トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~   作:Lycka

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タイトル名の方が考えるの難しかったりしますよね?
まぁ大体がパッと思いついたものをタイトルにしてるのでおかしいのもあるかもしれませんが気にしないで下だせぇ。

今回で取り敢えずパスパレ編~完~となります。
あと一話後日談として出そうと思いますので。

それでは、27話ご覧下さい。
(アンケートの方もよろしくお願いします)
└今後に関わりますのでw


Produce 27#捧げる想い、繋がる気持ち

 

 

騒がしくも楽しかった休暇から2週間。あの日からは休む事なく働いている。まぁ働いてると一口に言っても練習に付き合ってたりちょこっと事務仕事してたりでそこまで辛くはなかったけど。

 

 

今日はライブ前日。例の如く前入りしてせっせと準備の最中である。流石にライブ前日ともなると今まで通りにはいかず不備も目立つ。幸いプロデューサーさんにも手伝ってもらっていたのもあって俺の担当ではミスなく進んでいた。......今年の新入社員さんがミスってプロデューサーさんが鬼と化していたのを目撃した時は絶対に怒らせないと誓ったね。

 

 

 

 

「ほら宗輝君、これとあっちのも運んどいてね」

 

「了解しました、他には無いですかね」

 

 

 

今もなおプロデューサーさんと協力してライブに使用する機材諸々を運んでいるところである。どれも重たいのでどうしても力仕事になり頼られる場面が多いのだが、そこは現役高校生の腕の見せ所。普段はここら辺の筋肉なんて使ってないから明日あたりに筋肉痛が襲ってくることは間違いないがそんなことは言ってられない。ここでへばったりなんかしたらプロデューサーから愛のある鉄拳制裁を食らうに違いない。

 

 

「まだいくつかこっちへ運んでるから後で連絡するわ」

 

「取り敢えず運んできますね」

 

「ええ、お願いね」

 

 

 

アイツらも今尚頑張ってる。俺がここで下手する訳にもいかないからな。粉骨砕身、俺に出来る限りのことはやってやるさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

~CiRCLE~

 

 

 

 

 

『......〜♪』

 

 

 

 

 

「ふぅ、もう時間も遅いし次でラストにしよっか!」

 

「そうね、あくまで明日が本番ね」

 

「ジブンも気になるところが一つだけあるのでそれだけやらせてもらえれば大丈夫です!」

 

 

 

時刻は既に午後9時を回っている。私達は今までずっと練習を重ねてきた。時には意見が食い違ったり上手くいかず下を向いてしまった時もある。そんな時、いつも側に居てくれて助けてくれた人。今もなおライブの準備で大忙しである彼。私にとって、私達にとって大切な人。そんな彼に一つでも恩返ししたくて、救ってもらったお礼がしたくて一生懸命みんなで考えたりもした。その話が盛り上がってしまいつい何時間も話し込んでしまったのは良い思い出。

 

 

 

「彩ちゃん本番テンパったりしないでよー」

 

「そこは何とか頑張ります......」

 

「今のアヤさんならいけますよ!」

 

 

 

私にはMCという重大な任務が任されている。くれぐれもデビューライブのようにはならないように練習してきたつもり。だけど、やっぱりあのトラウマは消えてくれなくて、心の中でずっと足枷になってる。私なんか、って言ったら前に宗輝君に怒られてしまった。評価してくれるのは良いんだけどプレッシャーになるから控えて欲しいんだけどなぁ。褒めてくれるのは嬉しいからちょっと複雑な気持ちになる。

 

 

 

「今彩ちゃんが何考えてるか当ててあげようかしら」

 

「え、急に何千聖ちゃん......?」

 

「ズバリ、宗輝君のことでしょう?」

 

 

 

今千聖ちゃんが練習をしている探偵物の舞台のキャラの真似をしてしれっと当ててくる。私は少し動揺してしまったけど何とか隠そうとして分かりやすい嘘をついてしまう。みんなにそれが通じないことはわかりきっているのにも関わらず。

 

 

「彩ちゃん、顔に書いてるからバレバレだよ〜?」ニヤニヤ

 

「彩さんは分かりやすいですからね」ハハハ

 

「そ、そうかな?」

 

 

やっぱりバレてた。それなりに付き合いが長いから癖とか大体把握されてる......。

 

 

 

「ムネキさんに喜んでもらえるように明日は頑張りましょう!」

 

「じゃあ円陣でもしとこっか!」

 

「よし、じゃあみんな明日も精一杯......」

 

 

 

「パスパレーッ!!ファイッ!!」

 

 

『オーッ!!!』

 

 

 

 

 

 

__________________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンポ-ン

 

 

 

「......んあ?誰だよこんな朝早くから」

 

 

 

 

結局昨日家に帰ってこれたのは日が回ってから。それから風呂に入りベッドにダイブしてそのまま横になってライブのことを少し考えていた。と思ったら既に眠りについていたらしく今に至る。しかし、玄関のチャイムの音で目覚めるという中々にレアな体験が出来ただけ良しとしておこう。何でこんなのがレアな体験なのか?それはそもそも家に来る人が少ないからだよ。大体香澄や明日香か新聞配達のおじさん、それと変な宗教の勧誘なんかも来たりする。まぁ大体は母さんが追い払ってくれるから助かってるけど。いや、それよりもまず確認しないといけないな。こんな日に限って両親が親元に帰るっつって家を開けるし。それに令香も付いてってるからひとりぼっちだし。

 

 

 

「はいはい、新聞なら置いといてくださいね〜」

 

 

 

 

 

 

 

「何言ってるのむーくん、早く準備しないとライブ間に合わなくなっちゃうよ!」

 

「何で香澄がいるんだよ」

 

「私もいるんだけど」

 

 

 

何故か戸山姉妹がまるでピクニックにでも行くかのように背中にリュックを背負っている。明日香に関しては俺が気付かなかったのに腹が立っているのか少しほっぺを膨らませている。今日も明日香は変わらず可愛らしいなぁと思いつつ玄関から少し入ったところに置いてある星型の時計を眺める。

 

 

 

「......ナイス香澄、危うく寝坊するとこだったわ」

 

「むーくんママから起こしてやってって言われたから!」

 

「まぁお姉ちゃん起こしたの私だけどね」

 

「明日香、今度何か欲しいもん一つ奢ってやる」

 

 

 

そう言うと明日香は嬉しかったのか少しガッツポーズをしながら何買ってもらおうかなーとかボソッと呟いてた。あの〜、明日香さん流石に万単位はやめてね?今回のお手伝いでそこそこお金貰えるらしいけど常識の範囲内でよろしくお願いします。

 

 

「ささっと準備するから入って待っててくれ」

 

『は〜い』

 

 

 

 

 

 

 

 

~ライブ会場~

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ〜、むーくん人いっぱいいるね!」

 

「そりゃあこのライブイベントは簡単に言えばアイドルのフェスみたいなもんだからな」

 

「お姉ちゃん、六花達と合流するよ」

 

「分かった!じゃあ頑張ってねむーくん!」

 

「おう、迷子になんなよ」

 

 

 

香澄と明日香はいつぞやのお友達である六花?ちゃん達と合流するべく広場へと向かっていった。情報によるとあこ達Roseliaやポピパ等みんな応援に駆けつけてくれているらしい。まだ会場準備の段階だからみんなは来てないだろうけど。

 

 

 

「宗輝君おはよう、ちゃんと間に合ったらしいね」

 

「どこかの世話焼きに起こされたんで大丈夫でしたよ」

 

「君にベタベタのあの子のことかい?ああいう子が好みだったりする?」

 

 

 

プロデューサーさんのイジりがまた始まってしまった。こうなると止まらなくなる。ソースは俺。この人俺をイジる時めっちゃ笑顔になるからな。それで何回も時間取られては他のプロデューサーに怒られる。怒られる方の身にもなって欲しいものである。

 

 

「......アイツは只の幼馴染ですよ」

 

「さっきの間が怪しいけど今日はこのへんにして、取り敢えず最終チェックにかかろうか」

 

「確かパスパレのブースはあっちでしたね」

 

 

 

 

 

今日はライブだけをしに来たのでない。先程も言ったようにアイドル達のフェスである本日のイベント。勿論、物品販売やらなんやらも予定として組み込まれている。基本スケジュールはライブの時間までに物品の販売とファン達との軽いイベントを開くようになっている。何しろ出演するグループが多いのでパスパレも埋もれがちだが確かな人気はある。まぁあんな熱狂的なファンもいるくらいだからな。

 

 

 

「今日もしこたま働いてもらうからね」

 

「今日生きて帰れんのか俺......」

 

「それはお天道様にでも祈っときな」

 

 

 

お生憎様、俺はお天道様よろしく神様とやらは信じない主義なので。そのくせ心霊系は大好きなのでお前どっちなんだよとはよく言われる。いや神様とお化けって全く別物じゃんか。それに見てたりして楽しかったりするのは絶対後者だろうし。まぁ生きて帰れるかは別として今は、今日はアイツらが表舞台(ステージ)で輝けるように下っ端として尽力しますかね。

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

「オリジナルTシャツ2枚で3000円になります」

 

「3000円丁度頂きます、ありがとうございました〜!」

 

 

 

少し時は経ち現在物品販売の真っ只中。正直に言おう、人が多過ぎる。もしかしたらとかいう俺のちっぽけな希望が砕け散るかのように去っていった。しかもまだ開始5分。既に長蛇の列が出来上がっていた。まぁそれにも理由がある。

 

 

『麻弥ちゃーん!!もっと笑ってくれーっ!!』

 

 

「フヘヘッ、なんだか照れますね」フヘヘ

 

 

 

『千聖ちゃんサインお願いします!!』

 

 

「焦らずにゆっくりお願いしますね」カキカキ

 

 

 

そう、何故かパスパレの5人も物品販売のコーナーにいるからだ。いや理由はプロデューサーさんから聞いたから分かってるけどね。何でも"他のグループがやってない事をやるんだ!!"とか言ってこの5人を投入。そしたらあら不思議、周りのブースでもアイドル達を待つ列が発生。正直アイドルを出してないブースの方が少ないくらいだ。元々、ファンの人達との交流会的な催しを設定していたのだがそれが早まってしまった形になる。

 

 

「お待ちの方お次どうぞ〜!」

 

 

俺は俺で販売の方で手が回らないし。

 

 

 

『彩ちゃんあのポーズやってよ!』

 

 

「ま、まん丸お山に彩を♪」ピシッ

 

オオオ-ッ!!カワイイヨアヤチャン!!

 

 

『イヴちゃん今日の衣装可愛いよー!!』

 

 

 

「皆さんありがとうございます!」

 

 

 

『日菜ちゃん!!日菜ちゃん!!』

 

 

 

「あちゃ〜、私はこれどうなっても知ーらないっと」

 

 

 

彩達もファンの対応で一杯一杯である。日菜に関しては何故か謎の日菜コールが始まっていた。他の人達もやれ商品を運ぶのやら列の整理やらで手どころか頭までも回らない状況。

 

 

 

 

 

それなのに、そんな状況なのに......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、やっぱり私の選択は間違えてなかったね!!」

 

 

 

 

 

 

『アンタが一番間違えてるよ!!』

 

 

 

 

 

 

原因であるプロデューサーは我が物顔で椅子に座って寛いでいた。勿論、この後ほぼ全ての従業員から怒られて正座させられていたのは言うまでもなかろう。因みに無礼講ということで俺もプロデューサーに軽くデコピンさせてもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう許して下さいお願いします」

 

 

 

『あと10分』

 

 

 

 

 

プロデューサーさん、あなたが思っている以上にみんな怒ってますよ......

 

 

 

 

 

 

 

~お昼休憩~

 

 

 

 

「はぁ〜、お昼なのにもうクタクタだぞ俺」

 

「宗輝もお疲れ様〜」

 

「そう言う日菜はなんだか元気だな」

 

 

 

なんとかあの魔の時間帯を乗り越えた俺達は1時間ばかしお昼休憩を取らせてもらえるようになった。しかし、お昼休憩と言っても外には出られない。関係者専用の控え室を使わせてもらっている。俺は別に知名度とか0だからいいんだけどこの5人が外に出たらまた騒ぎになるに違いない。テレビの取材も来てるって話だからなぁ。あ、プロデューサーさんは罰としてこのクソ暑い中ビラ配りを任されてます。

 

 

 

「みんなはお弁当か何かあるのか?」

 

 

「作ってきたよ」

「作ってきたわ」

「作ってきました!」

「作りましたよ!」

「お姉ちゃんと一緒に作ったよ!」

 

 

 

ほほう、最近のJKは自分でお弁当作れるんだな。いや、まぁ彩については作れること知ってたけど。イヴとか意外だな。千聖さんと麻弥はなんかエプロン着て鼻歌歌いながら作ってそう(妄想)

 

 

 

「じゃあ俺外で買ってくるから......」

 

 

 

『何言ってるのかな?』

 

 

「えぇ?」

 

 

財布を持って外の売店で適当に食べれるもん買ってこようと思ったのだが5人に引き止められてしまった。振り返ってみるとみんな獲物を狙っている獣の様な目をしている。ねぇ、俺は今から狩られてしまうのん?5対1とか流石に卑怯じゃない?

 

 

 

「お昼ご飯ならここに一杯あるじゃない」

 

「いやでもそれ千聖さん達の......」

 

「あら、聞こえなかったのかしら」

 

「とんでもございません、喜んで食べさせて頂きたく御座候」ペコリ

 

「宗輝君、語尾おかしくなってるよ......」

 

 

馬鹿野郎、これは今俺の中でのブームなんだよ。先人の知恵に学ぶっていうかなんというか。うん、ちょっとおかしい子っていうのは最早デフォルトだからな。そこんとこ気にせずいこうぜ。

 

 

 

 

『頂きま〜す』

 

 

 

気を取り直し俺含め6人で控え室にある机を囲む。5人それぞれのお弁当箱がオープンされて色とりどりで美味しそうな中身を見て少しお腹の虫が鳴ってしまう。

 

 

「まずは〜これだ!」

 

「それはジブンのやつですね」

 

 

さてさて、麻弥の料理の腕はいかに。麻弥ってなんか良い奥さんになりそうだよな。保育園の先生っぽいし。眼鏡かけてる女の子って個人的に好き。っといかんいかん、話が逸れてしまったな。まずは定番の玉子焼きから頂くとするか。

 

 

 

「......この口の中に広がる甘み。流石麻弥、分かってるな!」

 

「フヘヘッ、気に入ってもらえて嬉しいっス」///

 

 

 

「ムネキさん!次はこれをどうぞ!」

 

「お、おう......っ!!こ、これは⁉︎」

 

 

 

なんだ、なんなんだこれは。そうだな、これを言葉で表現するには......

 

 

 

 

 

 

 

 

「......"和"を感じるぜ。大和魂が篭ってる」

 

「それほどでもないですよ!」

 

 

いや、最初にイヴがお弁当作るの意外って言ってたな。前言撤回、めちゃくそウメェんだわこれ。何が美味しいのかって?それは食べてみてからのお楽しみってやつさ。

 

 

 

「じゃあ次は私のやつ!」

 

「日菜か、どれどれ〜」パクッ

 

 

「ど、どう?」

 

 

 

 

「うん、美味いに決まってるだろ」

 

 

 

何故だろう、この玉子焼きに愛を感じる。日菜風に言うならば......るんっ♪と来たぜ!!

 

 

「じゃあ今度は私の番ね」

 

「それでは、手前勝手ながら胃袋へ運ばせて頂こうと思っております故お許し下さい」

 

「もう許してるからその語尾やめてくれる?というより語尾云々の話なんだけど」

 

 

 

千聖さんを怒らせてはいけない。俺の本能がそう言ってる。ま、本気で怒ったところ見たことないんで分からんけど。さぁ、見たところ他のみんなと変わらないが味見といきますかね。

 

 

 

「.......千聖さん」

 

「な、何かしら急に」

 

 

 

 

 

「甘みは勿論のこと、この味の奥にある旨みっていうんですかね。それがピンポイントに俺の味覚に直撃してきていい具合に混ざり合ってなんとも言えない味を引き出してますね。それと、中身も凝ってますよね?食べてみてわかりましたが中に海藻類が入ってて良いアクセントになってます。やっぱりダシとして使うのも良いですけどこうやって直に入れるのって相当手間かかりますよね。その分確実に美味しくなるんで現在宗輝ポイントグングン上昇中ですよ。ああ、それとですね......」

 

 

「ちょっと、何言ってるか分からないわ。つまりは何が言いたいの?」

 

 

 

「ハッキリ言って、大好きです」

 

 

 

千聖さんの玉子焼き。マジで毎日作って欲しいレベル。千聖さんと結婚したらこんなお昼ご飯毎日食べれんのか。羨ましすぎて嫉妬しちゃうから妄想だけに留めとこう。

 

 

「ちょっと何言ってるの宗輝君、恥ずかしいわよ」///

 

「あれ、また口に出てましたかね俺」

 

 

 

 

「むぅ〜......最後は私のだね!」

 

「うむ、美味い」パクッ

 

 

「えぇ!感想それだけ⁉︎」

 

 

 

仕方ないだろ、美味いもんは美味いんだよ。しかも彩が作ってきた分に関しては一回食べてるからなぁ。いや決して彩のお弁当が他のみんなのものより劣ってるってことじゃないんだよ?安心しろ、みんなレベル高すぎるから。

 

 

 

「というか俺さっきから玉子焼きしか食べてないよな?」

 

「知らないわよ、宗輝君が勝手にそうしてるんじゃない」

 

「恐るべし玉子焼き」

 

 

 

 

この後めちゃくちゃ飯食わされた。

 

 

 

 

 

 

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「よっしゃ、これで終わりだな」

 

 

 

昼休憩が終わり物品販売やイベントを終え片付けも同時に行なっていた。残るはライブのみ。パスパレの5人は既に会場入りしている。物品販売の時にまさか香澄達(他バンドメンバー)がくるとは思わなかった。まだ普通に客としてくるのなら分かる。香澄なんてただ普通に話しにきただけだからな。因みに友希那とこころとひまりも同じ。

 

 

 

「お疲れ様、じゃあ最後の仕事に行ってくれるかい」

 

「本当に俺なんかが入って良いんですか?」

 

「何言ってるのよ、君はもう私達の一員よ。その首にかけているのは飾りかしらね」

 

 

 

客と関係者の区別がつくように一応社員証的なものを紐にくくりつけて首にぶら下げている。会場へ入るにはこれを警備員に見せないと関係者専用のブースには入れないようになっていた。

 

 

 

「......ありがとうございますプロデューサーさん」

 

「そんなのは全部が終わってからにしなさいな」

 

 

 

そう言いながら煙草を吸っているプロデューサー。男の俺からしてもカッコいいとさえ思ってしまった。

 

 

 

 

「そうですね、じゃあ行ってきます!」フリフリ

 

「まぁ頑張りなさい」

 

 

 

今まで手伝ってくれたプロデューサーさん、その他社員さん。みんなの力添えがあって今日この場に俺は立つことが出来ている。俺の最後の仕事、ちゃっちゃと終わらせてきますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......私も後十年くらい早く産まれてたらなぁ」ハァ

 

 

 

 

 

 

 

 

~ライブ会場舞台裏~

 

 

 

 

 

「うぅ〜、緊張してきたよぉ」

 

「もう、彩ちゃん落ち着きなさい」

 

「皆さん緊張した時はどうやってます?」

 

 

 

「んー、私はお姉ちゃんの事考えるかなー?」

 

 

 

 

(それで直るのは日菜ちゃん(さん)だけよ(です)

 

 

 

「お、意外と良い線いってると思うぞ日菜」

 

「おぉ〜、宗輝間に合ったんだね」

 

「すまん、ちょっと迷ってた」

 

 

 

だって会場裏からここに来るまでまさか5分もかかると思わなかった。5分って短くね?って思った奴、言っとくけど入口からここまで目と鼻の先くらいの距離だからな。案内図が無いんだもん、仕方ないよね。行くところ着くところ行き止まり。花音先輩かよって心の中で自分にツッコミ入れたくなるくらいには迷った。

 

 

 

「今何番目が歌ってる?」

 

「まだ始まったばかりなので時間はありますよ!」

 

「聞くところによると開始時間はちょっと遅れてるっぽいッスね」

 

 

 

よし、それならそれでこちらとしては好都合だ。まぁイベント開催者側としてはあまりよろしく無いんだろうけどな。正直言って俺は開催者側じゃないからどうでもいいけど。

 

 

 

「じゃあ最終チェックいくか」

 

「最終チェック?それは何をするのかしら」

 

「まぁ俺なりのチェックですよ」

 

 

 

ふぅ、と一息ついてみんなの顔を見渡す。俺が専属マネージャーを受けて色々とやり始めてそこそこ時間は経った。その時のコイツらの顔と今を比べれば一目瞭然。練習を重ねて自信がついたのかはたまた違う理由があるのか。

 

 

 

「イヴ、今日もブシドーしてるか⁉︎」

 

「はい!今日もブシドー全開ですよ!」

 

 

よし、イヴのブシドーエナジーは満タンっと。ブシドーエナジーって何だよ。命名者俺だけど意味不明すぎるな。

 

 

「麻弥、今日もいっぱいフヘッていこうぜ!」

 

「はい!精一杯頑張りますよ!」フヘヘ

 

 

 

麻弥のフヘッと笑顔も健在っと。いやぁ、やっぱり麻弥のフヘヘには治癒効果ありますな。今はライブ衣装を着て眼鏡を外しているので普段とはまた違った印象を受ける。

 

 

「日菜、今日もるんっ♪ときてるか⁉︎」

 

「うん!今最ッ高にるんっ♪ってきてるよ!」ニコッ

 

 

 

ああ、何と眩しきかな。天真爛漫な笑顔とはまさにこのことを言うのだろう。日菜がるんっ♪ときてる時は大抵どうにかなる時である(暴論)

 

 

 

「千聖さん、パスパレのまとめ役お願いしますね」

 

「任せておいて、必ずこのライブ成功させるわ」

 

 

 

やはり千聖さんは頼もしい。千聖さんとは出会ってからすぐにお姉さんとしてマウントを取ってきていたが、今なら素直にお姉さんと呼べるだろう。ブロンドヘアーの美人お姉さんとか羨まし過ぎか。

 

 

「最後に彩」

 

「うん」

 

 

 

 

今の彩に、彩達に俺から最後に言えることは一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライブ全力で楽しんでこい!!」

 

 

 

「......うん、頑張ってきます!」ピシッ

 

 

 

『Pastel*Palettesの皆さん準備お願いしま〜す』

 

 

 

 

声がかかり5人は準備に取り掛かる為裏へと移動を開始する。そんな5人の背中は頼もしく、また誇らしく思えた。

 

 

 

じゃあ、俺も最後の仕事やりに行きますかね。

 

 

 

 

 

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「まん丸お山に彩を♪Pastel*Palettesボーカル担当の丸山彩です!」

 

 

キャ-!!アヤチャンカワイイヨ-!!    

 

 

 

 

私達は今、これまでのライブの中で一番重要と思われるステージに立っている。アイドルバンドとしてテレビ番組やラジオとかいっぱいやってきたけど、やっぱりライブでも凄く緊張する。だけど、今はそこまでかもしれない。理由は簡単、これまで沢山練習してきたから。この5人ならやれると思ったから。そして、宗輝君が助けてくれたから。

 

 

 

 

「このライブに関して私達からお伝えしたいことが一つあります」

 

 

 

千聖ちゃんが話し出して先程までボルテージMAXだった会場が静粛に包まれる。事前にこの時間を取り付けてくれた事務所の人には感謝しなくちゃ。

 

 

 

 

「と言ってもお伝えしたいことは一つッス!」

 

「私達を応援してくれているファンの皆さん、そして支えてくれている方々!」

 

「そんなみーんなに感謝の気持ちを込めて今日はライブするよー!」

 

 

 

千聖ちゃんに続き麻弥ちゃんやイヴちゃん、日菜ちゃんが一言ずつ発する。そして、私からみんなにライブスタートの合図で目配せをする。

 

 

 

 

 

 

『今までも、そしてこれからも私達Pastel*Palettesをよろしくお願いします!!』

 

 

 

「よし、千聖ちゃんいくよ!!」

 

「ええ、いつでも良いわよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「———————ゆら・ゆらRing-Dong-Dance」

 

 

 

 

 

 

曲のスタートで前奏が始まる。それと同時にもう一度みんなの顔を見渡す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(ジブンは最初アイドルとしてやっていけるか不安でした。なんの取り柄もないジブンがアイドルなんて出来るわけないとも思ってました。でも、彩さんや千聖さん、日菜さんとイヴさんに勇気を貰いました。この5人でなら出来ると思いました。それに、下手っぴな私の練習に付き合ってくれた宗輝君。ドラムなんて分からないなんて言いながらも丁寧に教えてくれて嬉しかったっスよ。今日は間違えずに完璧に演奏するんで見てて下さいね!)」

 

 

 

 

 

 

麻弥ちゃんの真剣な眼差しを見て私も頑張ろうと思えたよ。

 

 

 

 

 

 

「(パスパレにはアヤさんがいて、チサトさんやヒナさんやマヤさんがいる。皆さん一つ歳上で、でもそんな事感じさせないくらい仲良しになれて。練習の時はメリハリがちゃんもあって優しく、時には厳しく教えてもらいました。みなさんのお陰で今私はここにいます。そしてマネージャーとして、一人の女の子として助けてくれたムネキさん。私はパスパレの皆さんと同じくらいムネキさんの事大好きですよ!!)」

 

 

 

 

 

 

イヴちゃんが居てくれたからいつも笑顔でいられたよ。

 

 

 

 

 

 

 

「(最初は何となくオーディションを受けて何となく演奏してた。私の全てはお姉ちゃんだったから。でも、彩ちゃん達と出会って変わった。それに宗輝まで加わって。事あるごとに彩ちゃんはポンコツっぷりを披露するしその度に宗輝に泣きつくしで。パスパレに入ってからはるんっとすることが沢山あって飽きないね!絶対にお姉ちゃん達には負けられない!勿論、それは恋愛に関しても負けるつもり無いからね!覚悟しといてよ宗輝!)」

 

 

 

 

 

 

 

日菜ちゃんがいたから人一倍練習しようって思えたよ。

 

 

 

 

 

 

 

「(私今凄く楽しいわ。これまでのライブも勿論楽しかったけれど、今日はそれよりもっと。お客さんだって凄いノリノリだしパスパレのみんなも楽しそうにしてる。理由はもっと色々あるんでしょうけど、やっぱり私の中では貴方の影響が大きいかもしれないわね。今まで男の人となんて役者さん以外あまり関わりが無かったのに。宗輝君に抱いているこの感情は恋かしら?だとしたら、もう止められないわよ?)」

 

 

 

 

 

 

 

千聖ちゃんのお陰で、私はアイドルを続けられるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(研修生時代からの夢、いつか大っきいライブイベントに出たいってずっと思ってた。今じゃ大ガールズバンド時代なんて言われてる中、私達は異色のアイドルバンドグループとして活動してる。しっかりまとめ役の千聖ちゃんがいて、何でもこなせちゃう日菜ちゃんもいて、機械に詳しく頼れる麻弥ちゃんがいて、天真爛漫でムードメーカーなイヴちゃんがいる。みんなに支えられて私は歌える。そして、今は宗輝君がいる。今までずっと助けられっぱなしだった君に、私達の想いを込めて今日は歌うよ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宗輝君(キミ)が居たから、私達は今日ここにいるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、最後にもう1曲だけ!!」

 

 

 

 

みんなと息を合わせ、最後の曲を歌い始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「———————もういちどルミナス」

 

 

 

 

 

 





少しRoseliaと同じようになってしまったのは反省してます。
最近、バンドリ二次創作で評価の高い方のものをみて勉強しております。

そのせいで少し投稿遅れるかも......というのは冗談で頑張りますよ。

モチベ維持の為にも評価、感想等お待ちしております(定期)

投稿頻度について質問です

  • 今まで通りで構わん
  • 最低週1は欲しいぜ
  • 頑張って週2.3

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