トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~   作:Lycka

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やる気がある時って1日に2話ぐらい書けちゃうんです、主です。
書ける書ける!読める読めるぞぉ!って感じになります。
パスパレ回、というかパスパレ編このあとも続きます。


では22話、ご覧下さい。


Produce 22#心の拠り所

 

 

 

 

 

ライブで演奏する曲の練習や合わせを始めて一週間が経過していた。仕事の都合もあり、全員で合わせられたのは半分程度。しかし、段々と上達してきているのは火を見るよりも明らかだった。そして、今日も今日とてCiRCLEにて練習を積んでいた。

 

 

 

「ムネキさん、ちょっといいですか?」

 

 

練習も終わりを迎え、片付けを始めようと思っていたところでイヴが不安そうな顔をしている。

 

 

 

「イヴ、なんだよ急に」

 

「お話したいことがあってですね......」

 

「麻弥まで、ライブの事か?」

 

 

 

イヴに加えて麻弥までもが話したいことがあるといってきた。最近は調子良くいってると思ってたんだが何か心配事でもあんのか?

 

 

 

 

 

「ライブのことでは無いんですけど......」

 

「最近、電車の中でチカン?されることがあって......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今痴漢って言ったのか?そうだとしたら冗談で済まされるレベルを超えてる。話を聞いて憤りを感じながらも今は抑えようと必死に対抗していた。

 

 

 

「もしかして麻弥もか?」

 

「いえ、ジブンは最近帰る時に人の気配を感じることが多々あって......」

 

 

 

 

おいおい、マジで言ってんのか。それが本当だとしたら立派なストーカーだぞ。イヴに続いて麻弥までもが酷い目に遭っているのを知り、他の三人にも一応聞いてみる。

 

 

 

 

「彩達は大丈夫か?何かおかしなことはなかったか?」

 

 

 

「ううん、私は大丈夫だよ」

「私も大丈夫よ」

「私は大体宗輝と帰ってるから大丈夫ー」

 

 

 

 

取り敢えず三人は大丈夫そうで良かった。しかし、大丈夫だからと言って現状は何も変わらない。この三人にもその可能性は充分ありえる。これはプロデューサーにも報告して早急に対応しなければ。

 

 

 

 

「取り敢えずこの件は一旦プロデューサーに報告しておくから」

 

「でも、それだけじゃ解決しないでしょう?」

 

「うぅ、こんな時どうしたらいいの?」

 

 

 

 

まずは、イヴと麻弥の気持ちを落ち着かせることが最優先だ。このままだとライブ云々の話である。無事に帰れて作戦も練れる方法......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日、全員俺の家に泊まるか?」

 

 

 

『えぇぇ⁉︎』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

「お兄ちゃんお帰り!」

 

 

 

一番安全で確実な方法、それがこの手段だった。みんな何故か顔を赤らめながらOKしてくれた。なに、そんなに嫌だったの?俺泣いちゃうよ?

 

 

 

 

「今日はお客さんいっぱいいるぞ」

 

「れーかちゃん!」

 

「日菜さん!」

 

『お邪魔します』

 

 

 

みんな律儀に挨拶をしてから玄関から入ってくる。何名か緊張している様子だが。

 

 

 

「あら、みんなべっぴんさんばかりね」

 

「狭いけど今日は家でゆっくりしていくといい」

 

『ありがとうございます!』

 

 

 

いや、べっぴんさんて今日日聞かねぇな。そんなに古臭い言葉使う方だったかあんたら。

 

 

 

 

 

普通、いきなり女の子5人を家に連れ込んできたら親なんて発狂してもおかしくはない。しかし、何故こんなにウチの親が物分かりがいいのか。それは、俺が事前に連絡しておいたからだ。事情を話すと二つ返事で了承してくれた。やはり親には頭が上がらないな。

 

 

 

 

 

「荷物は取り敢えずリビングな」

 

「はーい」

 

「日菜ちゃん、もうちょっとちゃんとしようよ」

 

「え、何で?」

 

 

 

 

日菜、お前はその平常運転のままでいてくれよ。只でさえイヴと麻弥が参ってるんだ。何処かに心の支えが無いとすぐ折れてしまうかもしれないからな。その支えに少しでもなれたらいいんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなが持ってきた荷物をリビングに置き、晩御飯が出来るまで俺の部屋で作戦会議をすることになった。令香も入りたいと言って聞かなかったが、俺が一言断りを入れるとすんなり受け入れてくれた。令香には話してないのだがやはり雰囲気で分かるのだろうか?

 

 

 

「今日はこれで大丈夫だけど、問題なのは明日からの登下校だな」

 

「ずっと宗輝と一緒に居ればいいじゃん!」

 

「流石に宗輝君にもやることがあるわよ」

 

 

確かに俺がずっとついてやれれば良いんだけどなぁ。そろそろ忙しくなってくるし、犯人を突き止めなきゃ終わらないしな。しかし、ライブも控えている身で警察沙汰は勘弁してもらいたいところである。もう直接会って話すしか無いのか。

 

 

 

 

「取り敢えず日菜と彩、それに千聖さんは三人で出来るだけ行動するようにして下さい。まとめ役は千聖さんにおねがいします」

 

「任されたわ」

 

「彩ちゃんはいざという時になったらテンパりそうだもんねー」

「想像できるから言い返せない......」

 

 

 

千聖さんに任せておいたら一先ず安心だろう。一つしか歳は変わらないはずなんだが、時々大人と接しているように感じる時がある。しっかり者のお姉さん、って感じだな。まぁ本当にお姉さんになりたがってるところを見てるからかもしれんが。

 

 

 

「イヴと麻弥には俺がついていく。それで大丈夫か?」

 

 

「宗輝君がいれば頼もしいですね」

「百人力です!」

 

 

 

 

 

 

こうして明日からの作戦が決まった。それから程なくして、晩御飯が出来たみたいなのでリビングへと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうお母さん達済ませてるから、みんなで仲良く食べてね」

 

『ありがとうございます!』

 

「お、今日は珍しく力入ってるじゃん」

 

 

 

 

俺がそう口にしたのには理由がちゃんとある。母さんは料理上手だが、手を抜くときは半端なく手を抜くタイプの人である。そういう訳で、時には卵かけご飯だけで済まされる時もあった。まぁ大体そんな時は機嫌悪い時だけどな。

 

 

「凄く豪華で美味しそう」

 

「あら、ありがとう」

 

 

「後で作り方を教えて頂いても良いですか?」

 

「勿論よ、将来のお嫁さん候補が増えるのは良いことだからね」

 

「おいそこ、勝手に増やすな」

 

 

 

 

流石千聖さん、抜け目が無い。こんな状況でさえ有効活用しようとしてくる。恐ろしい子、早く何とかしないと。

 

 

 

 

『頂きます!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、やっぱうめぇな」

 

 

 

「ん〜、この味付け最高!」

「ジブンもこれ好きです!」

 

 

「このツケモノ、味に深みを感じます!」

「......私もお義母さんに教えてもらおう!」

「それが良いわね」

 

 

ちょっと、イントネーションおかしくなかった?彩の()()()()だよな?俺の母さんじゃないよな?千聖さんも何が良いんですか。仲間増やそうとしないでください。

 

 

 

 

ピコッ

 

 

 

「ん、この時間に誰からだ?」

 

 

晩御飯最中だというのに俺の携帯に何やら動きがあったらしい。音から察するにメールか何かだろう。不思議に思い、ふと画面を操作してメールを開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

From:母さん

To:宗輝

[本文]

 

どの子が本命?

千聖ちゃん?それとも彩ちゃん?

あ、分かったわ。5人全員とかでしょう?

今時ハーレムなんてやるじゃない♪

明日は赤飯用意しとくね❤︎

 

p.s

あまり羽目を外しすぎないようにね〜

 

-End-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、優しくそっと携帯をソファへ投げつけた。

 

 

 

___________________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ご馳走様でした!』

 

「お粗末さん。片付けは俺がやるから風呂にでも入っててくれ」

 

 

晩御飯も無事終わり、後は寝るのみとなった。令香がお風呂を沸かしてくれていたらしく、先に入ってくれとのこと。流石俺の妹、そういうところはマジポイント高い。最後に"お兄ちゃん一緒に入ろう!"とか言わなかったらもっと良かったけど。千聖さんのハイライトの消えた目はもう見たくない......。

 

 

 

 

「私も手伝うわよ、流石にお世話になりっぱなしは良くないわ」

 

「な、なら!私も手伝う!」

 

 

 

そこからは御察しの通り、結局全員で片付けをすることになってしまった。勿論、ウチのキッチンはそこまで広くない。ギュウギュウ詰めでの作業を強いられる。

 

 

 

「ごめん、腕当たった」

 

「だ、大丈夫ですよ」///

 

 

「イヴ、もうちょっと寄れるか?」

 

「これ以上はムリです〜」///

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.......だぁ〜!!俺一人で大丈夫だから早く風呂に入ってこい!」

 

 

 

もう流石に持たん、主に俺の理性が。だって、凄く柔らかくて良い匂いがするんだもん。それに反応がすげぇ可愛いから控えめに言ってヤヴァイ。

 

 

「......ふふふ、宗輝もまだまだ子供ね

「......お兄ちゃんはれーかのだもん!

 

 

 

 

今ドア越しにいる奴、マジで覚えとけよ。今度俺が飯作るとき母さんだけ卵かけご飯にしてやる。令香は罰として一日中無視とかで良いか。いや、ダメだな、そんなことしたら俺が父さんに潰される。

 

 

 

 

 

そんなこんなで片付けも終わり、俺が最後に風呂に入って寝る準備にかかる。何故か押し入れに来客用の布団が5つピッタリ入っていた。そこについてはもう言及しないことにしておく。

 

 

 

「明日も学校だから早めに寝るか」

 

「えー、折角だから何かしようよー」

 

「出来るもんっつってもトランプとかしかないぞ」

 

 

我が家にはあまりみんなでやれるゲームの類が無い。元々親がしていなかったのも大きいのだろうが、何せ幼い頃からアウトドア派だった為買う機会が無かった。買おうとは何度か思ったのだが、結局香澄に連れ回されると思い断念。それの繰り返しだった。

 

 

 

「普通にやっても面白く無いから勝負しようぜ」

 

「何で勝負するの?」

 

「トランプで勝負ならポーカーだろ」

 

「ポーカー?」

 

 

 

彩は頭の上にハテナを浮かべている様子。ポーカー知らないのか。案外ポピュラーな気がせんでもないけどな。一通りルールを説明して、全員にカードを配り始めた。俺がディーラーで俺vsパスパレみたいな感じで勝負。その時、深夜テンションだった為負けた方は勝った方の言う事を一つ聞くということになった。なんか既視感すげぇわ。

 

 

 

 

「ほれ、交換するやついるか?」

 

 

「ジブンは2枚欲しいです!」

「私は3枚いきます!」

 

 

麻弥とイヴが交換を申し出る。他3名はステイの方向らしい。俺の手札は2ペアと初手にしては中々のもの。3回勝負だから今回は俺もステイで良いか。

 

 

 

「よし、じゃあオープンしてくれ」

 

 

「ジブン1ペアです!」

「私も1ペアよ」

「一つも揃いませんでした......」

「あれ、私も揃ってない?」

「私は宗輝と一緒で2ペアだー」

 

 

 

麻弥と千聖さんが1ペア、イヴと彩がブタ、日菜が俺と同じ2ペアという結果となった。イヴの手札はまだ分かるが、彩は何でブタなのに交換しなかったんだよ。流石にポンコツ過ぎるぞまんまるお山さん。可愛いから良いけどさ。

 

 

 

「俺の方がランクが高いから俺の勝ちな」

 

「これでもう負けられなくなったわね」

 

「ち、千聖ちゃん?」

 

 

 

千聖さんの目が燃えている。こういった勝負事が好きなのだろうか?今まであまり触れてこなかった部類だったからか、一番ポーカーを楽しんでいるのは千聖さんの様に思える。自分より歳上の女の子が無邪気にはしゃいでる姿ってなんか良いよな。

 

 

 

「よし、配るぞ」

 

「人事を尽くして天命を待つ、です!」

 

「たかがポーカーで大袈裟だろ」

 

 

カードを配り終えて、自分の手札を見てみる。今回はダイヤとクローバーのAの1ペアのみ。流石にこれでは弱過ぎる為、一か八かでスリーカードを狙いに3枚交換。今回はイヴと彩がそれぞれ2枚ずつ交換。

 

 

 

 

「よし、オープンしてくれ」

 

 

「ジブン今回は無理でした」

「もうちょっとだったのに......」

「やりました!1ペアです!」

「イヴちゃん!私も1ペアだよ!」

 

 

麻弥と千聖さんがブタ、イヴと彩が1ペア。

 

 

「あれ、日菜の手札は?」

 

「ふふん、先に宗輝オープンしてよ」

 

「スリーカードだ、しかもAのな」

 

 

少しドヤ顔で手札をオープンする。3枚交換でまさか狙ったカードが来てくれるとは思わなかった。日菜、この手札に勝てるかな?

 

 

 

「じゃじゃーん!私はKのフォーカードだよ!」

 

「なん、だと⁉︎」

 

「日菜ちゃん凄い!」

 

 

 

 

惜しくも負けてしまった。日菜交換してなかったから初手でフォーカードだったのかよ。それはやばすぎだろ。ちょっとイカサマを疑うレベルだよ?まぁ俺がディーラーだから関係ないんだけどな。

 

 

 

「これで1勝1敗、次で決まるわね」

 

「やる気は凄いですけど、千聖さんさっきから手札弱い......」

 

「何か言ったかしら?」

 

「いえ、なんでもございません」

 

 

シャッフルを入念に行い、カードを配り始める。この時点で、彩とイヴの顔を見て取り敢えず安心した。この二人は顔に出やすいからなぁ。初手が悪い手札なのは見て取れる。配り終えて自分の手札を見てみると、まさかまさかのストレートフラッシュリーチ。一枚交換で上か下の同じダイヤの数字が出てくればストレートフラッシュ完成だ。ここでバレるわけにはいかない。ポーカーフェイスでカードの交換の流れへ持っていく。落ち着け、クールに決めるんだ俺。

 

 

 

「交換するやついるか?」

 

 

「私は3枚交換よ」

「ジブンは1枚で」

「私は全部交換します!」

「じゃあ私も!」

 

 

 

全部交換をノリでするんじゃありません。千聖さんも麻弥もあまり手札がよろしくないようですね。

 

 

「日菜はどうする?」

 

「......私このままでいいよ」

 

 

 

 

おっと、これは勝ったか?いやいや、油断するな。交換で引き当てられたらひとたまりもないぞ。.......いや待てよ、俺はブタorストレートフラッシュ。一か八かの大勝負。引き当てられたって俺の勝ちは揺るがないはず!

 

 

「......よし、オープン!」

 

 

「ブタね」

「ブタですね」

「ブタ!」

「ブタだぁ〜」

 

 

 

4人がブタ宣言。日菜も手札が良さそうではなかった。俺は食い気味に自分の手札をオープンする。

 

 

「俺は、ストレートフラッ......」

 

「......引っかかったな宗輝!私ロイヤルストレートフラッシュだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

やはり、凡人の俺は天才には勝てないのであった。いや、初手ロイヤルストレートフラッシュて何よ。流石に鬼畜過ぎるだろ。無理ゲー過ぎて泣けてくるわ。

 

 

「流石日菜ちゃん!」

 

「さぁ、言う事を一つ聞いてもらうわよ宗輝君!」

 

「千聖さん今回何もしてないですけどね」

 

「これはパスパレの勝利よ」

 

 

 

 

これで2勝1敗でパスパレの勝利となった。約束である"言う事を一つ聞く"の権利がパスパレ側へいってしまった。俺勝ちを確信してたから言う事決めてたんだけど。やっぱり油断大敵って事だな。今回のは完全に不可抗力だけど。

 

 

 

「んで、何お願いすんの?」

 

 

「んー、私達と一緒に寝てもらおうかな!!」

 

「うん、却下」

 

 

 

 

いや、一つ屋根の下5人の女の子と一緒に居るってだけでヤバいのに、一緒に寝るとか俺の心の臓が持たん。しかし、抵抗虚しく俺が真ん中で日菜と彩が隣、その横に千聖さんとイヴと麻弥という配置で布団にイン。俺にしかわからないだろうが、布団の中がめちゃんこ良い匂いすんのよ。日菜なんか俺に引っ付いてきてるし俺の匂い嗅いでるし。彩も彩で密着してきてさっきから顔真っ赤にしてるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......明日絶対寝不足だわ

 

「今夜は寝かせないわよ」

 

「千聖さん、マジで勘弁してください」

 

 

 

 

この後、めちゃくちゃ弄ばれた。





パスパレの中での推しはポンコツ彩太郎と日菜です。

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