トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~ 作:Lycka
気合いと根性で書き上げました主です。
連日投稿を容易く考えているそこの貴方(いなかったらごめんなさい)
意外とこれが難しいんですよ。
本当に毎日更新されてる方尊敬します。
(自分は3.4日が限界です)
では、20話ご覧下さい。
Produce 20#専属マネージャー(仮)
-翌朝-
「.....ちゃん!.....ちゃん起きて!」
「ん、後五時間......」
『せーの......、おっきろー!!』バサッ
「ぐへぇ!」
今日は香澄だけで無く、令香もプラスしての起床ダイブをモロにくらう。しかし、起こしに来たのかと思いきや、そのまま二人共布団をかけ直して中に入ってくる。
「何してんだよ」
「まだ6時30分だよ?」
「まだ時間あるからイチャイチャできるね!」
「なら何で起こしたんだよマジで......」
少し損をした気分になってしまった。起きてしまったものは仕方がないので、リビングに降りてコーヒーを淹れる。朝ゆっくりコーヒー飲みながらニュース見るのって案外楽しいよな。俺は朝弱いからあんまやったことないけど。
「まず何で香澄がいるんだよ」
「へ?いつものことじゃん」
もはや感覚が麻痺しているのである。コイツと距離を置いた方が良いのではないかと考えてみるが、結局離れられないという結論に至る。海外出張の時もそうだったが、コイツは俺と長期間離れることを嫌っている節がある。俺の方から距離を取ってしまっては尚の事どうなるかわからん。
「別に毎朝起こしに来なくても良いんだぞ」
「後五時間とか言ってたお兄ちゃんが何言ってるの」
「そーだぞ!今まで通り毎朝起こされててよ!」
少し日本語に無理があったがそこはスルーしておく。有咲なんか香澄語とか言ってるからな。俺も香澄語なら負けない自信がある。今度有咲と勝負してみよう。
それから、小一時間ゆっくりしていた。起こしてもらって遅刻するわけにもいかない為、少し早めに準備。三人共準備が整ったので家を出る。
「忘れもんないな、じゃあ行ってきます」
「令香、車には気をつけるのよ」
「令香、何かあったらすぐに連絡してくるんだぞ」
「俺の心配は無いのかよ」
「うん、じゃあ行ってきます!」
ウチの親も相当な親馬鹿なのである。家内カーストで言うと令香が頂点に君臨している模様です。因みに俺は一番下。
「お、明日香おはよう」
「宗輝、おはよう。令香ちゃんもおはよう」
途中まで明日香も一緒に行くとのことだったので迎えに行った。俺と香澄の家はそこまで離れていないので助かる。
「あーちゃんおはよー!」
「あっちゃん私は〜⁉︎」
「はいはい、おはよう」
「あっちゃんおはよう〜」ギュ
姉妹のくせに百合の花を咲かせている。香澄の一方的な愛にしか見えないけどな。まぁ明日香も明日香で面倒くさがりながらも拒絶していない時点でお察しである。
「俺も抱きついといた方が良いのか?」
「それはやめて」
「......地味に傷付いたぞ」
「そんな傷付いたお兄ちゃんはれーかが癒してあげる!」
そう言って背伸びしながら俺の頭を撫でてくる令香。こちらは戸山家と違い逆らしい。中学三年生に慰められる高校二年生ってなんだよ。
「そこまでにしてくれ、周りの目が痛い」
「私は気にしないもん!」
だから俺が気にするんだって。何で賢いのにそこらへんルーズなわけ?もうちっと考えようぜ令香さん。
「もう行くぞ」
『は〜い』
モタモタしたせいで、遅刻ギリギリの時間になってしまい担任の先生に怒られてしまった、主に俺が。何で香澄は怒られないんだよ。理不尽な世の中である。
***
キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン
「腹減った〜、有咲ご飯〜」
「何で私に言うんだよ!」
学校に着いてからは羽丘と変わらず時間が過ぎていった。驚くことに、授業の進行具合がほとんど同じであった。何事も無くお昼休みの時間になり、有咲にご飯のおねだりをしてみたが相変わらずのツッコミを入れられる。
「まさかいきなり帰ってくるとは思わなかったよ」
「美咲か、俺も昨日知ったくらいだからな」
「こころが知ればすぐやってくると思うけどね」
花咲川の異空間と呼ばれるこころだったらありえる。何なら授業放り出してでも来そう。それか、黒服の人達による暗躍。常にガードマンとしてこころの周りをウロチョロしているのは気付いているが、こころの親父さんも中々の心配性である。
「流石にまだ広まってないだろ」
「さっき私が伝えといたよ」
「え、何してくれてんだよ」
「いつものお返し。もうすぐくると思うから頑張ってね」
美咲はそう言って弁当箱を持って去っていった。やばい、時間がない。即座に俺も自分の弁当を持って教室のドアを開ける。しかし、時すでに遅し、ドアの前に異空間は存在した。
「宗輝じゃない!美咲から聞いて飛んで来たわよ!」
「おう、今急いでるから」
「羽丘のこととか沢山聞きたいわ!さぁ、一緒にご飯食べましょう!」
「あれ、こころさん話聞いてる?」
こころは鼻歌を歌いながら俺の手を引いて中庭へと向かっていく。まぁ、どのみち香澄達と食べるにしても中庭に行かないといけなかったので良しとしよう。
途中で、必殺"ふえぇぇ"を繰り出していた花音先輩を拾った。出会ったのでは無く拾ったのだ。花音先輩曰く、自販機を探していたら迷ってしまったとのこと。いや、三年目なんですからせめて校内で迷うのは無しにしましょうよ。
そして、ポピパの5人とこころと花音先輩の計7人と俺でお昼ご飯。
「有咲の玉子焼きもーらい!」パクッ
「あっ!何してんだよ宗輝ー!」
「なら私も貰うね」パクッ
「おたえまで!もーっ!」
いつものように弁当の中身の取り合いという幼稚な遊びが始まっていた。基本的に有咲ばかりが狙われるのだが。
「そう言えば、彩ちゃんが宗輝君に話すことがあるって言ってたような気がするよ」
「本当ですか?なんか昨日に引き続き嫌な予感するな」
「こころーん!これみてみてー!」
「なになに⁉︎わぁ、今日の香澄のお弁当はキャラ弁なのね!」
相変わらず声のボリュームが大きい二人。似た者同士なので惹かれあっているのだろうか、とてつもなくうるさい。まぁ、これが二人共デフォルトなので仕方がないと言えば仕方がない。
「ねぇむーくん、これ見て」
「ん?何だよこれ」
「これむーくんだよ?」
「どこに俺の要素が入ってるか教えてくれ」
どうやら、俺のキャラ弁らしい。ていうか、キャラ弁って言われなきゃ分かんないレベルだぞこれ。良くこころは分かったな。
「よし、弁当も食い終わったし教室戻るか。花音先輩、一応聞きますけどここから教室帰れますよね?」
「流石に帰れるよ!......ちょっと時間かかりそうだけど」
最後の方の言葉は聞かなかったことにしよう。中庭で花音先輩とは別れ、他のみんなで2年生の校舎へ戻った。教室について残りの少ない時間を少しでも休憩に充てようと思い、自分の机に突っ伏していた。
-放課後-
「失礼しまーすっと、彩〜迎えに来たぞ〜」
「な、何で宗輝君が来てるの?」
「昼に花音先輩から彩がなんか話すことあるって聞いたから」
授業も終わり、放課後すぐに彩のいる教室へと向かった。まだ数人教室に残っていた為、俺が入るや否やヒソヒソ話が聞こえてくる。こういう時って、悪口されてると思いがちだよな。実際、俺はその経験しかないけど。
「彩ちゃん、彼氏来てるよ」
「お熱いねぇ」
「もう、そんなんじゃないってば」///
数人が彩に近づいて何かを言っているようだが、俺には関係ない事なので放っておこう。世の中には知らない方がいい事だってあるんだぜ。
「取り敢えず、みんなも集めてから行くからついてきてね」
「ん、りーかい」
その後、校門にて待ち合わせしていた千聖さんとイヴと合流してある場所へ向かっていた。
「なぁ、今ってどこに行ってるんだ」
「あら、宗輝君は知らされてないのね」
「アヤさんから聞いてなかったんですか?」
「だって聞かれなかったんだもん」
「なら今聞くから教えてくれ」
確かに教えてとは言ってなかったが教えてくれてもいいじゃないですか。
「って言ってる間に到着したよ」
「......ここどこなんだ?」
「ここは私達の事務所があるところよ」
「いわゆる味方本陣ってやつです!」
なんで俺芸能事務所なんかに連れてこられてるんだよ。話があるんじゃ無かったのか?
「日菜ちゃんと麻弥ちゃんはもう来てるらしいよ」
「なら早く行きましょうか」
「いざ、出陣です!」
イヴ、さっきの味方本陣はどうした。本陣に突っ込んじゃ元も子もないだろ。そう心の中でツッコミを入れると同時に、自分の巻き込まれ体質を痛感していた。
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「こんにちわ〜」
「彩さん、皆さんもお疲れ様です」
「麻弥ちゃん達はいつ頃着いたの?」
「んー、10分くらい前かな!」
最初は渋っていた俺だが、千聖さんと彩とイヴに引っ張られる形で入場してしまった。中には社員の方達が沢山働いている。悪い印象を持たれるわけにはいかなかった為、早々に抵抗するのを諦めた。
「んで、話ってなんだよ」
「それは私から説明しようか」
その声は奥の方から聞こえた。明らかに5人の声では無かったので俺は声のする方を向く。
「初めまして、私はプロデューサーをやっている者です」
「初めまして、何でプロデューサーの方が?」
「それほど重要な案件だという事です」
なら俺みたいな一般人に頼るなよ、と言いたいところだが5人の目を見てそんな場合では無いことを察する。おそらく何かあったのだろうと思い、プロデューサーの人の話に耳を傾ける。
「話というのは他でもありません。実は、今朝パスパレの専属マネージャーから連絡が入りまして急用で少しの間仕事に来れないそうなのです」
「それで、僕にマネージャーの依頼ですか」
「話が早くて助かります。勿論、対価は支払います。パスパレは約1ヶ月後にライブを控えているのですが、マネージャー無しでは少々厳しいのです」
確かに厳しいところがあるだろう。前にRoseliaの主催ライブを手伝った時にそれは痛いほど経験している。パスパレのライブとなるとそれよりも規模がデカくなるだろう。
「ひとつだけ聞いていいですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「何で僕なんですか?最悪、他のマネージャーさんを借りてくれば解決する問題だと思うんですけど」
俺の言葉を聞いたプロデューサーは、少し考える様な顔をして5人を見ていた。それから数秒後。
「実のところ、それも考えていたのですが5人に提案したところ却下されまして......。それで、私から別の案を提案をしたのです」
「その案が一般人から募るって事ですか」
「......いいえ、それは少し違います」
プロデューサーが少し大きめに息を吸ってそう答える。じゃあ、尚更俺が連れてこられた理由が分からん。5人は黙ったままだし何がしたいのかさっぱりである。
「私の提案、それは......」
"5人全員が信用できる人を連れて来なさい"
「私はそう提案したのです」
「......そうですか」
全員が信用出来る人。それは、即ち5人から信頼も信用もされているということ。それで俺が選ばれたのか。やっと理由が分かって少し気が晴れた。
「勿論、強制などではありません。最終的には私でも5人でもない、貴方が判断して下さい。日にちを改めても......」
プロデューサーが話しているのだが、俺は強引にその流れを切る様にして話し出す。
「いや、その必要は無いですよ。その依頼、受けさせてもらいます」
「......本当ですか?少し脅す様にはなりますが、パスパレの今後がかかっています。下手な失敗は出来ませんよ」
「そんなこと知ってます。最初は流石に断ろうと思ってました。......けど、気が変わりました。僕にやらせて下さい」
そして、プロデューサーへ頭を下げてお願いする。その姿を見て5人も同じ様にしてお願いする。
「分かりました。私から上の方には伝えておきますので」
その後、プロデューサーから詳細を聞いて事務所を後にした。なんでも数多くのアイドル達が集結して行うライブらしい。それもかなりの大舞台。
「宗輝君、黙っててごめんね」
「いんや、今回の事に関しては彩達は悪く無いだろ」
「でも、本当に良かったの?」
「これ言っちゃあなんだけど、結構忙しいよ?」
そんなこと分かってる。マネージャーの仕事が大変じゃないと思ったら大間違いである。
しかし、本当に大変なのは彩達の方だ。そんな彩達を一番身近で支えたいと思ったから今回の依頼を受けたのだ。いつも助けてもらってる恩返し、とまではいかなくとも何かしてやりたかった。
「日菜、るんっとこねぇか?俺とお前達でライブするんだぜ?」
「......確かにるんっときた!」
「麻弥、最新鋭の機械もあるかもしれないぞ」
「......フヘ、フへへへへ」
「イヴ、今こそジャパニーズソウルを燃やそうぜ」
「いざ、ブシドーッ!!」
「千聖さん、女優業との両立難しいですよ?ついてこれますか?」
「私を誰だと思ってるのよ、白鷺千聖よ?」
「彩、会場をお前達の色で染め上げようぜ。俺も頑張ってみるからさ」
「......うん、みんな頑張ろう!!」
『おーっ!!』
こうして俺は、今日からPastel Palettesの専属マネージャー(仮)となった。
どんどん暑くなってきてますね。
最近は、部屋でクーラーガンガンにかけながら寝そべって考えてます。