トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~ 作:Lycka
長くなってしまったのを先に謝罪しておきます主です。
Roselia回は今回で一区切りつきますので。
では、14話ご覧下さい
~主催ライブ前日~
「紗夜さん、チケットは大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。それと、これは取り置き分ね」
「ありがとうございます」
新たなRoseliaが動き出してから数日、主催ライブは既に明日に迫っていた。今日は泊まり込みで準備をしなくちゃいけない。あれから、シフト入ってないにも関わらず毎日CiRCLEに足を運んでいた。Afterglowやポピパの練習に付き合っていたからである。
「燐子先輩、衣装も準備出来てます?」
「うん....綺麗にして持ってきたよ....!」
新衣装もバッチリである。みんなが手伝ってくれたのもあり、準備は着々と進んでいった。
「.....明日が待ちきれないな」
「んー?何が待ちきれないのかなぁ?」ツンツン
「うおっ、なんだリサか。いや、明日のライブが楽しみでな。俺が演奏するわけでもないのに何言ってるんだって話だけど」
やはり、こいつらが努力してきたのを間近で見てきた俺からすれば成功してほしいと思うのは当然である。
「何とぼけた言ってるの宗輝!」
「貴方も既にRoseliaのメンバーの一員よ。演奏するしないの問題では無いわ」
「.....そうだな。ありがとな、あこ、友希那」
「ねーねー、もう一回みんなで合わせとかない?」
「私も....そう思ってました..,.」
「でも、準備で疲れてるのに大丈夫なのか?」
今日学校が終わって、すぐにCiRCLEに集まってから食事の時間を除きぶっ通しで準備してきた。男手が俺しかいないので機材や楽器を運んだのは主に俺だが、他のみんなも別にサボっていたわけではない。
「そうね、最後に一回通してみましょうか」
「そうと決まれば、早く終わらせてしまいましょう」
本当に、音楽に対して本気だということがひしひしと伝わってくる。何も楽しみなのは俺だけでは無い。見に来てくれるお客さんもそうだが、何より演奏するこいつらが一番楽しみなのかもしれないな。
「しゃーない、俺も見ててやるから」
「真夜中に奏でる不死なるメロディー.....さぁ!今目醒めの..,.」
「あこ、早く準備しなさい」
「はーい、分かりました」
そして、その日は一回通して練習をしてから眠りについた。
~翌日~
「....きろ!....宗輝起きろ!」ユサユサ
「ん、なんだよ.....」
「これは、どういうことか教えてくれる?」
「何怒ってるんだよ.....って、えぇぇぇぇ!!」
昨日、練習が終わり準備もあって疲れていたみんなはすぐに眠ってしまった。俺は近くのソファに腰掛けて一番に寝てしまったのだが......
「ん....どうしたのよ宗輝」
「もうちょっと寝させて.....」
俺の膝に頭を置いて寝ている友希那とリサ。
「......zzz」
「.....夢の世界へ....汝を誘おうぞ...,」
そして、俺の足にもたれかかって寝ている燐子先輩とあこ。あこに関しては寝言を言っている。夢の世界に誘われてるのはお前だよ。
「いやー、これは俺にもちょっと....」
『あぁん⁉︎』
「すみません許してください。あ、蘭さん目のハイライト消すのやめてください。ひまりも何でマイクスタンド持ってるんだよ。有咲、どこに電話かけてるの?」
この後、主に蘭とひまりと有咲にめちゃくちゃ怒られた。
***
「酷い目にあったぞ....」
「あはははは、大丈夫?」
「もう大丈夫。それより、ポピパの方も大丈夫か?」
「何とか練習して間に合ったかな」
「沙綾〜、ちょっとこっちきて〜」
「はーい、じゃあまた後でね」フリフリ
主催ライブは後数時間で始まる。Afterglowとポピパも演奏の前準備を始め、Roseliaはトリなので未だにライブ会場の準備を行なっている。かくいう自分も、ライトの明暗や楽器の位置などの微調整を手伝っていた。
「モカ〜、手元ちゃんと見えてるか〜?」
「ばっちぐ〜だよ〜」
「蘭、こんな感じで大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
あまりライブの手伝いは経験したことが無いので少し緊張してしまう。幸い、ライブ中は他のバイト連中に任せられるので安心だ。というより、ライブ当日にまりなさんいないってどういうことだよ。明日からの予約全部あの人に担当させよう。
「あんまり練習見てやれなくて悪かったな」
「....湊さん達ばっかりズルイよ」
「だから、悪かったって....」
「じゃあ、一つお願い聞いてくれる?」
まぁ、一つくらいなら聞いてやってもいいだろう。実際、このライブまでの間練習に付き合えたのなんて2日間くらいだからな。
「おう、俺に出来ることなら良いぞ」
蘭のことだから、そんなに変なお願いはしてこないだろう。これが、ひまりとかだったら話は別だけどな。
「ステージから見える位置で、私の事見ててほしい」
蘭にしては、意外なお願いだと思った。
「何でステージから見える位置なんだ?」
「だって.....宗輝の事見ながら歌いたいから」///
顔を赤くしてモジモジしながらそんな事を言われると嫌でも意識してしまう。本当に、蘭には自分が美少女だという事を理解して頂きたい。危うく告白しちまうところだったぜ。
「準備とかあるからフルは無理だけど、分かったよ」
「ッ!!ありがと宗輝!」パァ
俺は、そうやって笑う蘭が見られて嬉しいよ。こっちが元気もらっちゃったみたいだな。
「おう、そろそろみんな待ってるぞ」
「うん、行ってくるね!」
これでAfterglowはオッケーっと。あいつらなら最初でもミスなくやれるだろう。そこそこ数はこなしてきてるからな。後は.....
「むーくん、みっーけ!」
「今度はお前か香澄。準備出来てるのか?」
「みんなで慌てて準備中だよ....」ハァ
香澄の後から有咲が続いてやってくる。その表情は、どこか疲れている様子。まだライブ始まってないんだけどな。
「なら準備してこいよ、ここにいちゃマズいだろ」
「むーくんにも手伝ってもらおうと思って!」
「いや、俺にも会場準備あるんだけど」
まだまだ俺にはやることが残ってる。機材の最終チェックやらチケットの販売やら売店のレジやらなんやら。高校生なのに社畜三昧である。
「悪いけど、ポピパの準備には付き合ってやれない。けど、ちゃんとライブも見ててやるから。練習で聴けなかった分、俺に聴かせてくれ」ナデナデ
「ん〜、久し振りのむーくんの撫で撫でだぁ」スリスリ
「おい、抱きついてくるなよ.....。他の人に見られたらどーするんだ」
「現在進行形で見てるんですけど何か?」
有咲が若干怒り気味。さっきの事をまだ根に持っているのだろうか。取り敢えず、機嫌とっとかないと後々何言われるか分からんな。
「有咲にもやってやろうか?」ニヤッ
「そ、そんなの別にいらねぇし..,」
「なら、香澄にもっとしてあげるとするか〜」ギュッ
「ふわぁ、しあわしぇ〜」///
既に衣装を着ているのであまり強くならないように抱きしめる。何だか蕩けきった顔の香澄。こいつこんな顔もするんだな....。い、いかん、スイッチが入りそうで怖い。
「あ〜、そろそろ時間だなぁ。でも、もうちょっとくらいなら出来るかな〜」チラ
「.....ッッッ!!!」///
さぁ、どう出る有咲!
「香澄ばっかズルイ!私にもやれ!」///
見事に乗ってくれた有咲。やはり、ツンデレは健在である。普通の人がツンデレだと少々痛いところあるけど、有咲がやると可愛くて敵わん。
「ほら、有咲おいで」
「.....うん」ギュッ
あれれ〜、おっかしいぞぉ〜。なんてふざけている場合では無い。俺が手を広げて待っていたら有咲が素直に抱きついてきた。いや、調子乗った俺が悪いんだけどね。まさか本当に抱きついてくるとは思わなかったので一瞬戸惑った。
「有咲達なら大丈夫だ。練習通り演奏してればきっと上手くいく。何より、みんながついてるし、俺もいる」ナデナデ
「.....ありがと」///
下手ではあるが、俺なりの励ましの言葉をかけてやる。まぁ、こんなことしか俺には出来ないからな。やれるだけのことはやってやりたい。
「もう大丈夫そうか?」
「うん、大丈夫」
「よし、なら行ってこい!」
「ちゃんと見てろよな!」
「有咲、何してたの?」「いいから準備するぞー」
これでポピパも大丈夫だろう。俺も仕事に戻るか。
***
「オレンジジュース2個お願いしまーす」
「了解しましたー」
「合計で200円になります」
現在、最後の仕事であるレジと接客をしている。お客さんもほぼ会場入りして待っている状態。
「あら、宗輝君じゃない」
「ほんとだー」「お兄ちゃんだー」
「千紘さん、こんにちわ」
そこへ現れたのは純と紗南を連れた千紘さんだった。それもそのはず、三人の為にチケットを取り置きしておいたのだ。流石俺、やれば出来る子。
「これ取り置きのチケットです。今日は楽しんでいってください」
「ありがとう、そうさせてもらうわね」
そうして、三人分の飲み物を渡して会場へ入って行った。このことは沙綾には内緒である。どんな反応をするか楽しみだな。
「もうお客さんもいないから、宗輝君あがっていいよ」
「ありがとうございます。それじゃあ、頑張ってください」
俺もこれにて仕事から解放された。まぁ、この後も手伝いはするんだけどな。取り敢えず自分の飲み物持って会場行くか。
~ライブ会場~
『ワーワー!!』
どうやら会場のボルテージは最初からお高いらしい。今日は三組しか出ないのでそこまで長くはならない予定だが、この様子だと何発かアンコール食らいそうだな....。そんなこと言ってても仕方ないので、ステージからはっきり見える位置に陣取って待っていた。
そして、ライブは幕を開ける。
パチッ
「久し振りのCiRCLEでのライブ!みんな、楽しんでいこう!」
『おおぉぉぉぉ!!』
蘭達の登場をきっかけに更に盛り上がる会場。正直、うるさく感じるレベルだが俺はこの雰囲気が好きだ。
「最初から飛ばしてくよ!」
蘭がこちらに気付いたようで目が合った。その瞬間、こちらを見つめて笑顔になる。それは、俺だけに向けて微笑んでくれているように感じて、何だか胸が熱くなる。
「————————Scarlet Sky」
蘭達の
「なかなかいいねCiRCLE!次はPoppin'Partyの番だよ!」
一向に下がらない会場の熱気を後に、演奏が終わったAfterglowは舞台裏へ帰っていく。ちらほらアンコールの声が聞こえるが時既に遅しである。蘭達が舞台裏へ戻ってすぐに、照明が暗転する。そして、明転してそこにいたのは.....
『私達、Poppin'Partyです!』ジャン
香澄達は軽く自己紹介を済ませる。香澄が少々とぼけたことを言って笑いが取れていたのもポピパらしい。
「CiRCLEでライブするのは初めてで、緊張するけど頑張ります!」
そして、全員に確認するかのように顔を向けて合図する。
「————————-STAR BEAT!~ホシノコドウ~」
改めてこの曲を聴いて、香澄達らしいと思えた瞬間だった。心が少しキラキラドキドキしてしまったのは内緒の話。
「皆さん、ありがとうございました!次はRoseliaです!」
演奏が終わって緊張が解けたのか、みんなで笑い合いながら舞台裏へと帰っていく香澄達。そして、香澄達の姿が見えなくなって間も無くして暗転。
パチッ
『キャー!!』
Roseliaの登場と共に会場のボルテージは最高潮に達した。周りからは黄色い声援が沢山聞こえる。そういえば、Roseliaって女性人気も高いんだっけか。
「今日は集まってくれてありがとう」
友希那の挨拶が始まった。
「もう一つ、みんなに伝えることがあるわ」
友希那が突然みんなに伝えることがあるとか言い出した。次のライブの告知か?そんなこと聞いてないんだけどな。
「今回のライブの為に、尽力してくれた人がいるわ。そして、その人はRoseliaの6人目のメンバーと言っても良いくらい。練習から準備まで手伝ってくれて。だから、今日を最高のライブに仕上げる。それが、
友希那が言い終わってから、三度暗転。数秒後に、少し明るくなったステージ。
「これが、私達の想いよ.....」
友希那がそっと呟いた言葉を俺は聞き逃さなかった。
「—————————————ONENESS」
~side changeー
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「宗輝寝ちゃったねー」ツンツン
「まぁ、彼も働き詰めでしたし疲れていたのでしょう」
「あこも眠くなってきました....」ウトウト
「........」ウトウト
「燐子も既に眠そうね」
私達は一通りの練習を終えて片付けをしていた。しかし、宗輝は練習がおわった途端に眠りについてしまった。彼には力仕事のみならず、色々と手伝って貰った。
「宗輝には、色々と迷惑をかけてしまったわね」
「何か、彼に恩返しは出来ないでしょうか?」
恩返し、なんて言うと宗輝は遠慮するでしょうね。そういうのを素直に受け取らない性格なのは知っているもの。
「でも、私達は何もしてあげられないわ....」
「何か....ないでしょうか....」
「友希那!歌があるじゃんか!」
「.....そうね、私達にはそれくらいしか無いわね」
「あこも、精一杯頑張りますよ!」
リサの言う通り、私達が彼にしてあげられるのは何物でもない歌である。その真実は曲げられない。ならば、最高のライブに仕上げることこそ最高の恩返しになる。
「湊さん、サプライズ演出なんてどうでしょうか」
「サプライズ演出?」
紗夜が珍しいことを言い出す。普段、サプライズなど紗夜の口からは滅多に出てこない単語。
「ええ、ライブの挨拶の後に
「それ.....良いと思います....!」
「あこも賛成ですよ!」
「燐子....あこ.....」
「友希那、やろうよ!」
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『これが、私達の想いよ.....』
宇田川あこの想い、それは.....
「(あこは、友希那さんと出会ってRoseliaに入ることが出来た。りんりんも入ってくれて今のRoseliaがある。そして、宗輝があこを、私達を導いてくれた。宗輝はそんなことないって言うかもしれないけど、あこやみんなはそう思ってるよ!だから、そんな宗輝に少しでも恩返しできるよう、あこ頑張るから!)」
白金燐子の想い、それは.....
「(私は引っ込み思案で、あこちゃんがいなければRoseliaにも入れてなかった。あこちゃんに出会えて、世界が変わった。あこちゃんが私の世界を変えてくれた。そして、宗輝君が私に勇気をくれた。だから、私は頑張れる。今は恥ずかしくて伝えられないこの想いも、音色に乗せて届けます!)」
氷川紗夜の想い、それは.....
「(正直、最初は貴方の事なんとも思ってなかった。だけど、段々と触れ合っていくうちに私の中で変わっていった。いや、貴方が私を変えてくれた。同じ悩みを持っていた貴方だからこそ、私を理解してくれた。私は、どんどん貴方に惹かれていく一方。日菜になんて絶対負けません。こうなってしまった責任は、取って頂きますからね)」
今井リサの想い、それは.....
「(自分より大人っぽくて、少し意地悪好きな一つ年下の男の子。どこか抜けているようなところも可愛くて、他の男の子とは違う宗輝だけに抱いてるこの感情。これだけは誰にも、友希那にだって負けられない。まだ言えないこの気持ちも、いつかきっと、君に伝えるから!)」
湊友希那の想い、それは.....
「(貴方には、色んな事を教えてもらった。歌や演奏については勿論、演奏の時の個々の癖とかもしっかりと教えてくれたわね。今、貴方には私達がどう見える?私は、Roseliaの歌姫としてしっかり歌えている?他のバンドになんか負けないわ。勿論、貴方の事についてもリサにだって負けないわよ!)」
そして、想いは重なり
蒼き獣達が今、目醒める
とりあえずRoselia回は終了です
しかし、このままいけば大ハーレムの予感.....
だが、それでいいッ!!
最近、モチベ上がってきて空き時間は書くようにしてます。そこで、本編の後に少しオマケみたいなのを追加しようと考えております。その前に、皆様の意見をお聞きしたく存じます。どんな感じが良いですかね?
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キャラ同士の日常会話&振り返り
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とびっきりのギャグパート
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次回予告風演出
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主に任せる( ̄∀ ̄)