トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~ 作:Lycka
竹田 いのりさん有難う御座います!
そして、今までに☆9評価頂けている
プロスペシャルさん、ティアナ000782さん、よろうあさん有難う御座います!
気付かぬうちに評価頂けててびっくりしました。
自分の次の目標は、評価バーに色をつけることなのでドシドシ評価お待ちしております。
それでは、21話ご覧下さい。
「斎藤君、こっちお願い」
「あ、はい!」
「この資料どうなってるの?」
「これはですね......」
「宗輝〜、かまって〜」
「おう......ってそんなこと出来るかーっ!!」
ただ今、絶賛こき使われております。
***
パスパレの専属マネージャーの依頼を受けて数日。今日は学校が終わってから事務所へ来ていた。今日も、と言った方が正しいか。実のところ、ほぼ毎日のように事務所へ通っている。理由は簡単、流石に俺に任せっきりという訳では無いらしく一応教育という名目で事務仕事もやらされている。他にもライブの調整とか。
「随分と忙しそうね」
「そう思うんなら手伝ってくださいよ」
「無理よ、私にもプロデューサーの仕事があるの」
この人も俺が来始めてからというもの、無駄に話しかけてくることが多い。気軽に接してくれるのは嬉しいんだけど、せめてこのクソ忙しい時はやめてほしい。
「ねぇ宗輝〜」
「だから無理だって」
「日菜ちゃん、今はやめとこうよ」
日菜は日菜で構ってほしいらしい。お前らはCiRCLEにでも行って練習しろよ。ライブも近いんだから。
「宗輝君、私に手伝えることないかしら」
「千聖さん、すみませんがもう終わります」
頼まれていた資料は完成、ライブまでの大体のスケジュール表もできた。取り敢えずノルマは達成。
「......彩ちゃん、一体彼は何者なのよ。明らかに高校生の範疇を超えてるわよ、あれ」
「何でも出来ちゃう人なんですよ......」
「流石ですムネキさん!」
「何でもは出来ねぇよ。それより、麻弥はどこいった?」
先程から麻弥の姿が見えなかったのは気付いていた。麻弥だけ来ていない、ということも無いだろう。
「麻弥ちゃんならそこにいるよー」
「え?どこにいるんだよ」
日菜の指差す方向、それは俺のデスクの下を指し示していた。俺は恐る恐るデスクの下を覗き込む。
「フヘ、フへへへへ......。この丁度いい暗さといい狭さといい、ここは最高ですね!」
「出てこんかこの変態」
その後、麻弥を引っ張り出して少しお灸を据えておいた。
-ファミレス-
「......ねぇ、あれ丸山彩ちゃんじゃない?」
「というよりパスパレっしょ」
事務所での仕事が終わり、俺たち6人は晩御飯を食べにファミレスへと来ていた。当然、席に座って早々にバレてしまった。しかし、話してはいるもののこちらに話しかけてこないので良しとしよう。
「さっさと決めて食べるぞ」
「んー、私は宗輝と一緒でいいやー」
「他の人は?」
「私はこれにしようかしら」
「あ、私もそれにしようと思ってた!」
「ジブンはいつものやつにします」
「私もマヤさんのと同じものをお願いします!」
皆一様にメニューを見て自分の選ぶものを指差している。仲が良いのか適当なのか同じものを頼む奴らが3人。幸い、俺と千聖さんと麻弥のメニューは被ってなかった。
それから店員さんを呼んでメニューを頼み、数分後には全員の分が届いていた。
「んじゃ、頂きます」
『頂きま〜す』
俺自身、そこまでファミレスに行ったことが無かった為少し新鮮な気がした。どうやら俺は庶民派らしく、美味い美味いと気付かぬうちに頼んだWハンバーグのセットをペロリと平らげてしまった。
「最近頑張ってるね宗輝君」
「ん、そりゃあパスパレのライブだからな」
「"中々の人材ね。今の内に唾つけとこうかしら"ってプロデューサーさんが言ってたよー」
マジで何考えてるんだよあの人。俺捕まっちゃうの?どうせこき使われるだけだから勘弁してほしい。あの人見てくれは完璧なんだけどなぁ。いかんせん性格悪そうなんだよ。
「あ、今の内にスケジュール伝えとくぞ」
「どんと来い、です!」
みんなワイワイしているように見えるだろうが、やはり仕事の話となると目つきが変わる。しっかりとオンオフが出来るところはやはりプロと言わざるを得ないだろう。
「もうライブまでの時間は少ない。プロデューサーさんと一緒に練ったんだけどあまり良い案が思いつかなくてな。取り敢えず来週一杯迄は練習詰めだ」
「......中々ハードなスケジュール表ね」
「千聖さんやイヴ達は、他の仕事のスケジュールもあるだろうからこのままの流れではいけないと思うけどな」
「そこは気合いと根性です!」
実際、既にプロデューサーさんにみんなの仕事のスケジュールも見せてもらっていた。それを考慮してなるべく全員で合わせる時間が出来るように調整したつもりだ。俺は俺で他の仕事もしなきゃなんねぇし練習にはあまり付き合ってやれないかもしれない。
「取り敢えずはこのまま走るしかないから。問題があったら連絡してくれ。都度調整はしていくから」
「了解しました。機材のチェックはジブンに任せてください!」
「おう、頼りにしてるぞみんな」
一通りのスケジュール説明を終えて、その日は解散となった。
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キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン
「むーくんお昼で帰るの?」
翌日、いつもの様に中庭でお昼ご飯を食べていた時。香澄からそんなことを聞かれる。
「何でそれ知ってるんだよ」
「有咲が言ってたよ」
何で有咲がそのこと知ってるんだ?俺は弁当箱を置いて有咲に迫ってみる。
「あ〜り〜さ〜?」
「紗夜先輩が言ってたのを聞いただけだよ!」
紗夜先輩ということは、情報源は日菜だな。仕事の事をホイホイ言いふらすなよ。まぁいいけどさ。
「まぁそういう訳だから」
「なら私も帰る!」
「香澄ちゃんはダメだよ」
「むっくんだけズルいよね?」
「おたえも香澄も帰れねぇって」
こんな事を言い出したのは有咲、君にも原因があるんだぞ。ここはひとつお返しをしてやろう。
「有咲、こっち向いて」
「ん、何だよいきなり......」
「んっ......」ペロッ
「んなっ!お、お前はぁ!!」///
有咲のほっぺについていたご飯粒を舐めとる。普通に手でとっても良かったのだが、それでは面白みがない。何より、俺の気がすまん。
「有咲の味がして美味しいぞ」ニヤッ
「私の味ってなんだよっ⁉︎」///
「......」ツンツン
有咲をいじっていると、すぐ隣にいた沙綾に袖を掴まれる。
「どうしたんだ沙綾」
「......そういうの有咲ばっかりズルい」
相変わらず甘え下手な沙綾である。しかし、流石の俺もこれにはノックダウン。あの、可愛すぎやしませんか?俺は沙綾をこちらへそっと抱き寄せる。
「確かに、最近はライブの手伝いとかマネージャーの仕事もあって中々お店には顔出せてないな。そのせいで沙綾にも負担かけちまってる訳だし」
「それは大丈夫だけど......」
「大丈夫なわけあるか。俺が手伝うって約束で始めた事だ。それなのに顔出すことすら出来ないから」
沙綾はそれでも自分がいるから大丈夫だと言う。しかし、その顔には元気が無い。だんだんと言い合いっこの様な展開になっていってしまった。
「だから、それは俺が悪いんだって」
「宗輝は何も悪く無いよ」
「沙綾ちゃんも宗輝君も一回落ち着こうよ」
「取り敢えず有咲の玉子焼き食べる?」
そう言っておたえが天然なのかわざとなのか場を和ませてくれる。それでも沙綾は引き下がらなかった。
「はぁ......うるさい口はこうしてやる」チュ
「......んっ!!」
俺は、沙綾のほっぺ、でなはく今度は唇へとキスをする。いわゆるマウス・トゥ・マウスってやつか。それを見た有咲が顔を赤らめ、りみりんも同じ様な反応をしている。おたえは何が起こったかわからないと言った感じ。唯一、香澄だけが平然としていた。
「......これでいいか?」
「う、うん」///
どうやら俺の答えは正解だった様で、沙綾は満足気な顔をしている。しかし、有咲はプンプン怒りながら迫ってくる。
「何やってるんだよお前!キスだぞ⁉︎チューだぞ⁉︎」
「その言い方可愛いな」
「そんなこと言ってる場合か!」
「有咲、そんなに凄いことなの?」
迫り来る有咲を抑えていると、香澄が純粋に有咲に問いかけていた。こいつ意味分かってないのか?香澄なら有りえるが流石に分かるだろ。
「あのな香澄、キスっていうのはな......」
「私いつもむーくんとしてるよ?」
「おい、初耳だぞ。......違うんだ有咲、沙綾。誤解だから許してくれ!!」
その後、お昼休みの時間ギリギリまで有咲と沙綾に正座させられました。
***
「こんにちわ〜」
「あら、宗輝君。今日はお昼から早退なんかさせちゃってごめんね」
「その顔は全然謝ってない顔ですよプロデューサーさん」
結局、有咲&沙綾にこってり絞られてギリギリの時間になってしまった。香澄に説明を求めたところ、"朝起こす前にちゅーしてるよ"とのこと。そりゃあ平然としてられるわな。俺の方は気が気じゃなかったけど。許してもらうのに有咲と沙綾に1回づつキスしたんだぞ。......あれ、これ役得じゃね?
「顔が緩んでるわよ、何かあったのね」
「プロデューサーさんは占い師にでもなった方がいいと思いますよ」
「お生憎様、こちとら命張ってやってんのよ」
そう言いながら誇らし気にしているアラサーのプロデューサー。見た目的には全然アラサーには見えないけどな、スタイルだって良い方だし。因みに歳は日菜に教えてもらった。
「ほら、今日も頑張っといで」
「今日はプロデューサーにお仕事教えてもらう番ですよ」
「......あれ、そうだっけ?」
褒めたら伸びるタイプでは無いらしい。この時々出るポンコツさが無ければ完璧なんだけどなぁ。あと、性格も直して欲しいところである。
「私、性格は悪い方よ?」
「ナチュラルに人の心読まないで下さい」
この人には敵わないと改めて思った瞬間であった。
-5時間後-
「はぁ〜、やっと終わった!!」
「お疲れ様。時間あるけどどうするの?」
お昼過ぎからぶっ通しでこの時間までやりきった。本当にこの人スパルタが過ぎる。俺まだ高校二年生だよ?そこらへん分かってらっしゃる?
「もうすぐわかりますよ」
「何が分かるのよ」
「ほら、来ました」
丁度良いタイミングで事務所の扉が開く。そこには、パスパレの5人がいた。
「あ、宗輝みっけ!」
「宗輝君、お疲れ様」
俺の姿を見つけると、一目散に日菜が駆けつけてきた。その後を4人も付いてきて、千聖さんに労いの言葉を貰う。
「......そういうことね。ノルマもクリアしてるから今日は上がって良いわよ」
「でもまだ作成途中の資料有りますよね?」
「後は私がやっとくから、早く行っといで」
前言撤回、本当に食えない人だ。ここまでくると好意すら抱いてしまうほどである。
「ならお言葉に甘えさせて貰います」
「もう大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよイヴ。じゃあ行くか」
俺は既に片付けを済ませていたので、荷物を持てばすぐに出られる様にしていた。だが、そこで麻弥に止められる。
「すみません、少し持っていきたい機材があるんですけど」
「良いわよ、倉庫はあっちだから」ホイ
「うおっと、いきなり鍵投げないで下さいよ」
プロデューサーさんも時間はあまりないらしく、その後すぐに仕事に戻ってしまった。どうやら試したい機材があるとのことなので、先程鍵をもらった倉庫へ向かう。
倉庫へ着き、鍵を開けて中へ入る。
「うへぇ、ここ汚いねー」
「文句言うならプロデューサーさんに言ってくれ」
しかし、日菜の言う通り中はとてもじゃないが綺麗と言える状態では無かった。これを知っててあの人は行かせたのか?まぁ今は関係ないか。
「取り敢えず片付けから始めるか」
「整理整頓もブシの基本です!」
「イヴちゃん、今それ必要?」
彩、そのツッコミではダメだ。ツッコミを入れるなら素早く、的確に、斜め上へが基本だ。違うか、違うな。
それから、なんやかんやあって何とか片付け完了。麻弥の探し物も見つかり、事務所を後にした。
「麻弥、それなんなんだ?」
「これはですね、言うなればアンプとエフェクターの一種です」
「今あるやつじゃダメなの?」
「ダメという訳では有りませんが......」
そして、CiRCLEに着くまで麻弥の機械オタクとしての知恵が披露された。まぁ、新しいものを取り入れてみたかったそうだ。話している麻弥の顔は、終始笑顔であった。こういう素を出せる仲間って必要だよな。
「まりなさん、こんにちわ」
「宗輝君に彩ちゃん達も、こんにちわ」
『今日もよろしくお願いします!』
彩達を見送ってから、俺は少し用があったので受付へ戻った。
「まりなさん、ちょっと良いですか?」
「ん、どうしたの宗輝君」
「少しお願いが......」
***
「よし、今日はこれくらいにしとくか」
「ふぅ〜、宗輝飲み物ちょーだい!」
「今取ってくるから待ってろ」
CiRCLEでの練習時間は今日は2時間。未だセトリは完成していないが、大体ライブで演奏する曲は決めてある。それらの合わせを行った。
「ほれ、日菜はこれな。後は選んでくれ」
「ありがと宗輝君」
「ありがとね」
「頂きます!」
「宗輝君もお疲れです」
後は片付けをして帰るだけ。練習中は休憩らしい休憩をできなかったので、取り敢えず今はみんなに休憩を取ってもらってる。身体壊しちゃ元も子もないからな。
「彩ちゃんはMC考えとかないとねー」
「うぅ、それが一番大変かも......」
「デビューライブみたいな事にはしたくないわね」
『デビューライブ......』
千聖さんの口から出てきたデビューライブの言葉に、みんなが暗い顔をしている。まぁ、
「あの頃より上手になれてるかな?」
その問いは、果たして自らに問いかけているのか。はたまた他のみんなに問いかけているのか。どちらにせよ、その言葉に対する回答は一つ。
「上手くなってるよ、確実にな」
「宗輝君......」
みんながこちらを向いて静かに次の言葉を待っている。
「最初からできるやつなんてそうそういない。日菜みたいにすぐ真似できても中身は全然違う、そうだろ?」
「うーん、そんな感じはするね!」
「え、えと、どういう意味?」
今のところ、彩とイヴが言葉の意味を理解できていないようだ。千聖さんと麻弥は流石というべきか。
「見様見真似でやるのと、練習を積み重ねたものとは全然違うって意味だよ」
「あー、なるほどね」
「洗練された刃は......」
またイヴのブシドー論が始まったが大体みんなスルー。この感じももう慣れてきたものである。
「"99%の努力と1%の才能"って言葉があるだろ」
「有名な名言ね」
「なんだか彩ちゃんに似てるねー」
「それどういう意味日菜ちゃん!」
恐るべき日菜、俺が言おうと思っていた事を先に言われてしまう。これだから氷川姉妹は侮れない。紗夜さんも同じような事言いそうだもんなー。
「努力は必ずしも報われるとは限らない。けど、俺はその努力する過程に意味があると思ってる」
「つまり、どういうことでしょうか?」
「つまり、今は頑張って努力するしかねぇってことだ」
「回りくどい言い方だったけど、結局はそこに行き着くのね」
少し千聖さんが呆れたように頭を抱える。しかし、流石は女優。その姿さえ様になっている。数秒程見惚れていたが意識を自分の中へと戻す。
「ライブまで後残り少ない時間だけど、練習積み重ねていったら大丈夫だ。俺も手伝ってやるから全力で頑張れ」
「ジブンももっと頑張ります!」
「元よりそのつもりよ」
「ブシドー!!」
「おー!!」
「.....うん、私頑張るよ!」
皆一様に返答する。誰が何をいっているかははっきりとは分からなかったが、決意や想いは充分過ぎるほど伝わってきた。ドンドン突き進んでいくお前らを、俺は側で支えてやるからな。
ちょっとカッコつけてしまったが、実は全然貰っている仕事は終わっていない。半分くらいはプロデューサーに手伝ってもらってやり切れるレベル。
「......今日は徹夜か」
「宗輝なんか言った?」
「何もないよ。よし、じゃあ帰るか!」
しかし、帰る途中で事務所に貸して貰っているUSBを忘れてしまった事に気付き、一人寂しく帰ることになった。
みんな可愛すぎて困ってます。
推しは誰かと聞かれると、推しはバンドリですと答える派です。