トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~   作:Lycka

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寒暖差にやられている主です。

宗輝「最近寒い」

香澄「カイロ持ってきたよ!」

宗輝「まだカイロは早ぇよ!」


それでは、38話ご覧下さい。


過去編
Produce 38#傷と痛み


 

 

 

 

 

「おはよー」

 

「おお、明日香おはよーさん」

 

「お姉ちゃんもうすぐ来ると思う」

 

「あいよ」

 

 

 

朝早くからダイブかましてくると思ったらこの有様だ。時々こういう事があるから正直俺としては助かる。毎朝ダイブで起こされるとか俺の寿命が縮むからやめて欲しいところである。臓器とか既に何個か潰れてるんじゃない?そのくらいの頻度と強さのダイブだからな。一回体験してみると良いさ。案外洒落にならんから。

 

 

 

 

「ごめーん、むーくんおはよ!」

 

「近頃毎朝の様に起こしに来てたのに珍しいもんだな」

 

「えへへ、今日は寝過ごしちゃってて」

 

「時間間に合わなくなるよ」

 

 

 

香澄が寝過ごす=それ相応の時間な訳だ。確かにここでゆっくりしてる暇はなさそうだな。ダイブで起こされた時が早すぎるからゆっくりしがちだけど。もうこれからはこの時間で良いよ香澄さんや。

 

 

 

 

「じゃあ行こっか!」

 

「おう」

 

 

 

 

 

 

 

~花咲川~

 

 

 

 

 

 

「お、有咲みっけ」

 

「げっ」

 

「おい、その反応はおかしいだろ」

 

「有咲おはよー!」

 

 

 

 

香澄と有咲の百合百合な展開も相変わらずである。抱きつく香澄に抵抗する有咲。それを眺める俺。ふぅ、いつも通りで安心だな。しかし有咲の反応は解せん。何その"めんどくさいのに見つかった"みたいな反応。香澄はそうかもしれんが俺は違うだろ。有咲にとって俺はめんどくさい奴だったの?

 

 

 

 

「本当良くもまぁ毎日コイツと登校できるよな」

 

「まぁ幼馴染だからな」

 

「えっへん!」

 

「香澄が威張るところじゃねーだろ」

 

 

 

 

二年生になる前は彼氏彼女だとかそんな噂が流れていたが、ここ最近では幼馴染という関係や家同士仲が良い事など何故かバレて(主に香澄が言いふらしたらしい)いた為、夫婦だとか婚約者とかにランクアップしてた。女三人寄れば姦しいとは良く言ったものだ。ここ花咲川学園は元女子校だったから女三人とかいうレベルでは無い。よって噂が亜音速を超えて広まるのも無理無いだろう。

 

 

 

 

「あれ?今日は朝から生徒会の仕事って言ってなかった?」

 

「あぁ!!やべぇ忘れちまってた!」

 

「荷物教室に置いといてやるからダッシュ」

 

「悪りぃ頼む!」

 

 

 

 

パッと持っていた鞄を投げ渡し急いで生徒会室へ向かう有咲。通路の角を曲がる頃には息が上がっているのが何とも有咲らしい。それにしても本人すら忘れてたのに良く覚えてたな香澄の奴。ひょっとしてあれか、貴女の事なら何でも知ってるよタイプか。俺のパソコンの中とか知られてたらヤバイよヤバイよ。今度パソコンのパスワード変えとこう。何故かリサには香澄の誕生日だってことバレてたし。てか何故バレたし。

 

 

 

 

「さっき物凄い勢いで市ヶ谷さん走ってったけど何か大変な事あったの?」

 

「美咲か、まぁいつものことだ」

 

「有咲意外と忘れん坊さんだからね!」

 

 

 

 

有咲が走っていった方からトコトコ歩いてきたのは美咲。朝っぱらから無気力そうな顔してると幸せ逃げちゃうぞ。

 

 

 

「あら、みんなしてどうしたの?」

 

「こころーん!」

 

「美咲、今日は私の家でミーティングよ!ミッシェルに伝えておいて!」

 

「はいはい、分かったから自分の教室行きなよ」

 

 

 

残念、美咲の元へやってきたのは笑顔の権化こと弦巻こころちゃんでした!まぁ俺から言わせて貰うと、"こころ居るなら美咲いるでしょ?"と"美咲いるならこころ居るでしょ?"の理論が立証されて嬉しい。AならばB、BならばAってやつか。でも流石は美咲、こころの扱いが最早プロ級。いつもならここで時間ギリギリまでおしゃべりタイムなのにな。やっぱり美咲はすげぇや。

 

 

 

 

「俺らも教室入るか」

 

「そうだね」

 

「むーくんむーくん、あれ花音先輩じゃない?」

 

 

 

香澄が指差す方向に確かに花音先輩発見。あんまり人に向かって指差すの良くないからやめような。てかマジであの人何してんだよ。ここ二年生の校舎なんですけど。見つけてしまったものは仕方ないので取り敢えず確保しとこう。

 

 

 

 

「花音先輩、何で二年の校舎にいるんですか」

 

「ふえぇぇ......こころちゃんに呼び出されたから来てみたら迷っちゃったの」

 

「犯人はこころか。というより本格的に校内は一人で歩けるように特訓した方が良さそうですね」

 

「......特訓?」

 

 

 

コテッと首を傾げる花音先輩。可愛いからやめてほしい。この前もそうだけどこの人の方向音痴どうにかならんのか。一度花音先輩のお母様お父様とご相談せざるを得ない状況だと思いますよ担任の先生。下手すりゃ授業出られ無くなりますよその内ね。

 

 

 

「今日こころんちでミーティングらしいですよ。多分それを伝えたかったんだと思います」

 

「あ、ありがと宗輝君」

 

「どういたしまして......ってどうしたんですか花音先輩?」

 

「えーと、あの。う、後ろ......」

 

 

 

振り返るとそこにはウチの担任が居た。何せこの担任、花咲川ではトップ3に入る程の熱血生徒指導で有名だ。故にあだ名は"花咲川の修◯"。北京やら何やらが会話のそこかしこに散りばめられて最終的に何言ってるか分からなくなることがほとんど。それと単純に滑舌悪い。

 

 

 

 

「ほほう、朝のSHR放ったらかしで女の子と密会とは良い度胸だな」

 

「待って、一つだけ言い訳させてぇ!!」

 

「死人に口なし」

 

「ぐへぇ」

 

 

 

我が花咲川の制服の襟を掴んで何をしようと言うのかね。いや、マジで俺のせいかこれ。花音先輩も何か言ってやって下さいよ。ふえぇだけじゃ駄目なんですよ!あと俺は死人じゃない。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

『頂きます!』

 

 

「それにしても大変だったね宗輝」

 

「喧嘩両成敗ってやつだ」

 

「誰も喧嘩してねぇし何なら両成敗もしてない」

 

 

 

 

午前中の授業を終え、いつも通り中庭でお昼ご飯。あの後職員室まで連行されて今日1日は先生の雑用係に任命されてしまった。何故あの場面で花音先輩は怒られないんだ。おたえじゃないが両成敗されても良いと思うの。......いや待てよ、花音先輩に先生の雑用係なんてやらせるわけにはいかないだろ。よって俺が一人でこなす。なんだ結果オーライじゃん。

 

 

 

 

「あれって私の所為なんだろ。ごめん宗輝」

 

「何で有咲が謝るんだよ」

 

「だって......」

 

「だっても何もねぇよ。あれはどう考えたって担任が悪いだろ」

 

 

 

男女差別は良くないと思いますよ先生。花音先輩を教室に送ったら花音先輩の担任の先生は心配してくれた。やれ怪我は無いのかだの迷子になって無かっただの。迷子の部分は分かってて言ってますよね?その時ちょっと馬鹿にしたみたいに笑ってましたし。もしかしてグルか?ウチの担任とグルなのか?

 

 

 

「有咲の方こそ生徒会大丈夫だったか?」

 

「そっちは何とか間に合った」

 

「近いうちに何かあるの有咲ちゃん?」

 

「いんや、詳しくはまだハッキリしてないけど。紗夜先輩が言うには、まーた日菜先輩が合同で何かやりたいとか言ってるらしい」

 

「また日菜の仕業か」

 

 

 

燐子先輩の苦労が増える。つぐみも大変そうだな。紗夜さんも紗夜さんで頭抱えてそう。何か手伝える事あったら積極的に手伝っておくか。

 

 

 

キ-ンコ-ン

 

 

 

 

「さ、午後の授業も頑張りますかね」

 

「むーくんジュース買って行こ!」

 

「ジャン負けで奢りな」

 

「なら有咲と2対1ね!」

 

 

 

 

2対1でジャンケンとか不利にも程がある。香澄さん確率論とかって知ってます?俺ジャンケンの必勝法とか全然知らないし、駆け引きとかも上手じゃないから単に2人に勝てば俺の勝ちってことだろ?ジャンケンで勝つ確率ってどのくらい?人数増えても確率一緒なら変わらないのか?

 

 

 

 

 

「いくよー!ジャンケン、ポンッ!!」

 

 

 

 

 

結局三人分の飲み物代は俺の財布から出ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

~斎藤宅~

 

 

 

ガチャ

 

 

 

 

「つかれた〜」

 

「あら、お帰り」

 

「ただいま。というより母さん達いつ戻るんだよ」

 

「ん〜、あともう少しかしら」

 

 

 

そんな曖昧な感じでいいのか斎藤家。父さんに聞いてもはぐらかされるばっかだし。令香はこっちに残るみたいだから良いんだけどさ。

 

 

 

「お邪魔します!」

 

「今日は香澄も一緒に飯食うってさ」

 

「香澄ちゃんならいつでも歓迎よ〜♪」

 

「もうすぐご飯出来るからお兄ちゃん達はリビング行ってて」

 

 

 

最近では令香と母さんがご飯担当らしい。前までは父さんも夕飯とかは作ってくれてたんだけどな。聞くところによると海外(向こう)で外食が多かったからめんどくさくなったらしい。確かに外国ってファストフードが盛んだったりするよな。俺もいつか本場のファストフードを食べてみたいぜ。お土産とかに出来ないのが難点。

 

 

 

「むーくんは最近ご飯作らないよね」

 

「何でそれ知ってんだよ」

 

「お兄ちゃんが毎日の様に連れてきてるからでしょ」

 

「お義母さんって呼んでいいのよ?」

 

 

 

イントネーションというかニュアンスというか、色々と違って聞こえたのは気のせいか。母さんは外堀から埋めていくのが好きらしい。こっちに帰ってきてからというもの、戸山家との親交然り親同士のお食事会然り。その場その場で何言ってるか分からないが香澄の母さんからも"そろそろお義母さんって呼んで?"と言われた。二人揃って似通ったタイプだからよりタチが悪い。

 

 

 

「じゃあお義母さんと——」

 

「バカかお前は」コツン

 

「あうっ!」

 

 

 

軽く香澄を小突いてから手を洗いに洗面台へ向かう。俺の後ろをトテトテと香澄も付いてきて狭いのだが二人で手を洗う。小さい頃は逆に広すぎるほどだったのになぁ。

 

 

 

「やっぱりむーくんちに来ると面白いね!」

 

「そーか?」

 

「うん!」

 

 

 

俺もコイツも昔から何も変わらない気がしてならない。一緒に居ることが当たり前になっているから小さい変化に気付かないだけかもしれないけど。ほら良くあるじゃん?"小学校の時と全然違うじゃん!"ってやつ。あれ意外とずっと一緒に居ると変化に気付かなかったりするんだよな。幼馴染だと尚更だろ。

 

 

 

 

『頂きまーす!』

 

 

「お兄ちゃん、学校はどう?」

 

「どうって言われてもな」

 

「香澄ちゃんは楽しい?」

 

「はい!むーくんがいて、みんなもいて、すっごく楽しいです!」

 

 

 

食事中に立ち上がらないで頂きたい。楽しいのは見てて分かるから。それからは香澄がポピパメンツの事を楽しそうに、時折自慢げに話して夕飯は終わった。おたえは言わずもがな天然不思議ちゃんとして、有咲はツンデレで沙綾がパン屋の娘。りみりんがゆるふわ可愛いキャラとして数々のエピソードが語られた。有咲、お前は俺の母さんに目をつけられたみたいだぞ。ご愁傷様、骨は拾ってやる。

 

 

 

 

「じゃあ帰るね!」

 

「気を付けろよ、ってそんなに離れてないけど」

 

「お兄ちゃん、送っていくのが当たり前だよ!」

 

「そうよ、早くなさい」

 

 

 

この前は送って行かなくてもそんなこと言わなかったくせに。しかし、こうなってしまうと断るに断れないので仕方なくサンダルを履いて外へ出る。

 

 

 

「ありがとむーくん」

 

「こんなのいつものことだろ」

 

「......ううん、当たり前だからこそだよ」

 

 

 

香澄が香澄らしくない。もしやお前香澄の偽物だな⁉︎ははん、幼馴染をずっとやってきた俺にはそんなもの通用しない!さぁ、正体を現せ偽物め!

 

 

 

「だから、いつもありがと!」

 

「お、おう」

 

「ここまでで大丈夫だから!」

 

 

 

そう言って家へ入っていく香澄。昔からストレートな言葉には耐性が無かったがそこも変わってないらしい。良くも悪くも俺も香澄も変わってないんだな。

 

 

 

 

「帰って寝るか」

 

 

 

満月と言うには少し早い、丸みを帯びた月を見上げながら帰宅する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『この後みんなであそぼうぜ!』

 

『じゃあいつもの公園いこうよ!』

 

 

 

羨ましかった

 

 

 

『あ、あの』

 

『何だよお前』

 

 

 

俺には昔友達と呼べる人が居なかった

 

 

 

 

『僕も入れてくれないかな?』

 

 

 

 

勇気を出して伝えてみても

 

 

 

『お前なんかいらねーよ』

 

『お前居ても邪魔だからな!』

 

 

 

返ってきたのは心無い言葉だけだった

 

 

 

『帰ってお前の好きなお茶でも飲んでろよ!』

 

『遊んで欲しいなら妹でも連れて来いよ!』

 

 

 

 

俺はただ、純粋に友達が欲しかっただけなのに

 

 

 

『お前がそんなだから戸山だって———」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!!......クソ、久し振りにこんな夢見ちまった」

 

 

 

 

 

俺の朝の目覚めは最悪だった。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

「おはよ」

 

「......おう」

 

「ん?お兄ちゃん具合でも悪い?」

 

「そんなことないぞ、お兄ちゃんは令香が居れば百人力だ」

 

 

 

 

重い体を何とか動かし洗面台で顔を洗う。鏡を見てみるとやつれた顔が一つ。いつもならこれでシャキッと目が覚めるのに。今日は気分も優れないみたいだ。

 

 

 

「あんな夢まで見て今更。とっくの昔に終わった事なのに」

 

 

今日も朝から香澄を迎えに行く予定だったのでモタモタしていられない。令香には少し勘付かれそうだったけど多分バレてないだろう。ささっと準備を済ませてパンをくわえて我が家を後にする。

 

 

 

ピンポ-ン

 

 

 

「はいはーい、宗輝おはよ.......ってどうしたの」

 

「香澄迎えに来たんだよ」

 

「いやそうじゃなくてさ、朝何かあった?」

 

「......何にもねぇよ」

 

 

 

何故か明日香にも勘繰られている。俺ってそんなに顔に出やすいタイプだったっけ?それとも癖で鼻動いてる?まだ明日香にはバレてないと思ってたのに。

 

 

 

「むーくんおはよ!」

 

「おう、準備出来てるか?」

 

「ばっちりだよ!」グッ

 

「んなら行くか」

 

 

 

 

良かった、香澄にはバレてないらしい。まぁ令香や明日香が変に敏感なだけだろう。普段お馬鹿さんの香澄には大丈夫。()()は俺にとってもコイツにとっても思い出したくない過去だからな。そりゃこんくらいナイーブになるわ。

 

 

 

「あっちゃん行ってくるね!」

 

「明日香も遅れずにな」

 

「うん、分かってるよ」

 

 

 

取り敢えずこれからの事は学校終わってから考えるとするか。

 

 

 

 

 

 

 

「......やっぱ何かあったんじゃん」

 

 

 

 

そんな明日香の声は宗輝には届かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~花咲川~

 

 

 

 

「有咲おはよー!」

 

「げっ」

 

「昨日と全く同じ反応だな」

 

 

 

運悪く有咲とエンカウントしてしまった。今は正直誰とも会いたくないのだが。まぁクラスも同じだし仕方ない。適当にあしらって早いとこ教室入らないと。

 

 

 

「今日も生徒会でしょ?」

 

「今日から忙しくなるんだよ」

 

「俺も何か手伝おうか?」

 

「いや、宗輝いると逆に邪魔だからいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前が居ても邪魔だからな!』

 

 

 

夢の中の言葉が俺の中でこだまする。

 

 

 

(何でこんなになってんだよ俺)

 

 

 

普段なら何も気にすること無かったのに。あんな夢一つ見たくらいで馬鹿馬鹿しい。有咲もそんなつもりで言ったわけじゃないだろうに。

 

 

 

「......あんまり無理はすんなよ。ほら、行くぞ香澄」

 

「あ、待ってよむーくん!」

 

「ちょ、生徒会は放課後だって!」

 

 

 

これ以上は危ない、一度戦線離脱だ。正直自分でも現状がハッキリと把握出来ていない。このままじゃ誰かを傷付ける可能性がある。そんなのはもうゴメンだ。

 

 

 

「あら、偶然ねあなたたち!」

 

「こころ、今ちょっと取り込み中だから」

 

「何かやらないといけないことでもあるの?」

 

 

 

めんどくさいことに美咲とこころにまで出会うとは。これじゃまるきり昨日と同じメンツだろ。今は知り合いに会うのですら億劫なんだ。出来れば早めに帰ってもらいたい。今思えば美咲が居るから大丈夫だろうと踏んだ俺が馬鹿だった。

 

 

 

「今日もウチでミーティングするの!宗輝も来てアイディアを出して頂戴!」

 

「なら私も行くよこころん!」

 

「あのー、宗輝は別に要らなくない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前なんかいらねーよ』

 

 

 

クソ、まただ。アイツらと美咲達は違うのに。頭から言葉が離れてくれない。そんなんじゃないのは俺が一番分かってるはずなのに。

 

 

 

 

「ハロパピのミーティングでしょ?」

 

「香澄と一緒にウチに———」

 

 

バシンッ!

 

 

 

「......ごめん」

 

 

 

こころから差し伸べられた手を振り払ってしまった。こころだって、美咲だってそんなつもりは一切無いのだろう。さっきの有咲だってそうだ。今更そんなこと言われたってどうこうするようなものでも無い。でも、それでも、今の荒んだ俺の心を()()のには充分過ぎる程だった。

 

 

 

「むーくん!」

 

 

 

 

俺はどうしていいか分からずそこから去ってしまった。

 

 

 

「こころん大丈夫⁉︎」

 

「こ、こころ......」

 

 

 

その日初めて、こころから笑顔が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今回から宗輝の"過去編"スタートです。
あまりシリアス展開多過ぎると主が参ってしまいそうなのですか......
おまけコーナーは一旦ストップで良いですかね?
好評なら真面目な話でもやろうと思います。

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