単に言いますね。日菜が俺のことを気にかけてくれるから、俺も日菜のことを気にかけてるんですよ」

 

「日菜が、貴方のことを?」

 

紗夜さんは、未だ分からないといった様な顔をしている。こんなに状況把握下手な人だったか?

 

「紗夜さんだって、友希那が話しかけてくれなかったら一緒にバンド組んでなかったでしょう?それと同じで、日菜からきてくれなければ俺は今も日菜とははなせてませんでした」

 

「貴方は、日菜のことが好きなの?」

 

ここにきてダイレクトなやつきたか。これに関しても答えは決まってる。

 

「恋人とかどうとかは置いといて、日菜のことは好きですよ。いつも天真爛漫でムードメーカー的存在な日菜ですけど、俺に会ったらすぐ抱きついてくるとことか可愛らしいですし。さっきだって年頃の女の子の様なしおらしい態度でしたから」

 

「.....やっぱり、みんな日菜なのね」

 

「......」

 

俺は黙って、紗夜さんから続いて言葉が出てくるのを待つ。

 

 

 

 

 

「小さい頃から、私と日菜とでいつも比べられてきた。そして、何をしてもあの子は出来てしまう。.....天才なのよ、日菜は。それに比べて私は凡人。何をしてもあの子に追いつくことさえできない。今回だってそうよ。湊さんはきっと私なんかより日菜の方が良いに決まってる.....」

 

 

 

その言葉を聞いて、少し同情できるところもあれば怒りが込み上げてくるところもある。

 

 

「紗夜さん、前に俺にも妹がいるって話しましたよね?」

 

「ええ、それがどうしたの?」

 

 

「俺の父親は、小さい頃すっごく厳しかったんですよ。習い事をいくつもさせられて、遊ぶ暇なんてありませんでした。.....俺も妹と比べられてたので気持ちは分かります。妹はギターだろうがピアノだろうがドラムだろうがこなしてました。コンクールに出て優勝してしまうくらいです。その妹に比べられるのが嫌で、途中で全部投げ出してしまったんです」

 

 

俺の中の、少し嫌な思い出。今でこそ一人暮らしで楽しているが、小さい頃は自由なんてなかった。そんな中、香澄達と出会って変わった。俺を変えてくれた。

 

 

 

「でも、実は後悔もしてるんです。あの時、辞めてなければって時々思うんですよ。だから、紗夜さんにはこんな思いしてほしくないです」

 

「貴方も同じだったのね.....」

 

「そして、そう思っているのは俺だけじゃないです。日菜、ドアの前にいるんだろ?出てきてくれ」

 

敢えて振り返らずに伝える。日菜がこの話を聞きにくるのは予想できていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちぇ、バレてたのか〜。それにしても、よくわかったね宗輝」

 

「いや、俺が日菜のこと好きって言った時にドアの向こうから音がしたからな」

 

「それも気付いてたんだ....」///

 

日菜は顔を赤くして俯いてしまう。普段は元気で明るいのに、こんな風なリアクションを偶に取るので可愛らしいのだ。いわゆるギャップというやつだろうか。

 

「日菜、お前の思いも伝えてやれ」

 

「うん、分かった」

 

日菜は紗夜さんと向かい合って立つ。

 

 

「お姉ちゃん、私もお姉ちゃんに後悔なんてしてほしくない。ギターも続けて欲しい。お姉ちゃんのギターの音、私好きだもん。周りの人からどう言われようと関係ない。私のお姉ちゃんは、Roseliaのギター担当のお姉ちゃんは、すっごいんだから!」ポロポロ

 

 

「日菜.....」ポロポロ 

 

 

紗夜さんも日菜も泣いてしまった。今日だけで何回女の子の涙を見れば良いんだろうか。そして、気付いた事が一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、二人には笑顔でいてほしいな」ナデナデ

 

「宗輝....」ポロポロ

「.......」ポロポロ

 

 

「日菜には日菜の良さがあって、紗夜さんには無いものを持ってる。それは、紗夜さんも同じです。紗夜さんにしか出せない音があって、紗夜さんにしか出来ない事がある。今は、それでいいんじゃないですか?」

 

「私の....音?」

 

「はい、紗夜さんの音です。さっき友希那にも言いました。紗夜さんも友希那の声を聞いてあげてください。そして、友希那に紗夜さんの音を聞かせてやりましょう」

 

 

「.....なんだか、貴方に言われると納得できる気がするわね」フッ  

 

 

そう言って笑う紗夜さんの顔は、凄く素敵だった。思わず見惚れてしまいそうになる程に。

 

 

 

「明日、CiRCLEで予約を取ってます。もう主催ライブまで時間も無いのでラストスパートかけますよ。紗夜さん、勿論いけますよね?」

 

「私を誰だと思っているのかしら。Roseliaのギター担当、氷川紗夜よ」

 

この調子なら大丈夫そうだな。これで、とりあえずは問題解決ってことでいいよな?今日は一日疲れた.....

 

 

ギュルルルルル

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は俺では無い。日菜の方を見てみても首を横に振っていた。

 

「......」///

 

紗夜さんが顔を赤くして俯いてしまっていた。時計を見てみると7時を回っていた。そりゃお腹も空きますよ。

 

「紗夜さん、俺お腹空いてきたので一緒に晩御飯食べに行きません?」

 

「あー、なら私も行く!」

 

「.....そういうことでしたら」///

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「いらっしゃいませ〜」

 

 

氷川宅を後にして、俺たち三人は近くのファストフード店へ足を運んでいた。そこまで混んでいなかったので助かる。

 

 

「あれ、彩ちゃんじゃん!」フリフリ

 

「本当だ、こんな時間までご苦労なことで」

 

「え⁉︎日菜ちゃんに宗輝君⁉︎」

 

「私も居ますよ」

 

「それに紗夜さんまで⁉︎あわわわわ、どうしてここに?」

 

見るからにテンパってしまっている彩。これはこれでいつも通りなので安心する。

 

「みんなで晩御飯食べにきたんだよ。それより注文いいか?」

 

「う、うん!大丈夫だよ!」

 

 

 

 

俺たち三人は注文を済ませて受け取り、近くの席に向かった。席は所々埋まっているという感じ。子連れの家族や友達同士で来ているのか学生もチラホラ伺える。

 

「私は端っこ〜!宗輝は隣ね!」

 

「分かったから、腕引っ張らないでくれ」

 

「........」

 

紗夜さんが一向に席につこうとせずジッと見つめている。

 

 

 

 

「どうかしましたか紗夜さん?」

 

「いえ、なんでもありません」

 

そう言って、俺の隣に腰掛ける紗夜さん。一つのテーブルに二つの長椅子があるのだが、三人揃って同じ椅子に座っている。明らかにおかしいだろう.....

 

「あの、あっちが空いてるんですけど.....」

 

「何か問題でも?」

 

「いえ、とんでもございません」

 

紗夜さんが怒ってらっしゃる⁉︎俺何かしたかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー、やっぱり美味しいね!」モグモグ

 

「久し振りに来たけど、たまにはいいもんだな」モグモグ

 

俺のオススメはポテトである。この安っぽさがたまらない。家でも時々フライドポテト作るくらいには好きだ。今日も大盛りポテトを頼んでしまった。

 

「......」ジ-ッ

 

「紗夜さん?ポテト欲しいんですか?」

 

「い、いえ。私はそんなものは.....」

 

「......」ニヤリ

 

 

ん?日菜が悪い顔をしたような?まるで、悪戯を企む子供のような.....

 

 

 

 

「なら私にちょーだい!」

 

「おう、ほらよ」

 

「あーんしてよ!はい、あーん」

 

「はぁ.....。やるしかないか。」ア-ン

 

「んー!宗輝に食べさせてもらうと一味違うね!」モグモグ 

 

なにそれ、俺はスパイスか何かか。しかも、一本で飽き足らず何回もおねだりされる始末。あの、もう半分近く無いんですけど。足りなかったらもう一回頼めばいいか。

 

「.....私にも下さい

 

「ん、紗夜さん何か言いましたか?」

 

 

 

「私にも、ポテト下さい」///

 

 

 

 

こう、紗夜さんみたいな普段クールな感じの人が赤面して恥ずかしがってるところを見るとこっちまで恥ずかしい気持ちになる。こういうところもっと出せばいいと思うのにな。こんなギャップを見せられればイチコロだろう。

 

「良いですよ、はい」ア-ン

 

「.....ッ!!」///

 

「あ、すみません。つい日菜にやってたので....」

 

 

 

やってしまった。さっきまで日菜にこれであげてたから無意識にしてしまった。

 

「紗夜さんはこんなの嫌ですよね....」

 

俺は紗夜さんの口の前まで持っていっていた手を引こうとする。あまり量も無いので、お皿毎紗夜さんに渡そう。そう思っていたのだが....

 

パクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私にも....日菜のように食べさせて」///

 

「.....わ、分かりました」///

 

「あー!お姉ちゃんばっかりズルイよ!」

 

 

やはり、紗夜さんは可愛い。その事実が確認できた日であった。

 

 

 

 

 

その後は、日菜と紗夜さんに交互にポテトを食べさせていた。勿論、追加で大盛りポテトを注文して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 

 

 

「まりなさん、お邪魔します」

 

「宗輝君、今日もRoseliaの練習ね」

 

「ええ、もう時間が無いので早速入らせてもらいますね」

 

 

翌日、俺からまりなさんへお願いして予約をしていた。正直、RoseliaだけじゃなくAfterglowやポピパの練習にも付き合ってやらないといけないのだが。今日だけはコイツらについてやりたかった。

 

 

「皆さん...どうでしょうか....?」

 

「うん、完璧だね。流石燐子!」

「白金さん、ありがとうございます」

「燐子、よくやってくれたわ」

「あこも手伝ったんですからね!」

 

 

 

燐子先輩とあこと俺で作った衣装を試しに着てみていた。どうやら、仕上がりは思った以上に上出来だったようで良かった。

 

 

 

 

「(全員所々違う部分があるが、同じものが一つある。それは、髪飾りの青い薔薇。これは、俺の案でつけてもらった。青い薔薇の花言葉は"夢叶う"や"奇跡"。友希那達の夢、FWFへの出場。今はまだ遠いかもしれないが、絶対に叶えられる。俺がそれまで支えてやる。お前らが揃えば、奇跡だって起こせるはずだぜ)」

 

 

 

 

 

「よし、なら最後の追い込みいくぜ」

 

「紗夜、貴女の音を私に聴かせて頂戴」

「湊さんも、私に貴女の声を聴かせてください」

 

 

紗夜さんと友希那も無事和解したことだし、これからRoseliaはまた始まる。ここからRoseliaが始まる。

 

「リサ、あこ、燐子先輩も準備はいいですか?」

 

「私はいつでもokだよ」

「んー!早くやりたいよー!」

「私も....いけます....!」

 

 

 

この5人なら、いずれきっと......

 

 

 

 

 

 

「—————————-それじゃあ、始めるわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、俺は初めて完璧なRoseliaの音を聴いた。

 





どんどんお気に入り増えてきて嬉しい限りでございます。
しかし、アクセス数とまだまだ差がある......


沢山の人に見てもらえるように、これからも尽力致します。

誤字脱字注意d( ̄  ̄)

最近、モチベ上がってきて空き時間は書くようにしてます。そこで、本編の後に少しオマケみたいなのを追加しようと考えております。その前に、皆様の意見をお聞きしたく存じます。どんな感じが良いですかね?

  • キャラ同士の日常会話&振り返り
  • とびっきりのギャグパート
  • 次回予告風演出
  • 主に任せる( ̄∀ ̄)

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